次の文章を完全解説して下さい。
問題
H1,・・・,Hrを群Gの指数有限の部分群とすれば、H=H1∩・・・∩Hrも指数有限であることを示せ。
証明
r=2の場合に示せば十分である。すなわち、H,Kが指数有限のとき、H∩Kも指数有限であることを示す。
|G:H|<∞,|G:K|<∞⇒|G:H∩K|<∞
演習問題7より
|K:H∩K|=KHに含まれるHの左剰余類の個数≦|G:H|<∞
そこで、Kをその部分群H∩Kで類別する。|K:H∩K|=nとして、
K=b1(H∩K)∪・・・∪bn(H∩K)(bi∈K)―――①
一方、Gを部分群Kで類別する。|G:K|=mとして、
G=a1K∪・・・∪amK(ai∈G,i≠jのときaiK∩ajK=φ)―――②
したがって、
G=⋃(i=1~m)aiK=⋃(i=1~m)ai{⋃(j=1~n)bj(H∩K)}=⋃(i=1~m)⋃(j=1~n)aibj(H∩K)
ここで、(i,j)≠(k,l)のとき、aibj(H∩K)∩akbl(H∩K)=φである。何故ならば、もしaibj(H∩K)∩akbl(H∩K)≠φとすると、定理4.1より、
(aibj)^-1akbl=bj^-1ai^-1akbl∈H∩K―――③
ゆえに、bj^-1(ai^-1ak)bl∈Kであることがわかる。ところが、bj,bl∈Kであるから、ai^-1ak∈K ゆえに、aiK=akK 類別②よりi=k このとき、③よりbj^-1bl∈H∩K ゆえに、bj(H∩K)=bl(H∩K) したがって、類別①よりj=lであるから(i,j)=(k,l)であることが示された。
以上より、G=⋃(i=1~m)⋃(j=1~n)aibj(H∩K)は共通部分のない和集合である。また、
|aibj(H∩K)|=|H∩K|(1≦i≦m,1≦j≦n)
であるから、
|G:H∩K|=m・n=|G:K|・|K:H∩K|≦|G:K|・|G:H|<∞
よって、|G:H|<∞,|G:K|<∞⇒|G:H∩K|<∞であることが示された。
上の証明の中で以下のことが成り立つことに注意しよう。
● |G:H∩K|≦|G:K|・|K:H∩K|, |G:H∩K|≦|G:H|・|H:H∩K|
演習問題7
Gを群とし、H,Kを指数有限の部分群とするとき、次を示せ。
(1)KHに含まれるHの左剰余類の個数=|K:H∩K|
(2)KHに含まれるKの右剰余類の個数=|H:H∩K|
定理4.1
Gを群,HをGの部分群とする。このとき、Gの元a,bについて、次の(1)から(5)の命題は同値であり、また(1')から(5')の命題も同値である。
(1)aH=bH (1')Ha=Hb
(2)a^-1b∈H (2')ab^-1∈H
(3)b∈aH (3')b∈Ha
(4)a∈bH (4')a∈Hb
(5)aH∩bH≠φ (5')Ha∩Hb≠φ
(引用終わり)
具体的には3ヶ所ぐらいですかね。
>KHに含まれるHの左剰余類の個数≦|G:H|
>以上より、G=⋃(i=1~m)⋃(j=1~n)aibj(H∩K)は共通部分のない和集合である。また、
|aibj(H∩K)|=|H∩K|(1≦i≦m,1≦j≦n)
であるから、|G:H∩K|=m・n
>● |G:H∩K|≦|G:K|・|K:H∩K|, |G:H∩K|≦|G:H|・|H:H∩K|
おまけ: