解説
>一般に、f:G→G'を準同型写像とするとき、準同型定理6.5より<a>/kerf'≃<f(a)>が成り立つ。
準同型定理6.5のG/kerf≃G'に、G=<a>,G'にf(<a>)を代入すると、
<a>/kerf'≃f(<a>)(f'はfを<a>に制限した写像だから付ける。特に気にする事ではない。)
ここで、問6.6より、f(<a>)=<f(a)>なので、
<a>/kerf'≃<f(a)>となる。
問6.6
f:G→G'を準同型写像とするとき、Gの任意の元aについて、次を示せ。
f(<a>)=<f(a)>
>この同型より、f(a)の位数はaの位数の約数である。
上の式<a>/kerf'≃<f(a)>の両辺の位数を取ると、同型なので等しい。
∴|<a>/kerf'|=|<f(a)>|
∴|<a>|/|kerf'|=|<f(a)>|
∴|kerf'|=|<a>|/|<f(a)>|
また、定理3.4より、|<a>|=|a|,|<f(a)>|=|f(a)|
∴|kerf'|=|a|/|f(a)|
ところで、|kerf'|は整数より、|a|/|f(a)|も整数。
よって、f(a)の位数はaの位数の約数である。
定理3.4
aを群Gの元とするとき、元aの位数はaで生成された巡回部分群<a>の位数に等しい。
すなわち、|a|=|<a>|
>また、Gがaとbによって生成されているとき、準同型写像fは生成元の像f(a),f(b)によって決定される(§6演習問題4)。
これは§6演習問題4より、
§6演習問題4
fとgを群Gから群G'への準同型写像とし、SをGの生成元の集合とする。このとき、Sの任意の元aに対して、f(a)=g(a)が成り立つならば、準同型写像fとgは等しいことを示せ。
なので、生成元の像f(a),f(b)の種類(数)と準同型写像の数が一致するという事である。
>今の場合ℤ2×ℤ2は(|0,|1)と(|1,|0)によって生成されている。これらはいずれも位数2であるから、準同型写像f:ℤ2×ℤ2→ℤ2×ℤ2によるこれらの像の位数は1か2である。
上の文章より「f(a)の位数はaの位数の約数である」ので、f(ℤ2×ℤ2)の位数はℤ2×ℤ2の生成元の位数2の約数だから1か2。
>そしてℤ2×ℤ2の元はいずれも0か2であるので、
これは誤植である。正しくは、「そしてℤ2×ℤ2の元の位数はいずれも1か2であるので、」である。
>f(|0,|1),f(|1,|0)はℤ2×ℤ2の任意の元を像としてとることができる。ゆえに、その組み合わせは16通りある。したがってf:ℤ2×ℤ2→ℤ2×ℤ2なる準同型写像の個数は16個である。
ここが最大の謎である。これは、fによって、
f:{(|0,|0),(|0,|1),(|1,|0),(|1,|1)}→{(|0,|0),(|0,|1),(|1,|0),(|1,|1)} そして、4×4=16個という事ですよね。
しかし、§6演習問題4より、「Gがaとbによって生成されているとき、準同型写像fは生成元の像f(a),f(b)によって決定される」のだから、f:{(|0,|0),(|0,|1),(|1,|0),(|1,|1)}→{(|0,|0),(|0,|1),(|1,|0),(|1,|1)}の左側は生成元の|0,|1),(|1,|0)だけではないのだろうか。
つまり、2×4=8個
因みに、この問題は、
問題
次の各々において準同型写像はいくつあるか。
(1)ℤ2×ℤ2→ℤ2
(2)ℤ2×ℤ2→ℤ2(全射)
(3)ℤ2×ℤ2→ℤ6
(4)ℤ2×ℤ2→ℤ2×ℤ2
で、(1)の解答は4個,(2)の解答は3個,(3)の解答は4個である。
つまり、ℤ2×ℤ2の元の個数は4個でℤ2は2個,ℤ6は6個で、(4)のように単純に4×2=8とか4×6=24とかにはなっていないのに、(4)だけ4×4=16なんておかしくないのだろうか。
念のため、全然自信ないので信じないで下さい。
>f(|0,|1),f(|1,|0)はℤ2×ℤ2の任意の元を像としてとることができる。
単純に、
f(|0,|1)={(|0,|0),(|0,|1),(|1,|0),(|1,|1)}
f(|1,|0)={(|0,|0),(|0,|1),(|1,|0),(|1,|1)}
から、4+4=8個で良いのではないだろうか。
まぁ、信じる信じないはあなた次第です。
おまけ:
https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-11248447742.html