問題 次の各問に答えよ。
(1)剰余環ℤ12の可逆元をすべて求めよ。
(2)剰余環ℤ12の零因子をすべて求めよ。
(3)剰余環ℤ12のベキ零元をすべて求めよ。
別解
(1)問2.4より、aがRの可逆元であるための必要十分条件はaR=Rなので、具体的に調べてみる。
問2.4
aを可換環Rの元とする。このとき、aがRの可逆元であるための必要十分条件はaR=Rである。
ところで、ℤ12={|0,|1,|2,|3,|4,|5,|6,|7,|8,|9,|10,|11}
|0・ℤ12={0}
|1・ℤ12=ℤ12
|2・ℤ12={|0,|2,|4,|6,|8,|10,|12,|14,|16,|18,|20,|22}={|0,|2,|4,|6,|8,|10,|0,|2,|4,|6,|8,|10}={|0,|2,|4,|6,|8,|10}
|3・ℤ12={|0,|3,|6,|9,|12,|15,|18,|21,|24,|27,|30,|33}={|0,|3,|6,|9,|0,|3,|6,|9,|0,|3,|6,|9}={|0,|3,|6,|9}
|4・ℤ12={|0,|4,|8,|12,|16,|20,|24,|28,|32,|36,|40,|44}={|0,|4,|8,|0,|4,|8,|0,|4,|8,|0,|4,|8}={|0,|4,|8}
|5・ℤ12={|0,|5,|10,|15,|20,|25,|30,|35,|40,|45,|50,|55}={|0,|5,|10,|3,|8,|1,|6,|11,|4,|9,|2,|7}=ℤ12
ここで、初めて、|5・ℤ12=ℤ12が現れた。つまり、5が12と互いに素だからだろう。ただし、裏取りが必要である。そこで、第1章定理2.4を見て欲しい。
定理2.4
(a,n)=1ならば、ax≡b(modn)を満足する整数解xが存在し、nを法として唯一つである。
a=|5とすれば12と互いに素でダブることなく一つと保証されるので、上の推測は正しい事が分かる。
よって、12と互いに素な1,5,7,11より、a={|1,|5,|7,|11}である。
よって、答えは、ℤ12の可逆元の集合は{|1,|5,|7,|11}である。
(2)零因子とは、例えば、|3・|4=|12=|0となるもので、|3や|4の事である。つまり、まず12の約数である。その他にも周期を考えれば24の約数や36,48,60,・・・などの約数もそうである。
つまり、12と互いに素なものを求めてℤ12から除けば良さそうだが、一応、理詰めで求める。
12の約数から、2,3,4,6,12
24の約数から、さらに8
36の約数から、さらに9
48の約数から、なし。
60の約数から、さらに10
0~11までだから以上である。あとは普通の零因子の0を加えると、
答えは、{|0,|2,|3,|4,|6,|8,|9,|10}
検算という訳ではないが、12と互いに素な{|1,|5,|7,|11}をℤ12から引いたものと合う。
(3)ベキ零元とは、a^n=0となるaの事である。
つまり、ℤ12={|0,|1,|2,|3,|4,|5,|6,|7,|8,|9,|10,|11} この中で|5とかは何回かけても12で割り切れない事が分かるので、ベキ零元ではない。そう考えると、12で割り切れるには、12=2^2・3より、2の因子と3の因子が同時に入っていなければならない事が分かる。つまり、この中では|6だけが適格者である。また、|0は別格である。
よって、答えは、{|0,|6}
おまけ: