次の文章を完全解説して下さい。
例1.6
ℚ⊕ℚ={(a1,a2)|a1,a2∈ℚ}は加法と乗法を
(a1,a2)+(b1,b2)=(a1+b1,a2+b2)
(a1,a2)・(b1,b2)=(a1b1,a2b2)
によって定義すると、零因子をもつ可換環となる。
加法群ℚと加法群ℚの直和であることからℚ⊕ℚは加法に関して群である。ゼロ元は(0,0)である。乗法に関する結合律と分配律は容易に確かめられるのでℚ⊕ℚは可換環になる。乗法単位元は(1,1)であり、また(1,0)(0,1)=(0,0)であるから(1,0),(0,1)は零因子である。よって、ℚ⊕ℚは整域ではない。
(引用終わり)
具体的には、p.132の直積(定義7.1)が群になるので、下段の乗法に関しても群なのにℚ⊕ℚが体にならない理由ですね。因みに、定理1.4より「体ならば整域」なのでℚ⊕ℚが体でない事は自明ですが。
定義7.1
G1,G2,…,Gnを群とする。
集合G1,G2,…,Gnの直積集合G1×G2×…×Gnの2つの元
(a1,…,an),(b1,…,bn)
に対して(a1,…,an)と(b1,…,bn)の積(a1,…,an)・(b1,…,bn)を
(a1,…,an)・(b1,…,bn)=(a1b1,…,anbn)
により定める。(a1,…,an)の第i成分aiと(b1,…,bn)の第i成分biは群Giの元であるから、積aibi(∈Gi)が定義されている。したがって、上で定めた積は直積集合G1×G2×…×Gn上の演算を定義し、この演算に関して直積集合は群になる。
この群を群G1,G2,…,Gnの外部直積という。
定理1.4
体は0と異なる零因子をもたない。すなわち、体は整域である。
おまけ: