解説
>(1),(2),(3)が必要条件であること:
Gが群であるための必要条件という事で、
「Gが群であるならば~である」の~の部分に(1),(2),(3)を当てはめて正しいなら条件を満たす。
>(1),(2)は定義からただちに得られる。
Gが群であるならば、定義より(1),(2)が正しい事は自明である。
>(3)は定理1.4により正しい。
Gが群であるならば、定理1.4が成り立つので、(3)も正しい。
>(1),(2),(3)が十分条件であること:
Gが群であるための十分条件という事で、
「~ならばGは群である」の~の部分に(1),(2),(3)を当てはめて正しいなら条件を満たす。
>結合律(G1)は仮定により満たされているから、定理1.3より逆演算可能性の条件が成り立てばよい。
すなわち、
∀a,b∈G,∃x,y∈G,a◦x=b
y◦a=b
を示せば良い。
定理1.3を見れば、
定理1.3
演算の与えられた空でない集合Gが、結合律(G1)を満足し、またGにおいて逆演算可能であれば、Gはその演算に関して群である。
より、「逆演算可能」であれば良い事が分かり、定理1.2を見ると、
定理1.2(逆演算の可能性)
Gが群であるとする。このとき、Gに属する任意の2つの元a,bに対して、
a◦x=b
y◦a=b
を満足するGの元xおよびyが存在し、しかも、唯一通りに定まる。
∀a,b∈G,∃x,y∈G,a◦x=b
y◦a=b
を示せば良い事が分かるだろう。
>Gは有限集合であるから、Gの各元に番号をつけて、
G={a1,…,an}(a1,…,anは相異なるn個の元)
と表すことができる。Gの各要素にaを左からかけた元の集合
a◦G={a◦a1,a◦a2,…,a◦an}⊂G
ところで、(1)が全く使われていないが、「(1)演算が定義されている」とは、「演算◦について閉じている」という意味である。
よって、a◦G={a◦a1,a◦a2,…,a◦an}⊂Gである。
>ここで、仮定(3)の消去律によって、
i≠j⇒a◦ai≠a◦aj
まず、「G={a1,…,an}(a1,…,anは相異なるn個の元)」より、
i≠j⇒ai≠aj―――①
また、定理1.4より、c◦a=c◦bならばa=b ∴c◦ai=c◦ajならばai=aj
また、cをaにすると、a◦ai=a◦ajならばai=aj この対偶を取ると、
ai≠aj⇒a◦ai≠a◦aj―――②
①,②より、i≠j⇒a◦ai≠a◦aj
>したがって、集合a◦Gを構成している元の個数はn個である。すると、a◦GはGの部分集合で、a◦Gの個数とGの個数は一致するからa◦G=Gでなければならない。
これは普通に考えれば自明ですね。
>今b∈Gであるから、あるiがあってb=a◦aiとなっている。ここでai=xとすれば、b=a◦xとなる。
y◦a=bなる元yの存在についても同様である。
これも普通に考えれば自明ですね。よって、解説終わり。
おまけ: