解説
>f(n)=a1+a2+…+aφ(n)=∑((x,n)=1)xとおく。1≦x<nで(x,n)=dなるxの和は
df(n/d)に等しい(定理3.4の証明参照)。
これははっきり言って、定理3.4の証明を全部理解していてもよく分からない。そこで、具体例を挙げてお茶を濁そう。(個人的には、数学的帰納法とかで証明した方が良いような気がするが、次回、別解をやるのでそれで良しとする。)
>dをnの約数全部動かして足せば、0からn-1までの数全部が現れる
df(n/d)は、1≦x<nで(x,n)=dなるxの和だから。(定理3.4の証明のS=A1∪…∪Akを考えても良い。)また、1からnにならずに0からn-1になるのは具体例を見て考えた方が分かり易い。
例えば、n=20とすると、
1・f(20/1)=1+3+7+9+11+13+17+19
2・f(20/2)=2(1+3+7+9)=2+6+14+18
4・f(20/4)=4(1+2+3+4)=4+8+12+16
5・f(20/5)=5(1+3)=5+15
10・f(20/10)=10・1=10
20・f(20/20)=20・0=0
よって、0~19が現れる。
>ここで、∑(d|n)df(n/d)=∑(d|n)(n/d)f(d)であるから
n=n1・dとおくと、n1=n/d よって、n1とdの関係を考える。(n/dとdという事。)
例えば、n=8とすると、8=1・8,2・4,4・2,8・1で、ところで∑(d|n)より約数全てで考えるので、n=n1・dの集合n1={1,2,4,8},集合d={8,4,2,1}となる。
よって、集合n1と集合dは等しい。よって、集合n/dと集合dは等しい。
よって、上の式ではdとn/d入れ換えても等号で結ばれる訳である。(以後、これについての解説は省略して法則として使う。)
>すなわち、∑(d|n)f(d)/d=(n-1)/2を得る。反転公式(定理3.7)と定理3.6より
f(n)/n=∑(d|n){(d-1)/2}μ(n/d)
=(1/2)∑(d|n)(d-1)μ(n/d)
=(1/2)∑(d|n)dμ(n/d)
-(1/2)∑(d|n)μ(d)
=(1/2)φ(n)-(1/2)・0=φ(n)/2
∴f(n)=nφ(n)/2
∑(d|n)f(d)/d=(n-1)/2 これに反転公式を使うと、
f(n)/n=∑(d|n)μ(d){(n/d-1)/2}
=∑(d|n)μ(n/d){(d-1)/2}
=(1/2)∑(d|n)(d-1)μ(n/d)
=(1/2)∑(d|n)dμ(n/d)-(1/2)∑(d|n)μ(n/d)
=(1/2)∑(d|n)dμ(n/d)-(1/2)∑(d|n)μ(d)
=(1/2)∑(d|n)(n/d)μ(d)-(1/2)・0(定理3.6より)
=(1/2)∑(d|n)(n/d)μ(d)―――①
また、定理3.4より、∑(d|n)φ(d)=n これに反転公式を使うと、
φ(n)=∑(d|n)μ(d)(n/d)―――②
①,②より、f(n)/n=(1/2)φ(n)
∴f(n)=nφ(n)/2
定理3.4
nを自然数とするとき、次の等式が成り立つ。
∑(d|n)φ(d)=n
ここで、和はすべての約数についての和を意味するものとする。
定理3.6
nを自然数とするとき、つぎの式が成り立つ。
∑(d|n)μ(d)=1(n=1)
=0(n>1)
ただし、和はnのすべての正の約数dについての和を表すものとする。
定理3.7(メビュースの反転公式)
F(n),f(d)を整数の集合ℤからℤへの関数とする。このとき、F(n)=∑(d|n)f(d)が成り立てばf(n)=∑(d|n)μ(d)F(n/d)が成り立つ。
ただし、和はnのすべての約数dについての和を表すものとする。
しかし、定理3.4についての解説が全くないのはちょっとおかしいですね。(あくまでも個人的な感想です。)
おまけ: