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数学好きの人は、誰でも投稿して下さい。
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/27 10:31 (No.1414624)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題
K上の線型空間M(n,n,K)において、次の部分空間の次元を求めよ。
S(n,K)=(対称行列の全体),o(n,K)=(交代行列の全体),W₁=(上三角行列の全体),W₂=(対角行列の全体),W₃=(スカラー行列の全体)


dimS(n,K)=dimW₁=n(n+1)/2
dimo(n,K)=n(n-1)/2
dimW₂=n,dimW₃=1
「線型代数入門」有馬哲著より

これだけじゃ多分無理なので、「演習詳解 線型代数」有馬哲・浅枝陽共著の解答を載せる。


<E₁₁,E₂₂,…,Enn,E₁₂+E₂₁,…,Eij+Eji,…,En-1,n+En,n-1>がS(n,K)の基底である。ただしi<j。したがって次元はn(n+1)/2である。ここにEijは行列単位。
<E₁₂-E₂₁,…,Eij-Eji,…,En-1,n-En,n-1>がo(n,K)の基底である。ただしi<j。したがって次元はn(n-1)/2である。
<E₁₁,E₁₂,…,E₁n,E₂₂,E₂₃,…,E₂n,…,En-1,n>がW₁の基底である。したがって次元はn(n+1)/2である。
<E₁₁,E₂₂,…,Enn>がW₂の基底である。したがって次元はnである。
単位行列よりなる<En>がW₃の基底である。したがって次元は1である。
「演習詳解 線型代数」有馬哲・浅枝陽共著より

適当に分かり易く解説して下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/27 13:56削除
解説
>ここにEijは行列単位。

これは、(p,q)成分のみが1で他の成分がすべて0である行列の事。

><E₁₁,E₂₂,…,Enn,E₁₂+E₂₁,…,Eij+Eji,…,En-1,n+En,n-1>がS(n,K)の基底である。ただしi<j。

ところで、S(n,K)=(対称行列の全体)で、
対称行列の定義は、
「それ自身の転置行列に等しい行列,すなわち t^A=Aである行列を対称行列と言う。対称行列はもちろん正方行列である。」
「線型代数入門」有馬哲著p.37より
であるので、つまり、対角成分に関して対称な位置の成分同士が等しい行列という事である。
例えば、2次だったら、
(a b)
(b d)
で、3次だったら、
(a b c)
(b e f)
(c f i)
が、対称行列という事。
この基底を考えると、2次だったら、
(1 0) (0 0) (0 1)
(0 0),(0 1),(1 0)
の3個で、3次だったら、
(1 0 0) (0 0 0) (0 0 0)
(0 0 0) (0 1 0) (0 0 0)
(0 0 0),(0 0 0),(0 0 1),

(0 1 0) (0 0 1) (0 0 0)
(1 0 0) (0 0 0) (0 0 1)
(0 0 0),(1 0 0),(0 1 0)

この6個という事。
つまり、n次だったらE₁₁,E₂₂,…,Enn,E₁₂+E₂₁,…,Eij+Eji,…,En-1,n+En,n-1が基底で、その個数を考えると、まず、下の段のペアのものは、(n×n-n)÷2=(n²-n)/2
次に、上の段のものはn個なので、
(n²-n)/2+n=(n²+n)/2
=n(n+1)/2個

>したがって次元はn(n+1)/2である。

基底の個数が、n(n+1)/2個だからである。

><E₁₂-E₂₁,…,Eij-Eji,…,En-1,n-En,n-1>がo(n,K)の基底である。ただしi<j。したがって次元はn(n-1)/2である。

o(n,K)=(交代行列の全体)で、
交代行列の定義は、
「正方行列A=(aij)に対して
t^A=-A すなわち aji=-aij
であるとき、Aを交代行列または反対称行列と言う。」
「線型代数入門」有馬哲著p.37より
であるので、つまり、対角成分に関して対称な位置の成分同士の符号が異なる(絶対値は等しい)行列という事である。
例えば、2次だったら、
( a b)
(-b d)
で、3次だったら、
( a b c)
(-b e f)
(-c-f i)
が、対称行列という事。
つまり、n次だったらE₁₂-E₂₁,…,Eij-Eji,…,En-1,n-En,n-1が基底で、その個数を考えると、前回の下の段と同じで、
(n×n-n)÷2=(n²-n)/2
=n(n-1)/2個
よって、次元はn(n-1)/2という事。

><E₁₁,E₁₂,…,E₁n,E₂₂,E₂₃,…,E₂n,…,En-1,n>がW₁の基底である。したがって次元はn(n+1)/2である。

W₁=(上三角行列の全体)で、
上三角行列の基底は、
E₁₁,E₁₂,…,E₁n
E₂₂,E₂₃,…,E₂n
と考えていくと、
En-1,n-1,En-1,n
En,n
である。(教科書のは誤植。)
この個数は逆から考えると、1+2+…+n
=n(n+1)/2個である。
よって、次元はn(n+1)/2という事。

><E₁₁,E₂₂,…,Enn>がW₂の基底である。したがって次元はnである。

W₂=(対角行列の全体)で、この基底がE₁₁,E₂₂,…,Ennである事は自明で、n個である事も自明なので、次元はn次元であるという事。

>単位行列よりなる<En>がW₃の基底である。したがって次元は1である。

W₃=(スカラー行列の全体)で、スカラー行列の定義は、
「対角行列の中で、対角成分がすべて等しい行列をスカラー行列と言う」
「線型代数入門」有馬哲著p.37より
であるので、基底が単位行列Enである事は自明。よって、基底の個数が1個より1次元であるという事。

「特に対角成分がすべて1であるn次対角行列を単位行列と言う。」
「線型代数入門」有馬哲著p.37より

おまけ:
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/25 15:42 (No.1413708)削除
問題 9-2a
次の有理数多項式の群を求めよ。
(2)x³-3x+1

解答
(2)多項式の根はα=2cos(2π/9),
β=2cos(4π/9),γ=2cos(8π/9)である(問題6-1参照)。倍角の公式を利用すると、
β=2(2cos²(2π/9)-1)=α²-2である。また3つの根の和が0なのでγ=-α-β=-α²-α-2である。よってαはx³-3x+1の原始元であり、多項式の群は、αをαに取り換える入れ換え(恒等入れ換え)、αをβに取り換える入れ換え、αをγに取り換える入れ換えの3個の入れ換えからなる。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

問題 6-1a
次の3次方程式を解け。
(2)x³-3x+1=0

解答
(2)カルダノの公式を利用して解く。公式の3乗根の部分を計算すると
3√[-1/2+√{(1/2)^2+(-1)^3}]
=3√{-1/2+(√-3)/2}
=3√{e^(2πi/3)}=e^(2πi/9)
である。よって、方程式は
e^(2πi/9)+e^(-2πi/9)=2cos(2π/9)
e^(2πi/3)e^(2πi/9)+e^(-2πi/3)e^(-2πi/9)
=2cos(8π/9)
e^(-2πi/3)e^(2πi/9)+e^(2πi/3)e^(-2πi/9)
=2cos(4π/9)
である。

命題6.1(3次方程式の解の公式)
x³+ax+b=0の解は次の公式で与えられる(カルダノの公式):
x=³√[-b/2+√{(b/2)²+(a/3)³}]
+³√[-b/2-√{(b/2)²+(a/3)³}],

ω²・³√[-b/2+√{(b/2)²+(a/3)³}]
+ω・³√[-b/2-√{(b/2)²+(a/3)³}],

ω・³√[-b/2+√{(b/2)²+(a/3)³}]
+ω²・³√[-b/2-√{(b/2)²+(a/3)³}]

ここでω=(-1+√3i)/2(1の原始3乗根)とする。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

まず、問題6-1aの方でα=2cos(2π/9),
β=2cos(4π/9),γ=2cos(8π/9)が正しい事を確認(解説)してから、問題9-2aの解説をして下さい。
それらが終ったら、「αをαに取り換える入れ換え(恒等入れ換え)、αをβに取り換える入れ換え、αをγに取り換える入れ換えの3個の入れ換えからなる」集合が実際に群をなす事を確認して下さい。

おまけ:
https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-11152524377.html

https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-11152939766.html

https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-11153969894.html
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/26 13:43削除
解説
>問題 6-1a
次の3次方程式を解け。
(2)x³-3x+1=0

解答
(2)カルダノの公式を利用して解く。公式の3乗根の部分を計算すると
³√[-1/2+√{(1/2)²+(-1)³}]
=³√{-1/2+(√-3)/2}
=³√{e^(2πi/3)}=e^(2πi/9)
である。よって、方程式は
e^(2πi/9)+e^(-2πi/9)=2cos(2π/9)
e^(2πi/3)e^(2πi/9)+e^(-2πi/3)e^(-2πi/9)
=2cos(8π/9)
e^(-2πi/3)e^(2πi/9)+e^(2πi/3)e^(-2πi/9)
=2cos(4π/9)
である。

命題6.1(3次方程式の解の公式)
x³+ax+b=0の解は次の公式で与えられる(カルダノの公式):
x=³√[-b/2+√{(b/2)²+(a/3)³}]
+³√[-b/2-√{(b/2)²+(a/3)³}],

ω²・³√[-b/2+√{(b/2)²+(a/3)³}]
+ω・³√[-b/2-√{(b/2)²+(a/3)³}],

ω・³√[-b/2+√{(b/2)²+(a/3)³}]
+ω²・³√[-b/2-√{(b/2)²+(a/3)³}]

ここでω=(-1+√3i)/2(1の原始3乗根)とする。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

x³-3x+1=0をカルダノの公式で解くと、
³√[-1/2+√{(1/2)²+(-1)³}]
=3√{-1/2+(√-3)/2}
=3√{e^(2πi/3)}=e^(2πi/9)
を使って、
カルダノの公式の一番上の式は、
x=e^(2πi/9)+e^(-2πi/9)
これをオイラーの関係式で変換すると、
e^(2πi/9)=cos(2π/9)+isin(2π/9)
e^(-2πi/9)=cos(-2π/9)+isin(-2π/9)
=cos(2π/9)-isin(2π/9)
これらを上の式に代入すると、
x=cos(2π/9)+isin(2π/9)
+cos(2π/9)-isin(2π/9)
=2cos(2π/9)
∴x=2cos(2π/9)
カルダノの公式の2番目の式は、1番目の式にωとω²がかかっていて、
ω=(-1+√3i)/2
ω²={(-1+√3i)/2}²
=(-2-2√3i)/4
=(-1-√3i)/2
よって、これらを極形式表示すると、
ω=cos(2π/3)+isin(2π/3)
ω²=cos(-2π/3)+isin(-2π/3)
よって、カルダノの2番目の式は、
x=e^(2πi/3)e^(2πi/9)
+e^(-2πi/3)e^(-2πi/9)となる。
∴x=e^(8πi/9)+e^(-8πi/9)
=cos(8π/9)+isin(8π/9)
+cos(-8π/9)+isin(-8π/9)
=cos(8π/9)+isin(8π/9)
+cos(8π/9)-isin(8π/9)
=2cos(8π/9)
∴x=2cos(8π/9)
3番目の式も同じなので省略。

次に、問題 9-2aの方。

問題 9-2a
次の有理数多項式の群を求めよ。
(2)x³-3x+1

解答
(2)多項式の根はα=2cos(2π/9),
β=2cos(4π/9),γ=2cos(8π/9)である(問題6-1参照)。倍角の公式を利用すると、
β=2(2cos²(2π/9)-1)=α²-2である。また3つの根の和が0なのでγ=-α-β=-α²-α+2である。よってαはx³-3x+1の原始元であり、多項式の群は、αをαに取り換える入れ換え(恒等入れ換え)、αをβに取り換える入れ換え、αをγに取り換える入れ換えの3個の入れ換えからなる。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

>多項式の根はα=2cos(2π/9),
β=2cos(4π/9),γ=2cos(8π/9)である(問題6-1参照)。倍角の公式を利用すると、
β=2(2cos²(2π/9)-1)=α²-2である。

β=2cos(4π/9)———➀
ところで、2倍角の公式は、
cos2θ=2cos²θ-1 これにθ=2π/9を代入すると、cos2(2π/9)=2cos²(2π/9)-1
∴cos(4π/9)=2cos²(2π/9)-1———②
➀,②より、
β=2(2cos²(2π/9)-1)———③
また、α=2cos(2π/9)の両辺を2乗すると、
α²=4cos²(2π/9) 
∴α²/2=2cos²(2π/9)———④
④を③に代入すると、
β=2(α²/2-1)=α²-2
という事。

>また3つの根の和が0なのでγ=-α-β=-α²-α+2である。

x³-3x+1=0の3つの解がα,β,γより、3次方程式の解と係数の関係により、
α+β+γ=0/1=0
∴γ=-α-β———➀
また、上より、β=α²-2———②
②を➀に代入すると、
γ=-α-(α²-2)=-α²-α+2
という事。

>よってαはx³-3x+1の原始元であり、

α=α
β=α²-2
γ=-α²-α+2
よって、f(x)=x³-3x+1と置くと、αはf(x)の根αで表されていて、f(x)の根α,β,γは全てαで表されているので、αはf(x)=x³-3x+1の原始元である。

定義8.1(原始元)
重根を持たないn次多項式f(x)の原始元βとは、次の(1),(2)をみたす複素数のことである。以下においてα₁,・・・,αnをf(x)の根とする。
(1)βはα₁,・・・,αnの式で表される。
(2)α₁,・・・,αnはそれぞれβの式で表される。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

>多項式の群は、αをαに取り換える入れ換え(恒等入れ換え)、αをβに取り換える入れ換え、αをγに取り換える入れ換えの3個の入れ換えからなる。

f(x)の原始元αを根に持つ既約多項式g(x)(下の■を参照)はまさに=f(x)である。つまり、f(x)とg(x)は一致している。
ところで、多項式の群Gfとは、「βをg(x)の根に入れ換えて得られるf(x)の根の入れ換え」より、ここではαをα,αをβ,αをγに入れ換えたものが、Gfの全てである。
よって、3個の元からなる。

■多項式の群の構成(定理9.1(基本定理)の証明)
f(x)の原始元をβとし、βを根に持つ既約多項式をg(x)とします。またg(x)は重根を持たないとします。多項式の群Gfを
「βをg(x)の根に入れ換えて得られるf(x)の根の入れ換え」
からなる集合とします。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

>それらが終ったら、「αをαに取り換える入れ換え(恒等入れ換え)、αをβに取り換える入れ換え、αをγに取り換える入れ換えの3個の入れ換えからなる」集合が実際に群をなす事を確認して下さい。

これは次回。因みに、e=(α β γ),a=(β α γ),b=(γ β α)と置く(本当は2段で書きたいのだが、書けないので入れ換え後と考えて下さい)と、aの逆元は(β α γ)=a,bの逆元は(γ β α)=bで、それぞれ自分自身が逆元で存在している。
しかし、ab=(γ α β),ba=(β γ α)(演算は自分でやって下さい)で、この集合は演算について閉じていない。よって、群をなしていない。
この謎を解いて下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/26 16:06削除
解説の続き

問題 9-2a
次の有理数多項式の群を求めよ。
(2)x³-3x+1

解答
(2)多項式の根はα=2cos(2π/9),
β=2cos(4π/9),γ=2cos(8π/9)である(問題6-1参照)。倍角の公式を利用すると、
β=2(2cos²(2π/9)-1)=α²-2である。また3つの根の和が0なのでγ=-α-β=-α²-α-2である。よってαはx³-3x+1の原始元であり、多項式の群は、αをαに取り換える入れ換え(恒等入れ換え)、αをβに取り換える入れ換え、αをγに取り換える入れ換えの3個の入れ換えからなる。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

>それらが終ったら、「αをαに取り換える入れ換え(恒等入れ換え)、αをβに取り換える入れ換え、αをγに取り換える入れ換えの3個の入れ換えからなる」集合が実際に群をなす事を確認して下さい。

謎は実は簡単である。(ただし、気付くのは大変かもしれないが。)
e=(α β γ),a=(β α γ),b=(γ β α)と置いてはいけない。
e=(α β γ),a=(β γ α),b=(γ α β)と置けば良いというだけの事である。
こうするとaの逆元はbとなり、bの逆元はaとなり、また、ab=e,ba=eだから演算について閉じている。
そして、a²=b,a³=ba=eとなり巡回群になる。(b²=a,b³=ab=e)

補足
「x³-3x+1=0の最小分解体ℚ(α)の自己同型写像は、e(=σ³),σ,σ²の3個です。σを3回施すと恒等写像eと同じになるので、ℚ(α)の自己同型群は位数3の巡回群C₃と同型になります。」
「ガロア理論の頂を踏む」石井俊全著p.331より

おまけ:
返信
返信2
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/24 22:24 (No.1413411)削除
問題
円に内接する四角形ABCDにおいて、その対角線は点Pで直交し、PA=1である。また面積比は、△PAB:△PBC:△PCD=1:2:3である。
(1)PBの長さを求めなさい。
(2)円の半径を求めなさい。
(01 白陵)

図の解説:対角線が点Pで直交している円に内接する四角形ABCDをAP:PC:PDを目分量で1:2:2ぐらいに描いた図。

(2)は参考書の別解があります。因みに、私も(1)と(2)の別解を作ってみました。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/25 07:56削除
問題
円に内接する四角形ABCDにおいて、その対角線は点Pで直交し、PA=1である。また面積比は、△PAB:△PBC:△PCD=1:2:3である。
(1)PBの長さを求めなさい。
(2)円の半径を求めなさい。
(01 白陵)

模範解答
(1)与えられた面積比の条件より、
PA:PC=1:2 ∴PC=2
また、△PAB∽△PDCで、相似比は
1:√3……㋐であるから、
PB=PC/√3=2/√3=2√3/3……①
(2)円の中心Oから弦BD,ACに垂線OH,OIを下ろす。H,Iはそれぞれ弦の中点であるから、
DH=BD/2=(①×5/2)/2
=5√3/6……②
OH=IP=AC/2-AP=3/2-1
=1/2……③
よって、円Oの半径をrとすると、
r=√(②²+③²)=√(7/3)=√21/3
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

解説
>円の中心Oから弦BD,ACに垂線OH,OIを下ろす。H,Iはそれぞれ弦の中点である

半径から△OBDと△OACはそれぞれ二等辺三角形だから。

>DH=BD/2=(①×5/2)/2

BD=①×5/2=BP×(5/2)という意味で、△PBC:△PCD=2:3よりBP:PD=2:3でBP:BD=2:5だから。
因みに、「△PAB∽△PDCで、相似比は
1:√3……㋐であるから」とPA=1からPD=√3で、また(1)の結果よりPB=2√3/3なので、BD=2√3/3+√3=5√3/3と求めても当然良い。(DH=BD/2=5√3/6……②)

>r=√(②²+③²)=√(7/3)=√21/3

3直角から四角形OHPIが長方形である事を利用して、OH=IP=(1+2)/2-1=1/2……③を求め、△ODHで三平方の定理を使う訳である。

(2)の参考書の別解
「(1)の㋐より、AP:DP=1:√3
よって右図(注:∠ADB=●としてOA,OBを結んだ図)で、●=30°
∴∠AOB=60°
したがって、△OABは正三角形であるから、
r=AB=√(1²+①²)=√21/3
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

√(1²+①²)は、△ABPで三平方の定理を使うという事。
別解は、この問題の特殊性を利用したエレガントなものですね。
因みに、正弦定理を使うと、何の工夫なく、
2R=AB/sin∠ADB=AB/sin30°
=AB/(1/2)=2AB 
∴R=AB=√(1²+①²)=√21/3
と求められます。

私の中学数学の別解は次回。

おまけ:
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250324/k10014756661000.html
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/26 07:54削除
問題
円に内接する四角形ABCDにおいて、その対角線は点Pで直交し、PA=1である。また面積比は、△PAB:△PBC:△PCD=1:2:3である。
(1)PBの長さを求めなさい。
(2)円の半径を求めなさい。
(01 白陵)

(1)の別解
PB=xと置くと、△PBC:△PCD=2:3より、PD=(3/2)x
また、PA=1で方べきの定理を使うと、
x・(3/2)x=1・2が成り立つ。
∴(3/2)x²=2 ∴x²=4/3
x>0より、x=2/√3=2√3/3
∴PB=2√3/3
(2)の別解
アルハゼンの定理より、
弧ABの円周角+弧CDの円周角=∠APB=90°よって、弧CDの延長上に弧A'D=弧ABとなる点A'を取ると、その(弧の)円周角は90°となりCA'は直径となる。
また、(1)よりPB=2√3/3なので、△ABPで三平方の定理を使うと、
AB=√{1²+(2√3/3)²}=√(1+12/9)=√21/3
よって、弧AB=弧A'Dから弦AB=弦A'Dで、A'D=AB=√21/3
また、CA'は直径より∠CDA'=90°なので、△CDA'で三平方の定理を使うが、
まず、CD=√{2²+(√3)²}=√7
よって、CA'=√{(√21/3)²+(√7)²}
=√(21/9+63/9)=√(84/9)
=2√21/3
よって、半径はこの1/2で√21/3

アルハゼンの定理を使わない場合は、
△PADの内対角の和より、
∠APB=∠ADP+∠PAD
=∠ADB+∠CAD
=弧ABの円周角+弧CDの円周角
よって、
弧ABの円周角+弧CDの円周角=∠APB

おまけ:
返信
返信2
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/25 10:17 (No.1413605)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題
実線型空間ℝ⁴において四つのベクトル
a₁=(3 2 1 1),a₂=(-9 4 -13 -3),
a₃=(3 0 3 1),a₄=(6 -2 8 2)
が生成する部分空間Wの次元を求めよ。(注:本当はℝ⁴は縦ベクトルだが、書けないので横ベクトルで書いた。)


dimW=2
「線型代数入門」有馬哲著より

一応、2通りの解答を作ってみました。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/25 13:48削除
問題
実線型空間ℝ⁴において四つのベクトル
a₁=(3 2 1 1),a₂=(-9 4 -13 -3),
a₃=(3 0 3 1),a₄=(6 -2 8 2)
が生成する部分空間Wの次元を求めよ。(注:本当はℝ⁴は縦ベクトルだが、書けないので横ベクトルで書いた。)

解法1
2a₁-a₂
=2(3 2 1 1)-(-9 4 -13 -3)
=(6 4 2 2)-(-9 4 -13 -3)
=(15 0 15 5)=5(3 0 3 1)
=5a₃
∴2a₁-a₂=5a₃———①
a₂+2a₄
=(-9 4 -13 -3)+2(6 -2 8 2)
=(-9 4 -13 -3)+(12 -4 16 4)
=(3 0 3 1)=a₃
∴a₂+2a₄=a₃———②
①より、2a₁=a₂+5a₃
∴a₁=(1/2)a₂+(5/2)a₃———①'
②より、2a₄=-a₂+a₃
∴a₄=(-1/2)a₂+(1/2)a₃———②'
また、
W=ℝa₁+ℝa₂+ℝa₃+ℝa₄———☆
①',②'を☆に代入すると、
W=ℝ{(1/2)a₂+(5/2)a₃}+ℝa₂+ℝa₃+ℝ{(-1/2)a₂+(1/2)a₃}
=ℝa₂+ℝa₃
∴W=ℝa₂+ℝa₃
ところで、a₂=(-9 4 -13 -3)と
a₃=(3 0 3 1)は線型独立(片方が片方のスカラー倍ではないから)なので、a₂,a₃はWの基底である。∴dimV=2

解法2
a₁=(3 2 1 1),a₂=(-9 4 -13 -3),
a₃=(3 0 3 1),a₄=(6 -2 8 2)
を本来の縦ベクトルと見て、
A=[a₁ a₂ a₃ a₄]という行列を作ると、Aにより定まる線型写像F:ℝ⁴→ℝ⁴が考えられる。
このとき、ℝ⁴の自然基底e₁,e₂,e₃,e₄のFによる像を考えると、それぞれa₁,a₂,a₃,a₄となる。(これは実際に行列の掛け算をすれば分かる。)
∴F(e₁)=a₁,F(e₂)=a₂,F(e₃)=a₃,F(e₄)=a₄———★
ところで、
F(ℝ⁴)=F(ℝe₁+ℝe₂+ℝe₃+ℝe₄)
=ℝF(e₁)+ℝF(e₂)+ℝF(e₃)+ℝF(e₄)
これに★を代入すると、
F(ℝ⁴)=ℝa₁+ℝa₂+ℝa₃+ℝa₄=W(☆より)
また、定理よりFの像の次元は、dimF(ℝ⁴)=rankAなので、dimW=rankAである。

命題
線型写像F:ℝ^n→ℝ^mにより定まるm行n列の行列をAとすれば、F(ℝ^n)の次元は、
dimF(ℝ^n)=rankA
「よくわかる線形代数」有馬哲・石村貞夫著より

ところで、行列Aは、
(3  -9 3  6)
(2   4 0 -2)
(1 -13 3  8)
(1  -3 1  2)
で、これを行基本変形で変形すると、
(1 -3  1  2)
(0  5 -1 -3)
(0  0  0  0)
(0  0  0  0)
となり、rank2である。
∴dimW=rankA=2

おまけ:
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返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/24 11:55 (No.1413114)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題
実線型空間ℱ((-∞,∞),ℝ)において、三つの関数sin(t+a),sin(t+b),sin(t+c)は線型独立かどうか(ただし、a,b,c∈ℝ)。


sin(t+a)=sint・cosa+cost・sina∈ℝsint+ℝcost,同様にsin(t+b),sin(t+c)も{sint,cost}の線型結合。ゆえに線型従属。
「線型代数入門」有馬哲著より

今回は簡単ですね。因みに、略解を見なくても出来ました。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/24 13:51削除
問題
実線型空間ℱ((-∞,∞),ℝ)において、三つの関数sin(t+a),sin(t+b),sin(t+c)は線型独立かどうか(ただし、a,b,c∈ℝ)。

私の解答
sinの加法定理より、
sin(t+a)=sintcosa+costsina
sin(t+b)=sintcosb+costsinb
sin(t+c)=sintcosc+costsinc
ここで、c₁sin(t+a)+c₂sin(t+b)+c₃sin(t+c)=0(c₁,c₂,c₃∈ℝ)として代入すると、
c₁(sintcos a+costsina)
+c₂(sintcosb+costsinb)
+c₃(sintcosc+costsinc)
=0
∴(c₁cosa+c₂cosb+c₃cosc)sint
+(c₁sina+c₂sinb+c₃sinc)cost
=0
∴(c₁sina+c₂sinb+c₃sinc)cost=-(c₁cosa+c₂cosb+c₃cosc)sint
∴sint/cost=-(c₁sina+c₂sinb+c₃sinc)/(c₁cosa+c₂cosb+c₃cosc)
∴tant=-(c₁sina+c₂sinb+c₃sinc)/(c₁cosa+c₂cosb+c₃cosc)
この式を満たすc₁,c₂,c₃は無数に存在するので、つまり、c₁sin(t+a)+c₂sin(t+b)+c₃sin(t+c)=0(c₁,c₂,c₃∈ℝ)とすると、c₁=c₂=c₃=0以外にこの式を満たすc₁,c₂,c₃の組が少なくとも一組存在する。
よって、sin(t+a),sin(t+b),sin(t+c)は線型従属である。

これだけじゃ面白くないので、

自殺したら死後の世界はどうなる?
自殺したら死後どうなるか、お釈迦さまは教えられています。
仏教では、自殺に限らず、死んだら、それまでの行いによって、
因果応報で、死んだ後の行き先が決まります。

ところが生き物を殺す殺生罪を生涯に一回でも造っていれば、
その結果は地獄行きとなります。

ですから自殺する人が、今までに魚を食べたことがあるとか、
虫けら一匹でも殺したことがあれば、死ぬと地獄へ堕ちて行くのです。
(中略)
それにもかかわらず自殺するのは
真っ赤な焼火箸を平気で握りにゆく赤ちゃんのようなもので、
無知ということです。
ことわざで言えば「飛んで火に入る夏の虫」と同じですから、
仏教では自殺は愚かなことだと教えられているのです。
引用元:https://true-buddhism.com/teachings/suicide/

>仏教では、自殺に限らず、死んだら、それまでの行いによって、
因果応報で、死んだ後の行き先が決まります。

ところが生き物を殺す殺生罪を生涯に一回でも造っていれば、
その結果は地獄行きとなります。

ですから自殺する人が、今までに魚を食べたことがあるとか、
虫けら一匹でも殺したことがあれば、死ぬと地獄へ堕ちて行くのです。

自殺をしようがしまいが、菜食主義者以外は皆地獄に行くらしい。詭弁を弄していますね。
因みに、「四十余年未顕真実」という言葉があり、https://jodoshuzensho.jp/daijiten/index.php/%E5%9B%9B%E5%8D%81%E4%BD%99%E5%B9%B4%E6%9C%AA%E9%A1%95%E7%9C%9F%E5%AE%9F#:~:text=%E3%81%97%E3%81%98%E3%82%85%E3%81%86%E3%82%88%E3%81%AD%E3%82%93%E3%81%BF%E3%81%91%E3%82%93,%E3%81%9F%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%92%E3%81%82%E3%82%89%E3%82%8F%E3%81%99%E3%80%82
法華経には通一仏土の概念が描かれている。つまり、千年王国である。https://www.google.com/search?q=%E9%80%9A%E4%B8%80%E4%BB%8F%E5%9C%9F&sca_esv=4ad496d1768baf99&hl=ja&ei=c97gZ_ndNLHn2roPvr2S-AU&oq=%E9%80%9A%E4%B8%80%E3%81%B6%E3%81%A3%E3%81%A9&gs_lp=Egxnd3Mtd2l6LXNlcnAiD-mAmuS4gOOBtuOBo-OBqSoCCAAyBRAAGO8FMggQABiABBiiBDIFEAAY7wUyCBAAGIAEGKIEMggQABiABBiiBEjblAFQ-whYx3twBXgAkAEDmAGYAaABzxiqAQQzMC41uAEByAEA-AEBmAIhoALJFagCFMICChAAGLADGNYEGEfCAh0QABiABBi0AhjUAxjlAhi3AxiKBRjqAhiKA9gBAcICEBAAGAMYtAIY6gIYjwHYAQLCAg0QABiABBixAxiDARgEwgILEAAYgAQYsQMYgwHCAgcQABiABBgEwgIQEAAYgAQYsQMYgwEYBBiKBcICChAAGIAEGLEDGATCAgoQABiABBhDGIoFwgIPEAAYgAQYsQMYBBhGGPkBwgILEAAYgAQYBBgKGCrCAgkQABiABBgEGArCAgUQABiABMICCBAAGKIEGIkFwgIJEAAYgAQYBBglwgIIEAAYgAQYsQPCAgcQABiABBgXwgICECbCAgYQABgEGB7CAgQQABgewgIGEAAYFxgemAML8QW9Kmon75OJVIgGAZAGCroGBAgBGAe6BgYIAhABGAqSBwQyNC45oAeEUrIHBDE5Ljm4B4wV&sclient=gws-wiz-serp
死にたい奴は死ねばいいという事である。
「10 またわたしに言った、「この書の預言の言葉を封じてはならない。時が近づいているからである。
11 不義な者はさらに不義を行い、汚れた者はさらに汚れたことを行い、義なる者はさらに義を行い、聖なる者はさらに聖なることを行うままにさせよ」。」
「ヨハネの黙示録」第22章10節~11節(口語訳)

おまけ:
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返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/23 20:18 (No.1412843)削除
問題
右の図のように、AB=AC=4,BC=2の二等辺三角形が円Oに内接している。点Bと中心Oを通る直線と円Oとの交点をDとするとき、次の問いに答えなさい。
(1)円Oの半径を求めなさい。
(2)△ABCと△BCDの重なる部分の面積を求めなさい。
(00 愛光)

図の解説は、読んだ通りなので省略。

(1)は参考書に別解があり、私も他の別解を作りました。(2)は意外と難しいかもしれません。

おまけ:
https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12891028410.html
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/24 07:57削除
問題
右の図のように、AB=AC=4,BC=2の二等辺三角形が円Oに内接している。点Bと中心Oを通る直線と円Oとの交点をDとするとき、次の問いに答えなさい。
(1)円Oの半径を求めなさい。
(2)△ABCと△BCDの重なる部分の面積を求めなさい。
(00 愛光)

模範解答
(1)BCの中点をMとすると、
AM=√(4²-1²)=√15……①
円Oの半径をrとすると、
r²=(√15-r)²+1² 
∴r=8√15/15
別解(参考書の別解)
[①の後] ABの中点をNとすると、△AON∽△ABMより、AO:AN=AB:AM
∴r:2=4:√15 ∴r=8√15/15

(2)右図のようにEをとり(注:ACとBDの交点をEとする)、△EBC=Sとすると、
S:△ABC=EC:AC……②
ここで、△ABC=2×①/2=√15……③
また、BDは直径であるから、
∠BCD=90°
∴AM∥DC ∴△AOE∽△CDE
∴AE:CE=AO:CD
=r:√{(2r)²-2²}=4:7……④
②③④より、S=√15×{7/(4+7)}
=7√15/11
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

解説
>AE:CE=AO:CD
=r:√{(2r)²-2²}=4:7……④

(1)より、r=8√15/15=8/√15
∴r²=64/15 ∴r²-1=49/15
∴√(r²-1)=7/√15=7√15/15
∴r:√{(2r)²-2²}
=8/√15:2×(7√15/15)
=4:7

また、(1)の効率的ではない別解をやりましょう。
BからACに垂線を下ろしその足をHとすると、円周角と直角の2角が等しいので、△ABH∽DBCでAB,BCが分かっているのであとBHが分かれば、相似を利用して直径BDの長さが分かる。
よって、BHの長さを求めると、△ABCは二等辺三角形よりBCの中点をMとすると、AM⊥BC
よって、三解法の定理を使うと、AM=√15 ∴△ABC=2×√15×(1/2)=√15
また、△ABC=AC×BH×(1/2)=2BHでもあるので、BH=√15/2である。(または、2角が等しいので、△ACM∽△BCHを利用して求めても良い。)
よって、半径をrとすると、△ABH∽DBCより、AB:BH=DB:BCから、
4:√15/2=2r:2が成り立つ。
∴{√15/2}r=4 
∴r=8/√15=8√15/15

因みに、私は(2)は模範解答と同様に△AOE∽△CDEでAC:ECからCEの長さを求め、BHをかけて面積を求めました。
結構、△AOE∽△CDEには時間がかかりました。どうしても先に△EAB∽△EDCに目が行ってしまいますね。複合技で何とかなるんじゃないかと考えてしまった訳です。受験をするなら暗記数学で挑まないとダメですね。
因みに、何でもありなら(1)は正弦定理を使うと良いと思います。(非効率的ですが。)
2/sin∠A=2Rより、R=1/sin∠A
sin(∠A/2)=1/4
∴sin²(∠A/2)=1/16
よって、半角の公式より、
(1-cos∠A)/2=1/16
∴1-cos∠A=1/8 ∴cos∠A=7/8
∴sin∠A=√(1-cos²∠A)
(∠Aは第1象限の角より符号は正)
=√(1-49/64)=√15/8
∴R=1/(√15/8)=8/√15
=8√15/15

おまけ:
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壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/22 20:01 (No.1412156)削除
問題
円Oにおいて、∠AOB=110°となるように2点A,Bを周上にとり、弦ABを折り目として折り返します。弧AB上に点Pをとり、BPの延長と円Oとの交点をCとするとき、∠CAPの大きさを求めなさい。
(01 東北学院)

図の解説:円の中心をOとして、中心角が110°となるような弦ABで弧ABを折り返す。折り返した弧AB上に点Pを取り、BPの延長と円との交点をCとしACを結んだ図。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/23 07:39削除
問題
円Oにおいて、∠AOB=110°となるように2点A,Bを周上にとり、弦ABを折り目として折り返します。弧AB上に点Pをとり、BPの延長と円Oとの交点をCとするとき、∠CAPの大きさを求めなさい。
(01 東北学院)

図の解説:円の中心をOとして、中心角が110°となるような弦ABで弧ABを折り返す。折り返した弧AB上に点Pを取り、BPの延長と円との交点をCとしACを結んだ図。

模範解答
折り返す前の点Pの位置をP'とすると、右図(注:補足解説に「PとP'は、’折り目’ABに関して対称」とある)のようになる。
ここで、∠ACB=∠AOB/2=55°…①
∴∠APC=180°-∠APB
=180°-∠AP'B=①(注:補足解説に「四角形AP'BCは円に内接」とある)
∴∠CAP=180°-①×2=70°
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

解説は読めば分かるように参考書の欄外の解説を入れたので省略。全く同じ解法だが、私の解法も載せておこう。

私の解法
円周角と中心角の関係より、
∠ACB=(1/2)∠AOB=55°
また、円を真円に戻した時の点Pの行き先をP'とすると、対称性より∠APB=∠AP'B
ところで、四角形CAP'Bは円に内接する四角形より、∠AP'B=180°-∠C
=180°-55°=125°
∴∠APB=∠AP'B=125°
よって、△PCAの内対角の和より、
∠APC=∠APB-∠C=125°-55°
=70°

おまけ:
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返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/21 07:54 (No.1411240)削除
問題
右の図のように、直径ABの半円Oの円周上に点PとQがあり、∠POA=28°,∠QOB=68°である。直径AB上に点RをPR+RQの長さが最小になるようにとるとき、∠PRQの大きさを求めなさい。
(01 城北)

図の解説:半円ABを描き中心をOとし、円周上の左下辺りに∠POA=28°となる点Pと右上辺りに∠QOB=68°となる点Qを取る。ここで、点Rを直径AB上のPR+RQの長さが最小になる点とする。(点RはOAの真ん中辺りになる。)

昨日はうっかり忘れたので、代わりに、

「凸四角形の場合、四角形ABCDとして、
辺ABの中点をE,BCの中点をF,CDの中点をG,DAの中点をHと置きます。
点Eと点Gをを結んだ線分上に、Fから垂線の足をP、点Hからの垂線の足をQとします。
すると、裁断して、四角形AEQHをEを中心に、四角形HQGDを中心に回転し
長方形ができ、
四角形ABCDの面積S=2EG・HQ=2EG・FP=EG(HQ+FP)
を知り、感動しました。
裁断により、正三角形を正方形にすることも、すごいですね!」
引用元:https://bbs1.rocketbbs.com/shochandas/posts/2564

>すると、裁断して、四角形AEQHをEを中心に、四角形HQGDを中心に回転し
長方形ができ、

ここで、省略されていてよく分からないのですが、四角形ABCDが平行四辺形だと当たり前過ぎますし。

>裁断により、正三角形を正方形にすることも、すごいですね!

時節的にこちらhttps://news.nifty.com/article/item/neta/12363-3927443/からの発想でしょうか。
因みに、こちらに5分割と4分割の方法が載っています。http://ksik-math.seesaa.net/article/498743950.html

数学・算数は楽しいですね。まぁ、数学アレルギーの人も多いでしょうけど。

おまけ:
https://bookmeter.com/books/451601
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/22 07:47削除
問題
右の図のように、直径ABの半円Oの円周上に点PとQがあり、∠POA=28°,∠QOB=68°である。直径AB上に点RをPR+RQの長さが最小になるようにとるとき、∠PRQの大きさを求めなさい。
(01 城北)

図の解説:半円ABを描き中心をOとし、円周上の左下辺りに∠POA=28°となる点Pと右上辺りに∠QOB=68°となる点Qを取る。ここで、点Rを直径AB上のPR+RQの長さが最小になる点とする。(点RはOAの真ん中辺りになる。)

模範解答
(1)ABに関するPの対称点をP'とすると、AB上の点Xに対して、
PX+XQ=P'X+XQ≧P'Q
等号は、P'-X-Qが一直線のときに成り立つから、Rは、P'QとABとの交点である。
ところで、∠PP'Q=∠POQ/2
={180°-(28°+68°)}/2
=84°/2=42°
であるから、∠PRQ=∠PP'R+∠P'PR=∠PP'R×2=42°×2=84°
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

解説
参考書の補足解説に、
「’折れ線の長さの最小’ですから、定石通りに対称点をとりますが、その対称点も円周上にあることに注意しましょう。」
とあるように、この定石は非常に大切です。工夫なんかで解こうとするのは無謀と言えるでしょう。まぁ、将棋でも囲碁でもルールを知っているだけでは初心者を抜け出せないのは必然でしょう。

>ところで、∠PP'Q=∠POQ/2

点PのABに関する対称点P'はABが直径である事より、半円を延長した真円上にあるので、円周角と中心角の関係より、∠PP'Q=∠POQ/2という事。

>∠PRQ=∠PP'R+∠P'PR=∠PP'R×2=42°×2=84°

△RPP'は対称性より二等辺三角形で、その内対角の和より。

■研究 本問で、∠PRQ=∠POQ……㋐
になりましたが、一般に、本問と同様の構図において、右図の◦が等しいことから、4点P,R,O,Qは同一円周上にあり、㋐が成り立ちます。
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

これを使って別解を作ってみましょう。

別解
ABに関するPの対称点をP'とすると、AB上の点Xに対して、
PX+XQ=P'X+XQ≧P'Q
等号は、P'-X-Qが一直線のときに成り立つから、Rは、P'QとABとの交点である。
(ここまでは同じ。)
PQを結ぶと、円周角と中心角の関係より、
∠PQP'=(1/2)∠POP'———①
また、対称性より、
∠POR=∠P'OR=(1/2)∠POP'———②
①,②より、∠PQP'=∠POR
∴∠PQR=∠POR
よって、円周角の定理の逆により、4点P,R,O,Qは同一円周上にある。
よって、円周角の定理より、
∠PRQ=∠POQ
=180°-28°-68°=84°

因みに、ヒントなしでも別解は(以前に)作っていました。

私の解法2(ただし、最短距離の定石までは同じ。)
半円を真円にすると、点P'は円Oの円周上にある。また、ABは直径より対称性より、
∠POR=(1/2)∠POP'———①
また、円周角と中心角の関係より、
∠PQR=∠PQP'=(1/2)∠POP'———②
①,②より、∠POR=∠PQR
よって、円周角の定理の逆により4点P,R,O,Qは同一円周上にある。
以後、解法1と同じ。
2024/12/24 07:48の投稿より

以前の方が集中力があったようですね。今回は「私の解法1」は思い付きませんでした。まぁ、問題に新鮮さを感じなかったので、1通りでスルーしたんですけど。

私の解法1(ただし、最短距離の定石までは同じ。)
半円を真円にすると、点P'は円Oの円周上にある。また、ABは直径より対称性で
∠OPR=∠OP'R=●———①
また、半径より△OP'Qは二等辺三角形で
∠OP'Q=∠OQP'=●———②
①,②より、∠OPR=∠OQP'=∠OQR
よって、∠OPR=∠OQRより円周角の定理の逆により4点P,R,O,Qは同一円周上にある。よって、円周角より、
∠PRQ=∠POQ=180°-28°-68°=84°
よって、答えは、84°

おまけ:
https://www.asahi.com/articles/ASR773210R76TOLB00B.html#:~:text=%E6%95%B0%E5%AD%A6%E3%81%AE%E8%B6%85%E9%9B%A3%E5%95%8F%E3%80%8CABC,%E5%85%A5%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/21 11:52 (No.1411336)削除
問題 9-2a
次の有理数係数多項式の群を求めよ。
(1)x³-3 (2)は省略

解答
(1)(ガロワ対応を利用してx³-2の場合とは違う議論を試みる。)
f(x)=x³-3の根はα=³√3,β=³√3ω,γ=³√3ω²である。β,γの式からγ/β=ωが得られる。よってガロワ対応から多項式の群Gfは、x²+x+1の群(2個の入れ換えからなる。問題9-1)を商群に持つ。よってGfに含まれる元の個数は2で割り切れる。
 またαをそれぞれα,β,γに取り換える入れ換えもある(もしそのような入れ換えがないと、固定される根が現れ、定数の根ができ矛盾する)。よってGfは入れ換えを3個以上含む。
 含まれる入れ換えの個数が3以上で2の倍数なのはGf=S₃(3個の根の入れ換えすべて)の場合しかない。よってGfはα,β,γのすべての入れ換えからなる。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

問題 9-1a
有理数係数多項式x²-2の群を求めよ。
(参考:一般に既約2次式f(x)の多項式の群はf(x)の根の入れ換えと、恒等入れ換えの2つからなる群である。)

適当に分かり易く解説した後に、

>含まれる入れ換えの個数が3以上で2の倍数なのはGf=S₃(3個の根の入れ換えすべて)の場合しかない。

3以上の2の倍数は(6の前に)4もあるような気がしますが、どうでしょう。(証明失敗の可能性も0ではないと思いますが。)

おまけ:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%94%E5%A2%83
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/21 13:39削除
解説
>β,γの式からγ/β=ωが得られる。よってガロワ対応から多項式の群Gfは、x²+x+1の群(2個の入れ換えからなる。問題9-1)を商群に持つ。

まず、ガロワ対応を挙げておこう。

定理9.3(ガロワ対応(正規性))
多項式の群Gfの部分群Hについて、次は同値である。
(1)Hは、ある多項式g(x)のすべての根による式全体を不変にする部分群である。
(2)HはGfの正規部分群である。すなわちGfの任意の入れ換えσに対して、
Hσ=σH
である(Hに関する左傍系と右傍系は一致する)。
さらに、この対応においてg(x)の群Ggは商群Gf/Hと同型である。

このある多項式g(x)とは何か。そこで、p.164の「ガロワ対応と正規部分群」も抜き書きする。

「重根を持たない多項式f(x)に対して、その多項式の群をGfとします。f(x)の根の式γがGfの入れ換えで、
γ₁=γ,γ₂,・・・,γs
と変わったとします。このとき
g(x)=(x-γ₁)・・・(x-γs)
は定数係数多項式で、さらにγの最小多項式になっています。」

ところで、「β,γの式からγ/β=ωが得られる」のβ,γはf(x)=x³-3の根なので、γ/β=ωはすぐ上(p.164の所)のγに当たる。
よって、「γの最小多項式になっています」からωの最小多項式を求めると、
ω=(-1+√3i)/2=xと置くと、
2x+1=√3i ∴(2x+1)²=-3
4x²+4x+4=0 ∴x²+x+1=0
よって、g(x)=x²+x+1である。
よって、Ggは「x²+x+1の群(2個の入れ換えからなる。問題9-1)」で、

問題 9-1a
有理数係数多項式x²-2の群を求めよ。
(参考:一般に既約2次式f(x)の多項式の群はf(x)の根の入れ換えと、恒等入れ換えの2つからなる群である。)

また、定理9.3より、「この対応においてg(x)の群Ggは商群Gf/Hと同型である」ので、
Gg≅Gf/H

これを、GfはGgを商群に持つと言うらしい。(本によって表現が異なっていたりして良く分からない。)

>よってGfに含まれる元の個数は2で割り切れる。

Gg≅Gf/Hより、両辺の元の個数は等しい。また、g(x)=x²+x+1で|Gg|=2だったので、2=|Gg|=|Gf/H|
ところで、|Gf/H|=|Gf:H|(定義4.3より)

定義4.3
Gを群,HをGの部分群とするとき、Hの左剰余類の集合の濃度をGにおけるHの指数といい、|G:H|で表す。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

∴|Gf:H|=2
また、ラグランジュの定理より、
|Gf|=|Gf:H|・|H|
∴|Gf|=2|H|
よって、Gfの元の個数は2の倍数より、「Gfに含まれる元の個数は2で割り切れる」という事。

定理4.4(ラグランジュの定理)
Gを有限群,HをGの部分群とすると、Gの位数はHの位数と|G:H|の積になる。すなわち、
|G|=|G:H|・|H|
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

定理4.4(ラグランジュの定理)
有限群Gの部分群Hに対して、Gに含まれる元の個数は、Hに含まれる元の個数にHの指数を掛けた数に等しい。すなわち
|G|=(G:H)|H|
が成り立つ。とくに|H|は|G|の約数である。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

>またαをそれぞれα,β,γに取り換える入れ換えもある(もしそのような入れ換えがないと、固定される根が現れ、定数の根ができ矛盾する)。よってGfは入れ換えを3個以上含む。

例えば、(α,β,γ)→(γ,β,α)という入れ換えと恒等変換(α,β,γ)→(α,β,γ)しかGfに元がないとしたら、βが固定されて、この群にガロワ対応する体はβの式全体(だけ)である。(βが不変という事。)
という事はα,β,γの式全体などもβの式全体になり、αとγは定数(有理数)という事になって矛盾するという訳である。(α=³√3,β=³√3ω,γ=³√3ω²だから。)

注:「以下の問題において、有理数係数多項式の群は定数を有理数として考える。」(p.169)

とある。

>含まれる入れ換えの個数が3以上で2の倍数なのはGf=S₃(3個の根の入れ換えすべて)の場合しかない。

3以上の2の倍数は(6の前に)4もあるような気がしますが、どうでしょう。(証明失敗の可能性も0ではないと思いますが。)
4の場合を否定しないとダメですね。
(α,β,γ)→(α,β,γ)
(α,β,γ)→(β,γ,α)
(α,β,γ)→(γ,α,β)
の3個の元は確実にあると言え、元の対等性から4個または5個の場合はあり得ず、すなわち6個の場合しかあり得ない。と言うつもりなのでしょうか。個人的には、証明失敗だと思いますが、先生に解説して貰うしかないでしょう。

>元の対等性から4個または5個の場合はあり得ず

(α,β,γ)→(α,γ,β)
(α,β,γ)→(γ,β,α)
(α,β,γ)→(β,α,γ)
つまり、このうち1個か2個だけを採用なんて対等性からあり得ないという理屈である。念のため、2個の場合は3+2=5個で上の条件の2の倍数でないのでダメであるが。
果たして、α=³√3,β=³√3ω,γ=³√3ω²は対等なのだろうか。(蛇足)

おまけ:
https://note.com/katobungen/n/nba51708462cc

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A0%E8%97%A4%E6%96%87%E5%85%83
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/21 15:13削除
補足(前回の補足)
定理9.3(ガロワ対応(正規性))
多項式の群Gfの部分群Hについて、次は同値である。
(1)Hは、ある多項式g(x)のすべての根による式全体を不変にする部分群である。
(2)HはGfの正規部分群である。すなわちGfの任意の入れ換えσに対して、
Hσ=σH
である(Hに関する左傍系と右傍系は一致する)。
さらに、この対応においてg(x)の群Ggは商群Gf/Hと同型である。

このある多項式g(x)とは何か。そこで、p.164の「ガロワ対応と正規部分群」も抜き書きする。

「重根を持たない多項式f(x)に対して、その多項式の群をGfとします。f(x)の根の式γがGfの入れ換えで、
γ₁=γ,γ₂,・・・,γs
と変わったとします。このとき
g(x)=(x-γ₁)・・・(x-γs)
は定数係数多項式で、さらにγの最小多項式になっています。」

>β,γの式からγ/β=ωが得られる。よってガロワ対応から多項式の群Gfは、x²+x+1の群(2個の入れ換えからなる。問題9-1)を商群に持つ。

先程は(上では)、γ/β=ωの最小多項式を作って、g(x)=x²+x+1を求めたが、今回は「f(x)の根の式γがGfの入れ換え」でg(x)を求めてみる。
上でも述べたように、γ/β=ωが「根の式γ」に当たる。つまり、γ/βをα,β,γに入れ換えて、「γ₁=γ,γ₂,・・・,γs」を求め、「g(x)=(x-γ₁)・・・(x-γs)」を求める。
α=³√3,β=³√3ω,γ=³√3ω²から、
γ/βの全ての入れ換えは、ω,ω²,1/ω,1/ω²となり、ω³=1より1/ω=ω²,1/ω²=ωとなる。つまり、ωとω²のみである。
∴g(x)=(x-ω)(x-ω²)
=x²-(ω+ω²)x+ω³―――☆
また、ω³=1,ω²+ω+1=0より、
ω+ω²=-1 これらを☆に代入すると、
g(x)=x²+x+1

おまけ:
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返信2
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/20 11:31 (No.1410651)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題
線型空間Vにおいて
(ⅰ)V∋a,bが線型独立,V∋x≠0ならば、{a,x}と{b,x}の少なくとも一方が線型独立であることを証明せよ。
(ⅱ)V∋a,b,cが線型独立,V∋x,yが線型独立ならば、{a,x,y},{b,x,y},{c,x,y}の少なくとも一組が線型独立であることを証明せよ。


略。
「線型代数入門」有馬哲著より

因みに、「演習詳解 線型代数」有馬哲・浅枝陽共著には載っていない問題なので、自力で何とかして下さい。(私は検索なしでやりました。もっとも検索で出る確率は非常に低いと思いますが。どうしても解けない場合にしかやらないという事です。面倒臭いだけだから。)

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/20 13:51削除
問題
線型空間Vにおいて
(ⅰ)V∋a,bが線型独立,V∋x≠0ならば、{a,x}と{b,x}の少なくとも一方が線型独立であることを証明せよ。
(ⅱ)V∋a,b,cが線型独立,V∋x,yが線型独立ならば、{a,x,y},{b,x,y},{c,x,y}の少なくとも一組が線型独立であることを証明せよ。

回答
(ⅰ)a,bが線型独立より線型従属でないので、aとbは一直線上にない。
ここで、{a,x}が線型従属とすると、aとxは一直線上にあり、上よりaとbは一直線上にないので、bとxも一直線上にない。
よって、bとxは線型従属でないので線型独立である。
{b,x}が線型従属としても同様の議論が成り立つので、{a,x}と{b,x}の少なくとも一方は線型独立である。

補足
a,bが線型従属だとa,bが一直線上にある理由。
a,bが線型従属より、c₁a+c₂b=0とするとc₁,c₂が共に0以外のものが存在する。よって、a=(-c₂/c₁)b よって、ベクトルaとベクトルbは一直線上(起点が違えば平行)にある。

別解(多少のアレンジ)
{a,x}と{b,x}の両方とも線型従属と仮定すると、aとx,bとxがそれぞれ一直線上にあるので、aとbは一直線上にある。ところで、問題の仮定よりa,bは線型独立なので一直線上にない。よって、矛盾が生じるので、背理法により、{a,x}と{b,x}の少なくとも一方は線型独立である。

(ⅱ){a,x,y},{b,x,y},{c,x,y}が全て線型従属と仮定すると、問題の仮定よりx,yが線型独立なので、a,b,cはそれぞれx,yが生成する平面上にある。ところが、問題の仮定よりa,b,cは線型独立なので、a,b,cは同一平面上にない。よって、矛盾が生じるので、背理法により、{a,x,y},{b,x,y},{c,x,y}の少なくとも一組は線型独立である。

原型の解法
a,b,cが線型独立より、a,bが線型独立でcはa,bが作る平面に入っていない。
ここで、{a,x,y}が線型従属とすると、問題の仮定よりx,yは線型独立なので、aはx,yが作る平面上にある。
また、{b,x,y}と{c,x,y}も線型従属とするとxとyは線型独立で、b,cもx,yが作る平面上にある事になり、a,b,cは同一平面上にあり線型従属で、矛盾が生じる。
よって、{a,x,y},{b,x,y},{c,x,y}の少なくとも一組は線型独立である。

補足
a,b,cが線型独立だと、a,bが線型独立でcはa,bが作る平面に入っていない理由は、命題(3.1.7)の(ⅱ)。

命題(3.1.7)
Vを数体K上の線型空間,a₁,…,an∈Vとする。
(ⅰ)ただ一つの元a₁∈Vに対しては
a₁が線型独立 ⇔ a₁≠0
(ⅱ)a₁,…,an(n≧2)が線型独立
⇔a₁,…,an-1が線型独立でan∉Ka₁+…+Kan-1

もっとも例(3.1.8)(ⅲ)を見なさいと教えるのが定石だろう。

例(3.1.8)
普通の空間E³の一点Oを零元とする実線型空間(E³,O)を考える。三つの点A,B,C∈E³に対し
(ⅰ)Aが線型独立⇔A≠O
(ⅱ)A,Bが線型独立⇔A≠O,かつB∉ℝA
⇔OABが三角形をつくる。
(ⅲ)A,B,Cが線型独立
⇔A,Bが線型独立,かつC∉ℝA+ℝB
⇔OABが三角形をつくり、C∉平面OAB
⇔OABCが四面体をつくる。

「線型独立の概念は、線型代数学の学習上最大の難所とも言え、初心者には難しい。その定義は明確なのであるが、その意味が容易に把握できない所にその原因がある。しかしこの概念は、今後座標を導入するために欠くべからざる重要なものである。線型独立の理解なくして線型代数学の理解はありえないのであるから、読者は是非この概念を自分のものにしてほしい。」
「線型代数入門」有馬哲著より

おまけ:
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返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/19 21:58 (No.1410383)削除
問題
図のように、正九角形ABCDEFGHIの各頂点から最も長い対角線を2本ずつひいた。次の問いに答えなさい。
(1)∠AEIの大きさを求めなさい。
(2)∠AFGの大きさを求めなさい。
(3)図の影をつけた部分の周囲の長さが36のとき、次の値を求めなさい。
(ⅰ)正九角形の一辺の長さ
(ⅱ)正九角形と影をつけた部分の面積の差
(04慶應女子)

図の解説:正九角形ABCDEFGHIを描き、AE,AF,BF,BG,CG,CH,DH,DI,EI,EA,FA,FB,GB,GC,HC,HD,ID,IEを結び、図形(星形)EAFBGCHDIに影を付けた図。

今回は簡単です。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/20 07:54削除
問題
図のように、正九角形ABCDEFGHIの各頂点から最も長い対角線を2本ずつひいた。次の問いに答えなさい。
(1)∠AEIの大きさを求めなさい。
(2)∠AFGの大きさを求めなさい。
(3)図の影をつけた部分の周囲の長さが36のとき、次の値を求めなさい。
(ⅰ)正九角形の一辺の長さ
(ⅱ)正九角形と影をつけた部分の面積の差
(04慶應女子)

図の解説:正九角形ABCDEFGHIを描き、AE,AF,BF,BG,CG,CH,DH,DI,EI,EA,FA,FB,GB,GC,HC,HD,ID,IEを結び、図形(星形)EAFBGCHDIに影を付けた図。

模範解答
(1)正九角形の外接円を書くと、∠AEIは弧AIに対する円周角であるから、
∠AEI=180°÷9=20°
(2)(1)と同様に、
∠AFG=20°×3=60°
(3)(ⅰ)(2)と同様に、∠CGF=60°であるから、図で、△JFGは正三角形である。一方、図の網目部分(注:問題文の「影をつけた部分」で、図形(星形)EAFBGCHDI)の周囲の長さが36のとき、
JF=36÷18=2 ∴FG=JF=2
(ⅱ)求める面積の差は、
△JFG×9={(√3/4)×2²}×9=9√3
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

読めば分かるので、解説は省略。強いて言えば、最後の「(√3/4)×2²」は1辺が2の正三角形の面積の公式。

これだけじゃ面白くないので、昨日の補足。

>(参考:一般に既約2次式f(x)の多項式の群はf(x)の根の入れ換えと、恒等入れ換えの2つからなる群である。上と同じ議論でわかる。)

f(x)=x²+3x+1とするとf(x)は既約多項式である。根をα₁=(-3+√5)/2,
α₂=(-3-√5)/2と置いて、β=α₁=(-3+√5)/2と置くと、
α₂=-α₁-3=-β-3
これが原始元の定義(2)を満たしているかどうかは微妙なので(-3もβの式なのか?)、

定義8.1(原始元)
重根を持たないn次多項式f(x)の原始元βとは、次の(1),(2)をみたす複素数のことである。以下においてα₁,…,αnをf(x)の根とする。
(1)βはα₁,…,αnの式で表される。
(2)α₁,…,αnはそれぞれβの式で表される。

完璧に言えるまで模索する事にする。ところで、f(x)=x²+3x+1にx=α₁=βを代入すると、f(β)=β²+3β+1=0
∴3β²+9β+3=0
∴-3=3β²+9β
これをα₂=-β-3に代入すると、
α₂=-β+3β²+9β=3β²+8β
これとα₁=βよりβは原始元の定義の(2)を満たしている。また、(1)も満たしている事は自明なので、β=α₁は原始元である。
また、β=α₁=(-3+√5)/2を根に持つ既約多項式g(x)は、f(x)=x²+3x+1と一致するので、上と同じで、恒等入れ換えとα₁とα₂の入れ換えの2通りの入れ換えがf(x)の群となるという訳で、「上と同じ議論でわかる」という事である。

これをf(x)=ax²+bx+c(b²-4ac≠有理数の2乗)でやると、
ax²+bx+c=0を解の公式で解いて、
β=α₁={-b+√(b²-4ac)}/2a
と置くと、
α₂=-β-b———①
また、f(β)=aβ²+bβ+c=0
この両辺にb/cをかけると、
(ab/c)β²+(b²/c)β+b=0
∴-b=(ab/c)β²+(b²/c)β———②
②を①に代入すると、
α₂=-β+(ab/c)β²+(b²/c)β
=(ab/c)β²+{(b²-1)/c}β
よって、α₁,α₂を共にβの式で表せるので、β=α₁はf(x)の原始元である。
以後は大体同じで省略。

おまけ:
https://dot.asahi.com/articles/-/237289?page=2
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/19 13:13 (No.1410103)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題 9-1a
有理数係数多項式x²-2の群を求めよ。

解答
x²-2の根は±√2である。√2はx²-2の原始元である。よって多項式の群は√2を√2にする入れ換え(恒等入れ換え)と、-√2にする入れ換えの2個の入れ換えからなる。
(参考:一般に既約2次式f(x)の多項式の群はf(x)の根の入れ換えと、恒等入れ換えの2つからなる群である。上と同じ議論でわかる。)
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

定義8.1(原始元)
重根を持たないn次多項式f(x)の原始元βとは、次の(1),(2)をみたす複素数のことである。以下においてα₁,…,αnをf(x)の根とする。
(1)βはα₁,…,αnの式で表される。
(2)α₁,…,αnはそれぞれβの式で表される。

適当に分かり易く解説した後、「上と同じ議論でわかる」を具体的にf(x)=x²+3x+1で(厳密に)解説して下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/19 16:03削除
解説
>x²-2の根は±√2である。√2はx²-2の原始元である。

定義8.1(原始元)
重根を持たないn次多項式f(x)の原始元βとは、次の(1),(2)をみたす複素数のことである。以下においてα₁,…,αnをf(x)の根とする。
(1)βはα₁,…,αnの式で表される。
(2)α₁,…,αnはそれぞれβの式で表される。

α₁=√2,α₂=-√2として、
β=α₁=√2と置けば、βはα₁の式で表されているので、(1)の条件を満たしている。
また、α₁=β,α₂=-√2=-βより、α₁,α₂はβの式で表されるので、(2)の条件も満たしている。
よって、β=√2は原始元である。

>√2はx²-2の原始元である。よって多項式の群は√2を√2にする入れ換え(恒等入れ換え)と、-√2にする入れ換えの2個の入れ換えからなる。

■多項式の群の構成(定理9.1(基本定理)の証明)
多項式の群の構成を一般的に述べます。以下の説明が難しいときは次節(ガロワ対応)に進んでください。
f(x)の原始元をβとし、βを根に持つ既約多項式をg(x)とします。またg(x)は重根を持たないとします(145ページ参照)。多項式の群G_fを
「βをg(x)の根に入れ換えて得られるf(x)の根の入れ換え」
からなる集合とします。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

つまり、β=√2が原始元よりそれを根に持つ既約多項式g(x)=x²-2の2つの根の入れ換えによって得られるf(x)=x²-2の根の入れ換えがf(x)の群で、今回はf(x)とg(x)が一致するので、結局、√2と-√2の入れ換えからなるという事である。
(恒等入れ換え(入れ換えなし)と√2と-√2の入れ換えの2通りの入れ換えという事。)

>(参考:一般に既約2次式f(x)の多項式の群はf(x)の根の入れ換えと、恒等入れ換えの2つからなる群である。上と同じ議論でわかる。)

f(x)=x²+3x+1とするとf(x)は既約多項式である。根をα₁=(-3+√5)/2,
α₂=(-3-√5)/2と置いて、β=α₁=(-3+√5)/2と置くと、
α₂=-α₁-3=-β-3
これが原始元の定義(2)を満たしているかどうかは微妙なので(-3もβの式なのか?)、

定義8.1(原始元)
重根を持たないn次多項式f(x)の原始元βとは、次の(1),(2)をみたす複素数のことである。以下においてα₁,…,αnをf(x)の根とする。
(1)βはα₁,…,αnの式で表される。
(2)α₁,…,αnはそれぞれβの式で表される。

完璧に言えるまで模索する事にする。ところで、f(x)=x²+3x+1にx=α₁=βを代入すると、f(β)=β²+3β+1=0
∴3β²+9β+3=0
∴-3=3β²+9β
これをα₂=-β-3に代入すると、
α₂=-β+3β²+9β=3β²+8β
これとα₁=βよりβは原始元の定義の(2)を満たしている。また、(1)も満たしている事は自明なので、β=α₁は原始元である。
また、β=α₁=(-3+√5)/2を根に持つ既約多項式g(x)は、f(x)=x²+3x+1と一致するので、上と同じで、恒等入れ換えとα₁とα₂の入れ換えの2通りの入れ換えがf(x)の群となるという訳で、「上と同じ議論でわかる」という事である。

おまけ:
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