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壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/9 13:59 (No.1438309)削除
次の文章を完全解説して下さい。

「フェルマは、公式
Fn=2^2^n+1(n=0,1,2,…)
で与えられる数は一般に素数であろうと予想した。実際、
F₀=3,F₁=5,F₂=17,F₃=257,
F₄=65537
は素数になる。しかし、その次の
F₅=4294967297
は分解されて641×6700417になることを、1732年にオイラーが示した。その後、n=6,7,8,…についてもFnが合成数になることが分かり、現在に至るもF₄より大きなフェルマ型の素数は見つかっていない。ただし、F22やF24などは素数であるか否か不明であるし、F₅以降が全て合成数であることが証明されたわけでもないのである。
 上記の公式で表わされるFnを一般に“フェルマ数”と呼び、特にそれが素数のときは“フェルマ素数”ということにする。
「フェルマ素数はF₀,F₁,F₂,F₃,F₄に限るか?」
 これは肯定も否定もされていない未解決問題である。かなり大きなnに対するFnまで調べられているが、一般的な理論は構築されていない。
 差し当たり直ちに分かることは、正整数mに対して、2^m+1が素数ならば、mはそれ自身2^n(2の累乗)の型でなければならないことである。なぜならば、もしm=ab(bは1より大きな奇数)とすれば、問題の数は
2^ab+1=(2^a+1)(2^a(b-1)-+…+1)
と分解できるからである。フェルマはこの逆も成り立つと勘違いしたのだろうか。
「フェルマ数について、漸化式
Fn+1=F₀F₁・・・Fn+2(F₀=3)が成り立つ。」
 これは、フェルマ数の定義より、数学的帰納法によって直ちに証明できることである。
「どの二つのフェルマ数Fn,Fm(n≠m)も“互いに素”(1より大きな共通因数を持たないこと)である。」
 なぜなら、n>mとしてよいから、漸化式
Fn=F₀F₁…Fn-1+2(0≦m≦n-1)
の左辺は共通因数d(もしあれば)で割り切れるが、右辺はdで割ると2だけ余る。フェルマ数は奇数であるからd≠2であり、結局、d=1でなければならない。こうして、Fn,Fmは互いに素であることが証明された。
 これらのことは直ちに分かることであり、上記の未解決問題の攻略には程遠い。
 しかしながら、若いガウスがここでも意外な発見をする。正多角形の作図法という幾何学的問題とフェルマ素数の関連をゲッチンゲン大学に在学中に解明したのである。これは小惑星セレス発見に匹敵する青年時代のガウスの大きな発見であり、節を改めて解説したい。———だが、その前に、フェルマ素数としばしば併称されるメルセンヌ素数についても述べておきたい。両者はよく並べられるが、その性格は全く違うものである。」
「ガウス 整数論への道」加藤明史著より

>2^ab+1=(2^a+1)(2^a(b-1)-+…+1)

一応、もうちょっと具体的に書き直して、成り立つ事を証明して下さい。

>「フェルマ数について、漸化式
Fn+1=F₀F₁・・・Fn+2(F₀=3)が成り立つ。」
 これは、フェルマ数の定義より、数学的帰納法によって直ちに証明できることである。

これも証明してみて下さい。意外と苦労するかもしれませんよ。もちろん、何でもありの検索ありです。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/9 16:12削除
解説
>2^ab+1=(2^a+1)(2^a(b-1)-+…+1)

右辺=(2^a+1)(2^a(b-1)-2^a(b-2)
+2^a(b-3)-…-2^a+1)
これを展開すると、
=2^ab-2a(b-1)+2^a(b-2)-…-2^2a+2^a
+2^a(b-1)-2^a(b-2)+2^a(b-3)-…-2^a+1
=2^ab+1(最初と最後の項以外は相殺される)
=左辺
よって、成り立つ。

>「フェルマ数について、漸化式
Fn+1=F₀F₁・・・Fn+2(F₀=3)が成り立つ。」
 これは、フェルマ数の定義より、数学的帰納法によって直ちに証明できることである。

普通に証明しても面白くないので、証明に至った過程も紹介しますね。
まず、数学的帰納法で証明しようとして、
(ⅰ)n=1の時、F₂=F₀F₁+2=3・5+2=17で成り立つ。(上より、F₀=3,F₁=5,F₂=17)
(ⅱ)n=kの時成り立つと仮定すると、
Fk+1=F₀F₁・・・Fk+2
n=k+1の時、F(k+1)+1=Fk+2
=2^2^(k+2)+1=2^{2^(k+1)・2}+1
={2^2^(k+1)}²+1=(Fk+1-1)²+1
ここで、おやって思いました。
つまり、Fn+1=(Fn-1)²+1という別の漸化式が作れるという事に気付いた訳です。
そこで、F₀=3,F₁=5,F₂=17で確認すると、次の項は前の項-1を2乗して1加える訳ですから、(3-1)²+1=5,(5-1)²+1=17で見事に成り立ちます。
一応、数学的帰納法もどきで証明しても良いですが、ググったら当然すでにありました。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%BC%E6%95%B0#%E6%80%A7%E8%B3%AA
そこで、後で結果だけ利用させて頂きます。

>「フェルマ数について、漸化式
Fn+1=F₀F₁・・・Fn+2(F₀=3)が成り立つ。」

これを数学的帰納法で示すので、
F₀F₁・・・Fn=Fn+1-2
これを示せば良い。
(ⅰ)n=1の時、F₀F₁=3・5=17-2=F₂-2より、F₀F₁=F₂-2で成り立つ。
(ⅱ)n=kの時成り立つと仮定すると、
F₀F₁…Fk=Fk+1-2
n=k+1の時、
F₀F₁…Fk+1=(Fk+1-2)Fk+1
=F²k+1-2Fk+1
=(Fk+1-1)²-1
={F(k+1)+1-1}-1(先の補題より)

補題
Fn+1=(Fn-1)²+1

よって、F₀F₁…Fk+1=F(k+1)+1-2
よって、n=k+1の時も成り立つ。
(ⅰ),(ⅱ)より、数学的帰納法により、
F₀F₁・・・Fn=Fn+1-2が成り立つ。
∴Fn+1=F₀F₁・・・Fn+2

因みに、数学的帰納法を使わない場合は、
Fn=2^2^n+1(n=0,1,2,…)より、
Fn-2=2^2^n-1={2^2^(n-1)}²-1
={2^2^(n-1)-1}{2^2^(n-1)+1}
={2^2^(n-1)-1}Fn-1
=[2^2^(n-2)}²-1]Fn-1
={2^2^(n-2)-1}{2^2^(n-2)+1}Fn-1
={2^2^(n-2)-1}Fn-2Fn-1
=…=F₀…Fn-1
∴Fn-2=F₀…Fn-1
∴Fn+1=F₀F₁・・・Fn+2
アイデア引用元:https://manabitimes.jp/math/730

おまけ:
https://ikuro-kotaro.sakura.ne.jp/koramu/8553_q2.htm(これ間違ってますよね。)
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/8 13:28 (No.1437817)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題 9-10b
n次既約多項式f(x)の群Gfがn個の元(根の入れ換え)からなるとき、f(x)の(任意の)根αはf(x)の原始元であることを示せ。

解答
f(x)は既約なので、問題9-5より、f(x)の根αはGfの根の入れ換えにより、f(x)のどの根にもなる。|Gf|はf(x)の次数と等しいので、αを変えない根の入れ換えは恒等入れ換えのみである。よってαの式のなす体Mを不変にするGfの部分群は恒等入れ換えのみからなる。ガロワ対応よりMはf(x)のすべての根の式のなす体と一致する。ゆえにαはf(x)の原始元である。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

問題 9-5b
多項式f(x)の群をGfとする。f(x)の根の式βが、Gfの根の入れ換え(すべて)により、異なる数β₁=β,・・・,βsになったとする。このとき
g(x)=(x-β₁)(x-β₂)・・・(x-βs)はβiの最小多項式であることを示せ。よってβiの最小多項式は重根を持たない。
またs=degg(x)は、βを不変にする入れ換え全体のなすGfの部分群Hの指数(G:H)に等しいことを示せ。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

適当に分かり易く解説して下さい。

おまけ:
https://news.yahoo.co.jp/articles/df8f4e469eae8ddb3e54e8bbe45d4fb8305b0054
壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/8 15:17削除
解説
>f(x)は既約なので、問題9-5より、f(x)の根αはGfの根の入れ換えにより、f(x)のどの根にもなる。

問題 9-5b
多項式f(x)の群をGfとする。f(x)の根の式βが、Gfの根の入れ換え(すべて)により、異なる数β₁=β,・・・,βsになったとする。このとき
g(x)=(x-β₁)(x-β₂)・・・(x-βs)はβiの最小多項式であることを示せ。よってβiの最小多項式は重根を持たない。
またs=degg(x)は、βを不変にする入れ換え全体のなすGfの部分群Hの指数(G:H)に等しいことを示せ。

これおかしくないですか。
正しくは、「n次既約多項式f(x)の群Gfがn個の元(根の入れ換え)からな」っているから、「f(x)の根αはGfの根の入れ換えにより、f(x)のどの根にもなる」じゃないですか。
その理由は、問題9-5のg(x)は最小多項式より既約多項式で、今回のf(x)は次数と多項式の群Gfの元の個数が一致しているので、問題9-5のg(x)に見立てる事が出来る。すると、
f(x)=g(x)=(x-α₁=α)(x-α₂)…(x-αn)(n次既約多項式だから。)
また、β=αとなり、α₁,…,αnはGfによる根αの入れ換えとなるから。

>|Gf|はf(x)の次数と等しいので、αを変えない根の入れ換えは恒等入れ換えのみである。

これもおかしくないですか。前半はもっと前に使うべきだと思いますが。また、後半は、
「f(x)の根αはGfの根の入れ換えにより、f(x)のどの根にもなる」ので、αがαのままであるのは恒等入れ換えだけである。(Gfの単位元という事。)

>よってαの式のなす体Mを不変にするGfの部分群は恒等入れ換えのみからなる。

αを不変にするGfの部分群が単位元のみの群なので、αの式を不変にするGfの部分群も同じという事である。

>ガロワ対応よりMはf(x)のすべての根の式のなす体と一致する。

ガロワ対応とは、
「Gfの部分群」と「根の式のなす体」の1対1対応で、前者の根の入れ換えで後者が不変である組合せである。
そこで、Gfの部分群で単位元のみの部分群だったら恒等入れ換えなので、相手は全ての根の式全体である。
よって、「Mはf(x)のすべての根の式のなす体」という事で、上の「αの式のなす体M」と一致するという事である。

>ゆえにαはf(x)の原始元である。

よって、αの式全体の群とα₁,…,αnの式全体の群が一致しているので、α₁=αの式,α₂=αの式,…,αn=αの式と表せるので、αはf(x)の原始元であるという事。

定義8.1(原始元)
重根を持たないn次多項式f(x)の原始元βとは、次の(1),(2)をみたす複素数のことである。以下においてα₁,…,αnをf(x)の根とする。
(1)βはα₁,…,αnの式で表される。
(2)α₁,…,αnはそれぞれβの式で表される。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

念のため、(1)の方はαがf(x)の根である事より自明なので省略した。

おまけ:
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%98%E3%81%A3%E3%81%8F%E3%82%8A%E5%BE%AE%E7%A9%8D%E5%88%86-Non%E2%80%90Biri%E6%95%B0%E5%AD%A6%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A/dp/453578308X/ref=sr_1_2?dib=eyJ2IjoiMSJ9.dhDboYYmb9D3-1IbtLRJo0s0xB9NA84WATNsh36bJjk.4aBNRqkBdco1QsjfwHBXDT89c7mMoun3DolXo5OuwUM&dib_tag=se&qid=1746684295&s=books&sr=1-2&text=%E3%81%AE%E3%82%93%E3%81%B3%E3%82%8A%E6%95%B0%E5%AD%A6%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A(同じ著者の「ガロアに出会う はじめてのガロア理論」の第1部第4章まで読んだが、あんなに分かり易い数学本初めて読んだ。あ、「すぐわかる線形代数」石村園子著は除く。)
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/6 15:29 (No.1436895)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題 9-9b
多項式f(x)のすべての根の式を利用して、(定数係数)既約多項式g(x)がg₁(x)…gs(x)と分解するとき(ただしgi(x)はf(x)の根の式を係数とする既約単多項式)、g₁(x),…,gs(x)の次数はすべて等しいことを示せ。またf(x)の群Gfに含まれる根の入れ換えでg₁(x),…,gs(x)の係数を変えると、これらの多項式が入れ換わることを示せ。

解答
h₁(x)=g₁(x)の係数にGfの入れ換えを施して得られるものをh₁(x),…,hs(x)とする。これらは互いに素な既約多項式であることに注意する。h₁(x)=g₁(x)はg(x)を割り切るのでh₁(x)k₁(x)=g(x)である。この式の返々の係数をGfで変えても等式は成り立つので(定理9.1(1))、hi(x)ki(x)=g(x)のようにhi(x)はg(x)を割り切る。したがってh(x)=h₁(x)…hs(x)はg(x)を割り切る。一方、h(x)の係数はGfの入れ換えで不変になるので、h(x)は定数を係数とする多項式である。よって単多項式g(x)の既約性よりh(x)=g(x)である。また既約多項式の積への分解の一意性より(必要なら番号を取り換えて)hi(x)=gi(x)もわかり、後半の主張もわかる。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

適当に分かり易く解説して下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/7 14:09削除
解説
>問題 9-9b
多項式f(x)のすべての根の式を利用して、(定数係数)既約多項式g(x)がg₁(x)…gs(x)と分解するとき(ただしgi(x)はf(x)の根の式を係数とする既約単多項式)、g₁(x),…,gs(x)の次数はすべて等しいことを示せ。またf(x)の群Gfに含まれる根の入れ換えでg₁(x),…,gs(x)の係数を変えると、これらの多項式が入れ換わることを示せ。

まず、問題の意味は、
例えば、f(x)=x³+x+2の3つの根をα₁,α₂,α₃とすると、解と係数の関係より、α₁+α₂+α₃=0,α₁α₂+α₂α₃+α₃α₁=1,α₁α₂α₃=2
よって、適当にα₁α₂α₃(α₁+α₂+α₃)などを展開した「f(x)のすべての根の式」を係数に使った既約多項式g(x)=x⁴+x³+2x²+1が出来たとする。
実際、g(x)=x⁴+(α₁α₂+α₂α₃+α₃α₁)x³+α₁α₂α₃x²+(α₁+α₂+α₃)+α₁α₂+α₂α₃+α₃α₁とすれば良い。
そして、g(x)がα₁,α₂,α₃を係数とするレベルで因数分解出来た時、それは、括弧が2個か4個か分からないが3個にはならないという定理である。
g(x)={x²+(α₁,α₂,α₃の式)x+(α₁,α₂,α₃の式}{x²+(α₁,α₂,α₃の式)x+(α₁,α₂,α₃の式}
または、
={x+(α₁,α₂,α₃の式)}{x+(α₁,α₂,α₃の式)}{x+(α₁,α₂,α₃の式)}{x+(α₁,α₂,α₃の式)}
となるが、次数が1次,1次,2次のような括弧が3個にはならないという事。
つまり、g(x)が素数次の場合は必ず1次式に分解出る。
(全ての解説が終った後で他の観点から補足する。)

>h₁(x)=g₁(x)の係数にGfの入れ換えを施して得られるものをh₁(x),…,hs(x)とする。これらは互いに素な既約多項式であることに注意する。

g₁(x)は「ただしgi(x)はf(x)の根の式を係数とする既約単多項式」より既約多項式で、その係数をGfで入れ換えたh₁(x),…,hs(x)も既約多項式である。その理由は、例えば、g₁(x)=(x-α₁)(x-α₂)=x²-(α₁+α₂)x+α₁α₂のように可約の式の係数をGfで入れ換えてもh₂(x)=x²-(α₂+α₃)x+α₂α₃=(x-α₂)(x-α₃)で可約なので、既約の場合も既約のままだからである。
また、既約多項式同士が互いに素は、素数同士が互いに素みたいな事である。

>h₁(x)=g₁(x)はg(x)を割り切るのでh₁(x)k₁(x)=g(x)である。この式の返々の係数をGfで変えても等式は成り立つので(定理9.1(1))、hi(x)ki(x)=g(x)のようにhi(x)はg(x)を割り切る。

定理9.1(基本定理)
重根を持たないd次多項式f(x)に対して、その根α₁,・・・,αdの入れ換えのなす群Gfであって、次の性質をみたすものがただ1つ存在する。
(1)α₁,・・・,αdの2つの式が同じ値を定めるならば、Gfの各元で根を入れ換えても2式の値は等しい。すなわちg(α₁,・・・,αd)=h(α₁,・・・,αd)ならば、Gfの元でαi₁,・・・,αidと入れ換えてもg(αi₁,・・・,αid)=h(αi₁,・・・,αid)が成り立つ。
(2)α₁,・・・,αdの式に対して、その値は、Gfのどの根で入れ換えても変わらないとき、定数である。
この群Gfを多項式f(x)の群という。

h₁(x)k₁(x)=g(x)の両辺の多項式の係数をGfで入れ換えても、係数同士が等しいので等式同士も等しいままである。
念のため、係数は変わるが等しく変わるという事。つまり、等式は違う多項式同士の等式になるという事。

>hi(x)ki(x)=g(x)のようにhi(x)はg(x)を割り切る。したがってh(x)=h₁(x)…hs(x)はg(x)を割り切る。

新しくh(x)という多項式を作るという事。そして、それはg(x)を割り切る式であるという事。

>一方、h(x)の係数はGfの入れ換えで不変になるので、h(x)は定数を係数とする多項式である。

h(x)=h₁(x)…hs(x)で、各hi(x)はh₁(x)=g₁(x)をGfで入れ換えて得られたものなので、再びGfの入れ換えでh₁(x)…hs(x)のどれかに変化する(Gfが群である事より過不足なく他の元に移る)。よって、h(x)全体としては不変である。
よって、定理9.1(2)より、h(x)は定数を係数とする多項式である。

>よって単多項式g(x)の既約性よりh(x)=g(x)である。

上より、h(x)はg(x)を割り切り、g(x)は既約多項式より、h(x)=g(x)という事。
念のため、単多項式なので最大次数の係数が1で定数倍もなく、h(x)=g(x)という事。

>また既約多項式の積への分解の一意性より(必要なら番号を取り換えて)hi(x)=gi(x)もわかり、後半の主張もわかる。

例えば、同じ既約多項式h(x)=ⅹ²+x+1,g(x)=x²+x+1をそれぞれ因数分解して、
h(x)=(x-ω)(x-ω²)
=h₁(x)h₂(x)
g(x)=(x-ω²)(x-ω)
=g₁(x)g₂(x)
になったとする。この時、
h₁(x)=g₂(x),h₂(x)=g₁(x)だが、番号を取り換えて、h₁(x)=g₁(x),h₂(x)=g₂(x)とすれば、hi(x)=gi(x)が分かり、
「f(x)の群Gfに含まれる根の入れ換えでg₁(x),…,gs(x)の係数を変えると、これらの多項式が入れ換わること」が分かるという事。
(「h₁(x)=g₁(x)の係数にGfの入れ換えを施して得られるものをh₁(x),…,hs(x)」としたから。)

問題の意味の補足:
>問題 9-9b
多項式f(x)のすべての根の式を利用して、(定数係数)既約多項式g(x)がg₁(x)…gs(x)と分解するとき(ただしgi(x)はf(x)の根の式を係数とする既約単多項式)、g₁(x),…,gs(x)の次数はすべて等しいことを示せ。またf(x)の群Gfに含まれる根の入れ換えでg₁(x),…,gs(x)の係数を変えると、これらの多項式が入れ換わることを示せ。

f(x)のすべての根の式を利用して作った定数係数既約多項式g(x)がg₁(x)…gs(x)と分解するとき(つまり、f(x)の根の式を係数とする既約単多項式に因数分解される時)、その括弧の個数はf(x)の群の元の個数と等しい。
その理由は、gs(x)のsと「h₁(x)=g₁(x)の係数にGfの入れ換えを施して得られるものをh₁(x),…,hs(x)とする」のsが一致するからである。(証明から必然性が分かるだろう。)

おまけ:
https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%88%E6%9B%9C%E6%97%A5%E3%81%8C%E3%81%8D%E3%82%89%E3%81%84-%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AF%E8%A6%8B%E3%81%9B%E3%81%AA%E3%81%84-%E5%B0%8F%E7%AC%A0%E5%8E%9F-%E5%81%A5/dp/4286068641
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/4 22:10 (No.1435939)削除
問題
右図のような四角柱ABCD-EFGHがあり、その底面はAB=2,∠DAB=60°のひし形である。点Pは辺BFの中点で、∠APH=90°である。次のものを求めなさい。
(1)線分ACの長さ。
(2)線分BPの長さ。
(3)4点P,A,C,Hを頂点とする三角錐の体積。
(4)(3)の三角錐を平面BFHDで切ったときの切り口の面積。
(02 桐朋)

図の解説は、読んだ通りなので省略。

(3)と(4)には参考書の別解があります。私も別解を作ってみました。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/5 07:57削除
問題
右図のような四角柱ABCD-EFGHがあり、その底面はAB=2,∠DAB=60°のひし形である。点Pは辺BFの中点で、∠APH=90°である。次のものを求めなさい。
(1)線分ACの長さ。
(2)線分BPの長さ。
(3)4点P,A,C,Hを頂点とする三角錐の体積。
(4)(3)の三角錐を平面BFHDで切ったときの切り口の面積。
(02 桐朋)

模範解答
(1)△ABD,△CBDは正三角形であるから、AC=√3×2=2√3
(2)△ABP≡△HFP(二辺夾角相等)であるから、PA=PH
これと∠APH=90°により、△APHは直角二等辺三角形である。……①
ところで、BP=xとおくと、
AP²=x²+2²=x²+4……②
AH²=(2x)²+2²=4x²+4……③
①より、③=②×2であるから、これを整理して、x²=2 x>0より、x=√2
(3)図形全体は、平面BFHDに関して対称であるから、∠HPC=∠HPA=90°
∴HP⊥面APC……④
ところで、(2)より、AH=2√3=AC
また、PA=PC=PH(=√6)
よって、△APCは、△APHと合同な直角二等辺三角形である。これと④より、
H-APC=(1/3)×△APC×HP
=(1/3)×{(√6)²/2}×√6=√6
(4)切り口は、右図の網目部分(注:長方形HDBFを抜き出し、FBの中点をP,DBの中点をMとし、直角三角形PHMの直角Pから斜辺HMに下ろした垂線の足をIとした図(PH=√6,PB=√2,BM=1)で、網目部分は△PHM)のようになるから、その面積は、
(PM×PH)/2=(√3×√6)/2
=3√2/2
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

参考書の(3)の別解
Pから△ACHに下ろした垂線PIは、対称面BFHD上にあるから、図1(注:(4)の注の図の事)のようになる。
ここで、△PIM∽△HPMで、これらの3辺比は1:√2:√3であるから、
PI=PM×(√2/√3)=√2
∴P-ACH=(1/3)×△ACH×PI
=(1/3)×(√3/4)×(2√3)²×√2
=√6
参考書の(4)の別解
求める面積をSとし、(3)の体積をVとすると、V=(1/3)×S×ACが成り立つから、
S=3V/AC=3√6/2√3=3√2/2

読めば分かるので、解説は省略。

私の(3)と(4)の別解は次回。ただし、別に面白くありません。

おまけ:
https://x.com/satndRvjMpc4tl7/status/1918934082928726051

https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12093170020.html
壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/6 07:59削除
問題
右図のような四角柱ABCD-EFGHがあり、その底面はAB=2,∠DAB=60°のひし形である。点Pは辺BFの中点で、∠APH=90°である。次のものを求めなさい。
(1)線分ACの長さ。
(2)線分BPの長さ。
(3)4点P,A,C,Hを頂点とする三角錐の体積。
(4)(3)の三角錐を平面BFHDで切ったときの切り口の面積。
(02 桐朋)

(3)の私の別解
三角錐P-ACH=四角柱ABCD-EGH-立体FP-AEH×2-三角錐P-ABC-三角錐H-ADC
=四角柱ABCD-EGH-(三角錐P-EFH+三角錐P-AEH)×2-三角錐P-ABC-三角錐H-ADC
=2×√3×2√2-{2×√3×(1/2)×√2×(1/3)+2√2×2×(1/2)×√3×(1/3)}×2-2√3×1×(1/2)×√2×(1/3)-2√3×1×(1/2)×2√2×(1/3)
=4√6-(√6/3+2√6/3)×2-√6/3-2√6/3
=4√6-2√6-√6
=√6

(4)の私の別解
模範解答の(3)と同様に考えると、△ACHは1辺が2√3の正三角形であり、P-ACHは直正三角錐である。よって、Pから底面ACHに下ろした垂線の足Iは題意の切り口の三角形の高さと一致する。
そこで、△ACH=2√3×(√3×√3)×(1/2)=3√3 ここで、(3)の結果を利用すると、
3√3×PI×(1/3)=√6が成り立つ。
∴PI=√2
また、平面BFHDとACとの交点をMとすると、DM=1で△HDMで三平方の定理を使うと、
HM=√{1²+(2√2)²}=√9=3
よって、切り口の三角形の面積をSとすると、
S=3×√2×(1/2)=3√2/2

受験的には、無意味(無駄)な解法((3)の方)ですが、マニア受けはするかもしれませんね。

おまけ:
https://x.com/satndRvjMpc4tl7/status/1919383483161440324(次はこれやりますね。珍しく双子の弟から問題だけ送られてきたもの。)
返信
返信2
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/30 19:42 (No.1433423)削除
問題
https://www.msn.com/ja-jp/lifestyle/other/%E8%A7%92%E5%BA%A6%E5%BD%93%E3%81%A6%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%82%BA-vol-1447-x%E3%81%AE%E8%A7%92%E5%BA%A6%E3%81%AF%E4%BD%95%E5%BA%A6-%E5%85%A83%E5%95%8F/ar-AA1DSUDt?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=68ab5036ff284072a9976efcb4328b93&ei=8

第1問の別解を作ってみて下さい。また、何でもありの解法も作ってみました。電卓ありのつもりがうまい具合に電卓なしで出来ました。これは算数の別解より面白いかと思います。(算数の方はやり過ぎました。新鮮な人にはいい勝負かもしれません。)

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/1 07:58削除
いつものように問題化しておきますね。

問題
∠B=40°の△ABDの辺BD上にDC=ABとなる点Cを取ると、∠CAB=30°になったという。この時、∠Dの角度を求めて下さい。

模範解答
△CABの内対角の和より、∠ACD=30°+40°=70°
ここで、AからBDに垂線を下ろしその足をEとし、AEに関してACと対称な線分AFを引くと、∠AFC=∠ACF=70°
よって、△ABFの内角の和より、
∠BAF=180°-40°-70°=70°
よって、∠BAF=∠DCA=70°……①
また、対称性より、AF=AC=CA……②
また、条件より、AB=CD……③
①,②,③より、二辺夾角が等しいので、△ABFと△CDAは合同。
よって、∠D=∠B=40°

算数の別解
△CABの内対角の和より、∠ACD=30°+40°=70°
△ABCを△ACDの外側にBAがCDにくっつくように移動させ、点Cの行き先をC'とすると、∠ACC'=70°+40°=110°
また、∠CC'D=∠BCA=110°より、
∠ACC'=∠CC'D
また、移動より、CA=C'D
よって、四角形ACC'Dは等脚台形である。よって、CC'∥AD
よって、錯角より、∠ADC=∠C'CD
また、移動より∠C'CD=∠CBA=40°
よって、∠ADC=40°
よって、∠D=40°

補足
∠ACC'=∠CC'D,CA=C'Dより四角形ACC'Dが等脚台形である証明

二辺夾角が等しいので、△ACC'≡△DC'C
∴AC'=DC,∠AC'C=∠DCC'
ここで、A,DからCC'の延長上に垂線を下ろしその足をそれぞれH,Iとすると、直角三角形の斜辺と他の1角が等しいので、
△AC'H≡△DCI
∴AH=DI また、AH∥DI
よって、AH∥DIかつAH=DIより四角形AHIDは平行四辺形(実は長方形)。
∴AD∥HI CC'∥AD
また、CA=C'Dより、四角形ACC'Dは等脚台形である。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/1 19:14削除
何でもありの解法のヒント

問題
∠B=40°の△ABDの辺BD上にDC=ABとなる点Cを取ると、∠CAB=30°になったという。この時、∠Dの角度を求めて下さい。

ヒント:∠D=θ,AB=x,AC=yと置いて、三角関数を使って下さい。もちろん、電卓ありです。(無しで出来る人は優秀だと思います。)

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/2 07:54削除
問題
∠B=40°の△ABDの辺BD上にDC=ABとなる点Cを取ると、∠CAB=30°になったという。この時、∠Dの角度を求めて下さい。

別解
∠D=θ,AB=x,AC=yと置いて、AからBDに垂線を下ろしその足をHとすると、△CABの内対角の和より、∠ACH=70°
∴∠CAH=20°
∴AH=ycos20°=xsin40°……①
また、CH=ysin20°より、
DH=x-ysin20°
∴tanθ=AH/DH
=xsin40°/(x-ysin20°)……②
①より、y=(sin40°/cos20°)x
={(2sin20°cos20°)/cos20°}x
=2sin20°x
∴y=2sin20°x……①'
①'を②に代入すると、
tanθ=xsin40°/(x-2sin²20°x)
=sin40°/(1-2sin²20°)
=sin40°/cos40°=tan40°
∴tanθ=tan40°∴θ=40°
よって、∠D=40°

因みに、電卓ありならx=1とすると、①より、y=sin40°/cos20°=0.6840402……①'
また、②より、
tanθ=sin40°/(1-ysin20°)……②'
①'を②'に代入すると、
tanθ=sin40°/(1-0.2339555)
=0.6427876/0.7660445
=0.8390995
∴θ=Arctan0.8390995=40°

因みに、70°の方を使った場合でもcos70°=cos(90°-70°)=sin20°などの柔軟さがあれば電卓使用しなくても導けます。
電卓使用の解法は必ず仕留められる所が良いですね。まぁ、面白くはありませんが。興味がある人は、有名なラングレー問題も電卓ありで求めてみて下さい。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Langley_problem.png(意外と難しいかもしれませんよ。)

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/3 07:55削除
>興味がある人は、有名なラングレー問題も電卓ありで求めてみて下さい。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Langley_problem.png(意外と難しいかもしれませんよ。)

やっぱりやってみました。
図だけでは分かりませんが、△ABCは二等辺三角形なので、∠EBC=∠DCB=80°
よって、∠BEC=180°-80°-50°=50°より、∠BEC=∠BCE
よって、△BECは二等辺三角形より、
BE=BC=1,BD=yと置いて、EからBDに垂線を下ろしその足をHとすると、
DH=y-cos20°,EH=sin20°
∴tanx=sin20°/(y-cos20°)
∴x=Arctan{sin20°/(y-cos20°)}……☆
また、DからBCに垂線を下ろしその足をIとすると、△DBIは1:2:√3の直角三角形より、BI=y/2 ∴IC=1-y/2
∴DI=(1-y/2)tan80°
また、DI=(√3/2)yでもあるので、
(1-y/2)tan80°=(√3/2)y
∴(√3/2+tan80°/2)y=tan80°
∴(√3+tan80°)y=2tan80°
∴y=2tan80°/(√3+tan80°)
∴y-cos20°
=2tan80°/(√3+tan80°)-cos20°
=(2tan80°-√3cos20°-cos20°tan80°)/(√3+tan80°)
∴y-cos20°
=(2tan80°-√3cos20°-cos20°tan80°)/(√3+tan80°)
これを☆に代入すると、
x=Arctan{sin20°(√3+tan80°)/(2tan80°-√3cos20°-cos20°tan80°)}
=Arctan(2.5320889/4.3857066)
=Arctan0.5773502=30°
∴x=30

まぁ、単純と言えば単純ですが、ささっと出来るにはある程度の学力が必要でしょう。現役の学生は強そう。(受験生か。)
別解は次回。念のため、電卓ありです。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/4 07:58削除
>興味がある人は、有名なラングレー問題も電卓ありで求めてみて下さい。

電卓ありの解法2
△ABCは二等辺三角形なので、∠EBC=∠DCB=80°
よって、∠BEC=180°-80°-50°=50°より、∠BEC=∠BCE
よって、△BECは二等辺三角形より、
BE=BC
ここで、BE=BC=yと置いて、△DBEと△DBCのそれぞれで正弦定理を使うと、
∠EBD=80°-60°=20°より、
∠BED=160°-x
また、∠BDC=180°-80°-60°
=40°より、
y/sinx=BD/sin(160°-x)……①
y/sin40°=BD/sin80°……②
①÷②より、
sin40°/sinx=sin80°/sin(160°-x)
∴sin40°sin(160°-x)=sinxsin80°
∴sin40°(sin160°cosx-cos160°sinx)
=sinxsin80°
∴sin40°sin160°cosx-sin40°cos160°sinx=sinxsin80°
∴(sin80°+sin40°cos160°)sinx
=sin40°sin160°cosx
∴sinx/cosx=sin40°sin160°/(sin80°+sin40°cos160°)
∴tanx=sin40°sin160°/(sin80°+sin40°cos160°)
=0.2198463/0.3807849
=0.5773503
∴x=Arctan0.5773503=30°

因みに、tanx=sin40°sin160°/(sin80°+sin40°cos160°)から、
=sin40°sin160°/(2sin40°cos40°+sin40°cos160°)
=sin160°/(2cos40°+cos160°)
=sin20°/(2cos40°-cos20°)———☆
また、
sin20°=sin(60°-40°)
=sin60°cos40°-cos60°sin40°
=(√3/2)cos40°-(1/2)sin40°……①
cos20°=cos(60°-40°)
=cos60°cos40°+sin60°sin40°
=(1/2)cos40°+(√3/2)sin40°……②
①,②より、
2cos40°-cos20°
=2cos40°-{(1/2)cos40°+(√3/2)sin40°}
=(3/2)cos40°-(√3/2)sin40°……③
ところで、
√3sin20°=√3{(√3/2)cos40°-(1/2)sin40°}
=(3/2)cos40°-(√3/2)sin40°……④
③,④より、
2cos40°-cos20°=√3sin20°———★
★を☆に代入すると、
tanx=sin20°/√3sin20°=1/√3
∴x=30°
と電卓なしで出来る。
アイデア引用元:https://www.gensu.co.jp/saito/challenge/langley.html

おまけ:
https://news.yahoo.co.jp/articles/d7e26dfa00793bbf44e015e7df94f96e0f407d78
壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/4 13:42削除
因みに、
tanx=sin20°/(2cos40°-cos20°)———☆
から、
=sin20°/{2cos(60°-20°)-cos20°}
=sin20°/(2cos60°cos20°+2sin60°sin20°-cos20°)
=sin20°/(cos20°+√3sin20°-cos20°)
=sin20°/√3sin20°
=1/√3
と出来る。

おまけ:
https://news.yahoo.co.jp/articles/296a752ce32ee6b3abb62a9a64b079a71c96e3dd
返信
返信6
壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/1 16:00 (No.1433870)削除
次の文章を完全解説して下さい。

演習問題12
q=p^r(r≧1)とし、nを自然数とする。次のことを証明せよ。
(1)Fq[X]に属する次数がnの約数であるようなモニック既約多項式すべての積はX^q^n-Xである。
(2)Fq[X]に属する次数がdであるようなモニック既約多項式の個数をNq(d)とすれば
q^n=∑(d|n)dNq(d)
(3)Nq(n)=(1/n)∑(d|n)μ(n/d)q^d
=(1/n)∑(d|n)μ(d)q^(n/d)

証明
(1)g(X)=X^q^n-Xとおく。演習問題11によれば、g(X)のモニック既約多項式である因子は次数がnの約数である。逆に、次数がnの約数であるFq[X]のモニック既約多項式はg(X)を割り切る。
また、g'(X)=-1であるから、g(X)=0は重根をもつことはない(補題3)。したがって、nの約数を次数とするFq[X]のモニック既約多項式はg(X)の既約分解の中に一度だけ現れる。
(2)(1)よりg(X)=X^q^n-Xの次数と、g(X)の既約分解の次数を比較すれば得られる。
(3)(2)で得られた式q^n=∑(d|n)dNq(d)において、f(d)=dNq(d),F(n)=q^nとして第1章定理3.7(メビュースの反転公式)を使えば
nNq(n)=∑(d|n)μ(n/d)q^d
=∑(d|n)μ(d)q^(n/d)
これより、
Nq(n)=(1/n)∑(d|n)μ(n/d)q^d
=(1/n)∑(d|n)μ(d)q^(n/d)
「演習 群・環・体 入門」新妻弘著より

演習問題11
q=p^r(r≧1)とし、f(X)∈Fq[X]を次数mの既約多項式とする。そのとき、次のことを証明せよ。
f(X)|X^(q^n)-X⇔m|n

補題3
K[X]を体K上の多項式環とし、f(X)∈K[X]とする。また、αをKのある拡大体Lの元でf(α)=0であるとする。このとき、次の命題が成立する。
(1)αがf(X)の重根である⇔αがf(X)とf'(X)の共通根である。
(2)f(X)が既約であるとするとき、αがf(X)の重根であることと、f'(X)=0であることは同値である。

定理3.7(メビュースの反転公式)
F(n),f(d)を整数の集合ℤからℤへの関数とする。このとき、F(n)=∑(d|n)f(d)が成り立てばf(n)=∑(d|n){μ(d)F(n/d)}が成り立つ。ただし、和はnのすべての約数dについての和を表すものとする。

一応、
「多項式f(X)の最高次の係数が1のとき、f(X)をモニックな多項式という。」
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

適当に分かり易く解説して下さい。これで3周目が終わりです。石の上にも3年じゃありませんが、ようやくちょっとだけ分かりかけてきたような気がします。4周目には行きません。いろいろな本を読んでみようと思います。
最近読み始めたのは、「ガロアに出会う はじめてのガロア理論」のんびり数学研究会と「代数的構造」遠山啓著です。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/5/2 13:50削除
解説
>また、g'(X)=-1であるから、

g(X)=X^q^n-XをXで微分すると、
g'(X)=q^nX^(q^n-1)-1……①
また、定理6.6より、Fq^nの元はX^q^n-Xの根より、X{X^(q^n-1)-1}=0
∴X=0,X^(q^n-1)=1……②
②を①に代入すると、
g'(X)=-1,q^n-1
g'(X)=q^n-1の場合は考察しない理由が分からない。(まぁ、問題ないのはすぐに分かるが。)

定理6.6
Kをq個(q=p^r,r≧1)の元からなる体とすると、Kは多項式X^q-Xの互いに異なるq個の根で構成されている。したがって、X^q-XはK[X]の中で1次式の積に分解される。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

>g'(X)=-1であるから、g(X)=0は重根をもつことはない(補題3)。

補題3
K[X]を体K上の多項式環とし、f(X)∈K[X]とする。また、αをKのある拡大体Lの元でf(α)=0であるとする。このとき、次の命題が成立する。
(1)αがf(X)の重根である⇔αがf(X)とf'(X)の共通根である。
(2)f(X)が既約であるとするとき、αがf(X)の重根であることと、f'(X)=0であることは同値である。

g'(X)=-1,q^n-1のどちらにせよg'(X)=0とはならない(n≠0だから)。
つまり、補題3の(2)より、「g(X)=0は重根をもつことはない」という事である。

>(3)(2)で得られた式q^n=∑(d|n)dNq(d)において、f(d)=dNq(d),F(n)=q^nとして第1章定理3.7(メビュースの反転公式)を使えば
nNq(n)=∑(d|n)μ(n/d)q^d
=∑(d|n)μ(d)q^(n/d)
これより、
Nq(n)=(1/n)∑(d|n)μ(n/d)q^d
=(1/n)∑(d|n)μ(d)q^(n/d)

定理3.7(メビュースの反転公式)
F(n),f(d)を整数の集合ℤからℤへの関数とする。このとき、F(n)=∑(d|n)f(d)が成り立てばf(n)=∑(d|n){μ(d)F(n/d)}が成り立つ。ただし、和はnのすべての約数dについての和を表すものとする。

(2)で得られた式q^n=∑(d|n)dNq(d)をメビュースの反転公式のF(n)=∑(d|n)f(d)に見立てると、F(n)=q^n,f(d)=dNq(d)
そしてメビュースの反転公式の
f(n)=∑(d|n){μ(d)F(n/d)}
は、左辺はf(d)=dNq(d)のdをnにした
nNq(n)にして、
右辺は∑(d|n){μ(d)まではそのままでF(n/d)はF(n)=q^nのnをn/dに変えたq^(n/d)を代入すると、
nNq(n)=∑(d|n){μ(d)q^(n/d)}
よって、上の
「nNq(n)=∑(d|n)μ(n/d)q^d
=∑(d|n)μ(d)q^(n/d)」
の最初と最後の等式が現れた。
ところで、dはnの全ての約数で、dを全ての約数の間を動かせばn/dもnの全ての約数の間を動く。つまり、
∑(d|n)μ(d)q^(n/d)のdをn/d,n/dをdにしても(入れ換えても)同じ事である。
よって、nNq(n)=∑(d|n){μ(d)q^(n/d)}
=∑(d|n)μ(n/d)q^d
よって、「nNq(n)=∑(d|n)μ(n/d)q^d
=∑(d|n)μ(d)q^(n/d)」
が示された。

おまけ:
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/30 11:58 (No.1433256)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題 9-8b
pを素数とし、ζ,ηをそれぞれ1の原始p乗根,1の原始p-1乗根とする。aを(ℤ/pℤ)^×の原始根とする。また係数をηのすべての式としたときのΦp(x)の群をGfとおく。このときGfはζをζ^aに取り換える根の入れ換えσで生成される(問題9-6,9-7)。
次の問いに答えよ。
(1)ξj=η^jζ^a+η^2jζ^a²+・・・
+η^(p-1)jζ^a^(p-1)(j=1,・・・,p-1)とおく。このとき根の入れ換えσによりξjはη^-jξjとなることを示せ。
(2)ζはηの式のべき根と加減乗除で表されることを示せ。

解答
まずη^(p-1)j・ζ^a^(p-1)=ζ,η^pj・ζ^a^p=η^jζ^aであることに注意する(∵η^(p-1)=1,a^(p-1)≡1 modp,a^p≡a modp)。
(1)ξjはσにより
η^jζ^a²+η^2jζ^a³+・・・+η^(p-1)ζ^a^p
=η-j・(η^2jζ^a²+η^3jζ^a³+・・・+η^pjζ^a^p)=η^-jξj
である。
(2)(1)よりξj^(p-1)はGfで不変である。よってξj^(p-1)=aj(ajはηの式)と表される。
ゆえにξj=p-1√aj(注:ajのp-1乗根という事)である。
η^j+η^2j+・・・+η^(p-1)j
=η^j(η^(p-1)-1)/(η-1)=0(j=1,2,・・・,p-2)なので、ξ₁+・・・+ξp-1=(p-1)ζである。したがって
ζ=(p-1√a₁+・・・+p-1√ap-1)/(p-1)(注:p-1√はp-1乗根でap-1はaのp-1番目という事。)
である。
(参考:(2)より「1のn乗根は(いくつかの)べき乗根の式で表される」・・・(*)n
ことがわかる。これをnに関する帰納法で示す。n=1,2は自明である。n(≧3)より小さいmに対して、1のm乗根は(*)mをみたすとする。nが素数でなければnを割り切る素数pについて(*)pが成り立つ。また1のp^2乗根は、1のp乗根ζを用いて、p√ζζ^j(注:ζのp乗根×ζ^jという事)(j=0,1,・・・,p-1)と表される(よってべき根の式で表される)。したがってnが素数でないときは(*)nが成り立つ。nが素数pのとき、本問の(2)と帰納法の仮定より(ηもべき根の式で表される)、1の原始p乗根もべき根の式で表される。ゆえに帰納法より(*)nがすべてのnについて成り立つ。)
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

問題 9-6b
円分多項式Φn(x)の群Gは、nと互いに素なaに対して
σa:ζ→ζ^a(ζは1の原始n乗根)
で定まる根の入れ換えからなることを示せ。
またσaσb=σabを示し、Gの元の合成と、nと互いに素な2つの数a,bの積が対応することを示せ。
したがって[a]nをσaに対応させることにより、(ℤ/nℤ)^×はGと同型である。

問題 9-7b
m,nを互いに素な正整数とする。このときΦn(x)は、1の原始m乗根ζmの有理数の式を係数に許しても、2つの1次以上の積に分解しない。つまり既約であることを示せ。

適当に分かり易く解説して下さい。ただし、非常に難解だと思います。
因みに、
η^j+η^2j+・・・+η^(p-1)j
=η^j(η^(p-1)-1)/(η-1)=0
は間違っていますね。ここだけなら全体が分からない人でも間違っている事が証明出来ると思います。
ところで、2025/4/22 12:00の列の2025/4/22 16:14の投稿の「素朴な疑問コーナー」で問題 9-7bの証明が怪しい事を挙げましたが、これが証明だけなら良いですが、定理自体が怪しいとなると問題 9-8bの証明も連動して怪しいという事になります。まぁ、問題 9-8bの定理の延長の「(2)より「1のn乗根は(いくつかの)べき乗根の式で表される」・・・(*)n」などは別証がありそうなので、問題ないでしょう。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/30 14:01削除
解説
>係数をηのすべての式としたときの群をGfとおく。このときGfはζをζ^aに取り換える根の入れ換えσで生成される(問題9-6,9-7)。

問題文より、「pを素数とし、ζ,ηをそれぞれ1の原始p乗根,1の原始p-1乗根」としていて、pとp-1は互いに素(pは素数よりpより小さい自然数なら相手が何でも互いに素。因みに、pが素数じゃなくても連続する2整数は互いに素)なので、問題9-7bより、

問題 9-7b
m,nを互いに素な正整数とする。このときΦn(x)は、1の原始m乗根ζmの有理数の式を係数に許しても、2つの1次以上の積に分解しない。つまり既約であることを示せ。

Φp(x)は、1の原始p-1乗根の式を係数に許しても既約。よって、その条件でもΦp(x)を円分多項式扱いして良い。

定理7.1(円分多項式の既約性)
Φn(x)は有理数係数多項式として既約である。

よって、問題9-6bより、

問題 9-6b
円分多項式Φn(x)の群Gは、nと互いに素なaに対して
σa:ζ→ζ^a(ζは1の原始n乗根)
で定まる根の入れ換えからなることを示せ。

「このときGfはζをζ^aに取り換える根の入れ換えσで生成される」という事である。

ところで、前回述べたように、問題 9-7b自体に問題があると問題9-8bもダメな理由はこれである。

>まずη^(p-1)j・ζ^a^(p-1)=ζ,η^pj・ζ^a^p=η^jζ^aであることに注意する(∵η^(p-1)=1,a^(p-1)≡1 modp,a^p≡a modp)。

問題文より、「pを素数とし、ζ,ηをそれぞれ1の原始p乗根,1の原始p-1乗根とする。aを(ℤ/pℤ)^×の原始根とする。」
よって、η^(p-1)=1 この両辺をj乗すると、η^(p-1)j=1———➀
また、aが(ℤ/pℤ)^×の原始根より、
a^(p-1)≡1(modp)

問題4-12b
pを素数とする。このとき(ℤ/pℤ)^×はある整数aのべき集合{a,a²,・・・,a^(p-1)=1}に等しいことを示せ。このaを(ℤ/pℤ)^×の原始根という。

よって、ζ^a^(p-1)=ζ(上の関係を指数に使ったという事。)
∴ζ^(a^p/a)=ζ ∴ζ^a^p=ζ^a———②
➀×②より、
η^(p-1)j・ζ^a^p=ζ^a
この両辺にη^jを掛けると、
η^pj・ζ^a^p=η^j・ζ^a
よって、「η^pj・ζ^a^p=η^jζ^aであることに注意する」が示された。

>(1)ξjはσにより
η^jζ^a²+η^2jζ^a³+・・・+η^(p-1)jζ^a^p
=η^-j・(η^2jζ^a²+η^3jζ^a³+・・・+η^pjζ^a^p)=η^-jξj
である。

問題文より、σは「ζをζ^aに取り換える」事より、
ξj=η^jζ^a+η^2jζ^a²+・・・
+η^(p-1)jζ^a^(p-1)
のζをζ^aに入れ換えると、
η^jζ^a²+η^2jζ^a³+・・・+η^(p-1)jζ^a^p
となり、これをη^-jでくくると、
=η^-j・(η^2jζ^a²+η^3jζ^a³+・・・+η^pjζ^a^p)
となり、ここで、上で証明した「η^pj・ζ^a^p=η^jζ^aであることに注意する」を最後の項に代入すると、後半(カッコ内)は、
η^2jζ^a²+η^3jζ^a³+・・・+η^pjζ^a^p
=η^2jζ^a²+η^3jζ^a³+・・・+η^jζ^a
=η^jζ^a+η^2jζ^a²+・・・
+η^(p-1)jζ^a^(p-1)=ξj
となり、入れ換えた全体は、
=η^-jξjとなる。

>(2)(1)よりξj^(p-1)はGfで不変である。よってξj^(p-1)=aj(ajはηの式)と表される。

(1)より、ξj→η^-jξj
この両方をp-1乗すると、
ξj^(p-1)→(η^-j)^(p-1)ξj^(p-1)
=(η^(p-1))^-j・ξj^(p-1)
ところで、ηは1の原始p-1乗根より、
η^(p-1)=1
よって、(η^(p-1))^-j=1より、
ξj^(p-1)→ξj^(p-1)となるので、σで不変よりGfでも不変である。

>よってξj^(p-1)=aj(ajはηの式)と表される。

ξj^(p-1)はGfで不変であるので、定理9.1(2)より定数である。

定理9.1(基本定理)
重根を持たないd次多項式f(x)に対して、その根α₁,・・・,αdの入れ換えのなす群Gfであって、次の性質をみたすものがただ1つ存在する:
(1)α₁,…,αdの2つの式が同じ値を定めるならば、Gfの各元で根を入れ換えても2式の値は等しい。すなわちg(α₁,…,αd)=h(α₁,…,αd)ならば、Gfの元でαi₁,…,αidと入れ換えてもg(αi₁,…,αid)=h(αi₁,…,αid)が成り立つ。
(2)α₁,…,αdの式に対して、その値は、Gfのどの元で根を入れ換えても変わらないとき、定数である。
この群Gfを多項式f(x)の群という。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

よって、ξj^(p-1)=ajと置ける。
ここで、鋭い人は、
ξj=η^jζ^a+η^2jζ^a²+・・・
+η^(p-1)jζ^a^(p-1)(j=1,・・・,p-1)
は、Φp(x)の根ζだけの式じゃないので、定理9.1の(2)は使えないと言うかもしれない。しかし、大丈夫である。Φp(x)の係数はηの式全体なので、ηまで許されているからである。(問題9-7bと定理7.1参照)
(ajはηの式)は、ηの式は係数で定数扱いという意味。

>η^j+η^2j+・・・+η^(p-1)j
=η^j(η^(p-1)-1)/(η-1)=0(j=1,2,・・・,p-2)なので、ξ₁+・・・+ξp-1=(p-1)ζである。

今、η^j+η^2j+・・・+η^(p-1)jを作り、等比数列の和の公式で求めると、
η^j+η^2j+・・・+η^(p-1)j
=η^j(1-η^(p-1)j)/(1-η^j)———☆
(初項がη^jで公比がη^jで項数がp-1個だから。つまり、模範解答は間違っている。後で述べるが、これでは(j=1,2,・・・,p-2)の理由が言えない。)
また、ηは1の原始p-1乗根より、η^(p-1)=1で、この両辺をj乗すると、
η^(p-1)j=1 これを☆に代入すると、
η^j+η^2j+・・・+η^(p-1)j=0
また、分母の1-η^jのjをj=p-1とすると、η^(p-1)=1となり分母が0となり不能である。
よって、(j=1,2,・・・,p-2)という訳である。
また、ξj=η^jζ^a+η^2jζ^a²+・・・
+η^(p-1)jζ^a^(p-1)のjをj=1,2,・・・,p-1として総和を取ると、
ξ₁=ηζ^a+η²ζ^a²+・・・+η^(p-1)ζ^a^(p-1)
ξ₂=η²ζ^a+η⁴ζ^a²+・・・+η^2(p-1)ζ^a^(p-1)



ξp-1=η^(p-1)ζ^a+η^2(p-1)ζ^a²+・・・+η^(p-1)²ζ^a^(p-1)
より、
ξ₁+・・・+ξp-1
=(η+η²+・・・+η^(p-1))ζ^a
+(η²+η⁴+・・・+η^2(p-1))ζ^a²



+(η^(p-1)+η^2(p-1)+・・・・
 +η^(p-1)²)ζ^a^(p-1)
ここで、j=1,2,・・・,p-2までは、
η^j+η^2j+・・・+η^(p-1)j=0より、
ξ₁+・・・+ξp-1=
(η^(p-1)+η^2(p-1)+・・・・+η^(p-1)²)ζ^a^(p-1)———★
また、ηは1の原始p-1乗根より、
η^(p-1)=1で、aが(ℤ/pℤ)^×の原始根より、a^(p-1)≡1(modp)なので、
★の右辺は、(1+1+・・・+1)ζ^1
=(p-1)ζ(1がp-1個より)
∴ξ₁+・・・+ξp-1=(p-1)ζ

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/30 16:12削除
解説の続き

問題 9-8b
pを素数とし、ζ,ηをそれぞれ1の原始p乗根,1の原始p-1乗根とする。aを(ℤ/pℤ)^×の原始根とする。また係数をηのすべての式としたときのΦp(x)の群をGfとおく。このときGfはζをζ^aに取り換える根の入れ換えσで生成される(問題9-6,9-7)。
次の問いに答えよ。
(1)ξj=η^jζ^a+η^2jζ^a²+・・・
+η^(p-1)jζ^a^(p-1)(j=1,・・・,p-1)とおく。このとき根の入れ換えσによりξjはη^-jξjとなることを示せ。
(2)ζはηの式のべき根と加減乗除で表されることを示せ。

解答
まずη^(p-1)j・ζ^a^(p-1)=ζ,η^pj・ζ^a^p=η^jζ^aであることに注意する(∵η^(p-1)=1,a^(p-1)≡1 modp,a^p≡a modp)。
(1)ξjはσにより
η^jζ^a²+η^2jζ^a³+・・・+η^(p-1)ζ^a^p
=η-j・(η^2jζ^a²+η^3jζ^a³+・・・+η^pjζ^a^p)=η^-jξj
である。
(2)(1)よりξj^(p-1)はGfで不変である。よってξj^(p-1)=aj(ajはηの式)と表される。
ゆえにξj=p-1√aj(注:ajのp-1乗根という事)である。
η^j+η^2j+・・・+η^(p-1)j
=η^j(η^(p-1)-1)/(η-1)=0(j=1,2,・・・,p-2)なので、ξ₁+・・・+ξp-1=(p-1)ζである。したがって
ζ=(p-1√a₁+・・・+p-1√ap-1)/(p-1)(注:p-1√はp-1乗根でap-1はaのp-1番目という事。)
である。
(参考:(2)より「1のn乗根は(いくつかの)べき乗根の式で表される」・・・(*)n
ことがわかる。これをnに関する帰納法で示す。n=1,2は自明である。n(≧3)より小さいmに対して、1のm乗根は(*)mをみたすとする。nが素数でなければnを割り切る素数pについて(*)pが成り立つ。また1のp^2乗根は、1のp乗根ζを用いて、p√ζζ^j(注:ζのp乗根×ζ^jという事)(j=0,1,・・・,p-1)と表される(よってべき根の式で表される)。したがってnが素数でないときは(*)nが成り立つ。nが素数pのとき、本問の(2)と帰納法の仮定より(ηもべき根の式で表される)、1の原始p乗根もべき根の式で表される。ゆえに帰納法より(*)nがすべてのnについて成り立つ。)
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

>また1のp^2乗根は、1のp乗根ζを用いて、p√ζζ^j(注:ζのp乗根×ζ^jという事)(j=0,1,・・・,p-1)と表される。

例えば、2の3乗根は、x³=2を解くが、
解は、x=³√2,³√2ω,³√2ω²である。
つまり、1の3乗根は、
x=1,1・ω,1・ω²=1,ω,ω²
そこで、1の9乗根だったら、
3乗根が、x=1・ω,ω²でこのうちの1つのω(原始3乗根の1つ)を選んで、
x=³√ω・ω,³√ω・ω²,(³√ω・ω³)
とすれば、原始9乗根が求められる。
つまり、「1のp^2乗根は、1のp乗根ζを用いて、p√ζζ^j(注:ζのp乗根×ζ^jという事)(j=0,1,・・・,p-1)と表される」という事である。
念のため、p=3の場合は、ζ=ωでj=0,1,2という事である。(これでは3個だが、1とω²でも作れば9個という事である。)
一応、p√ζζ^jをp²乗すると、
(p√ζζ^j)^p²=(ζ^(1/p)・ζ^j)^p²
=ζ^p・ζ^p²j=ζ^p・(ζ^p)^pj
ところで、ζは1の原始p乗根より、
ζ^p=1 これを代入すると、
(p√ζζ^j)^p²=1でOK。
よって、p√ζζ^jは1のp²乗根である。

>したがってnが素数でないときは(*)nが成り立つ。

ここが問題である。
「nが素数でなければnを割り切る素数p」はnより小さいので、数学的帰納法の仮定により、「1のp乗根は(いくつかの)べき乗根の式で表される」。
また、「1のp^2乗根は、1のp乗根ζを用いて、p√ζζ^j(j=0,1,・・・,p-1)と表される(よってべき根の式で表される)」。
このべき根の式にさらにp^2乗根を施すと、1のp^3乗根もべき根の式で表される(複素数のp乗根も複素数になる事が証明されているから)。
これを繰り返すと、1のp^a乗根は全てべき根の式で表される。
また、pとは異なる素数qについても(nより小さいので)同様の事が言え、1のq^b乗根は全てべき根の式で表される。
よって、n=p^a・q^b・・・の場合も全てべき根の形で表わされる。
よって、「nが素数でないときは(*)nが成り立つ」という事である。

>nが素数pのとき、本問の(2)と帰納法の仮定より(ηもべき根の式で表される)、

nが素数pの場合は、(2)と帰納法の仮定より成り立つ事は自明。
ここで、「ηもべき根の式で表される」は、ηは1のp-1乗根だから合成数(pは素数で2以外は奇数でp-1は偶数だから)だが、上の「nが素数でない場合」を示したから付け加えたのだろうか。ない方が分かり易いような気がするのだが。

前々回の、
>まぁ、問題 9-8bの定理の延長の「(2)より「1のn乗根は(いくつかの)べき乗根の式で表される」・・・(*)n」などは別証がありそうなので、問題ないでしょう。

よく読むと、(*)nの証明に問題 9-8bは使われていないので、関係ありませんね。
結局、問題 9-7bと問題 9-8bだけの問題ですね。

>ところで、2025/4/22 12:00の列の2025/4/22 16:14の投稿の「素朴な疑問コーナー」で問題 9-7bの証明が怪しい事を挙げましたが、これが証明だけなら良いですが、定理自体が怪しいとなると問題 9-8bの証明も連動して怪しいという事になります。

おまけ:
返信
返信2
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/26 21:53 (No.1431054)削除
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/27 07:55削除
一応、問題化しておきますね。(ちょっと変えてみました。)

問題
正方形ABCDの対角線ACを2:1に内分する点をPとし、PBの延長上に適当な点Qを取り時計回りに正方形PQRSが点Aを内包するように作る。SPとADの交点をEとする時、四角形ABPEの面積を求めて下さい。ただし、正方形ABCDの1辺の長さは12cmとする。

模範解答
PからABと平行な直線を引き、AD,BCとの交点をそれぞれF,Gとすると、∠EPB=90°,∠EFG=∠BGF=90°より定石の形で、△EFPと△PGBは相似。
また、点Pは正方形の対角線上の点より、PからBC,CDに垂線を下ろしその足をそれぞれH,Iとすると、四角形PHCIは正方形になり四角形ABCDも正方形より、BH=DI
よって、BH=PF 
よって、△EFPと△PGBは合同になる。
また、△CPGと△CABも相似で相似比が1:3より、CG=12÷3=4cm
よって、PG=4cm,BG=8cm
よって、四角形ABPE=長方形ABGF-△EFP-△PGB=8×12-4×8÷2×2=96-32=64cm²

別解は次回。前回は、あまり意味はないと書きましたが、ちゃんとした別解です。ただし、中学数学の範囲ですが。(算数の範囲に矯正も出来ますが、エレガントでなくなるのでやりません。)

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/28 07:57削除
問題
正方形ABCDの対角線ACを2:1に内分する点をPとし、PBの延長上に適当な点Qを取り時計回りに正方形PQRSが点Aを内包するように作る。SPとADの交点をEとする時、四角形ABPEの面積を求めて下さい。ただし、正方形ABCDの1辺の長さは12cmとする。

別解
正方形ABCDの中心(対角線の交点)をOとすると、点OはACの中点。
ところで、AP:PC=2:1=4:2より、
AO:OP=(4+2)/2:4-(4+2)/2
=3:1
また、OA=OBより、
OB:OP=3:1……ア
また、∠A=∠P=90°より、四角形ABPEは円に内接する四角形である。
よって、円周角より∠BEP=∠BAP=45°よって、△PEBは直角二等辺三角形である。よって、BP=PE……①
ここで、EからAPに垂線を下ろしその足をHとして、∠EPH=●と置くと、∠PEH=90°-●,一方、∠BPO=90°-●より、∠PEH=∠BPO……②
また、∠EHP=∠BOP=90°……③
①,②,③より、△PEH≡△BPO
よって、HE=OP……イ
ア,イより、OB:HE=3:1
よって、△BAP:△EAP=3:1
よって、
四角形ABPE=(4/3)△BAP……☆
△BAP=(2/3)△BAC=(2/3)×(12²/2)=(2/3)×72=48cm²……☆☆
☆,☆☆より、
四角形ABPE=(4/3)×48=64cm²

よく考えたら、中学数学なら√を使うと簡単ですね。そこで、算数の別解。

別解2
PからAB,ADに垂線を下ろしその足をそれぞれH,Iとすると、∠A=∠P=90°より∠ABPと∠AEPが補角をなしているので、∠PBH=∠PEI
また、点Pは対角線上の点より、PH=PI
よって、△PBHと△PEIは合同である。よって、△PBHを△PEIの所に移動させると、3直角とPH=PIより四角形AHPIは正方形になる。よって、四角形ABPEの面積は正方形AHPIの面積と等しく、正方形ABCDの面積の(2/3)×(2/3)=4/9である。
よって、求める面積は、12×12×(4/9)
=144×(4/9)=4×16=64cm²

これは、今朝思い付きました。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/29 07:56削除
こちらhttps://www.msn.com/ja-jp/lifestyle/other/%E5%9B%B3%E5%BD%A2%E5%95%8F%E9%A1%8C-vol-1231-%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%81%AE%E9%83%A8%E5%88%86%E3%81%AE%E9%9D%A2%E7%A9%8D%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%82%88-%E5%85%A83%E5%95%8F/ar-AA1DFSXC?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=f5d648d8a74840dab9ce31a0afcea7ce&ei=11も問題化しておきますね。

問題
正方形ABCDの辺AB,BC,CD,DAをそれぞれ3:1に内分する点をK,L,M,Nとし、AMとBN,BNとCK,CKとDL,DLとAMの交点をそれぞれP,Q,R,Sとする。
正方形ABCDの面積が170cm²である時、四角形PQRSの面積を求めて下さい。

模範解答
直角三角形DRCを辺ABの外側に移動させ、点Rの行き先をR'とすると、△DRCと△BPAは対称性から合同なので、四角形AR'BPは長方形になる。同様に、直角三角形CQBを辺ADの外側に移動させ、点Qの行き先をQ'とすると、四角形DQ'ASも合同な長方形になる。
よって、六角形Q'R'BQRDの面積は正方形ABCDの面積と等しく170cm²である。
ここで、CKの延長とQ'R'との交点をEとして、台形Q'ECDに注目すると、Q'A:AE=DM:MC=1:3
また、BPの延長とQ'Dとの交点をFとすると、対称性から四角形Q'ERDと四角形PQRSが正方形になる事から四角形Q'APFと四角形R'EQBもそれぞれ正方形になり、Q'A:AE:ER'=1:3:1,Q'F:FD=1:3となる(厳密に言えるが省略)。
そこで、AE,FDを3等分して平行線で六角形Q'R'BQRDを分けると、六角形Q'R'BQRDは正方形と長方形の組み合わせなので、小さな正方形9+3+3+1+1=17個に分けられる。
そして、正方形PQRSは9個分なので、170÷17×9=90cm²

別解は次回。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/30 07:54削除
問題
正方形ABCDの辺AB,BC,CD,DAをそれぞれ3:1に内分する点をK,L,M,Nとし、AMとBN,BNとCK,CKとDL,DLとAMの交点をそれぞれP,Q,R,Sとする。
正方形ABCDの面積が170cm²である時、四角形PQRSの面積を求めて下さい。

算数の別解
BL:LC=CM:MD=3:1でBC=CDより、LC=MD
よって、DC:LC=1+3:1=4:1
ところで、正方形の対称性より、四角形PQRSも正方形になる(対称性より、ひし形かつ4つの角が等しいから)。
よって、∠PSR=90°より、DS⊥AM
よって、△DAMの直角から斜辺に垂線が下りている形なので、定石により△DSMと△ADSは相似である。(ちまちま2角が等しい事を示した方が良いかもしれないが、算数なので図的に似ているので省略。引用元の模範解答肯定派。)
また、△DSMと△DCLにおいて、∠MDSを共有している事と∠DSM=∠DCL=90°より2角が等しいので、相似である。
つまり、△DSMと△ADSと△DCLは相似で△DCLはDC:LC=4:1より、直角を挟む2辺の比が全て1:4である。
よって、SM=①とすると、DS=④,AS=④×4=⑯より、AM=①+⑯=⑰
よって、△DAS=(16/17)△DAM……☆
また、△DAM=(1/8)正方形ABCD……☆☆
☆☆を☆に代入すると、
△DAS=(2/17)正方形ABCD
=(2/17)×170=20cm²
ところで、対称性より、△DASと△ABPと△CBQと△DCRは全て合同である。
よって、四角形PQRS=170-20×4
=90cm²

おまけ:
https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12864790211.html
(数Ⅰ(高1の数学)で査読出来るので、自分で査定してみて下さい。因みに、中学数学でも理解出来ない事はない。)
返信
返信5
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/29 10:03 (No.1432558)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題
q=p^r(r≧1)とし、f(X)∈Fq[X]を次数mの既約多項式とする。そのとき、次のことを証明せよ。
f(X)|X^(q^n)-X⇔m|n

証明
「f(X)|X^(q^n)-X⇒m|n」を示す:αをFqのある拡大体におけるf(X)=0の根とする。そのとき、α^(q^n)=αであるから、α∈Fq^nである。それで、Fq(α)はFq^nの部分体と考えられる。ゆえに、
[Fq^n:Fq]=[Fq^n:Fq(α)]・[Fq(α):Fq]
が成り立つ。ここで、f(X)がαの最小多項式であるから[Fq(α):Fq]=m 一方、[Fq^n:Fq]=nであるので、m|nが得られる。
「f(X)|X^(q^n)-X⇐m|n」を示す:Fq^nは部分体としてFq^mを含む(定理6.10)。
αをFqのある拡大体におけるf(X)=0の根とする。このとき、[Fq(α):Fq]=mであり、Fq(α)=Fq^m⊂Fq^nであるから、α∈Fq^nである。したがって、α^(q^n)=αが成り立ち、αはX^(q^n)-X∈Fq[X]の根である。よって、f(X)はX^(q^n)-Xを割り切る(補題2)。
「演習 群・環・体 入門」新妻弘著より

定理6.10
q=p^r(r≧1)とし、Kをq個の元からなる体とする。さらに0<k<r,q'=p^kとする。このとき、Kがq'個の元からなる部分体を含むための必要十分条件はk|rとなることである。

補題2
Kを体、αをKの拡大体Lの元であって、K[X]に属する既約多項式f(X)の根であるとする。このとき、K[X]の多項式g(X)がg(α)=0をみたせば、g(X)はf(X)で割り切れなければならない。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

適当に分かり易く解説して下さい。その後、余裕がある人は、

>αをFqのある拡大体におけるf(X)=0の根とする。

このような体が必ず取れるかどうかと具体的にどういう体かを述べて下さい。

おまけ:
https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12864900408.html
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/29 13:53削除
解説
>αをFqのある拡大体におけるf(X)=0の根とする。そのとき、α^(q^n)=αであるから、α∈Fq^nである。

f(X)|X^(q^n)-Xより、X^(q^n)-X=f(X)・h(X)と置ける。(h(X)∈Fq[X])
∴α^(q^n)-α=f(α)・h(α)=0(f(α)=0より)
∴α^(q^n)=α
ここで、α^(q^n)-α=0とすると、定理6.6より、Fqの元はX^q-X=0の根だから、αはFq^nの元である。
∴α∈Fq^n

定理6.6
Kをq個(q=p^r,r≧1)の元からなる体とすると、Kは多項式X^q-Xの互いに異なるq個の根で構成されている。したがって、X^q-XはK[X]の中で1次式の積に分解される。

>それで、Fq(α)はFq^nの部分体と考えられる。

例6.3から分かる。

例6.3
定理6.1によれば有限体Lの乗法群L*は巡回群であるから、L*の生成元の1つをαとすればL*=<α>である。したがって、Lの任意の部分体Kに対してL=K(α)となっている。すなわち、有限体Lはその任意の部分体Kの単純拡大である。

これは例えば、F8のある元をαとすると、F8=F2(α)となっているという事である。
そして、α∈Fq^nでFq^nはFqの拡大体(F8とF2の関係と同じ)なので、Fq^n=Fq(α)と表されるので、「Fq(α)はFq^nの部分体と考えられる」という事である。

>ここで、f(X)がαの最小多項式であるから[Fq(α):Fq]=m

定理6.4より。

定理6.4
K⊂L,α∈Lとしてαを体K上代数的な元とする。αのK上の最小多項式をp(X)の次数がnであるとする。このとき、{1,α,α^2,…,α^(n-1)}は体K(α)のK上のベクトル空間としての基底である。したがって、[K(α):K]=nである。

念のため、問題文から「f(X)∈Fq[X]を次数mの既約多項式とする」からmである。

>[Fq(α):Fq]=m 一方、[Fq^n:Fq]=nであるので、m|nが得られる。

上より、
[Fq^n:Fq]=[Fq^n:Fq(α)]・[Fq(α):Fq]
に代入すると、
n=[Fq^n:Fq(α)]・m
∴[Fq^n:Fq(α)]=n/m
左辺が整数より右辺も整数。よって、nはmで割り切れる。よって、m|nという事。

「KのF上のベクトル空間としての次元dim_FKを拡大F⊂Kの次数といい、記号[K:F]により表す。
[K:F]=dim_FK
=KのF上のベクトル空間の次元」
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

念のため、だから整数という事。

>Fq^nは部分体としてFq^mを含む(定理6.10)。

定理6.10
q=p^r(r≧1)とし、Kをq個の元からなる体とする。さらに0<k<r,q'=p^kとする。このとき、Kがq'個の元からなる部分体を含むための必要十分条件はk|rとなることである。

上よりm|nだから、定理6.10により「Fq^nは部分体としてFq^mを含む」という事。

>αをFqのある拡大体におけるf(X)=0の根とする。このとき、[Fq(α):Fq]=mであり、

定理6.4より、

定理6.4
K⊂L,α∈Lとしてαを体K上代数的な元とする。αのK上の最小多項式をp(X)の次数がnであるとする。このとき、{1,α,α^2,…,α^(n-1)}は体K(α)のK上のベクトル空間としての基底である。したがって、[K(α):K]=nである。

[Fq(α):Fq]=m
(念のため、mの理由は上で説明した通り。)

>Fq(α)=Fq^m⊂Fq^nであるから、α∈Fq^nである。

Fq(α)⊂Fq^nから、Fq係数の多項式にαを代入したものはFq^nの元なので、αも元の1つである。∴α∈Fq^n
注:Fq(α)=Fq^mの理由は次回。

>したがって、α^(q^n)=αが成り立ち、αはX^(q^n)-X∈Fq[X]の根である。

(上から)α∈Fq^nで、定理6.6よりFqの元はX^q-X=0の根なので、αはX^(q^n)-X=0の根である。
∴α^(q^n)-α=0 ∴α^(q^n)=α
また、X^(q^n)-Xの係数は1と-1でFqは体なので乗法の単位元1とその加法の逆元-1を含むので、X^(q^n)-XはFq係数の多項式である。
∴X^(q^n)-X∈Fq[X] また、α^(q^n)-α=0より、
「αはX^(q^n)-X∈Fq[X]の根である」という事である。
念のため、何故こんな事をわざわざ言うのかは、補題2を適用するためである。

補題2
Kを体、αをKの拡大体Lの元であって、K[X]に属する既約多項式f(X)の根であるとする。このとき、K[X]の多項式g(X)がg(α)=0をみたせば、g(X)はf(X)で割り切れなければならない。

同じFq[X]の多項式である必要があるという事である。

余裕がある人は、

>αをFqのある拡大体におけるf(X)=0の根とする。

このような体が必ず取れるかどうかと具体的にどういう体かを述べて下さい。


これとFq(α)=Fq^mの理由は次回。念のため、私はギリギリなので、正しいかどうかは知らない。よく吟味して下さいという事です。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/29 15:53削除
解説の続き

問題
q=p^r(r≧1)とし、f(X)∈Fq[X]を次数mの既約多項式とする。そのとき、次のことを証明せよ。
f(X)|X^(q^n)-X⇔m|n

証明
「f(X)|X^(q^n)-X⇒m|n」を示す:αをFqのある拡大体におけるf(X)=0の根とする。そのとき、α^(q^n)=αであるから、α∈Fq^nである。それで、Fq(α)はFq^nの部分体と考えられる。ゆえに、
[Fq^n:Fq]=[Fq^n:Fq(α)]・[Fq(α):Fq]
が成り立つ。ここで、f(X)がαの最小多項式であるから[Fq(α):Fq]=m 一方、[Fq^n:Fq]=nであるので、m|nが得られる。
「f(X)|X^(q^n)-X⇐m|n」を示す:Fq^nは部分体としてFq^mを含む(定理6.10)。
αをFqのある拡大体におけるf(X)=0の根とする。このとき、[Fq(α):Fq]=mであり、Fq(α)=Fq^m⊂Fq^nであるから、α∈Fq^nである。したがって、α^(q^n)=αが成り立ち、αはX^(q^n)-X∈Fq[X]の根である。よって、f(X)はX^(q^n)-Xを割り切る(補題2)。
「演習 群・環・体 入門」新妻弘著より

>αをFqのある拡大体におけるf(X)=0の根とする。

補題1により、そのような体が必ず存在する事が保証されている。

補題1
Kを有限体,f(X)を多項式環K[X]に属する既約多項式とする。そのとき、環L=K[X]/(f(X))はKの拡大体であり、Xの剰余類 |Xはf(X)のLにおける根である。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

具体的には、定理6.4を使うと、

定理6.4
K⊂L,α∈Lとしてαを体K上代数的な元とする。αのK上の最小多項式をp(X)の次数がnであるとする。このとき、{1,α,α²,…,α^(n-1)}は体K(α)のK上のベクトル空間としての基底である。したがって、[K(α):K]である。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

問題文よりf(X)の次数はmで、αは既約多項式f(X)の根より、定理6.4により、Fqの拡大次数はmである。
よって、補題で保証された体Lは、
L=Fq[X]/(f(X))=Fq^m
となる。(この辺は具体例の例6.5や例6.8を見て貰えば正しい事が分かる。)

>Fq(α)=Fq^m⊂Fq^nである

上の解説より、α∈Fq^m
よって、例6.3から、

例6.3
定理6.1によれば有限体Lの乗法群L*は巡回群であるから、L*の生成元の1つをαとすればL*=<α>である。したがって、Lの任意の部分体Kに対してL=K(α)となっている。すなわち、有限体Lはその任意の部分体Kの単純拡大である。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

これは例えば、F8のある元をαとすると、F8=F2(α)となっているという事である。
そして、α∈Fq^mでFq^mはFqの拡大体(F8とF2の関係と同じ)なので、Fq^m=Fq(α)と表されるという事。

おまけ:
コメント欄の「『スケバン刑事』原作版で麻宮サキが「悪を倒せるのは、悪を知った者だけだ!」って云ってたな」が面白いね。
https://kotobank.jp/word/%E6%BC%8F%E5%B0%BD%E9%80%9A-414350#goog_rewarded
返信
返信2
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/24 21:36 (No.1430004)削除
問題
辺の長さがすべて3の正三角錐OABCがある。辺OA,OC,CB上にAD=OE=CF=2となるように、それぞれD,E,Fをとる。正三角錐OABCを3点D,E,Fを通る平面で切る。
(1)切り口の周の長さを求めなさい。
(2)切り口の面積を求めなさい。
(05 日大桜丘-改題)

ODの所をADにしてみました。ヒントがないと難しいと思います。

ヒント:EFの延長とOBの延長の交点をGとして、DGとABの交点をXとして下さい。ただし、DGとABが交わる理由も述べて下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/25 07:30削除
問題
辺の長さがすべて3の正三角錐OABCがある。辺OA,OC,CB上にAD=OE=CF=2となるように、それぞれD,E,Fをとる。正三角錐OABCを3点D,E,Fを通る平面で切る。
(1)切り口の周の長さを求めなさい。
(2)切り口の面積を求めなさい。
(05 日大桜丘-改題)

ヒントへの回答
EFの延長とOBの延長との交点をGとすると、DGとABが交わる理由は、三角錐G-ODEを平面ABCが切った形になるからである。
また、ABとDGの交点をXとして、四角形DEFXが求める断面図である理由は、平面DEFと平面OABの交わり(交線)を考えて、平面OABの一部のOBを延長させ、また平面DEFの一部であるEFを延長させ、その交点をGとすると、点Gは平面OABと平面DEFの交線の一部である。また、点Dも平面OABと平面DEFの交線の一部であるので、2つの平面の交線は直線DGである事が分かる。また、DGは平面OAB上の直線でもあるので、ABと交わる訳である。よって、四角形DEFXが求める断面図である。

解答は次回。

おまけ:
(私も娘が欲しかった。笑)
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/26 08:03削除
問題
辺の長さがすべて3の正三角錐OABCがある。辺OA,OC,CB上にAD=OE=CF=2となるように、それぞれD,E,Fをとる。正三角錐OABCを3点D,E,Fを通る平面で切る。
(1)切り口の周の長さを求めなさい。
(2)切り口の面積を求めなさい。
(05 日大桜丘-改題)

解答
(1)EFの延長とOBの延長との交点をGとし、DGとABの交点をXとすると、切り口は四角形DEFXとなる(理由は前回済み)。
まず、△COBと直線EGでメネラウスの定理を使うと、(1/2)(1/2)(GO/GB)=1
∴GO/GB=4 ∴GB:GO=1:4
∴GB:BO=1:3 また、BO=3より、
GB=1 また、OG=3+1=4
次に、△AOBと直線DGでメネラウスの定理を使うと、(2/1)(XB/AX)(4/1)=1
∴XB/AX=1/8 ∴AX:XB=8:1
∴AB:XB=9:1 また、AB=3より、
XB=1/3
ここで、XからBFに垂線を下ろしその足をHとすると、△XBHは1:2:√3の直角三角形より、BH=1/6,XH=√3/6
また、BF=1より、FH=1-1/6=5/6
よって、△XHFで三平方の定理を使うと、
XF=√{(5/6)²+(√3/6)²}
=√(28/36)=2√7/6=√7/3
∴XF=√7/3……①
また、△ODEと△CEFはちょうど1:2:√3の直角三角形になるので、
DE=EF=√3……②
さらに、DからAXに垂線を下ろしその足をIとすると、△DAIは1:2:√3の直角三角形より、AI=1,DI=√3
また、AX=3-1/3=8/3より、IX=8/3-1=5/3
よって、△DIXで三平方の定理を使うと、
DX=√{(√3)²+(5/3)²}=√(52/9)
=2√13/3
∴DX=2√13/3……③
①,②,③より、四角形DEFXの周の長さは、
DE+EF+XF+DX
=2√3+√7/3+2√13/3
よって、切り口の周の長さは、
2√3+√7/3+2√13/3
(2)また、DからOGに垂線を下ろしその足をJとすると、△DOJは1:2:√3の直角三角形でOD=1より、OJ=1/2,DJ=√3/2
∴JG=OG-OJ=4-1/2=7/2
よって、△DJGで三平方の定理を使うと、
DG=√{(√3/2)²+(7/2)²}=√(52/4)
=√13
よって、△EDGを描くと、ED=√3,DG=√13,GE=2√3の三角形である。
また、DX=2√13/3より、XG=√13-2√13/3=√13/3
よって、GF:GE=1:2,GX:GD=1:3より、1つの角を共有した三角形の面積比の公式により、△GFX=(1/2)×(1/3)×△GED=(1/6)△GED
よって、四角形DEFX=(5/6)△GED
よって、△GED(△EDG)の面積を求める。
そこで、EからDGに垂線を下ろしその足をKとし、EK=x,DK=yと置いて三平方の定理を使うと、x²+y²=(√3)²=3……① 
x²+(√13-y)²=(2√3)²=12……②
①-②より、2√13y-13=3-12
∴2√13y=4 ∴y=2/√13
これを①に代入すると、
x²=3-4/13=35/13
∴x=√35/√13
∴△EDG=√13×(√35/√13)×(1/2)=√35/2
∴四角形DEFX=(5/6)△EDG
=(5/6)×(√35/2)=5√35/12
よって、切り口の面積は、5√35/12

因みに、改題していない問題の解答と比較すると、
(1)6.4641016に対して6.7497196
(2)2.4874686に対して2.4650332
と近いので、OKとした。(他の検算方法は省略する。)まぁ、暇があったらやった方が良い。

おまけ:
https://www.wordproject.org/bibles/jp/66/11.htm#0
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/26 15:37削除
補足
>よって、△EDGを描くと、ED=√3,DG=√13,GE=2√3の三角形である。
また、DX=2√13/3より、XG=√13-2√13/3=√13/3
よって、GF:GE=1:2,GX:GD=1:3

GF=√3である事を書くのを忘れていました。
△BGFが頂角が120°で等辺が1の二等辺三角形なので、底辺は1:√3で√3という事です。
また、検算代わりに、XF=√7/3を別の方法で求めて、私の解答がシロである事を間接的に証明しますね。
上より、
EK=x,DK=yと置いて三平方の定理を使うと、x²+y²=(√3)²=3……① 
x²+(√13-y)²=(2√3)²=12……②
①-②より、2√13y-13=3-12
∴2√13y=4 ∴y=2/√13
これを①に代入すると、
x²=3-4/13=35/13
∴x=√35/√13

よって、DK=y=2/√13
∴GK=√13-2/√13=11/√13
ここで、FからGKに垂線を下ろしその足をLとすると、FL=(1/2)EK=√35/2√13
また、GL=(1/2)GK=11/2√13
∴XL=GL-XG
上より、XG=√13-2√13/3=√13/3なので、XL=11/2√13-√13/3
=11/2√13-13/3√13
=33/6√13-26/6√13
=7/6√13
∴XL=7/6√13
また、FL=√35/2√13より、△FLXで三平方の定理を使うと、
XF=√{(7/6√13)²+(√35/2√13)²}
=√(49/36・13+35/4・13)
=√(49/36・13+315/36・13)
=√(364/36・13)
=√(91/9・13)
=√7/3
∴XF=√7/3
よって、合うのでOK。

おまけ:
返信
返信3
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/25 13:37 (No.1430272)削除
次の文章を完全解説して下さい。

例題6.2
次の(1)~(3)を証明せよ。ただし、f,f'はともにAからBへの写像,g,g'はBからCへの写像とする。
(1)f,gがともに全単射のとき、(g◦f)^-1=f^-1◦g^-1である。
(2)合成写像g◦fが単射ならばfは単射である。また、g◦fが全射ならばgは全射である。
(3)gが単射のとき、g◦f=g◦f'ならばf=f'である。fが全射のとき、g◦f=g'◦fならばg=g'である。


(1)cをCの任意の要素とする。g◦fによってcにうつされるAの要素をaとすると(g◦f)(a)=g(f(a))=cより(g◦f)^-1(c)=aである。
他方、b=f(a)とおくとg(b)=cだから
b=g^-1(c),a=f^-1(b)である。
よって
(f^-1◦g^-1)(c)=f^-1(g^-1(c))=f^-1(b)=a
となる。
以上より(g◦f)^-1=f^-1◦g^-1である。
(2)a₁,a₂をAの要素とする。f(a₁)=f(a₂)ならばa₁=a₂であることを示せばよい。
f(a₁)=f(a₂)とすると明らかに
g(f(a₁))=g(f(a₂)),
つまり(g◦f)(a₁)=(g◦f)(a₂)
が成り立つが、g◦fは単射であるからa₁=a₂となる。よってfは単射である。
次にg◦fを全射とすると、任意のc∈Cに対して(g◦f)(a)=cをみたすa∈Aが存在する。いいかえると、任意のcに対してc=g(f(a))をみたすf(a)∈Bが存在するので、gは全射である。
(3)aをAの任意の要素とする。g◦f=g◦f'より(g◦f)(a)=(g◦f')(a),つまりg(f(a))=g(f'(a))となるが、gが単射なのでf(a)=f'(a)となり、したがってf=f'である。
次に、bをBの任意の要素とするとfは全射なので、b=f(a)なるa∈Aが存在する。g◦f=g'◦fだから(g◦f)(a)=(g'◦f)(a),つまりg(f(a))=g'(f(a)),よってg(b)=g'(b)となるが、b∈Bは任意の要素であったから、これはg=g'を意味する。

(2)は次のように考えることもできます。
fが単射でないとしましょう。すると、Aの異なる要素a₁,a₂でf(a₁)=f(a₂)をみたすものが存在します。そこでg◦fが単射だとすると(g◦f)(a₁)≠(g◦f)(a₂),つまりg(f(a₁))≠g(f(a₂))となるはずですが、これは明らかにf(a₁)=f(a₂)に反します。したがって、このようなa₁,a₂は存在しないことになりfは単射であることがいえます。
後半も同様の考え方でできます。実際、gが全射でないとしましょう。すると、Cの要素cでc∉g(B)をみたすものがありますが、他方g◦fが全射ならばこのcに対して(g◦f)(a)=c,つまりg(f(a))=cをみたすaが存在します。f(a)∈Bなので、これがc∉g(B)に反することは明らかでしょう。
「ガロアに出会う はじめてのガロア理論」のんびり数学研究会より

分かり易い証明なので解説する必要はないでしょう。もちろん、本当の素人用にかみ砕いても良いですが、何か失礼なような気もしますし。因みに、(2)の補足は明らかに背理法を使った別証ですが、(多面的に)理解させる事を最優先にしているのでしょうね。
そこで、(1)~(3)の証明というよりイメージ的な意味を解説して下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/25 16:15削除
解説の続き

例題6.2
次の(1)~(3)を証明せよ。ただし、f,f'はともにAからBへの写像,g,g'はBからCへの写像とする。
(1)f,gがともに全単射のとき、(g◦f)^-1=f^-1◦g^-1である。
(2)合成写像g◦fが単射ならばfは単射である。また、g◦fが全射ならばgは全射である。
(3)gが単射のとき、g◦f=g◦f'ならばf=f'である。fが全射のとき、g◦f=g'◦fならばg=g'である。
「ガロアに出会う はじめてのガロア理論」のんびり数学研究会より

(1)  f g
   A→B→C
まず、(g◦f)^-1は、fをやってgをやってその行程の逆という意味だから、C→B→A
一方、f^-1◦g^-1は、gの逆をやった後にfの逆をやるという意味だから、C→B,B→A
つまり、C→B→A
よって、(g◦f)^-1=f^-1◦g^-1が成り立つという事である。
ここで、大事な事は、fが全単射じゃないと逆写像f^-1は存在しないという事である。昨日述べたように、写像は多対1または1対1対応で、例えばfが多対1対応だとすると、f^-1は逆で1対多対応となり写像ではなくなってしまうからである。似たような理由で全射でもなければならないので、全単射でなければならないという事。
因みに、fが写像であれば逆像f^-1(逆写像ではない)は必ず存在する。

(2)「合成写像g◦fが単射ならばfは単射である。また、g◦fが全射ならばgは全射である。」
前半は、A→B→Cが1通りなのでA→Bは1通りしかないと単純に考えて良い。実際、B→Cが単射でなくてもBの時点で1つの元になっている(写像は多対1または1対1対応だから)のでB→Cは1通りだけだが、A→Bが単射でないとg◦f(全体)も単射でなくなる。
後半は、g◦fが全射なので最後のCの全ての元に対応しているので、B→Cも全射である事は当然の事である。

(3)「gが単射のとき、g◦f=g◦f'ならばf=f'である。fが全射のとき、g◦f=g'◦fならばg=g'である。」
前半は、fとf'によりBの元がそれぞれ1つずつ定まり、これが異なっている場合はgが単射でない写像でCの同じ元に写像する場合があるが、gが単射でCの行った先が同じ場合はBでも必ず一致するという事。つまり、gが単射ならばfの後のgは消しても良いという事である。(Bで一致していれば自動的にCでも一致するから。)
後半は、fが全射よりBの全ての元がgとg'の定義域になるので、g◦f=g'◦fのfを消してもgとg'は写像として独立して成り立つという事である。つまり、g=g'となるという事。

ところで、g◦f=g◦f'ならばg^-1を左から掛ければ、g^-1◦(g◦f)=g^-1◦(g◦f')
よって、(g^-1◦g)◦f=(g^-1◦g)◦f'
よって、f=f'なので、gに条件なんかいらないと思わなかっただろうか。
ここで、初めに述べた逆写像の条件が役に立つのである。つまり、逆写像を持つには全単射でなければならないので、ここでのgは全単射である。つまり、それよりゆるい条件でも十分ですよというのが今回の定理の(3)の真の意味である。念のため、g◦f=g'◦fの方も同じ。

おまけ:
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/24 11:54 (No.1429742)削除
次の文章を完全解説して下さい。

単射,全射,および全単射
写像f:A→Bが単射であるとは
Aの要素a₁,a₂に対して、a₁≠a₂ならばf(a₁)≠f(a₂)であることです。これは対偶をとって
a₁,a₂∈Aに対して、f(a₁)=f(a₂)ならばa₁=a₂
が成り立つこと、ということもできます。
fが全射であるとは
Bの任意の要素bに対してf(a)=bをみたすa∈Aが存在することで定めます。
単射,全射はそれぞれ1対1の写像、上への写像ともよばれますが、要するに、Aの異なる行き先は必ず異なるような写像が単射であり、Bの要素でfによる像になっていないものはない場合が全射です。全射は値域f(A)がBと一致するような写像である、ということもできます。
単射で同時に全射であるものを全単射といいます。
また、写像f:A→AがAの任意の要素を動かさない、つまり、任意のa∈Aに対してf(a)=aであるとき、fをAの恒等写像(identity)といいます。
以上を、関数f:ℝ→ℝの例を用いて理解しておきましょう。いずれも、グラフを思い浮かべて考えてみてください。

例5.1
(ⅰ)f(x)=2^xは単射だが全射ではない。
(ⅱ)f(x)=x³-xは全射であるが単射ではない。
(ⅲ)f(x)=x³は全単射である。
(ⅳ)f(x)=sinxは単射でも全射でもない。
(ⅴ)f(x)=xは恒等写像であり、もちろん全単射である。
「ガロアに出会う はじめてのガロア理論」のんびり数学研究会より

一応、例5.1を証明してみて下さい。あと、(ⅳ)は反例を挙げれば済みますが、それでは面白くないので数式でも証明して下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/24 13:44削除
例5.1
(ⅰ)f(x)=2^xは単射だが全射ではない。
(ⅱ)f(x)=x³-xは全射であるが単射ではない。
(ⅲ)f(x)=x³は全単射である。
(ⅳ)f(x)=sinxは単射でも全射でもない。
(ⅴ)f(x)=xは恒等写像であり、もちろん全単射である。

証明
(ⅰ)まず、単射である事の証明。
f(x₁)=2^x₁,f(x₂)=2^x₂
f(x₁)=f(x₂)とすると、2^x₁=2^x₂
この両辺の常用対数を取ると、
x₁log2=x₂log2 ∴x₁=x₂
よって、f(x₁)=f(x₂)ならばx₁=x₂より、
fは単射である。
次に、全射でない事は、x→+∞でf(x)→+∞
x→-∞でf(x)→0
つまり、f:ℝ→ℝ+で値域には負の領域が存在しないので全射ではない。
https://zenn.dev/wsuzume/articles/b0b3a51cac5d7fe4555b
(ⅱ)まず、単射でない事の証明。反例を挙げても良いが、それでは面白くないので、
f(x₁)=x₁³-x₁,f(x₂)=x₂³-x₂
f(x₁)=f(x₂)とすると、x₁³-x₁=x₂³-x₂
∴x₁³-x₂³-x₁+x₂=0
∴(x₁-x₂)(x₁²+x₁x₂+ⅹ₂²)-(x₁-x₂)=0
∴(x₁-x₂)(x₁²+x₁x₂+ⅹ₂²-1)=0
∴x₁=x₂,x₁²+x₁x₂+ⅹ₂²-1=0
よって、x₁²+x₂x₁+ⅹ₂²-1=0として、判別式を調べると、
D=x₂²-4(x₂²-1)=-3x₂²+4
例えば、x₂=0とするとD>0より、
x₁²+x₁x₂+ⅹ₂²-1=0は実数解を持つ。
つまり、x₁=x₂以外にも解を持つので、
f(x₁)=f(x₂)ならばx₁=x₂とは限らないので、単射ではない。
全射である事は、x→+∞でf(x)→+∞,x→-∞でf(x)→-∞でf(x)は連続関数なので、
f:ℝ→ℝで全射である。
(x→+∞でf(x)→+∞は厳密には微分で増減表を考えれば良い。念のため、厳密性にはこだわりません。)
因みに、微分で増減表を作って単調増加(減少)でない事から単射でない事を言っても良いが、省略。
(f'(x)=3x²-1=0よりx=±1/√3,f(1/√3)=1/3√3-1/√3=-2/3√3,f(-1/√3)=-1/3√3+1/√3=2/3√3
よって、例えば、y=0とすると、x³-x=0でx(x²-1)=0 ∴x=0,±1
よって、fによって、0,±1は0に写像されるので単射ではない。結局、具体例を出してしまいましたね。)

続きは次回。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/4/24 16:10削除
続き

例5.1
(ⅰ)f(x)=2^xは単射だが全射ではない。
(ⅱ)f(x)=x³-xは全射であるが単射ではない。
(ⅲ)f(x)=x³は全単射である。
(ⅳ)f(x)=sinxは単射でも全射でもない。
(ⅴ)f(x)=xは恒等写像であり、もちろん全単射である。

証明
(ⅲ)まず、単射の証明。
f(x₁)=x₁³,f(x₂)=x₂³
f(x₁)=f(x₂)とすると、x₁³=x₂³
∴x₁³-x₂³=0 
∴(x₁-x₂)(x₁²+x₁x₂+x₂²)=0
∴x₁=x₂,x₁²+x₁x₂+x₂²=0
x₁²+x₁x₂+x₂²
=(x₁+x₂/2)²+3x₂²/4
よって、x₁=x₂=0以外の場合は>0となり、実数解を持たない。x₁=x₂=0の場合は、x₁=x₂の場合に含まれるので、
f(x₁)=f(x₂)ならばx₁=x₂である。
よって、fは単射である。
全射の証明は、x→+∞でf(x)→+∞,x→-∞でf(x)→-∞ また、fは連続関数より、
f:ℝ→ℝでfは全射である。
(ⅳ)sinxは周期関数であるので単射でない事は自明だが、それでは面白くないので、
f(x₁)=sinx₁,f(x₂)=sinx₂
f(x₁)=f(x₂)とすると、sinx₁=sinx₂
∴sinx₁-sinx₂=0
ここで、和と積の公式を使うと、
sinx₁-sinx₂=2cos{(x₁+x₂)/2}・sin{(x₁-x₂)/2}=0
∴cos{(x₁+x₂)/2}=0,sin{(x₁-x₂)/2}=0
(1)cos{(x₁+x₂)/2}=0の場合
(x₁+x₂)/2=π/2+nπ(nは整数)
∴x₁+x₂=π+2nπ(nは整数)
∴x₁=-x₂+(2n+1)π(nは整数)
(2)sin{(x₁-x₂)/2}=0の場合
(x₁-x₂)/2=0+nπ(nは整数)
∴x₁-x₂=2nπ(nは整数)
∴x₁=x₂+2nπ(nは整数)
よって、(2)のn=0の場合のみ単射となり、それ以外の可能性が多々あるので単射ではない。
全射でない証明は、f(x)=sinxの値域は-1≦sinx≦1で、実数全体ではないので全射ではない。
(ⅴ)f(x₁)=x₁,f(x₂)=x₂
f(x₁)=f(x₂)とすると、x₁=x₂
よって、f(x₁)=f(x₂)ならばx₁=x₂より、fは単射である。
また、恒等写像であるので全射は自明とする。
ところで、

「写像f:A→Bが単射であるとは
Aの要素a₁,a₂に対して、a₁≠a₂ならばf(a₁)≠f(a₂)であることです。これは対偶をとって
a₁,a₂∈Aに対して、f(a₁)=f(a₂)ならばa₁=a₂
が成り立つこと、ということもできます。」
「ガロアに出会う はじめてのガロア理論」のんびり数学研究会より

単射の定義が「a₁≠a₂ならばf(a₁)≠f(a₂)」である理由は、写像が多対1対応または1対1対応だからである。

写像
「A,Bを集合とします。Aの任意の要素aに対して、何らかの規則によってBの要素を1つだけ対応させることができるとき、その規則をAからBへの写像といいます。」
「ガロアに出会う はじめてのガロア理論」のんびり数学研究会より

だから、ⅹ²+y²=1などは写像ではない(1対多対応だから)。ただし、y=±√(1-x²)とすると、f(x)=√(1-x²),g(x)=-√(1-x²)はそれぞれ写像となる。

「高校で学ぶいろいろな関数も、y=f(x)の形で表わすと、xの値を与えることでyの値が1つ定まり、したがって実数から実数への写像とみなすことができます。この場合のxをyに対応させる規則とはまさしく具体的な式として表わされたf(x)ということになります。その意味で写像とは関数を一般化した概念とみなしてもよいでしょう。」
「ガロアに出会う はじめてのガロア理論」のんびり数学研究会より

おまけ:
https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%BC%28%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%81%AE%E5%A5%87%E5%A6%99%E3%81%AA%E5%86%92%E9%99%BA%29
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