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壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/12 10:55 (No.1406215)削除
次の文章を完全解説して下さい。

命題(3.2.11)
Fが線型空間VからV'への線型写像で、dimV=dimV'<∞であるとき、次の5つの条件は同値である。
(ⅰ)Fの核が零元0∈Vのみ。F^-1(0')=0
t(ⅰ)rankF=dimV
(ⅱ)Fは単射である。
t(ⅱ)Fは全射である。
(ⅲ)Fは同型写像である。

証明
(ⅲ)⇒(ⅱ)⇒(ⅰ)は明白。
(ⅰ)⇔(ⅱ)は既出(1.4.9)。
(ⅰ)⇔t(ⅱ)は次元定理dimV=dimF^-1(0')+rankFより明白。
t(ⅰ)⇔t(ⅱ) 
rankF=dimV⇔ dimF(V)=dimV'⇔F(V)=V'
(ⅱ)⇒(ⅲ) このとき、(ⅱ)⇒(ⅰ)⇒t(ⅰ)⇒t(ⅱ)より、Fは全射、したがって双射である。Fは線型写像で双射となったから同型写像である。 (証明終)
「線型代数入門」有馬哲著より

命題(1.4.9)
線型写像F:V→V'に対して、
Fが単射である⇔Fの核が零元のみ、
すなわちF^-1(0')={0}

定理(3.2.9)(次元定理)
dimV<∞のとき、線型写像F:V→V'に対しdimV=dimF^-1(0')+dimF(V)
もっとくわしく、Vの基底<b₁,…,br,br+1,…,bn>を適当にとれば、<b₁,…,br>がFの核F^-1(0')の基底、<F(br+1),…,F(bn)>が像F(V)の基底となる。

定義
Vが有限次元であるとき、線型写像F:V→V'の像の次元dimF(V)をFの階数と言い、rankFで表す。したがって
dimV=rankF+dimF^-1(0')

「明白」な所も一応解説して下さい。
特に「dimF(V)=dimV'⇔F(V)=V'」とか。

おまけ:
https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12889247757.html
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/12 14:07削除
解説
>(ⅲ)⇒(ⅱ)⇒(ⅰ)は明白。

(ⅲ)Fは同型写像である。
(ⅱ)Fは単射である。
(ⅰ)Fの核が零元0∈Vのみ。F^-1(0')=0

命題(1.4.11)より、同型写像は全単射(双射)なので、(ⅲ)⇒(ⅱ)
また、命題(1.4.9)より、単射ならばFの核が零元のみなので、(ⅱ)⇒(ⅲ)
よって、(ⅲ)⇒(ⅱ)⇒(ⅰ)

命題(1.4.11)
線型写像F:V→V'に対して、次の三条件は同値である。
(ⅰ)Fは同型写像である。
(ⅱ)Fは双射である。
(ⅲ)線型写像G:V'→Vがあって
G◦F=Iv,F◦G=Iv'
が成り立つ。

命題(1.4.9)
線型写像F:V→V'に対して、
Fが単射である⇔Fの核が零元のみ、
すなわちF^-1(0')={0}

>(ⅰ)⇔(ⅱ)は既出(1.4.9)。

その通り。

>(ⅰ)⇔t(ⅰ)は次元定理dimV=dimF^-1(0')+rankFより明白。

(ⅰ)Fの核が零元0∈Vのみ。F^-1(0')=0
t(ⅰ)rankF=dimV
定義
Vが有限次元であるとき、線型写像F:V→V'の像の次元dimF(V)をFの階数と言い、rankFで表す。したがって
dimV=rankF+dimF^-1(0')

まず、(ⅰ)⇒t(ⅰ)を示す。
F^-1(0')=0をdimV=rankF+dimF^-1(0')に代入すると、dimV=rankF
よって、示された。
次に、t(ⅰ)⇒(ⅰ)を示す。
rankF=dimVならば次元定理の式に代入すると、dimF^-1(0')=0である。よって、定義と命題(3.2.2)(ⅰ)より、F^-1(0')={0}
よって、示された。

定義と命題(3.2.2)
数体K上の線型空間Vに対して
(ⅰ)V={0}のとき、Vは0次元であると言い、dimkV=0と書く。
(ⅱ)は省略。

>t(ⅰ)⇔t(ⅱ) 
rankF=dimV⇔ dimF(V)=dimV'⇔F(V)=V'

まず、rankF=dimV⇔ dimF(V)=dimV'は、
t(ⅰ)rankF=dimVのrankFを下の定義と次元定理の式よりdimF(V)に置き換え、また、条件よりdimV=dimV'なので右辺も置き換えると、
dimF(V)=dimV'となるという事。

定義
Vが有限次元であるとき、線型写像F:V→V'の像の次元dimF(V)をFの階数と言い、rankFで表す。したがって
dimV=rankF+dimF^-1(0')

定理(3.2.9)(次元定理)
dimV<∞のとき、線型写像F:V→V'に対し
dimV=dimF^-1(0')+dimF(V)

次に、dimF(V)=dimV'⇔F(V)=V'は、
まず、dimF(V)=dimV'⇒F(V)=V'を示す。
ところで、F(V)はV'の部分空間より、命題(3.2.8)(ⅱ)により、F(V)=V'

命題(3.2.8)
WがVの部分空間,dimV<∞であるとき、
(ⅰ)dimW≦dimV,特にdimW<∞
(ⅱ)dimW=dimVならばW=V

よって、示された。念のため、F(V)がV'の部分空間である理由は、命題と定義(1.4.2)(ⅱ)。

命題と定義(1.4.2)
(ⅰ)は省略。
(ⅱ)VのFによる像
F(V)={F(x)|x∈V}
はV'の部分空間である。

次に、F(V)=V'⇒dimF(V)=dimV'を示す。
F(V)=V'より同一空間で次元が等しいので、dimF(V)=dimV'
よって、示された。

念のため、F(V)=V'は全射を意味しているので、「t(ⅱ)Fは全射である」という事。(t(ⅰ)⇔t(ⅱ) の証明)

>(ⅱ)⇒(ⅲ) このとき、(ⅱ)⇒(ⅰ)⇒t(ⅰ)⇒t(ⅱ)より、Fは全射、したがって双射である。Fは線型写像で双射となったから同型写像である。

上より、(ⅰ)⇔(ⅱ),(ⅰ)⇔t(ⅰ),t(ⅰ)⇔t(ⅱ),(ⅲ)⇒(ⅱ)が示されたので、あとは(ⅱ)⇒(ⅲ)を示せば、5つの条件が全て同値である事が言える。そこで、
(ⅱ)⇒(ⅰ)⇒t(ⅰ)⇒t(ⅱ)より、
Fが単射ならばFは全射である。よって、Fは条件より線型写像かつ全単射(双射)となるので、同型写像である。
よって、(ⅱ)⇒(ⅲ)が示されたという事。

(ⅰ)Fの核が零元0∈Vのみ。F^-1(0')=0
t(ⅰ)rankF=dimV
(ⅱ)Fは単射である。
t(ⅱ)Fは全射である。
(ⅲ)Fは同型写像である。

命題(1.4.11)
線型写像F:V→V'に対して、次の三条件は同値である。
(ⅰ)Fは同型写像である。
(ⅱ)Fは双射である。
(ⅲ)線型写像G:V'→Vがあって
G◦F=Iv,F◦G=Iv'
が成り立つ。

おまけ:
https://www.nicovideo.jp/watch/sm44323093
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/11 11:40 (No.1405661)削除
次の文章を完全解説して下さい。

例6.9
定理6.9も有限体の特徴の1つである。それはFp[X]の多項式を因数分解する際の基礎である。X^16-XをF₂[X]で既約分解してみよう。

X^16-X=X・(X^15-1)

X^15-1は
X³-1=(X-1)(X²+X+1)と
X⁵-1=(X-1)(X⁴+X³+X²+X+1)
で割り切れることを利用して割り算を実行する。

X^16-X=X(X³-1)(X^12+X⁹+X⁶+X³+1)
=X(X-1)(X²+X+1)(X⁴+X³+X²+X+1)
×(X⁸+X⁷+X⁵+X⁴+X³+X+1)
=X(X-1)(X²+X+1)(X⁴+X³+X²+X+1)
×(X⁴+X³+1)(X⁴+X+1)

ただし、8次式を分解する最後のステップは
X⁴+X³+1,X⁴+X+1,X⁴+X³+X²+X+1
の3つの多項式により、F₂[X]に属する4次既約多項式がすべてつくされることを利用している。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

定理6.9
q=p^r(r≧1)とし、f(X)をFp[X]の次数がkである既約多項式とする。このとき、k|rであることとf(X)|X^q-Xであることは同値である。

例6.2
F₂[X]に属する3次までの既約多項式をすべて求めてみる。
(中略)
F₂[X]の次数が3次以下の既約多項式は
X,X+1,X²+X+1,X³+X²+1,X³+X+1
ですべてである。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

適当に補足解説して下さい。今回は比較的簡単ですね。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/11 14:21削除
解説
>X^15-1は
X³-1=(X-1)(X²+X+1)と
X⁵-1=(X-1)(X⁴+X³+X²+X+1)
で割り切れることを利用して割り算を実行する。

X^15-1にXをかけるとX^16-Xで定理6.9より、16=2⁴

定理6.9
q=p^r(r≧1)とし、f(X)をFp[X]の次数がkである既約多項式とする。このとき、k|rであることとf(X)|X^q-Xであることは同値である。

で、X²+X+1の次数は2より2|4なので、X^16-XはX²+X+1で割り切れる。
また、X^16-Xには因数X-1があるので、X²+X+1にX-1をかけると、X³-1になり、X^16-XはX³-1で割り切れる。
よって、XでくくったX^15-1もX³-1で割り切れるという事。
因みに、X²+X+1が既約多項式である事が大事だが、それは例6.2から分かる。

例6.2
F₂[X]に属する3次までの既約多項式をすべて求めてみる。
(中略)
F₂[X]の次数が3次以下の既約多項式は
X,X+1,X²+X+1,X³+X²+1,X³+X+1
ですべてである。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

また、X^15-1がX⁵-1で割り切れる事は、X⁴+X³+X²+X+1が既約多項式かどうか分からないので、厳密にはこの時点では話が進められない(次ページの演習問題1が終わるまで)が、既約多項式と仮定して話を進める。
定理6.9よりX⁴+X³+X²+X+1の次数は4で4|4なので、X^16-XはX⁴+X³+X²+X+1で割り切れる。
また、X^16-Xは因数X-1を含むので、X⁴+X³+X²+X+1のX-1をかけると、X⁵-1になり、X^16-XはX⁵-1で割り切れる。
よって、XでくくったX^15-1もX⁵-1で割り切れるという事。

>X^16-X=X(X³-1)(X^12+X⁹+X⁶+X³+1)

これは先のX^15-1がX³-1で割れる事を利用して、実際に計算しているだけである。
一応、こちらのサイトで確認した方が良いだろう。https://www.geogebra.org/m/Y59JXcYd

>X^16-X=X(X³-1)(X^12+X⁹+X⁶+X³+1)
=X(X-1)(X²+X+1)(X⁴+X³+X²+X+1)
×(X⁸+X⁷+X⁵+X⁴+X³+X+1)

これは先のX^15-1がX⁵-1で割り切れる事を利用して、X^12+X⁹+X⁶+X³+1をX⁴+X³+X²+X+1で割ったという事である。
上のサイトで確認すると、商は、
X⁸-X⁷+X⁵-X⁴+X³-X+1
となるはずである。
そして、係数がF₂係数なので、-1≡1で、
X⁸+X⁷+X⁵+X⁴+X³+X+1
となる訳である。

>X^16-X=X(X³-1)(X^12+X⁹+X⁶+X³+1)
=X(X-1)(X²+X+1)(X⁴+X³+X²+X+1)
×(X⁸+X⁷+X⁵+X⁴+X³+X+1)
=X(X-1)(X²+X+1)(X⁴+X³+X²+X+1)
×(X⁴+X³+1)(X⁴+X+1)

ただし、8次式を分解する最後のステップは
X⁴+X³+1,X⁴+X+1,X⁴+X³+X²+X+1
の3つの多項式により、F₂[X]に属する4次既約多項式がすべてつくされることを利用している。

何を言っているかというと、
X⁸+X⁷+X⁵+X⁴+X³+X+1
は実際に計算しないで、先に挙げた演習問題1を利用しているという事である。

演習問題1
F₂[X]に属する4次既約多項式をすべて求めよ。

解答
X⁴+X³+1,X⁴+X³+X²+X+1,X⁴+X+1
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

つまり、X⁸+X⁷+X⁵+X⁴+X³+X+1が既約多項式でないとしたら、X⁴+X³+X²+X+1は既に使われているので、残り2つの積しかあり得ないという事を利用しているという事である。
この理由は、定理6.8にあるのだろう。

定理6.8
同じ個数の元からなる2つの有限体は同型である。

つまり、例6.8にあるように、
F₂[X]/(X³+X+1)≃F₂[X]/(X³+X²+1)
で、この2つの多項式は共にX⁸-Xの因数である。(例6.6)

例6.6
F₈の素体はF₂であり、[F₈:F₂]=3である。F₈の元はF₂[X]の多項式X⁸-Xの根である。
X⁸-X=X(X-1)(X³+X+1)(X³+X²+1)

一応、確認はした方が良いだろう。
(X⁴+X³+1)(X⁴+X+1)
=X⁸+X⁷+X⁵+3X⁴+X³+X+1
≡X⁸+X⁷+X⁵+X⁴+X³+X+1
で、OK。

補足 定理6.3の(2)
体の拡大K⊂LではαはLの元とするとき、次のことが成り立つ。
(2)αがK上代数的であり、αのK上の最小多項式をf(X)とすると、写像
K[X]/(f(X))→K[α]⊂L(|X→α)
は同型写像であり、K[α]は体になる。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

要は、X⁸-Xの根の種類によって同型が決まるという事である。(あえて、q=8とした。)
因みに、q=2²=4の場合は既約多項式が1つしかないので、同型ではなく一意である。

F₂[X]の次数が3次以下の既約多項式は
X,X+1,X²+X+1,X³+X²+1,X³+X+1
ですべてである。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

まず、2次はX²+X+1の1つだけを確認。
次に、K=F₂[X]/(X²+X+1)を考えると、例6.5より、K={0,1,α,α²=α+1}でαとα+1はX²+X+1の根。
つまり、α=ω(mod2)で定理6.3(2)のαをωとω²とすると、(ω²)²=ω⁴=ωでKは変わらないので、ただ1つである。よって、同型ではなく一意という事。
念のため、私の適当な意見(感想)なので、自分で裏を取って下さい。

おまけ:
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/10 13:47 (No.1405096)削除
次の文章を完全解説して下さい。

定理(3.2.9)(次元定理)
dimV<∞のとき、線型写像F:V→V'に対しdimV=dimF^-1(0')+dimF(V)
もっとくわしく、Vの基底<b₁,…,br,br+1,…,bn>を適当にとれば、<b₁,…,br>がFの核F^-1(0')の基底、<F(br+1),…,F(bn)>が像F(V)の基底になる。

証明
r=dimF^-1(0'),n=dimVとおく。部分空間F^-1(0')の基底<b₁,…,br>を延長して、Vの基底<b₁,…,br,br+1,…,bn>をつくる。このとき<F(br+1),…,F(bn)>がF(V)の基底であることを示せばよい。
F(V)の任意の元x'に対し、x'=F(x)となるx∈Vが存在する。
x=a₁b₁+…+arbr+ar+1br+1+…+anbn,ai∈K
とすれば、F(b₁)=…=F(br)=0'であるから
x'=F(x)=ar+1F(br+1)+…+anF(bn)∈K・F(br+1)+…+K・F(bn)
すなわち、
F(V)=K・F(br+1)+…+K・F(bn)
また一方
cr+1F(br+1)+…+cnF(bn)=0'
ならば、
F(cr+1br+1+…+cnbn)=cr+1F(br+1)+…+cnF(bn)=0',
cr+1br+1+…+cnbn∈F^-1(0')=Kb₁+…+Kbr
となるから、
cr+1br+1+…+cnbn=c₁b₁+…+crbr
と書ける。b₁,…,br,br+1,…,bnの線型独立性より、cr+1=…=cn=0が生ずる。
よって、F(br+1),…,F(bn)も線型独立であり、線型空間F(V)の基底をつくる。 (証明終)
「線型代数入門」有馬哲著より

適当に分かり易く証明した後に、

>このとき<F(br+1),…,F(bn)>がF(V)の基底であることを示せばよい。

Fが単射でもないのに、何故こんな事を言えるのか理由を述べて下さい。念のため、例えば、biとbi+1が共にF(bi)に写像されたら基底の個数が減るので次元が異なってしまうという事。

因みに、この定理には思い出がある。1994年の夏ごろにそれまで一緒に数学が分からないと言っていた木村君という人がこの定理をきっかけに分かるようになったと言っていた。ちょっとうらやましかったが、当時は以心伝心でしか理解できないものだろうと思っていたので、残った湯浅君たちといつか分かるだろうと半分諦めていたものである。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/10 16:28削除
解説
>x=a₁b₁+…+arbr+ar+1br+1+…+anbn,ai∈K
とすれば、F(b₁)=…=F(br)=0'である

「部分空間F^-1(0')の基底<b₁,…,br>」より、b₁,…,brはF^-1(0')の元だから、
F(b₁)=…=F(br)=0'という事。

>F(b₁)=…=F(br)=0'であるから
x'=F(x)=ar+1F(br+1)+…+anF(bn)∈K・F(br+1)+…+K・F(bn)

x=a₁b₁+…+arbr+ar+1br+1+…+anbnより、
F(x)=F(a₁b₁+…+arbr+ar+1br+1+…+anbn)
=F(a₁b₁)+…+F(arbr)+F(ar+1br+1)+…+F(anbn)(Fは線型写像だから。)
=a₁F(b₁)+…+arF(br)+ar+1F(br+1)+…+anF(bn)(Fは線型写像だから。)
これに「F(b₁)=…=F(br)=0'」を代入すると、前半は全て0になり、
F(x)=ar+1F(br+1)+…+anF(bn)となるので、
x'=F(x)=ar+1F(br+1)+…+anF(bn)∈K・F(br+1)+…+K・F(bn)
となるという事。

>すなわち、
F(V)=K・F(br+1)+…+K・F(bn)

「F(V)の任意の元x'」より、x'はF(V)の任意の元なので、
上のx'∈K・F(br+1)+…+K・F(bn)は、F(V)⊂K・F(br+1)+…+K・F(bn)———①
また、Vの任意の元を考えると「Vの基底<b₁,…,br,br+1,…,bn>」より、
F(V)=K・F(b₁)+…+K・F(br)+K・F(br+1)+…+K・F(bn)
⊃K・F(br+1)+…+K・F(bn)
∴F(V)⊃K・F(br+1)+…+K・F(bn)———②
①,②より、
F(V)=K・F(br+1)+…+K・F(bn)
これによって、<F(br+1),…,F(bn)>がF(V)を生成する事が言えたという事。

>cr+1F(br+1)+…+cnF(bn)=0'
ならば、
F(cr+1br+1+…+cnbn)=cr+1F(br+1)+…+cnF(bn)=0',
cr+1br+1+…+cnbn∈F^-1(0')=Kb₁+…+Kbr
となるから、
cr+1br+1+…+cnbn=c₁b₁+…+crbr
と書ける。b₁,…,br,br+1,…,bnの線型独立性より、cr+1=…=cn=0が生ずる。
よって、F(br+1),…,F(bn)も線型独立であり、線型空間F(V)の基底をつくる。 

まず「cr+1F(br+1)+…+cnF(bn)=0'」とすると、Fは線型写像より、
F(cr+1br+1+…+cnbn)は、cr+1F(br+1)+…+cnF(bn)=0'となる。
よって、F(cr+1br+1+…+cnbn)=0'より、
cr+1br+1+…+cnbn∈F^-1(0')
また、「<b₁,…,br>がFの核F^-1(0')の基底」より、F^-1(0')=Kb₁+…+Kbrより、
cr+1br+1+…+cnbn∈Kb₁+…+Kbr
という事。
よって、cr+1br+1+…+cnbn=c₁b₁+…+crbrと置け、移項すると、
c₁b₁+…+crbr-cr+1br+1-…-cnbn=0 また、<b₁,…,br,br+1,…,bn>はVの基底より線型独立である。
よって、c₁=…=cr=(-cr+1)=…=(-cn)=0より、cr+1=…=cn=0
よって、cr+1F(br+1)+…+cnF(bn)=0'ならばcr+1=…=cn=0なので、
F(br+1),…,F(bn)も線型独立である。
よって、先の「<F(br+1),…,F(bn)>がF(V)を生成する事が言えたという事」と合わせて、「線型空間F(V)の基底をつくる」という事。

定義
Vを数体K上の線型空間とする。Vの有限個の元b₁,b₂,…,bn(n≧1)の順序を考えた組を
<b₁,b₂,…,bn>
で表わす。順序を考えた組<b₁,b₂,…,bn>が次の二つの条件をみたすとき、これをVの基底または底と言う。
(1)b₁,b₂,…,bnは線型独立である。
(2)Vの任意の元はb₁,b₂,…,bnの線型結合である。すなわち
V=Kb₁+Kb₂+…+Kbn
「線型代数入門」有馬哲著より

>このとき<F(br+1),…,F(bn)>がF(V)の基底であることを示せばよい。

Fが単射でもないのに、何故こんな事を言えるのか理由を述べて下さい。念のため、例えば、biとbi+1が共にF(bi)に写像されたら基底の個数が減るので次元が異なってしまうという事。

定理(3.2.9)(次元定理)
dimV<∞のとき、線型写像F:V→V'に対しdimV=dimF^-1(0')+dimF(V)
もっとくわしく、Vの基底<b₁,…,br,br+1,…,bn>を適当にとれば、<b₁,…,br>がFの核F^-1(0')の基底、<F(br+1),…,F(bn)>が像F(V)の基底になる。

b₁,…,br,br+1,…,bnが線型独立でb₁,…,brも線型独立より、br+1,…,bnも線型独立である。(ダブりなど無駄がない形だから。)
そして、上で「F(br+1),…,F(bn)も線型独立であ」る事を示したので、このn-r個の元に関してだけは全単射が成り立つからである。(念のため、自分で裏を取って下さい。)
因みに、線型写像は線型従属性は保存するが、線型独立性は保存するとは限らない。

定義
線型従属の否定を線型独立と言う。すなわち、a₁,a₂,…,akが線型独立とは
“c₁a₁+c₂a₂+…+ckak=0ならば必ずc₁=c₂=…=ck=0”
が成り立つことである。線型独立性は線型写像によって必ずしも保存されない。
「線型代数入門」有馬哲著より

おまけ:
https://white-ash.net/danpeiage
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/6 16:34 (No.1402530)削除
問題
AB=BC=6,∠ABC=90°の直角二等辺三角形ABCがある。AB,AC上にそれぞれ点E,Fをとり、EFを折り目として△AEFを折り曲げたら、頂点Aは辺BC上の点Dに重なり、BD=2となった。次の問いに答えなさい。
(1)AEの長さを求めなさい。
(2)AFの長さを求めなさい。
(3)四角形AEDFの面積を求めなさい。
(01 青雲)

図の解説は読めば分かるので省略。

参考書には(2)の別解と(1)~(3)の別解が載っています。因みに、「(2)が難関です」だそうです。私の解法は参考書とは別でした。もっとも私も楽勝な解法にはすぐ気が付きましたが。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/7 07:57削除
問題
AB=BC=6,∠ABC=90°の直角二等辺三角形ABCがある。AB,AC上にそれぞれ点E,Fをとり、EFを折り目として△AEFを折り曲げたら、頂点Aは辺BC上の点Dに重なり、BD=2となった。次の問いに答えなさい。
(1)AEの長さを求めなさい。
(2)AFの長さを求めなさい。
(3)四角形AEDFの面積を求めなさい。
(01 青雲)

模範解答
(1)AE=DE=xとすると、△EBDにおいて、x²=(6-x)²+2² ∴x=10/3
(2)AF=DF=yとし、右図のように点H(注:DからACに下ろした垂線の足をHとする)をとると、CH=DH=4/√2=2√2
∴FH=6√2-y-2√2=4√2-y
よって、△FDHにおいて、
y²=(2√2)²+(4√2-y)² 
∴y=5√2/2
(3)図1のように点I(注:FからABに下ろした垂線の足をIとする)をとると、
四角形AEDF=2×△AEF=AE×FI
=x×(y/√2)=(10/3)×(5/2)
=25/3
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

(2)の参考書の別解
右図(DからACに垂線を下ろしその足をHとし、∠BED=△,∠EDB=●,∠HDF=×,∠EAF=∠EDF=∠HDC=∠HCD=45°と置いた図)で、△+●=90°
一方、×+●=90°だから、△=×
∴△EBD∽△DHF
これらの3辺比は3:4:5だから、
AF=DF=5kとおくと、
AC=5k+3k+4k=12k=6√2
∴k=√2/2 ∴AF=5k=5√2/2

感想
三平方の定理を使わないエレガントな解法ですね。ただし、√を使うので、中2の難問としては使えませんが。

参考書の(1)~(3)の別解
図のように座標(注:点Bをxy座標の原点に置き、BCをx軸,ABをy軸に取り、ADとEFの交点をMとすると、AD⊥EF,AM=DMとなった図)をとると、ADの中点は、M(1,3)だから、ADの垂直二等分線l(注:直線EFの事)の式は、
y=(1/3)(x-1)+3 
∴y=(1/3)x+8/3・・・①
(1)AE=6-8/3=10/3
(2)Fのx座標は、①とy=-x+6を解いて、x=5/2・・・②
∴AF=②×√2=5√2/2
(3)四角形AEDF=2×△AEF
=(10/3)×②=25/3
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

座標は常に考えた方が良いですね。非常に簡単になる場合がありますよね。
私の別解は次回。(1)~(3)全て2通りずつ作ってみました。座標を入れれば3通りですね。

おまけ:
https://x.com/sorede_pr/status/1897539838427136443
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/9 07:56削除
問題
AB=BC=6,∠ABC=90°の直角二等辺三角形ABCがある。AB,AC上にそれぞれ点E,Fをとり、EFを折り目として△AEFを折り曲げたら、頂点Aは辺BC上の点Dに重なり、BD=2となった。次の問いに答えなさい。
(1)AEの長さを求めなさい。
(2)AFの長さを求めなさい。
(3)四角形AEDFの面積を求めなさい。
(01 青雲)

私の別解
(1)ADとEFの交点をHとすると、折り返しよりAD⊥EFで、
∠AHE=∠ABD=90°,AH=CH
また、∠EAHは共通より2角が等しいので、△AEH∽△ADB
ここで、△ABDで三平方の定理を使うと、
AD=√(2²+6²)=2√10 
∴AH=√10
よって、6:2√10=√10:AEが成り立つ。∴AE=20/6=10/3

(2)別解1(私の模範解答)
AF=yと置いて、FからABに垂線を下ろしその足をIとすると、AI=IF=y/√2
ところで、AD⊥EFより∠AHE=∠FIE=90°で∠IEHを共有しているので2角が等しく、△AEH∽△FEI———①
また、∠AHE=∠ABD=90°で∠EAHを共有しているので2角が等しく、△AEH∽△ADB———②
①,②より、△FEI∽△ADB
∴IE:IF=BD:BA=2:6=1:3 
(1)よりAE=10/3なので、
10/3-y/√2:y/√2=1:3が成り立つ。∴y/√2=10-3y/√2
∴4y/√2=10 ∴2√2y=10
∴y=5/√2=5√2/2
∴AF=5√2/2

別解2
AF=yと置いて、FからBCに垂線を下ろしその足をJとすると、FC=6√2-yで△FJCは直角二等辺三角形より、FJ=CJ=(6√2-y)/√2 また、DC=4より、DJ=4-(6√2-y)/√2
よって、△FDJで三平方の定理を使うと、
{(6√2-y)/√2}²+{4-(6√2-y)/√2}²=y²が成り立つ。
∴(6√2-y)²/2+16+(6√2-y)²/2-4√2(6√2-y)=y²
∴(6√2-y)²+16-4√2(6√2-y)=y²
∴72-12√2y+y²+16-48+4√2y-y²=0
∴8√2y=40 ∴y=5/√2=5√2/2
∴AF=5√2/2

(3)の別解
四角形AEDF=△ABC-△EBD-△FDC=18-2×(8/3)×(1/2)-4×(7/2)×(1/2)=18-8/3-7=11-8/3=25/3

おまけ:
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返信2
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/7 11:19 (No.1402965)削除
次の文章を完全解説して下さい。

定理6.9
q=p^r(r≧1)とし、f(X)をFp[X]の次数がkである既約多項式とする。このとき、k|rであることとf(X)|X^q-Xであることは同値である。

証明のために次の補題5を証明する。

補題5
k|rつまりr=ksとし、さらにq'=p^kとする。このとき、X^q'-XはX^q-Xを割り切る。

(補題5の証明)
恒等式 Y^d-1=(Y-1)(Y^(d-1)+…+Y+1)
にY=q',d=sを代入する。
(q')^s-1=(q'-1)((q')^(s-1)+…+q'+1)
この式よりq'-1は(q')^s-1=q-1を割り切ることがわかる。さらに、上記恒等式に
Y=X^(q'-1),d=(q-1)/(q'-1)
を代入して
X^(q-1)-1=(X^(q'-1)-1)(X^(q-q')+…+1)
これはX^(q'-1)-1がX^(q-1)-1を割り切ることを意味している。したがって、X^q'-XはX^q-Xを割り切る。

(定理6.9の証明)
k|rとする。f(X)はFpのある拡大体Lの中に根をもち(定理6.5)、Lの部分体Fp(α)は定理6.4により[Fp(α):Fp]=kを満たす。K=Fp(α)はp^k個の元からなる体となるからαはX^q'-X(q'=p^k)の根である(定理6.6)。
 補題2によりf(X)はX^q'-Xを割り切る。さらに補題5よりX^q'-XはX^q-Xを割り切るのでf(X)はX^q-Xを割り切る。
 逆に、f(X)|X^q-Xと仮定する。Kをq個の元からなる体、すなわちX^q-XがK[X]の中で1次式の積に分解する体とする(定理6.6参照)。k∤rとすると矛盾が生じることを示せばよい。f(X)がKの中に根βをもてば、Fp(β)=M⊂Kとおくとき、
[K:Fp]=[K:M][M:Fp]
である(定理6.2)。
[K:Fp]=r,[M:Fp]=k
であるから、これはk∤rに反する。したがってk∤rであれば、f(X)はKの中に根をもつことはない。それゆえf(X)がX^q-Xを割り切ることもない。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

定理6.5
Kを有限体,f(X)を多項式環K[X]に属するモニックな多項式でdegf(X)>0とする。このときf(X)が、その中では1次式の積に分解するようなKの拡大体Lが存在する。

定理6.4
K⊂L,α∈Lとしてαを体K上代数的な元とする。αのK上の最小多項式をp(X)とし、p(X)の次数がnであるとする。このとき、{1,α,α²,…,α^(n-1)}は体K(α)のK上のベクトル空間としての基底である。したがって、[K(α):K]=nである。

定理6.6
Kをq個(q=p^r,r≧1)の元からなる体とすると、Kは多項式X^q-Xの互いに異なるq個の根で構成されている。したがって、X^q-XはK[X]の中で1次式の積に分解される。

補題2
Kを体、αをKの拡大体Lの元であって、K[X]に属する既約多項式f(X)の根であるとする。このとき、K[X]の多項式g(X)がg(α)=0をみたせば、g(X)はf(X)で割り切れなければならない。

適当に分かり易く解説して下さい。

おまけ:
https://www.kantei.go.jp/jp/rekidainaikaku/096.html

「人王九十六代(九十五代と書かれた断片もある)に当たり、天下一たび乱れて主安からず。この時東魚来たりて四海を呑む。日、西天に没する三百七十余日、西鳥着たりて東魚を食らう。そののち、海内一に帰すること三年、ミコウのごときもの天下をかすむる事三十余年、大凶変じて一元に帰すなり」
「聖徳太子「未来記」の秘予言」五島勉著より
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/7 14:14削除
解説
>定理6.9
q=p^r(r≧1)とし、f(X)をFp[X]の次数がkである既約多項式とする。このとき、k|rであることとf(X)|X^q-Xであることは同値である。

問題の意味は、例えば、q=8=2³とすると、F₂係数の多項式X⁸-Xは1次式と3次式を含むが2次式は含まないという事が分かる。
因みに、X⁸-Xは、普通の有理数係数では、
X(X-1)(X⁶+X⁵+X⁴+X³+X²+X+1)でこれ以上因数分解出来ない。

>(q')^s-1=(q'-1)((q')^(s-1)+…+q'+1)
この式よりq'-1は(q')^s-1=q-1を割り切ることがわかる。

「q'=p^kとする」より、
(q')^s=(p^k)^s=p^ks
また、「r=ksとし」より、
=p^r=q(q=p^r(r≧1)より)
∴(q')^s=q
よって、これを上の式に代入すると、
q-1=(q'-1)((q')^(s-1)+…+q'+1)
つまり、「q'-1は(q')^s-1=q-1を割り切ることがわかる」という事。

>さらに、上記恒等式に
Y=X^(q'-1),d=(q-1)/(q'-1)
を代入して
X^(q-1)-1=(X^(q'-1)-1)(X^(q-q')+…+1)

まず、上でd=(q-1)/(q'-1)が整数になるのでdに置ける。
恒等式
Y^d-1=(Y-1)(Y^(d-1)+…+Y+1)
Y=X^(q'-1)を左辺のY^dに代入すると、
Y^d={X^(q'-1)}^d
さらにd=(q-1)/(q'-1)を代入すると、
={X^(q'-1)}^((q-1)/(q'-1))
=X^(q-1)
∴Y^d=X^(q-1)
また、右辺の右の括弧の指数
d-1=(q-1)/(q'-1)-1
=(q-1)/(q'-1)-(q'-1)/(q'-1)
=(q-q')/(q'-1)
よって、d-1=(q-q')/(q'-1)とY=X^(q'-1)を恒等式に代入すると、
X^(q-1)-1=(X^(q-1)-1)(X^(q-q')+…+1)
(Y^(d-1)={X^(q'-1)}^((q-q')/(q'-1))
=X^(q-1)だから。)

>X^(q-1)-1=(X^(q'-1)-1)(X^(q-q')+…+1)
これはX^(q'-1)-1がX^(q-1)-1を割り切ることを意味している。したがって、X^q'-XはX^q-Xを割り切る。

これは読めば分かるだろう。最後は共にXをかけただけ。

>f(X)はFpのある拡大体Lの中に根をもち(定理6.5)、Lの部分体Fp(α)は定理6.4により[Fp(α):Fp]=kを満たす。

定理6.5
Kを有限体,f(X)を多項式環K[X]に属するモニックな多項式でdegf(X)>0とする。このときf(X)が、その中では1次式の積に分解するようなKの拡大体Lが存在する。

定理6.4
K⊂L,α∈Lとしてαを体K上代数的な元とする。αのK上の最小多項式をp(X)とし、p(X)の次数がnであるとする。このとき、{1,α,α²,…,α^(n-1)}は体K(α)のK上のベクトル空間としての基底である。したがって、[K(α):K]=nである。

前半は読めば分かり(補題1で補足)、後半はf(X)の次数がkだからである。念のため、既約多項式と最小多項式の関係は定数倍の違い。(もちろん、共にαを根に持つ事が必然。)

補題1
Kを有限体,f(X)を多項式環K[X]に属する既約多項式とする。そのとき、環L=K[X]/(f(X))はKの拡大体であり、Xの剰余類 |Xはf(X)のLにおける根である。

>K=Fp(α)はp^k個の元からなる体となるからαはX^q'-X(q'=p^k)の根である(定理6.6)。

「[Fp(α):Fp]=kを満たす」より、
Fp(α)≅Fp⊕…⊕Fp(Fpがk個)
=(Fp)^k(p.240参照の事。)
ところで、Fpの元の個数はp個より、右辺の元の個数はp^k個でそれと同型な左辺の元の個数もp^k個。
また、定理6.6より、q’個の元からなる体はX^q’-Xの根で構成されているので、K=Fp(α)の元は全てX^q’-Xの根であり、α∈Kよりαも根である。(K*はαを生成元とした巡回群。)

定理6.6
Kをq個(q=p^r,r≧1)の元からなる体とすると、Kは多項式X^q-Xの互いに異なるq個の根で構成されている。したがって、X^q-XはK[X]の中で1次式の積に分解される。

定理6.1
有限体Kの0以外の元からなる乗法群K*は巡回群である。

>補題2によりf(X)はX^q'-Xを割り切る。さらに補題5よりX^q'-XはX^q-Xを割り切るのでf(X)はX^q-Xを割り切る。

補題2
Kを体、αをKの拡大体Lの元であって、K[X]に属する既約多項式f(X)の根であるとする。このとき、K[X]の多項式g(X)がg(α)=0をみたせば、g(X)はf(X)で割り切れなければならない。

補題5
k|rつまりr=ksとし、さらにq'=p^kとする。このとき、X^q'-XはX^q-Xを割り切る。

これは読めば分かるだろう。

続きは次回。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/8 07:57削除
解説の続き

定理6.9
q=p^r(r≧1)とし、f(X)をFp[X]の次数がkである既約多項式とする。このとき、k|rであることとf(X)|X^q-Xであることは同値である。

証明のために次の補題5を証明する。

補題5
k|rつまりr=ksとし、さらにq'=p^kとする。このとき、X^q'-XはX^q-Xを割り切る。

(補題5の証明)
恒等式 Y^d-1=(Y-1)(Y^(d-1)+…+Y+1)
にY=q',d=sを代入する。
(q')^s-1=(q'-1)((q')^(s-1)+…+q'+1)
この式よりq'-1は(q')^s-1=q-1を割り切ることがわかる。さらに、上記恒等式に
Y=X^(q'-1),d=(q-1)/(q'-1)
を代入して
X^(q-1)-1=(X^(q'-1)-1)(X^(q-q')+…+1)
これはX^(q'-1)-1がX^(q-1)-1を割り切ることを意味している。したがって、X^q'-XはX^q-Xを割り切る。

(定理6.9の証明)
k|rとする。f(X)はFpのある拡大体Lの中に根をもち(定理6.5)、Lの部分体Fp(α)は定理6.4により[Fp(α):Fp]=kを満たす。K=Fp(α)はp^k個の元からなる体となるからαはX^q'-X(q'=p^k)の根である(定理6.6)。
 補題2によりf(X)はX^q'-Xを割り切る。さらに補題5よりX^q'-XはX^q-Xを割り切るのでf(X)はX^q-Xを割り切る。
 逆に、f(X)|X^q-Xと仮定する。Kをq個の元からなる体、すなわちX^q-XがK[X]の中で1次式の積に分解する体とする(定理6.6参照)。k∤rとすると矛盾が生じることを示せばよい。f(X)がKの中に根βをもてば、Fp(β)=M⊂Kとおくとき、
[K:Fp]=[K:M][M:Fp]
である(定理6.2)。
[K:Fp]=r,[M:Fp]=k
であるから、これはk∤rに反する。したがってk∤rであれば、f(X)はKの中に根をもつことはない。それゆえf(X)がX^q-Xを割り切ることもない。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

>逆に、f(X)|X^q-Xと仮定する。

今度は、f(X)|X^q-Xならばk|rを示す訳である。

>Kをq個の元からなる体、すなわちX^q-XがK[X]の中で1次式の積に分解する体とする(定理6.6参照)。k∤rとすると矛盾が生じることを示せばよい。

定理6.6
Kをq個(q=p^r,r≧1)の元からなる体とすると、Kは多項式X^q-Xの互いに異なるq個の根で構成されている。したがって、X^q-XはK[X]の中で1次式の積に分解される。

要は、背理法で証明するという事である。そのために、X^q-Xの根がなす有限体Kを設定する訳である。(設定するというより自動的に発生するというべきか。)

>f(X)がKの中に根βをもてば、Fp(β)=M⊂Kとおくとき、
[K:Fp]=[K:M][M:Fp]
である(定理6.2)。

定理6.2
Lを有限体,KをLの部分体でさらにFはKの部分体とする。このとき、次の等式が成り立つ。
[L:F]=[L:K][K:F]
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

「f(X)がKの中に根βをもてば」は、f(X)|X^q-Xから成り立つ。
「Fp(β)=M⊂Kとおくとき」は、一応、例6.3も見ておいた方が良いかもしれない。

例6.3
定理6.1によれば有限体Lの乗法群L*は巡回群であるから、L*の生成元の1つをαとすればL*=<α>である。したがって、Lの任意の部分体Kに対してL=K(α)となっている。すなわち、有限体Lはその任意の部分体Kの単純拡大である。

ちょっと意味合いは違うが、参考にはなるだろう。
また、「[K:Fp]=[K:M][M:Fp]である(定理6.2)」は、「Fp(β)=M⊂K」と定理6.2から自明とする。

>[K:Fp]=r,[M:Fp]=k
であるから、これはk∤rに反する。

Kはq=p^r個の有限体だから[K:Fp]=r。
また、[M:Fp]=kは、Fp(β)=Mでf(X)の次数がkだから。(定理6.4より)

定理6.4
K⊂L,α∈Lとしてαを体K上代数的な元とする。αのK上の最小多項式をp(X)とし、p(X)の次数がnであるとする。このとき、{1,α,α²,…,α^(n-1)}は体K(α)のK上のベクトル空間としての基底である。したがって、[K(α):K]=nである。

よって、[L:F]=[L:K][K:F]に当てはめて考えると、[K:Fp]=[K:M][M:Fp]
よって、r=[K:M]・kより、k|rだからk∤rに矛盾するという事。

>したがってk∤rであれば、f(X)はKの中に根をもつことはない。それゆえf(X)がX^q-Xを割り切ることもない。

よって、背理法により、k|rという事。
つまり、f(X)|X^q-Xならばk|rが示された。

おまけ:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%9F%E3%81%91%E3%81%97%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%9E%E5%A4%A7%E6%95%B0%E5%AD%A6%E7%A7%91
返信
返信2
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/6 11:43 (No.1402308)削除
次の文章を完全解説して下さい。

命題(3.2.8)
WがVの部分空間,dimV<∞であるとき、
(ⅰ)dimW≦dimV,特にdimW<∞
(ⅱ)dimW=dimV ならば W=V

証明
(ⅰ)は次元の定義(3.2.2)の(ⅱ)と基底の延長定理より明白。
(ⅱ)dimW=dimV=nとし、<b₁,…,bn>をWの任意の基底とする。このとき、<b₁,…,bn>はVの基底でもある((3.2.6)の(ⅰ))。∴W=V (証明終)
「線型代数入門」有馬哲著より

定義と命題(3.2.2)
数体K上の線型空間Vに対して
(ⅰ)V={0}のとき、Vは0次元であると言い、dimkV=0と書く。
(ⅱ)Vにn個の線型独立な元が存在し、n+1個以上の線型独立な元は存在しない⇔Vがn個の元よりなる基底をもつ
このときVはn次元であると言い、dimkV=nと書く(nは自然数)。(ⅰ)または(ⅱ)のとき、総称してVは有限次元であると言い、dimkV<∞と書く。
(ⅲ)Vが有限次元でないとき、すなわちどんな自然数nに対してもn個の線型独立な元がVの中に存在するとき、Vは無限次元であると言い、dimkV=∞と書く。

定理(3.2.1)
Vを数体K上の線型空間,a₁,a₂,…,an∈Vとする。
(ⅰ)(基底の延長)
a₁,…,anの中でa₁,…,asが線型独立であるとする(1≦s≦n)。このとき、as+1,…,anの中から適当にとったai_s+1,…,ai_rをa₁,…,asにつけ加えて
a₁,…,as,ai_s+1,…,ai_rは線型独立
Ka₁+…+Kan=Ka₁+…+Kas+Kai_s+1+…+Kai_r
とすることができる(s≦r≦n)。

定理(3.2.6)
線型空間Vがn次元のとき、Vのn個の元b₁,b₂,…,bnに対し
(ⅰ)b₁,…,bnが線型独立ならば、<b₁,…,bn>はVの基底である。
t(ⅰ)b₁,…,bnがVを生成するならば、<b₁,…,bn>はVの基底である。

補足
定義
Vを数体K上の線型空間とする。Vの有限個の元b₁,b₂,…,bn(n≧1)の順序を考えた組を
<b₁,b₂,…,bn>
で表わす。順序を考えた組<b₁,b₂,…,bn>が次の二つの条件をみたすとき、これをVの基底または底と言う。
(1)b₁,b₂,…,bnは線型独立である。
(2)Vの任意の元はb₁,b₂,…,bnの線型結合である。すなわち
V=Kb₁+Kb₂+…+Kbn
「線型代数入門」有馬哲著より

横着しないでちゃんと解説して下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/6 13:52削除
解説

命題(3.2.8)
WがVの部分空間,dimV<∞であるとき、
(ⅰ)dimW≦dimV,特にdimW<∞
(ⅱ)dimW=dimV ならば W=V

証明
(ⅰ)は次元の定義(3.2.2)の(ⅱ)と基底の延長定理より明白。
(ⅱ)dimW=dimV=nとし、<b₁,…,bn>をWの任意の基底とする。このとき、<b₁,…,bn>はVの基底でもある((3.2.6)の(ⅰ))。∴W=V (証明終)
「線型代数入門」有馬哲著より

>(ⅰ)は次元の定義(3.2.2)の(ⅱ)と基底の延長定理より明白。

定義と命題(3.2.2)
(ⅱ)Vにn個の線型独立な元が存在し、n+1個以上の線型独立な元は存在しない⇔Vがn個の元よりなる基底をもつ
このときVはn次元であると言い、dimkV=nと書く(nは自然数)。(ⅰ)または(ⅱ)のとき、総称してVは有限次元であると言い、dimkV<∞と書く。

定理(3.2.1)
Vを数体K上の線型空間,a₁,a₂,…,an∈Vとする。
(ⅰ)(基底の延長)
a₁,…,anの中でa₁,…,asが線型独立であるとする(1≦s≦n)。このとき、as+1,…,anの中から適当にとったai_s+1,…,ai_rをa₁,…,asにつけ加えて
a₁,…,as,ai_s+1,…,ai_rは線型独立
Ka₁+…+Kan=Ka₁+…+Kas+Kai_s+1+…+Kai_r
とすることができる(s≦r≦n)。

(ⅰ)(基底の延長)の意味は、
Vが何次元か分からないが、線型独立な元がs個あるとすると、残りn-s個の元の中から適切な個数の元を先のs個の元に加えて線型独立にすることが出来、Vの次元はs+(r-s)=rとなるという事ですよね。(線型独立な元の個数はr個。)

また、「次元の定義(3.2.2)の(ⅱ)」の意味は、
「Vにn個の線型独立な元が存在し、n+1個以上の線型独立な元は存在しない」時、Vはn次元という意味ですよね。

この2つで「WがVの部分空間,dimV<∞であるとき、(ⅰ)dimW≦dimV,特にdimW<∞」が明白っておかしくないですか。
そこで、自分で考えてみました。

命題(3.2.8)
WがVの部分空間,dimV<∞であるとき、
(ⅰ)dimW≦dimV,特にdimW<∞
(ⅱ)dimW=dimV ならば W=V

(ⅰ)の証明
WがVの部分空間よりWはVの部分集合。よって、Wの元の個数をm,Vの元の個数をnとすると、m≦n また、m個の中の線型独立な元の最大個数をm',n個の中の線型独立な最大個数をn'とすると、m'≦n'である。(これはベン図を描いて考えれば包含関係から自明である。)
よって、定義と命題(3.2.2)(ⅱ)より、
dimW≦dimV
また、dimV<∞より、dimW≦dimV<∞
∴dimW<∞

次に(ⅱ)。

命題(3.2.8)
WがVの部分空間,dimV<∞であるとき、
(ⅰ)dimW≦dimV,特にdimW<∞
(ⅱ)dimW=dimV ならば W=V

>(ⅱ)dimW=dimV=nとし、<b₁,…,bn>をWの任意の基底とする。このとき、<b₁,…,bn>はVの基底でもある((3.2.6)の(ⅰ))。∴W=V

定理(3.2.6)
線型空間Vがn次元のとき、Vのn個の元b₁,b₂,…,bnに対し
(ⅰ)b₁,…,bnが線型独立ならば、<b₁,…,bn>はVの基底である。
t(ⅰ)b₁,…,bnがVを生成するならば、<b₁,…,bn>はVの基底である。

まず、「dimW=dimV=nとし、<b₁,…,bn>をWの任意の基底とする」とありますが、この「任意」は「ある」じゃないですか? <b₁,b₂,…,bn>は順序を考えた組なのですから。任意じゃ「全て」ですよね。(間違えてたらごめんなさい。本題とは関係ないので進めますね。)
dimW=dimV=nとし、<b₁,…,bn>をWのある基底とすると、基底の定義より<b₁,…,bn>は線型独立である。

定義
Vを数体K上の線型空間とする。Vの有限個の元b₁,b₂,…,bn(n≧1)の順序を考えた組を
<b₁,b₂,…,bn>
で表わす。順序を考えた組<b₁,b₂,…,bn>が次の二つの条件をみたすとき、これをVの基底または底と言う。
(1)b₁,b₂,…,bnは線型独立である。
(2)Vの任意の元はb₁,b₂,…,bnの線型結合である。すなわち
V=Kb₁+Kb₂+…+Kbn
「線型代数入門」有馬哲著より

また、dimV=nよりVもn次元で、WはVの部分空間より<b₁,…,bn>はVの元なので、
定理(3.2.1)(ⅰ)より<b₁,…,bn>はVの基底である。(先生の証明だと次元が同じならば線型空間が等しいという事になってしまいますよね。肝が抜けていますね。決して揚げ足取りが目的ではありません。)
よって、W=Kb₁+Kb₂+…+Kbn
V=Kb₁+Kb₂+…+Kbn
∴W=V

おまけ:
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/3 22:53 (No.1400912)削除
問題
図のように、∠A=75°の△ABCを線分DEを折り目として点Aが辺BC上の点A'にくるように折り返す。DA'⊥BC,AD=6,BA'=2√3とする。このとき、∠ACB=□°,BC=□,AE=□である。
(05 東海)

図の解説:∠A=75°,∠B=60°ぐらい,∠C=45°ぐらいの△ABCを描き、辺AB上の点D,辺AC上の点Eで三角形を折り返すと点AがBC上に来て、A'とするとDA'⊥BCとなっている図。ただし、DE,DA',A'Eを結び、AD,AEは点線とする。

AEは何通りか作れます。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/4 07:57削除
問題
図のように、∠A=75°の△ABCを線分DEを折り目として点Aが辺BC上の点A'にくるように折り返す。DA'⊥BC,AD=6,BA'=2√3とする。このとき、∠ACB=□°,BC=□,AE=□である。
(05 東海)
図の解説:∠A=75°,∠B=60°ぐらい,∠C=45°ぐらいの△ABCを描き、辺AB上の点D,辺AC上の点Eで三角形を折り返すと点AがBC上に来て、A'とするとDA'⊥BCとなっている図。ただし、DE,DA',A'Eを結び、AD,AEは点線とする。

模範解答
直角三角形DBA'で、
BA':A'D=2√3:6=1:√3
∴∠B=60°
∴∠ACB=180°-(75°+60°)=45°よって、図2(注:△ABCの頂点AからBCに下ろした垂線の足をHとした図で∠B=60°,∠C=45°)のようになり、
BC=BH+HC=BH+HA
=AB×(1/2+√3/2)
=(6+4√3)×{(1+√3)/2}
=9+5√3・・・①
次に、図1(注:A'からABに下ろした垂線の足をIとした図)で、
∠AEA'=∠ECA'+∠EA'C
=45°+15°=60°
これとEA=EA'より、△EAA'は正三角形。
∴AE=A'I×(2/√3)
=A'C×(1/√2)×(2/√3)
=A'C×(√6/3)・・・②
ここで、A'C=①-2√3=9+3√3
∴②=(9+3√3)×(√6/3)
=3√6+3√2
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

解説
>∴AE=A'I×(2/√3)
=A'C×(1/√2)×(2/√3)
=A'C×(√6/3)・・・②

このようにうまい事、垂線A'Iを思い付けば良いが、地道に解く方法もある。
△EAA'が正三角形と気付いた後、AE=AA'よりAA'を求める。BCを求めるのに使った垂線AHを利用すると、△ABHは1:2:√3の直角三角形でAB=4√3+6(解説省略)より、
BH=2√3+3,AH=6+3√3
∴A'H=BH-BA'=2√3+3-2√3
=3
よって、△AA'Hで三平方の定理を使うと、
AA'=√{3²+(6+3√3)²
=3√{1²+(2+√3)²}
=3√(8+4√3)
=3√(8+2√12)
=3√(√6+√2)²
=3(√6+√2)
∴AE=3(√6+√2)

また、参考書に、
「AEがやや問題です。’15°,75°の直角三角形’の辺比を知らない場合は、正三角形を見つけて解くことになるでしょう。」
とあり、実際に解法が載っています。

➡注 △ADEは、底角75°の二等辺三角形ですから、’15°定規’の辺比を知っていれば、
AE=(AD/2)×{4/(√6-√2)}
=3(√6+√2)
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

15°,75°,90°の直角三角形の三辺比、
√6-√2:√6+√2:4
ですね。マークシートなら使いましょうね。

私の別解(複数)は次回。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/5 07:57削除
問題
図のように、∠A=75°の△ABCを線分DEを折り目として点Aが辺BC上の点A'にくるように折り返す。DA'⊥BC,AD=6,BA'=2√3とする。このとき、∠ACB=□°,BC=□,AE=□である。
(05 東海)

図の解説:∠A=75°,∠B=60°ぐらい,∠C=45°ぐらいの△ABCを描き、辺AB上の点D,辺AC上の点Eで三角形を折り返すと点AがBC上に来て、A'とするとDA'⊥BCとなっている図。ただし、DE,DA',A'Eを結び、AD,AEは点線とする。

AEの別解1
直角三角形DBA'で、
BA':A'D=2√3:6=1:√3
∴∠B=60°
∴∠ACB=180°-(75°+60°)=45°よって、図2(注:△ABCの頂点AからBCに下ろした垂線の足をHとした図で∠B=60°,∠C=45°)のようになり、
BC=BH+HC=BH+HA
=AB×(1/2+√3/2)
=(6+4√3)×{(1+√3)/2}
=9+5√3(ここまでは模範解答と同じ。)
また、△AHCは直角二等辺三角形で△ABHは1:2:√3の直角三角形より、
AC=√2AH=√2{(√3/2)AB}
=(√6/2)AB=(√6/2)(4√3+6)
=6√2+3√6
ここで、AE=xと置くと、
EC=6√2+3√6-x
また、EからBCに垂線を下ろしその足をIとすると、△ECIは直角二等辺三角形になるので、
EI=CI=EC/√2=6+3√3-x/√2
ところで、A'C=BC-BA'=(9+5√3)-2√3=9+3√3
∴A'I=A'C-CI=(9+3√3)-(6+3√3-x/√2)=3+x/√2
よって、△EA'Iで三平方の定理を使うと、
(3+x/√2)²+(6+3√3-x/√2)²=x²が成り立つ。
∴9+x²/2+3√2x+27+36+x²/2+36√3-6√2x-3√6x=x²
∴-3√2x-3√6x+72+36√3=0
∴3(√6+√2)x=72+36√3
∴(√6+√2)x=24+12√3
∴x=(24+12√3)/(√6+√2)
=(24+12√3)(√6-√2)/4
=(6+3√3)(√6-√2)
=6√6-6√2+9√2-3√6
=3√6+3√2=3(√6+√2)
∴AE=3(√6+√2)

おまけ:
https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12576477048.html
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/6 07:58削除
問題
図のように、∠A=75°の△ABCを線分DEを折り目として点Aが辺BC上の点A'にくるように折り返す。DA'⊥BC,AD=6,BA'=2√3とする。このとき、∠ACB=□°,BC=□,AE=□である。
(05 東海)

図の解説:∠A=75°,∠B=60°ぐらい,∠C=45°ぐらいの△ABCを描き、辺AB上の点D,辺AC上の点Eで三角形を折り返すと点AがBC上に来て、A'とするとDA'⊥BCとなっている図。ただし、DE,DA',A'Eを結び、AD,AEは点線とする。

AEの別解2
直角三角形DBA'で、
BA':A'D=2√3:6=1:√3
∴∠B=60°(ここまでは模範解答と同じ。)
よって、∠BDA=30°より∠ADA'=150°∴∠EDA=∠EDA'=75°
また、∠A=75°より△EADは頂角が30°の二等辺三角形。
ここで、ADを1辺とした正三角形FADを頂点FがADに対して点Eと同じ側に作ると、二等辺三角形と正三角形の対称性から∠FEA=30°÷2=15°また、∠FAE=75°-60°=15°
よって、∠FEA=∠FAEより△FAEは二等辺三角形。
∴EF=AF=AD=6 また、FからADに垂線を下ろしその足をHとすると、対称性から3点E,F,Hは一直線上にあり、△FHAは1:2:√3の直角三角形になる。
よって、FH=3√3よりEH=3√3+6 また、AH=3より△EHAで三平方の定理を使うと、
AE=√{3²+(3√3+6)²}
=3√{1²+(√3+2)²}=3√(8+4√3)
=3√(√6+√2)²=3(√6+√2)
よって、AE=3(√6+√2)

AEの別解3
△EADが頂角が30°の二等辺三角形までは別解2と同じ。
ここで、AE=xと置いて、EからADに垂線を下ろしその足をH,DからAEに垂線を下ろしその足をIとすると、直角が等しく∠Aを共有していて2角が等しいので、△EAH∽△DAI
よって、AE:AH=AD:AIが成り立つ。
∴x:3=6:x-(√3/2)x
(△EDIは1:2:√3の直角三角形だから。)
∴x{x-(√3/2)x}=18
∴x²(1-√3/2)=18
∴(2-√3)x²=36
∴x²=36/(2-√3)=36(2+√3)
=9(8+4√3)=9(√6+√2)²
∴x=±3(√6+√2)
x=AE>0より、x=3(√6+√2)
∴AE=3(√6+√2)

AEの別解4
△EADが頂角が30°の二等辺三角形までは別解2と同じ。
ここで、点DのAEに対する対称点をD'とすると、∠DAD'=75°×2=150°
また、∠ADA'=75°×2=150°
よって、A'Dの延長とD'Aの延長との交点をFとすると、△FDAは頂角が120°の二等辺三角形になる。(底角が共に30°だから。)
よって、その二辺比1:√3より、
FA=6/√3=2√3 また、AD'=AD=6より、FD'=2√3+6
また、AD'=DA'よりFD'=FA'で△FA'D'も頂角が120°の二等辺三角形である。よって、その二辺比より、A'D'=√3FD'=√3(2√3+6)=6+6√3
ところで、ED'=ED=EA',∠D'EA'=30°×3=90°より、△EA'D'は直角二等辺三角形である。
∴ED'=A'D'/√2=(6+6√3)/√2
=3√2+3√6=3(√6+√2)
∴AE=D'E=3(√6+√2)

他にも無理をすれば作れると思うが、面白くないのでやらない。

おまけ:
返信
返信3
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/4 11:43 (No.1401165)削除
次の文章を完全解説して下さい。

例6.8
 定理6.8により同じ個数の元からなる2つの有限体は同型であるが、この同型写像は一意に定まるものではないことを例示する。
F₂[X]/(X³+X+1)≃F₂[X]/(X³+X²+1)
 X³+X+1とX³+X²+1はともにF₂[X]の既約多項式であるから、補題1によりF₂[X]/(X³+X+1)とF₂[X]/(X³+X²+1)はともにF₂の拡大体であり、それらのF₂上の拡大次数は定理6.4によりいずれも3である。したがって、F₂[X]/(X³+X+1),F₂[X]/(X³+X²+1)はともに8個の元よりなる体となり、定理6.8により、2つの体は同型である。F₂[X]/(X³+X+1)におけるX³+X+1の根 |Xをα,F₂[X]/(X³+X²+1)におけるX³+X²+1の根 |Xをβとおけば、
F₂(α)=F₂[X]/(X³+X+1)
F₂(β)=F₂[X]/(X³+X²+1)
F₂(α)は{1,α,α²}のF₂係数の1次結合であり、F₂(β)は{1,β,β²}のF₂係数の1次結合であるから(定理6.4)
F₂(α)={0,1,α,1+α,α²,1+α²,α+α²,
1+α+α²}
F₂(β)={0,1,β,1+β,β²,1+β²,β+β²,
1+β+β²}
F₂(α)からF₂(β)への任意の同型写像をσとする。このとき、
σ(α³+α+1)=0,
{σ(α)}³+σ(α)+1=0。
 これはσ(α)がF₂(β)の元で方程式X³+X+1=0の根でなければならないことを意味する。F₂(β)*をその生成元βにより
F₂(β)*={β,β²,β³,β⁴,β⁵,β⁶,1}
と表し、この中からX³+X+1=0の根となるものを直接計算して求めれば
β³,β⁵,β⁶
となる。

F₂(β)の元 X³+X²+X=0の根 X³+X+1=0の根
0 

β          ○
1+β=β⁵             ○
β²          ○
1+β²=β³            ○
β+β²=β⁶            ○
1+β+β²=β⁴  ○

 αの像σ(α)をβ³,β⁶,β^12=β⁵のいずれに定めてもF₂(α)からF₂(β)の上への同型写像が与えられる。このことの証明は読者の演習として残しておくことにする。以上により、元の個数が8である体の同型は一意的に定まるものでないことが示されたことになる。」
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

定理6.8
同じ個数の元からなる2つの有限体は同型である。

定理6.4
K⊂L,α∈Lとしてαを体K上代数的な元とする。αのK上の最小多項式をp(X)とし、p(X)の次数がnであるとする。このとき、{1,α,α²,…,α^(n-1)}は体K(α)のK上のベクトル空間としての基底である。したがって、[K(α):K]=nである。

適当に分かり易く解説した後に、「αの像σ(α)をβ³,β⁶,β^12=β⁵のいずれに定めてもF₂(α)からF₂(β)の上への同型写像が与えられる」事の証明をして下さい。

おまけ:
https://x.com/satndRvjMpc4tl7/status/1896351485967098356
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/4 14:00削除
解説
>X³+X+1とX³+X²+1はともにF₂[X]の既約多項式であるから、補題1によりF₂[X]/(X³+X+1)とF₂[X]/(X³+X²+1)はともにF₂の拡大体であり、それらのF₂上の拡大次数は定理6.4によりいずれも3である。

補題1
Kを有限体,f(X)を多項式環K[X]に属する既約多項式とする。そのとき、環L=K[X]/(f(X))はKの拡大体であり、Xの剰余類 |Xはf(X)のLにおける根である。

定理6.4
K⊂L,α∈Lとしてαを体K上代数的な元とする。αのK上の最小多項式をp(X)とし、p(X)の次数がnであるとする。このとき、{1,α,α²,…,α^(n-1)}は体K(α)のK上のベクトル空間としての基底である。したがって、[K(α):K]=nである。

前半は読めば分かるので、後半、
F₂[X]/(X³+X+1)
は、X³+X+1で割った余りの多項式の集合なので、Xの2次式である。よって、これをF₂上のベクトル空間として見ると、基底の1つとして{1,α,α²}(この3つは線型独立)を選べる。つまり、基底の個数が3個より3次元でF₂上の拡大次数が3という事である。

>したがって、F₂[X]/(X³+X+1),F₂[X]/(X³+X²+1)はともに8個の元よりなる体となり、定理6.8により、2つの体は同型である。

定理6.8
同じ個数の元からなる2つの有限体は同型である。

上より、F₂[X]/(X³+X+1),F₂[X]/(X³+X²+1)は共に、F₂={0,1}上の拡大指数が3より、元の個数は2³=8個。
よって、定理6.8より2つの有限体は同型という事。

>F₂[X]/(X³+X+1)におけるX³+X+1の根 |Xをα,F₂[X]/(X³+X²+1)におけるX³+X²+1の根 |Xをβとおけば、
F₂(α)=F₂[X]/(X³+X+1)
F₂(β)=F₂[X]/(X³+X²+1)

定理6.3(2)より、

定理6.3
体の拡大K⊂LでαはLの元とするとき、次のことが成り立つ。
(1)αがK上超越的であれば
σ:K[X]→K[α]⊂L(X→α)
は環同型写像であり、K[α]の商体K(α)はK上の有理関数体K(X)と同型である。
(2)αがK上代数的であり、αのK上の最小多項式をf(X)とすると、写像
K[X]/(f(X))→K[α]⊂L(|X→α)
は同型写像であり、K[α]は体になる。すなわち、K[α]=K(α)となる。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

まぁ、剰余の定理を考えた方が良いか。
F₂[X]/(X³+X+1)がX³+X+1で割った余りの集合でαがX³+X+1の根なのだから、F₂(α)=F₂[X]/(X³+X+1)は当然という事。

>F₂(α)は{1,α,α²}のF₂係数の1次結合であり、F₂(β)は{1,β,β²}のF₂係数の1次結合であるから(定理6.4)
F₂(α)={0,1,α,1+α,α²,1+α²,α+α²,
1+α+α²}
F₂(β)={0,1,β,1+β,β²,1+β²,β+β²,
1+β+β²}

F₂={0,1}で、
F₂(α)={c₁1+c₂α+c₃α²|ci∈F₂}
とすれば、元の個数は2×2×2=8個で、{0,1,α,1+α,α²,1+α²,α+α²,1+α+α²}となる事が分かるだろう。
βの方も同じである事は言うまでもない。

>F₂(α)からF₂(β)への任意の同型写像をσとする。このとき、
σ(α³+α+1)=0,
{σ(α)}³+σ(α)+1=0。
 これはσ(α)がF₂(β)の元で方程式X³+X+1=0の根でなければならないことを意味する。

結果から、F₂[X]/(X³+X+1)≃F₂[X]/(X³+X²+1)が分かっているので、この間に同型写像が存在しそれをσとする。
また、「X³+X+1の根 |Xをα」よりα³+α+1=0 また、σは同型写像より準同型写像かつ全単射なので、準同型写像である。よって、加法群の準同写像の定理より、

定理6.2
fを群Gから群G'への準同型写像とし、eをGの単位元,e'をG'の単位元とするとき、次が成り立つ。
(1)Gの単位元eは準同型写像fによってG'の単位元e'に移る。f(e)=e'
(2)Gの任意の元aに対してはf(a^-1)=f(a)^-1

この(1)を加法群に適用すると、f(0)=0
よって、σ(0)=0でα³+α+1=0より、
σ(α³+α+1)=0と出来るという事である。
よって、準同型写像の性質より、
σ(α³+α+1)=σ(α³)+σ(α)+σ(1)
={σ(α)}³+σ(α)+1
よって、{σ(α)}³+σ(α)+1=0という事。

定義3.1
R,R'を環とし、fをRからR'への写像とする。任意のa,b∈Rに対して
f(a+b)=f(a)+f(b)
f(a・b)=f(a)・f(b)
f(1_R)=1_R'
が満たされているとき、fをRからR'への環の準同型写像であるという。

「これはσ(α)がF₂(β)の元で方程式X³+X+1=0の根でなければならないことを意味する」は自明とする。

>F₂(β)*をその生成元βにより
F₂(β)*={β,β²,β³,β⁴,β⁵,β⁶,1}
と表し、

これは、定理6.1から。

定理6.1
有限体Kの0以外の元からなる乗法群K*は巡回群である。

ところで、このβ(生成元)を上のF₂(β)={0,1,β,1+β,β²,1+β²,β+β²,1+β+β²}のβと同じβに出来る理由は、例6.3。

例6.3
定理6.1によれば有限体Lの乗法群L*は巡回群であるから、L*の生成元の1つをαとすればL*=<α>である。したがって、Lの任意の部分体Kに対してL=K(α)となっている。すなわち、有限体Lはその任意の部分体Kの単純拡大である。

同じαだからである。もっとも、共通の1元とβが入っているから暗黙の了解だろう。

続きは次回。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/4 16:05削除
解説の続き

例6.8
 定理6.8により同じ個数の元からなる2つの有限体は同型であるが、この同型写像は一意に定まるものではないことを例示する。
F₂[X]/(X³+X+1)≃F₂[X]/(X³+X²+1)
 X³+X+1とX³+X²+1はともにF₂[X]の既約多項式であるから、補題1によりF₂[X]/(X³+X+1)とF₂[X]/(X³+X²+1)はともにF₂の拡大体であり、それらのF₂上の拡大次数は定理6.4によりいずれも3である。したがって、F₂[X]/(X³+X+1),F₂[X]/(X³+X²+1)はともに8個の元よりなる体となり、定理6.8により、2つの体は同型である。F₂[X]/(X³+X+1)におけるX³+X+1の根 |Xをα,F₂[X]/(X³+X²+1)におけるX³+X²+1の根 |Xをβとおけば、
F₂(α)=F₂[X]/(X³+X+1)
F₂(β)=F₂[X]/(X³+X²+1)
F₂(α)は{1,α,α²}のF₂係数の1次結合であり、F₂(β)は{1,β,β²}のF₂係数の1次結合であるから(定理6.4)
F₂(α)={0,1,α,1+α,α²,1+α²,α+α²,
1+α+α²}
F₂(β)={0,1,β,1+β,β²,1+β²,β+β²,
1+β+β²}
F₂(α)からF₂(β)への任意の同型写像をσとする。このとき、
σ(α³+α+1)=0,
{σ(α)}³+σ(α)+1=0。
 これはσ(α)がF₂(β)の元で方程式X³+X+1=0の根でなければならないことを意味する。F₂(β)*をその生成元βにより
F₂(β)*={β,β²,β³,β⁴,β⁵,β⁶,1}
と表し、この中からX³+X+1=0の根となるものを直接計算して求めれば
β³,β⁵,β⁶
となる。

F₂(β)の元 X³+X²+X=0の根 X³+X+1=0の根
0 

β          ○
1+β=β⁵             ○
β²          ○
1+β²=β³            ○
β+β²=β⁶            ○
1+β+β²=β⁴  ○

 αの像σ(α)をβ³,β⁶,β^12=β⁵のいずれに定めてもF₂(α)からF₂(β)の上への同型写像が与えられる。このことの証明は読者の演習として残しておくことにする。以上により、元の個数が8である体の同型は一意的に定まるものでないことが示されたことになる。」
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

>F₂(β)の元 X³+X²+1=0の根 X³+X+1=0の根
0 

β          ○
1+β=β⁵             ○
β²          ○
1+β²=β³            ○
β+β²=β⁶            ○
1+β+β²=β⁴  ○

まず、1+β=β⁵から確認しよう。
「X³+X²+1の根 |Xをβ」より、
β³+β²+1=0 ∴β²(β+1)=-1≡1
∴1+β=1/β²=β^-2=β⁵(β⁷=1より)
よって、1+β=β⁵でOK。
次に、1+β²=β³ 
β³+β²+1=0より、1+β²=-β³≡β³
よって、1+β²=β³でOK。
次に、β+β²=β⁶
β³+β²+1=0より、β(β²+β)=-1≡1
∴β+β²=1/β=β^-1=β⁶(β⁷=1より)
よって、β+β²=β⁶でOK。
最後に、1+β+β²=β⁴
上より1+β²=β³ これを左辺に代入すると、
1+β+β²=β+β³=β(1+β²)
再び上より1+β²=β³を代入すると、
1+β+β²=β⁴でOK。
よって、F₂(β)
={0,1,β,1+β,β²,1+β²,β+β²,1+β+β²}
={0,1,β,β⁵,β²,β³,β⁶,β⁴}が示せた。
次に、β,β²,β⁴がX³+X²+1=0の根である事を確認する。
βを代入すると、「X³+X²+1の根 |Xをβ」より、β³+β²+1=0でOK。
β²を代入すると、β⁶+β⁴+1=β⁴(β²+1)+1=β⁴・β³+1=β⁷+1=1+1=2≡0
よって、β⁶+β⁴+1=0でβ²はX³+X²+1の根でOK。
β⁴を代入すると、β^12+β^8+1=β⁵+β+1=β⁵+β⁵=2β⁵≡0
よって、β^12+β^8+1=0でβ⁴はX³+X²+1の根でOK。
続いて、β⁵,β³,β⁶がX³+X+1=0の根である事を確認しても良いが、

>F₂(β)*={β,β²,β³,β⁴,β⁵,β⁶,1}
と表し、この中からX³+X+1=0の根となるものを直接計算して求めれば
β³,β⁵,β⁶
となる。

これをやろう。まず、βから、
β;β³+β+1=(1+β²)+β+1=β²+β+2≡β²+β=β⁶≠0
よって、βはX³+X+1=0の根ではない。
β²;β⁶+β²+1=(β+β²)+β²+1=2β²+β+1≡β+1=β⁵≠0
よって、β²もX³+X+1=0の根ではない。
β³;β⁹+β³+1=β²+(1+β²)+1=2β²+2≡0
よって、β³はX³+X+1=0の根である。
β⁴;β^12+β⁴+1=β⁵+(1+β+β²)+1=β⁵+β²+β+2≡(1+β)+β²+β=β²+2β+1≡β²+1=β³≠0
よって、β⁴はX³+X+1=0の根ではない。
β⁵;β^15+β⁵+1=β+(1+β)+1=2β+2≡0
よって、β⁵はX³+X+1=0の根である。
β⁶;β^18+β⁶+1=β⁴+(β+β²)+1=β⁴+(1+β+β²)=β⁴+β⁴=2β⁴≡0
よって、β⁶もX³+X+1=0の根である。
以上より、β³,β⁵,β⁶のみである事が確認された。

>「αの像σ(α)をβ³,β⁶,β^12=β⁵のいずれに定めてもF₂(α)からF₂(β)の上への同型写像が与えられる」事の証明をして下さい。

これは次回。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/5 14:17削除
例6.8
 定理6.8により同じ個数の元からなる2つの有限体は同型であるが、この同型写像は一意に定まるものではないことを例示する。
F₂[X]/(X³+X+1)≃F₂[X]/(X³+X²+1)
 X³+X+1とX³+X²+1はともにF₂[X]の既約多項式であるから、補題1によりF₂[X]/(X³+X+1)とF₂[X]/(X³+X²+1)はともにF₂の拡大体であり、それらのF₂上の拡大次数は定理6.4によりいずれも3である。したがって、F₂[X]/(X³+X+1),F₂[X]/(X³+X²+1)はともに8個の元よりなる体となり、定理6.8により、2つの体は同型である。F₂[X]/(X³+X+1)におけるX³+X+1の根 |Xをα,F₂[X]/(X³+X²+1)におけるX³+X²+1の根 |Xをβとおけば、
F₂(α)=F₂[X]/(X³+X+1)
F₂(β)=F₂[X]/(X³+X²+1)
F₂(α)は{1,α,α²}のF₂係数の1次結合であり、F₂(β)は{1,β,β²}のF₂係数の1次結合であるから(定理6.4)
F₂(α)={0,1,α,1+α,α²,1+α²,α+α²,
1+α+α²}
F₂(β)={0,1,β,1+β,β²,1+β²,β+β²,
1+β+β²}
F₂(α)からF₂(β)への任意の同型写像をσとする。このとき、
σ(α³+α+1)=0,
{σ(α)}³+σ(α)+1=0。
 これはσ(α)がF₂(β)の元で方程式X³+X+1=0の根でなければならないことを意味する。F₂(β)*をその生成元βにより
F₂(β)*={β,β²,β³,β⁴,β⁵,β⁶,1}
と表し、この中からX³+X+1=0の根となるものを直接計算して求めれば
β³,β⁵,β⁶
となる。

F₂(β)の元 X³+X²+X=0の根 X³+X+1=0の根
0 

β          ○
1+β=β⁵             ○
β²          ○
1+β²=β³            ○
β+β²=β⁶            ○
1+β+β²=β⁴  ○

 αの像σ(α)をβ³,β⁶,β^12=β⁵のいずれに定めてもF₂(α)からF₂(β)の上への同型写像が与えられる。このことの証明は読者の演習として残しておくことにする。以上により、元の個数が8である体の同型は一意的に定まるものでないことが示されたことになる。」
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

解説の続き

>「αの像σ(α)をβ³,β⁶,β^12=β⁵のいずれに定めてもF₂(α)からF₂(β)の上への同型写像が与えられる」事の証明をして下さい。

「F₂[X]/(X³+X+1),F₂[X]/(X³+X²+1)はともに8個の元よりなる体となり、定理6.8により、2つの体は同型である」ので、「F₂(α)からF₂(β)への任意の同型写像をσとする」と、「β³,β⁵,β⁶となる」。
(ⅰ)σ(α)=β³の場合、
F₂(α)={0,1,α,1+α,α²,1+α²,α+α²,
1+α+α²}
σ(0)=0
σ(1)=1
σ(α)=β³
σ(1+α)=σ(1)+σ(α)=1+β³
=1+(1+β²)=2+β²≡β²
σ(α²)={σ(α)}²=(β³)²=β⁶
σ(1+α²)=σ(1)+σ(α²)=1+β⁶
=1+(β+β²)=1+β+β²=β⁴
σ(α+α²)=σ(α)+σ(α²)=β³+β⁶
=β³+(β+β²)=β(β²+1+β)
=β・β⁴=β⁵
σ(1+α+α²)=σ(1)+σ(α)+σ(α²)
=1+β³+β⁶=1+(1+β²)+(β+β²)
=2+β+2β²≡β
よって、F₂(α)からF₂(β)への全単射である。
(ⅱ)σ(α)=β⁶の場合、
F₂(α)={0,1,α,1+α,α²,1+α²,α+α²,
1+α+α²}
σ(0)=0
σ(1)=1
σ(α)=β⁶
σ(1+α)=σ(1)+σ(α)=1+β⁶
=1+(β+β²)=1+β+β²=β⁴
σ(α²)={σ(α)}²=(β⁶)²=β^12=β⁵
σ(1+α²)=σ(1)+σ(α²)=1+β^12
=1+β⁵=1+(1+β)=2+β≡β
σ(α+α²)=σ(α)+σ(α²)=β⁶+β^12
=β⁶+β⁵=β⁵(β+1)=β⁵・β⁵=β^10
=β³
σ(1+α+α²)=σ(1)+σ(α)+σ(α²)
=1+β⁶+β^12=1+β⁶+β⁵
=1+(β+β²)+(1+β)=2+2β+β²
≡β²
よって、F₂(α)からF₂(β)への全単射である。
(ⅲ)σ(α)=β⁵の場合、
F₂(α)={0,1,α,1+α,α²,1+α²,α+α²,
1+α+α²}
σ(0)=0
σ(1)=1
σ(α)=β⁵
σ(1+α)=σ(1)+σ(α)=1+β⁵
=1+(1+β)=2+β≡β
σ(α²)={σ(α)}²=(β⁵)²=β^10=β³
σ(1+α²)=σ(1)+σ(α²)=1+β^10
=1+β³=1+(1+β²)=2+β²≡β²
σ(α+α²)=σ(α)+σ(α²)=β⁵+β^10
=β⁵+β³=β³(β²+1)=β³・β³=β⁶
σ(1+α+α²)=σ(1)+σ(α)+σ(α²)
=1+β⁵+β^10=1+(1+β)+β³
=2+β+β³≡β(1+β²)=β・β³=β⁴
よって、F₂(α)からF₂(β)への全単射である。
以上より、「αの像σ(α)をβ³,β⁶,β^12=β⁵のいずれに定めてもF₂(α)からF₂(β)の上への同型写像が与えられる」事が示された。

これだけでは面白くないので、素朴な疑問シリーズ。
今回、F₂[X]/(X³+X+1)とF₂[X]/(X³+X²+1)が同型という事だが、例6.6から、
X⁸-X=X(X-1)(X³+X+1)(X³+X²+1)で共にX⁸-Xの因子を使った剰余体だが、他の3次式でも同型になるのだろうか(元の個数は8個で同じだから)。
因みに、F₂係数の既約多項式は、
X,X+1、X²+X+1,X³+X²+1,X³+X+1で全部なので、3次の既約多項式はこの2つしかないので、試せない。
というのは、以前に、

定理6.8
同じ個数の元からなる2つの有限体は同型である。

証明
q=p^r(r≧1)とし、KとK'を元の個数がqである体とする。体Kの乗法群をK*とし、巡回群K*の生成元をαとする。このとき、前に例6.3でみたようにK=Fp(α)である。f(X)をαのFp上の最小多項式とすれば、定理6.3より
Fp[X]/(f(X))≃Fp(α)=K
αはf(X)の根でありX^q-Xの根でもあるがf(X)は既約多項式であるから、補題2によりX^q-Xはf(X)で割り切れる。一方、X^q-Xは体K'の中で1次式の積に分解する(定理6.6)からf(X)はK'に根α'を持つ。すると、f(X)はα'のFp上の最小多項式でもあるから、再び定理6.3より
Fp[X]/(f(X))≃Fp(α')
ゆえにK≃Fp(α')となるので、Fp(α')はq個の元をもつ。Fp(α')はK'の部分集合であり、それぞれの元の個数が一致してqであるからFp(α')=K'でなければならない。したがって、K≃K'となる。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

>一方、X^q-Xは体K'の中で1次式の積に分解する(定理6.6)からf(X)はK'に根α'を持つ。

その前に「X^q-Xはf(X)で割り切れる」とあるので、X^q-X=f(X)Q(X)と置け、また、「X^q-Xは体K'の中で1次式の積に分解する」ので、X^q-X=X(X-1)(X-ζ)(X-ζ²)…(X-ζ^(q-2))と置ける。
∴f(X)Q(X)=X(X-1)(X-ζ)(X-ζ²)…(X-ζ^(q-2))(ζ,…,ζ^(p-2)∈K')
この右辺のどれかがα'で、f(α')Q(α')=0となるが、f(α')=0またはQ(α')=0である。
つまり、必ず「f(X)はK'に根α'を持つ」とは言えないのである。もちろん、f(α')=0の場合は上の続きで同型が言えるだろう。
しかし、それも本当に証明になっているのだろうか。その理由は「f(X)はα'のFp上の最小多項式でもあるから」と同じf(X)で議論しているが、例えば、例6.8。

例6.8
定理6.8により同じ個数の元からなる2つの有限体は同型であるが、この同型は一意に定まるものではないことを例示する。
F₂[X]/(X³+X+1)≃F₂[X]/(X³+X²+1)

同型の例である。
つまり、Q(α')=0の方で、Q(X)=X(X-1)g(X)と置くと、Q(α)=α(α-1)g(α)=0より、g(α)=0
このg(X)がX³+X²+1
f(X)がX³+X+1
に当たり、Q(α')=0の方を証明しなくてはいけないのではないだろうかという事。
(2025/2/25 12:06の投稿の列より)

と疑問があるからである。
でも、検索したらちゃんと証明されているのでOKである。(13分ぐらいの所から。)
多分、係数がF₂より大きくなっても、
「今回、F₂[X]/(X³+X+1)とF₂[X]/(X³+X²+1)が同型という事だが、例6.6から、
X⁸-X=X(X-1)(X³+X+1)(X³+X²+1)で」
のように、他の3次式は存在しないような関係になるのだろう。そもそも定理6.6を読むと、1種類しかないように読めるので、同型なんてゆるい縛りはOKだろう。

定理6.6
Kをq個(q=p^r,r≧1)の元からなる体とすると、Kは多項式X^q-Xの互いに異なるq個の根で構成されている。したがって、X^q-XはK[X]の中で1次式の積に分解される。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

という訳で、今回の素朴な疑問はOKである。

おまけ:
返信
返信3
壊れた扉さん (994klpn6)2025/2/25 22:39 (No.1396324)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題
図の△ABCは、AB=ACとする二等辺三角形で、△ACDは正三角形である。また、∠ACB=75°,AC=2とする。
このとき、次の問いに答えなさい。
(1)∠ADBの大きさを求めなさい。
(2)BCの長さを求めなさい。
(3)△BCDの面積を求めなさい。
(01 那須高原海城)

図の解説:底角が75°のAB=ACの二等辺三角形ABCの辺ACの外側に正三角形DACがあり、BDが結ばれた図。

模範解答
(1)与えられた条件より、図1(注:図は普通に上の条件の図)のようになる。
∠BAD=∠BAC+∠CAD
=(180°-75°×2)+60°
=90°
これとAB=ADより、∠ADB=45°
(2)(1)より、図1の点E(注:ACとBDの交点をEとしている)に対して、
∠BEC=∠AED=180°-60°-45°=75°
よって、BC=BE・・・① である。
ところで、△AEDは図2(△EADの頂点EからADに下ろした垂線の足をEとした図)のようになって、AH=xとすると、
DH=EH=√3x
よって、ADについて、x+√3x=2
∴x=2/(√3+1)
=2(√3-1)/(√3+1)(√3-1)
=√3-1
∴①=BD-ED=2√2-√3x×√2
=2√2-√6(√3-1)
=√6-√2・・・②
➡注
△ABCだけで解こうとすると、右図(注:△ABCの頂点BからACに垂線を下ろしその足をI,頂点AからBCに下ろした垂線の足をJ,BC=yとした図)で、BI=1,AI=√3より、
y²=1²+(2-√3)²=8-4√3
ここから、”二重根号”を解くことになります。
(3)図1(注:BCの延長上にDから垂線を下ろしその足をKとした図)で、∠DCK=180°-75°-60°=45°
よって、△DCKは45°定規形であるから、
DK=2/√2=√2
∴△BCD=(②×√2)/2=√3-1
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

(1)と(3)は別解を1通りずつ作って、(2)は二重根号を使わない別解を出来るだけ作ってみて下さい。(私は5~6通りです。)

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/2/26 07:55削除
問題
図の△ABCは、AB=ACとする二等辺三角形で、△ACDは正三角形である。また、∠ACB=75°,AC=2とする。
このとき、次の問いに答えなさい。
(1)∠ADBの大きさを求めなさい。
(2)BCの長さを求めなさい。
(3)△BCDの面積を求めなさい。
(01 那須高原海城)

図の解説:底角が75°のAB=ACの二等辺三角形ABCの辺ACの外側に正三角形DACがあり、BDが結ばれた図。

(1)の別解
AB=AC,AC=ADより、
AB=AC=AD
よって、点Aを中心に半径ABの円を描くと3点B,C,Dを通る。
つまり、3点B,C,Dは同一円周上にあり、その円の中心はAである。
よって、円周角と中心角の関係より、
∠BDC=(1/2)∠BAC———①
また、△ABCは底角が75°の二等辺三角形より、∠BAC=30°———②
①,②より、∠BDC=15°
また、△ACDは正三角形より、∠ADC=60°∴∠ADB=60°-15°=45°

(2)の別解1
△ABCは底角が75°の二等辺三角形より、AからBCに垂線を下ろしその足をHとすると、HはBCの中点になり15°,75°,90°の直角三角形が出来る。
よって、その三辺比を使うと、短い順に√6-√2:√6+√2:4で、AB=2より、
BH=(√6-√2)/2となる。
∴BC=2BH=√6-√2

まぁ、これは二重根号を使わないと言っても、普通の中学では教えないような脱法解法ですが。
因みに、「高校への数学 日日のハイレベル演習」の初めの公式集のような所には当然載っています。(「この形は、入試でよく現れ、解法によっては’二重根号’が出てくるので、覚えておくと便利」だそう。マークシートなら全然問題ないし、二重根号を外す解法しか思い浮かばない時も裏取りには便利。または、先にこれで求めて逆から考えても良いし。)

(3)の別解
CからABに垂線を下ろしその足をHとすると、△ACHは1:2:√3の直角三角形になるので、CH=1,また、AB=AC=2より、
△ABC=2×1×(1/2)=1
また、△ACDは1辺が2の正三角形より、
△ACD=2×√3×(1/2)=√3
よって、四角形ABCD=1+√3———①
また、∠BAC=30°,∠CAD=60°より∠BAD=90°でAB=ADより△ABDは直角二等辺三角形。
∴△ABD=2×2×(1/2)=2———②
①-②より、
△BCD=√3-1

(2)の二重根号を使わない解法に限定するのは結構面白いと思います。
上の「➡注」の解法を入れて4通りは二重根号になります。例えば、BCを1辺とした正三角形EBCを△ABCの内部に作る解法とかAからBCに垂線を下ろしその足をH,BからACに垂線を下ろしその足をIとし△ABH∽△BCIを利用する解法とか。

おまけ:
「その人物は、今(1991年)はまだ若い男性で、日本の北部におり、準備ができていない。彼には「青木先生」という武術を教える師がいる。その青木氏自身、武術だけでなく、ある種の哲学を説いている、という。
 果たして、この人物とは誰か。そして彼が説くという「愛の法」と「すべてがひとつ」という教えとは何か。私は期待して、彼の出現を待ちたいと思う。」
引用元:http://tocana.jp/2015/05/post_6404_entry_3.html
壊れた扉さん (994klpn6)2025/2/27 07:58削除
問題
図の△ABCは、AB=ACとする二等辺三角形で、△ACDは正三角形である。また、∠ACB=75°,AC=2とする。
このとき、次の問いに答えなさい。
(1)∠ADBの大きさを求めなさい。
(2)BCの長さを求めなさい。
(3)△BCDの面積を求めなさい。
(01 那須高原海城)

図の解説:底角が75°のAB=ACの二等辺三角形ABCの辺ACの外側に正三角形DACがあり、BDが結ばれた図。

(2)の二重根号を使わない別解2
BCの延長上にDから垂線を下ろしその足をHとすると、∠BCD=75°+60°=135°∴∠DCH=45°
よって、△DCHは直角二等辺三角形である。また、CD=AC=2より、
DH=CH=2/√2=√2 
∴BH=BC+√2
また、△ABDは直角二等辺三角形になるので、BD=2√2
よって、△DBHで三平方の定理を使うと、
(BC+√2)²+(√2)²=(2√2)²が成り立つ。
∴(BC+√2)²=8-2=6
∴BC+√2=±√6
∴BC=±√6-√2
BC>0より、BC=√6-√2

(2)の二重根号を使わない別解3
ACとBDの交点をEとして、模範解答と同じように角度の計算をすると、△BCEは二等辺三角形になり、BC=BE———①
ここで、DからACに垂線を下ろしその足をHとすると、△DACは正三角形より△DAHは1:2:√3の直角三角形になり、DH=√3
また、BからCEに垂線を下ろしその足をIとすると、△ABIも1:2:√3の直角三角形になり、BI=1
よって、△DHE∽△BIEの相似比は√3:1より、BE:DE=1:√3
また、EからABに垂線を下ろしその足をJとすると、△BJE∽△BADで△BADは直角二等辺三角形である。
よって、BD=2√2より、
BE={1/(1+√3)}BD
={1/(√3+1)}×2√2
=2√2(√3-1)/2
=√2(√3-1)=√6-√2———②
①,②より、BC=√6-√2

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/2/28 07:54削除
問題
図の△ABCは、AB=ACとする二等辺三角形で、△ACDは正三角形である。また、∠ACB=75°,AC=2とする。
このとき、次の問いに答えなさい。
(1)∠ADBの大きさを求めなさい。
(2)BCの長さを求めなさい。
(3)△BCDの面積を求めなさい。
(01 那須高原海城)

図の解説:底角が75°のAB=ACの二等辺三角形ABCの辺ACの外側に正三角形DACがあり、BDが結ばれた図。

(2)の二重根号を使わない別解4
AB,ACの外側に△ABCと合同な二等辺三角形△AEB,△AFCを作り、EFを結び、EFとAB,ACとの交点をそれぞれG,Hとすると、∠EAF=30°×3=90°,AE=AB=AC=AFより、△AEFは直角二等辺三角形になる。
∴EF=2√2 また、∠CFH=75°-45°=30°,∠FCH=75°より2角が等しいので、△ACF∽△FCH
よって、△FCHも二等辺三角形である。
ここで、BC=xと置くと、FC=FH=x
また、対称性よりEG=FH=x
∴GH=2√2-2x
また、対称性よりBC∥EFでGH∥BC
よって、△AGH∽△ABC
また、CからFHに垂線を下ろしその足をIとすると、△CFIは1:2:√3の直角三角形になるので、CI=x/2
また、AからBCに垂線を下ろしGH,BCとの交点をそれぞれJ,Kとすると、
AJ=√2,AK=√2+x/2より、
√2:√2+x/2=2√2-2x:xが成り立つ。∴√2x=(√2+x/2)(2√2-2x)
∴√2x=4-2√2x+√2x-x²
∴x²+2√2x-4=0
∴x=-√2±√6
x>0より、x=√6-√2
∴BC=√6-√2

因みに、あと2通りです。もっとも、ただこねくり回してるだけと言われそうな解法かもしれませんが。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/1 07:57削除
問題
図の△ABCは、AB=ACとする二等辺三角形で、△ACDは正三角形である。また、∠ACB=75°,AC=2とする。
このとき、次の問いに答えなさい。
(1)∠ADBの大きさを求めなさい。
(2)BCの長さを求めなさい。
(3)△BCDの面積を求めなさい。
(01 那須高原海城)

図の解説:底角が75°のAB=ACの二等辺三角形ABCの辺ACの外側に正三角形DACがあり、BDが結ばれた図。

(2)の二重根号を使わない別解5
BCを1辺とした正三角形EBCを点EがBCに関して点Aと反対側に作り、AEとBCの交点をFとすると、対称性から点FはBCの中点になり、△EBFは1:2:√3の直角三角形になる。
よって、BC=xと置くと、BF=x/2,EF=√3x/2 また、△ABFで三平方の定理を使うと、AF=√{2²-(x/2)²}=√(4-x²/4)
∴AE=√(4-x²/4)+√3x/2
また、∠ABE=75°+60°=135°より、∠EBH=180°-135°=45°
よって、EからABの延長上に垂線を下ろしその足をHとすると、△EBHは直角二等辺三角形となるので、EH=BH=x/√2
ところで、2角が等しいので、△ABF∽△AEH ∴AB:BF=AE:EH
よって、2:x/2=√(4-x²/4)+√3x/2:x/√2が成り立つ。
∴√2x=(x/2){√(4-x²/4)+√3x/2}
x≠0より、両辺をxで割って2をかけると、
2√2=√(4-x²/4)+√3x/2
∴√(4-x²/4)=2√2-√3x/2
∴4-x²/4=8+3x²/4-2√6x
∴x²-2√6x+4=0
これを解の公式で解くと、
x=√6±√2
ところで、x=BC<2より、
x=√6-√2 ∴BC=√6-√2

または、△AEHで三平方の定理を使うと、
(2+x/√2)²+(x/√2)²={√(4-x²/4)+√3x/2}²を解くと、
4+2√2x+x²/2+x²/2
=4-x²/4+√3x・√(4-x²/4)+3x²/4
∴x²+2√2x+4=√3x・√(4-x²/4)+x²/2+4
∴x+2√2=√3・√(4-x²/4)+x/2
∴2√3・√(4-x²/4)=x+4√2
12(4-x²/4)=x²+8√2x+32
∴48-3x²=x²+8√2x+32
∴4x²+8√2x-16=0
∴x²+2√2x-4=0
これを解の公式で解くと、
∴x=-√2±√6
x>0より、x=√6-√2
∴BC=√6-√2

上の2次方程式と異なる所が面白いですね。

おまけ:
「1 だれがわれわれの聞いたことを/信じ得たか。主の腕は、だれにあらわれたか。
2 彼は主の前に若木のように、かわいた土から出る根のように育った。彼にはわれわれの見るべき姿がなく、威厳もなく、われわれの慕うべき美しさもない。
3 彼は侮られて人に捨てられ、悲しみの人で、病を知っていた。また顔をおおって忌みきらわれる者のように、彼は侮られた。われわれも彼を尊ばなかった。
4 まことに彼はわれわれの病を負い、われわれの悲しみをになった。しかるに、われわれは思った、彼は打たれ、神にたたかれ、苦しめられたのだと。
5 しかし彼はわれわれのとがのために傷つけられ、われわれの不義のために砕かれたのだ。彼はみずから懲らしめをうけて、われわれに平安を与え、その打たれた傷によって、われわれはいやされたのだ。」
「イザヤ書」第53章1節~5節(口語訳)
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/2 07:48削除
問題
図の△ABCは、AB=ACとする二等辺三角形で、△ACDは正三角形である。また、∠ACB=75°,AC=2とする。
このとき、次の問いに答えなさい。
(1)∠ADBの大きさを求めなさい。
(2)BCの長さを求めなさい。
(3)△BCDの面積を求めなさい。
(01 那須高原海城)

図の解説:底角が75°のAB=ACの二等辺三角形ABCの辺ACの外側に正三角形DACがあり、BDが結ばれた図。

(2)の二重根号を使わない別解6
AB=AC=AD,∠BAD=30°+60°=90°より、△ABDは直角二等辺三角形。
ここで、ACとBDの交点をEとすると、
∠EBC=75°-45°=30°
よって、∠BEC=180°-30°-75°=75°より、∠BCE=∠ACB=∠BEC
よって、△BCEは二等辺三角形より、
BC=BE
また、辺AB上にEF=EBとなる点Fを取ると、∠EBF=∠DBA=45°より△EFBは直角二等辺三角形となるので、
∠BEF=90°
∴∠FEA=180°-75°-90°
=15°また、∠FAE=∠BAC=30°
ここで、BC=xと置くと、BE=EF=x,BF=√2x ∴AF=2-√2x
また、FからAEに垂線を下ろしその足をHとすると、△AFHは1:2:√3の直角三角形より、FH=(2-√2x)/2
今、AからBCに垂線を下ろしその足をIとすると、2角が等しいので、△ABI∽△EFH
∴AB:BI=EF:FH
よって、2:x/2=x:(2-√2x)/2が成り立つ。
∴x²/2=2-√2x 
∴x²+2√2x-4=0
これを解の公式で解くと、
∴x=-√2±√6
x>0より、x=√6-√2
∴BC=√6-√2

これで終了です。次回は、あまり意味がありませんが、二重根号を使わない別解3の系(試作品でセンスが悪い)をやりますね。

おまけ:
https://eow.alc.co.jp/search?q=bow
壊れた扉さん (994klpn6)2025/3/3 07:44削除
問題
図の△ABCは、AB=ACとする二等辺三角形で、△ACDは正三角形である。また、∠ACB=75°,AC=2とする。
このとき、次の問いに答えなさい。
(1)∠ADBの大きさを求めなさい。
(2)BCの長さを求めなさい。
(3)△BCDの面積を求めなさい。
(01 那須高原海城)

図の解説:底角が75°のAB=ACの二等辺三角形ABCの辺ACの外側に正三角形DACがあり、BDが結ばれた図。

(2)の二重根号を使わない別解3の系
ACとBDの交点をEとして、模範解答と同じように角度の計算をすると、△BCEは二等辺三角形になり、BC=BE———①
ここで、DからACに垂線を下ろしその足をHとすると、△DACは正三角形より△DAHは1:2:√3の直角三角形になり、DH=√3
また、BからCEに垂線を下ろしその足をIとすると、△ABIも1:2:√3の直角三角形になり、BI=1
よって、△DHE∽△BIEの相似比は√3:1 ∴HE:IE=√3:1
∴HE:CE=√3:2(△BCEは二等辺三角形で点Iは頂角からの垂線の足だから。)
∴CE={2/(2+√3)}CH
={2/(2+√3)}×1=2(2-√3)
∴AE=2-2(2-√3)=2√3-2
また、EからABに垂線を下ろしその足をJとすると、△AEJは1:2:√3の直角三角形になるので、EJ=AE/2=√3-1
また、∠EBJ=75°-30°=45°より△EBJは直角二等辺三角形。
∴BE=√2EJ=√2(√3-1)
=√6-√2———②
①,②より、BC=√6-√2

おまけ:

「"本当にかれ(イーサー)は,(審判の)時の印の一つである。だからその(時)に就いて疑ってはならない。そしてわれに従え。これこそ,正しい道である。"[Quran 43:61]」
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/イスラームにおけるイーサー#再臨
返信
返信6
壊れた扉さん (994klpn6)2025/2/27 15:46 (No.1397403)削除
次の文章を完全解説して下さい。

体Kとその部分体Fに対してσをKからKの上への同型写像であって、そのFへの制限σ|FがFの恒等写像であるようなσを体KのF-自己同型写像という。また、単にKからKの上への同型写像をKの自己同型写像という。

例6.7
Fpの自己同型は恒等写像だけである。σをFpからFpの上への同型写像とする。σは0は0に、1は1に写像する。また、
Fp={0,1,2,…,p-1}
であることに注意して、σ(j)=j・σ(1)=jとなることからσ=1_Fpである。したがって、有限体Kの素体をFpとすれば、Kの自己同型はすべてFp-自己同型である。
K={0,1,α,α²=α+1}
を例6.5で述べた4個の元からなる体とする。
σ:K→K(0→0,1→1)
  x→x²
によりσを定義すると、σは準同型写像である。実際、x,y∈Fpに対して
σ(xy)=(xy)²=x²y²=σ(x)σ(y)
また、補題4より
σ(x+y)=(x+y)²=x²+y²=σ(x)+σ(y)
さらに、σが全単射であることを確かめるのは容易である。したがって、Kは恒等写像以外にも自己同型(F₂-自己同型)をもつ。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

補題4
Kを標数pの体で、α,βをKの元,q=p^r(r≧1)とすると次の式が成り立つ。
(α+β)^q=α^q+β^q
(α-β)^q=α^q-β^q

例6.5
F₂={0,1}を2個の元からなる体ℤ/(2),F₂[X]をF₂上の多項式環とする。X²+X+1はF₂[X]の既約多項式であるから、剰余環
K=F₂[X]/(X²+X+1)
は体である(定理4.11を参照)。
σ:F₂→F₂[X]/(X²+X+1)
  a→|a=aの剰余類
という準同型写像は単射となる(定理3.4)。F₂の元のσによる像を同じ記号で書くことにする。この意味でKはF₂を部分体として含んでいる。さらに、Kの元|XはF₂[X]の多項式の根である。それは、
(|X)²+|X+1=|(X²+X+1)=|0
となるからである。
|Xをαと書くことにすればK=F₂[X]/(X²+X+1)の任意の元は、F₂[X]の多項式によりf(α)と表現される。f(X)をX²+X+1で割れば
f(X)=(X²+X+1)g(X)+aX+b(g(X)∈F₂[X],a,b∈F₂)
となるから、結局、
f(α)=aα+b(a,b∈F₂)
である。
a=0 のときは f(α)=0 または 1,
a=1 のときは f(α)=α または α+1
以上によりK={0,1,α,α²=α+1}である。αとα+1はX²+X+1の2つの根となるので、KはF₂の拡大体であって X²+X+1=0 の2根を含んでいる。

適当に分かり易く解説して下さい。

おまけ:

https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12883792021.html
壊れた扉さん (994klpn6)2025/2/28 14:11削除
解説
>Fp={0,1,2,…,p-1}
であることに注意して、σ(j)=j・σ(1)=jとなることからσ=1_Fpである。

jは0,1,2,…,p-1のどれかなので整数(自然数)である。よって、j=1+1+…+1(1がj個)とすると、
σ(j)=σ(1+…+1)=σ(1)+…+σ(1)(σは同型写像より準同型写像の性質から。)
=j・σ(1)
∴σ(j)=j・σ(1)———①
また、σは環の準同型写像より、
σ(1)=1———②
②を①に代入すると、σ(j)=j
よって、σは恒等写像であるので、σ=1_Fpという事。

定義3.1
R,R'を環とし、fをRからR'への写像とする。任意のa,b∈Rに対して
f(a+b)=f(a)+f(b)
f(a・b)=f(a)・f(b)
f(1_R)=1_R'
が満たされているとき、fをRからR'への環の準同型写像であるという。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

4.5 恒等写像
集合Aの任意の元aに対して集合Aの同じ元aを対応させると、これはAからAへの写像となる。これをAからAへの恒等写像といい1_Aで表す。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

>したがって、有限体Kの素体をFpとすれば、Kの自己同型はすべてFp-自己同型である。

これはある意味当然な事である。その理由は、続きを解説した後で話す。

>K={0,1,α,α²=α+1}
を例6.5で述べた4個の元からなる体とする。
σ:K→K(0→0,1→1)
  x→x²
によりσを定義すると、σは準同型写像である。実際、x,y∈Fpに対して
σ(xy)=(xy)²=x²y²=σ(x)σ(y)

解説をする前に、「x,y∈Fpに対して」のFpはFq(q=p^r)にした方がいいですよね。Fpだと恒等写像(のみ)ですからね。(誤植かな?)
まず、σが自己同型写像である事を確認する。
σで、
0→0²=0∈K
1→1²=1∈K
α→α²∈K
α²→(α²)²=(α+1)²=α²+2α+1
≡α²+0+1(mod2)=α²+1=-α
(例6.5からα²+α+1=0より)
≡α∈K
よって、Kの元は全てKの元に写像されていて、全単射である事も確認出来る。
よって、あとはσが準同型写像である事を確認すれば良い。まず、乗法については、
σ(xy)=(xy)²=x²y²=σ(x)σ(y)
でOK。((xy)²=x²y²が成り立つのは、Fqは乗法について可換だから。)

>補題4より
σ(x+y)=(x+y)²=x²+y²=σ(x)+σ(y)
さらに、σが全単射であることを確かめるのは容易である。

補題4
Kを標数pの体で、α,βをKの元,q=p^r(r≧1)とすると次の式が成り立つ。
(α+β)^q=α^q+β^q
(α-β)^q=α^q-β^q

よって、OK。初学者には写像先がKについて閉じている事も言った方が良いですね。

定義3.1
R,R'を環とし、fをRからR'への写像とする。任意のa,b∈Rに対して
f(a+b)=f(a)+f(b)
f(a・b)=f(a)・f(b)
f(1_R)=1_R'
が満たされているとき、fをRからR'への環の準同型写像であるという。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

の続き。
「また、fが全単射であるときfをRからR'への環の同型写像という。RからR'への環の同型写像が存在するとき、RとR'は環として同型であるといい、R≃R'により表す。特に、RからRそれ自身への環の同型写像を環Rの自己同型写像という。」
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

自己同型写像とは、要は、入れ換えである。

>したがって、Kは恒等写像以外にも自己同型(F₂-自己同型)をもつ。

上のσ:x→x²は恒等写像じゃなくて自己同型写像だったからという事。また、先程の、

>したがって、有限体Kの素体をFpとすれば、Kの自己同型はすべてFp-自己同型である。

これはある意味当然な事である。

は、有限体の元の個数がp個じゃなくてq=p^rになるのは、例6.5のような場合で、

例6.5
F₂={0,1}を2個の元からなる体ℤ/(2),F₂[X]をF₂上の多項式環とする。X²+X+1はF₂[X]の既約多項式であるから、剰余環
K=F₂[X]/(X²+X+1)
は体である(定理4.11を参照)。
σ:F₂→F₂[X]/(X²+X+1)
  a→|a=aの剰余類
という準同型写像は単射となる(定理3.4)。

Xの多項式で割った余りの集合である。つまり、定数は定数のままに決まっているからである。(定数部分は恒等写像という事。)
念のため、Fp-自己同型の定義は、

「体Kとその部分体Fに対してσをKからKの上への同型写像であって、そのFへの制限σ|FがFの恒等写像であるようなσを体KのF-自己同型写像という。」
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

因みに、何回も述べたが、例6.5のσは写像ではない。(F₂={0,1}からK={0,1,α,α²=α+1}への対応は1対多だから。)

おまけ:
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/2/27 12:04 (No.1397261)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題
  ( 1 1 1)
A=(-1 2 1)
  ( 1-1 0)
とおく。このとき
(1)Aはベキ等行列(A²=A)であることを示せ。
(2)Aの固有値は、0,1であることを示せ。
(3)固有値1に属する固有空間W(1)とするとき、dimW(1)=rankAを示せ。
(4)ℝ³=W(0)+W(1)を示せ。


(1)注:A²を計算してAと等しい事を確認する。(省略)
(2)注:定石で固有値を求めて確認する。(省略)
(3)固有値1の固有ベクトルをpとすると、
(A-1・E₃)p=0より、
  (-1 1 1)(x) (0)
  (-1 1 1)(y)=(0)
  ( 1-1-1)(z) (0)
(注:本当は縦の括弧は1つ。)
を解いて、
(注:ここからは縦ベクトルを横ベクトルにして書く。)
p=[x y x-y]=[x 0 x]+[0 y -y]
=x[1 0 1]+y[0 1 -1]
したがって、W(1)=ℝ[1 0 1]+ℝ[0 1 -1]となる。よってdimW(1)=2
次にAのrankを求めると、
(注:操作省略で)
(1 0 1)
(0-1 -1)
(0 0 0)
したがって、rankA=2となり、dimW(1)=rankAとなる。
(4)固有値0の固有ベクトルをpとおくと、
(A-0・E₃)p=0より

  ( 1 1 1)(x) (0)
  (-1 2 1)(y)=(0)
  ( 1-1 0)(z) (0)

を解いて、p=[x x -x]=x[1 1 -1]
よってW(0)=ℝ[1 1 -1]となる。
ℝ³=W(0)+W(1)で、dimℝ³=dimW(0)+dimW(1)が成り立つから、
ℝ³=W(0)⊕W(1)
となることがわかる。(解終)
「よくわかる線型代数」有馬哲・石村貞夫著より

命題と定義
部分空間の和U=W₁+W₂について、次の条件(1)と(2)は同値である。
(1)x∈Uを、x=x₁+x₂,x₁∈W₁,x₂∈W₂と表す仕方は一通りである。
(2)W₁∩W₂={0}
そこで、(1)または(2)が成り立つとき、和W₁+W₂は直和であるといい、
W₁⊕W₂ または W₁∔W₂
などの記号で表す。
「よくわかる線型代数」有馬哲・石村貞夫著より

>ℝ³=W(0)+W(1)で、dimℝ³=dimW(0)+dimW(1)が成り立つから、
ℝ³=W(0)⊕W(1)
となることがわかる。

一応、厳密に解説して下さい。

おまけ:
「数学のことではないが,ノルウェーの人々がアルコール好きだということがいたると
ころに出てくる.若いもの,年寄り,男,女,牧師,皆んな酔っぱらうのである.」
引用元:https://mathsoc.jp/publication/tushin/1003/harada.pdf
壊れた扉さん (994klpn6)2025/2/27 13:31削除
解説
>ℝ³=W(0)+W(1)で、dimℝ³=dimW(0)+dimW(1)が成り立つから、
ℝ³=W(0)⊕W(1)
となることがわかる。

まず、ℝ³=W(0)+W(1)の証明から。
ℝ³⊃W(0)+W(1)は自明。
また、[x y z]=(y+z)[1 0 1]+(-x+2y+z)[0 1 -1]+(x-y-z)[1 1 -1]と表せるので、ℝ³⊂W(0)+W(1)
∴ℝ³=W(0)+W(1)
また、

命題
有限次元線型空間Vにおいて、V=W₁+W₂のとき、
V=W₁⊕W₂ ⇔ dimV=dimW₁+dimW₂
「よくわかる線型代数」有馬哲・石村貞夫著より

より、dimℝ³=dimW(0)+dimW(1)を示せば良いが、
上より「W(1)=ℝ[1 0 1]+ℝ[0 1 -1]となる。よってdimW(1)=2」と「よってW(0)=ℝ[1 1 -1]となる」より、基底の個数が2個と1個より、dimW(1)=2,dimW(0)=1
また、dimℝ³=3より、3=1+2で、
dimℝ³=dimW(0)+dimW(1)が成り立つ。

定理(基底の長さの一意性)
線型空間Vにおいて(n≧1)、
長さnの基底が少なくとも一つある⇔dimV=n
「よくわかる線型代数」有馬哲・石村貞夫著より

念のため、基底の長さと基底の個数は同じ意味。一応、「線型代数入門」有馬哲著からも引用しよう。

定義と命題(3.2.2)
数体K上の線型空間Vに対して
(ⅰ)V={0}のとき、Vは0次元であると言い、dimkV=0と書く。
(ⅱ)Vにn個の線型独立な元が存在し、n+1個以上の線型独立な元は存在しない⇔Vがn個の元よりなる基底をもつ
このときVはn次元であると言い、dimkV=nと書く(nは自然数)。(ⅰ)または(ⅱ)のとき、総称してVは有限次元であると言い、dimkV<∞と書く。
(ⅲ)は省略。
「線型代数入門」有馬哲著より

この(ⅱ)である。分かればなんて事もない内容なのだが、一読しただけではよく分からないでしょう。

おまけ:
https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12883912655.html
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2025/2/26 11:45 (No.1396542)削除
次の文章を完全解説して下さい。

例(3.2.4)
(ⅰ)数体Kは、K自身の上の線型空間と見るとき一次元である。Kの任意の元a≠0をとるとき、<a>がKの基底である。たとえば、K=ℂのとき、dimcℂ=1である。
(ⅱ)複素数体ℂはまた実数体ℝの上の線型空間と見ることもできる。このとき<1,i>はℝ線型空間ℂの一つの基底で、dimℝℂ=2
「線型代数入門」有馬哲著より

定義と命題(3.2.2)
数体K上の線型空間Vに対して
(ⅰ)V={0}のとき、Vは0次元であると言い、dimkV=0と書く。
(ⅱ)Vにn個の線型独立な元が存在し、n+1個以上の線型独立な元は存在しない⇔Vがn個の元よりなる基底をもつ
このときVはn次元であると言い、dimkV=nと書く(nは自然数)。(ⅰ)または(ⅱ)のとき、総称してVは有限次元であると言い、dimkV<∞と書く。
(ⅲ)は省略。
「線型代数入門」有馬哲著より

適当に分かり易く解説して下さい。もっとも、今回は初学者用の基本ですね。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/2/26 13:43削除
解説
>(ⅰ)数体Kは、K自身の上の線型空間と見るとき一次元である。

まず、次元の定義、

定義と命題(3.2.2)
(ⅱ)Vにn個の線型独立な元が存在し、n+1個以上の線型独立な元は存在しない⇔Vがn個の元よりなる基底をもつ
このときVはn次元であると言い、dimkV=n

より、基底の定義を見ると、

定義
Vを数体K上の線型空間とする。Vの有限個の元b₁,b₂,…,bn(n≧1)の順序を考えた組を
<b₁,b₂,…,bn>
で表わす。順序を考えた組<b₁,b₂,…,bn>が次の二つの条件をみたすとき、これをVの基底または底と言う。
(1)b₁,b₂,…,bnは線型独立である。
(2)Vの任意の元はb₁,b₂,…,bnの線型結合である。すなわち
V=Kb₁+Kb₂+…+Kbn

つまり、1次元とは線型独立な元が1つでV=Kb₁という形をしているという事である。
そこで、「K自身の上の線型空間と見るとき」は後回しにして、先に進む。

>Kの任意の元a≠0をとるとき、<a>がKの基底である。

<a>は順序を考えているだけで、実質的にはaの事である(1つの場合は順序はない)。当然、線型独立な元が1つしかないのだから、aが基底である。そして、V=Kaという形をしているという事。念のため、c∈Kに対して、V=caという事。つまり、aをベクトル(線型)と考えれば直線を表しているという事である。
「K自身の上の線型空間と見るとき」とは、ベクトル空間と見る時という意味である。(K自身の上とはスカラー倍(定数倍)の要素が集合Kという事。)
また、「a≠0」は大事な事である。

定義と命題(3.2.2)
数体K上の線型空間Vに対して
(ⅰ)V={0}のとき、Vは0次元であると言い、dimkV=0と書く。

aが1つだけでa=0では0次元になってしまうからである。また、別の見方をすると、1つの元が線型独立である必要十分条件がa≠0だからである。

命題(3.1.7)
Vを数体K上の線型空間,a₁,…,an∈Vとする。
(ⅰ)ただ一つの元a₁∈Vに対しては
a₁が線型独立 ⇔a₁≠0
(ⅱ),(ⅲ)は省略。

>たとえば、K=ℂのとき、dimcℂ=1である。

その前に「Kの任意の元a≠0をとるとき」とあるので、適当にa=3+2iとすると、Kは線型空間なので零元を含むので、複素平面で点0と点aを直線で結ぶと、直線は1次元なので、dimkV=dimkK=1
(スカラー倍を自由に動かせばベクトルaは直線上の全ての点を指し示す。)
つまり、dimcℂ=1という事である。
(ここでは、任意と適当の解説は省略する。面白くないだろう。)

線型空間の定義
公理Ⅰ(加法の公理)
(3)零元あるいは零と呼ばれる特別な元がただ一つ存在し、すべてのx∈Vに対して
0+x=x+0=x(零元の存在)
「線型代数入門」有馬哲著より

(ⅱ)は次回。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2025/2/26 16:05削除
解説の続き

例(3.2.4)
(ⅰ)数体Kは、K自身の上の線型空間と見るとき一次元である。Kの任意の元a≠0をとるとき、<a>がKの基底である。たとえば、K=ℂのとき、dimcℂ=1である。
(ⅱ)複素数体ℂはまた実数体ℝの上の線型空間と見ることもできる。このとき<1,i>はℝ線型空間ℂの一つの基底で、dimℝℂ=2
「線型代数入門」有馬哲著より

>(ⅱ)複素数体ℂはまた実数体ℝの上の線型空間と見ることもできる。

複素平面上の点aをa=p+qi(p,q∈ℝ)とすると、成分は(p,q)でベクトルの成分表示と見る事も出来る。

>このとき<1,i>はℝ線型空間ℂの一つの基底で、dimℝℂ=2

<1,i>がℝ上の線型空間の基底である事を一応、証明しよう。基底の定義は、

定義
Vを数体K上の線型空間とする。Vの有限個の元b₁,b₂,…,bn(n≧1)の順序を考えた組を
<b₁,b₂,…,bn>
で表わす。順序を考えた組<b₁,b₂,…,bn>が次の二つの条件をみたすとき、これをVの基底または底と言う。
(1)b₁,b₂,…,bnは線型独立である。
(2)Vの任意の元はb₁,b₂,…,bnの線型結合である。すなわち
V=Kb₁+Kb₂+…+Kbn

だったので、まず、1とiが線型独立である事が必須である。そこで、線型独立の定義は、

定義
a₁,a₂,…,akが線型独立とは
“c₁a₁+c₂a₂+…+ckak=0 ならば必ず c₁=c₂=…=ck=0”
が成り立つことである。
「線型代数入門」有馬哲著より

よって、c₁・1+c₂・i=0(c₁,c₂∈ℝ)とすると、c₁+c₂i=0 c₁,c₂は実数より、c₁=c₂=0である。
よって、c₁・1+c₂・i=0ならばc₁=c₂=0なので、1とiは線型独立な関係である。
因みに、<1,i>が線型独立だが、この証明を見て分かるように、<i,1>も線型独立である。
因みに、2とiとか3と2iとかもそれぞれ線型独立である。線型従属の定義を考えれば分かるが、2つの元の場合は、片方をスカラー倍(定数倍)して等しくならなければ線型独立である。だから1と2などは線型従属。念のため、「線型従属の否定を線型独立と言う」(「線型代数入門」有馬哲著)。

線型従属の定義
a₁,a₂,…,akの間に自明でない線型関係が存在するとき、言い換えれば
c₁a₁+c₂a₂+…+ckak=0(c₁,c₂,…,ck)≠(0,0,…,0)
となるc₁,…,ck∈Kが少なくとも一組存在するとき、a₁,…,akは(K上)線型従属または一次従属であると言う。
「線型代数入門」有馬哲著より

2個の場合は、c₁a₁+c₂a₂=0ならばc₁,c₂のどちらかは0でないという事。
よって、c₁≠0として移項して変形すると、
a₁=(-c₂/c₁)a₂=ca₂(c∈ℝ)
となり、スカラー倍(定数倍)で等しくなるという事。
図で考えれば、2つのベクトルが一直線(平行)上にある場合である。
話を元に戻して、<1,i>がℝ上の線型空間の基底である事を証明していたので、基底の定義の(2)、

(2)Vの任意の元はb₁,b₂,…,bnの線型結合である。すなわち
V=Kb₁+Kb₂+…+Kbn

1とiが複素平面全てを生成する事は自明なので、ℂ=ℝ・1+ℝ・iが成り立つ。
よって、<1,i>はℝ上の線型空間の基底である。
また、次元の定義の(ⅱ)より、

定義と命題(3.2.2)
数体K上の線型空間Vに対して
(ⅱ)Vにn個の線型独立な元が存在し、n+1個以上の線型独立な元は存在しない⇔Vがn個の元よりなる基底をもつ
このときVはn次元であると言い、dimkV=nと書く(nは自然数)。

基底の個数が次元を表すので、dimℝℂ=2

>このとき<1,i>はℝ線型空間ℂの一つの基底で、dimℝℂ=2

よって、これの解説終了。

因みに、線型代数学がこういう(中学・高校数学が出来てもよく分からない)ものだと分かれば、こういう漫画ももっとよく分かって面白い。https://bookwalker.jp/series/10921/?srsltid=AfmBOopHlymHzoRFhQMhCpzGsTNqLYoizZdI5b1lCnbqze1lQPk4M5Uc

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