解説
>(ⅰ)三点A,B,Cが直線l={P+tQ|-∞<t<∞}上にある
これは昨日解説したので省略。その時、Oを消す時に直線l上に基準点を持ってくるなどと書いてしまったが、よく考えたらPやQは空間上の点扱いなので、基準点はそのままで良かったですね。
「∴↑OX=↑OP+t↑OA
Xはl上の任意の点で、位置ベクトルのOを消す(Oを直線l上に持ってくる)と、X=P+tAで、lはP+tA(-∞<t<∞)で表わされるという訳である。」
引用元:2024/12/16 14:14の投稿
平面の方も同様に( )内は取り消し。
「↑OX=↑OP+s↑OA+t↑OBとなる。
Xはπ上の任意の点で位置ベクトルのOを消す(Oを平面π上に持ってくる)と、
X=P+sA+tB(-∞<s,t<∞)となるという訳である。」
引用元:2024/12/16 14:14の投稿
>B-AとC-Aとが線型従属
⇒F(B-A)とF(C-A)とが線型従属
線型従属の定義から解説しよう。
定義
実線型空間Vの元a₁,…,akの間の
c₁a₁+…+ckak=0(c₁,…,ck∈ℝ)
の形の関係を線型関係と言う(k≧1)。
a₁,…,ak∈Vに対して
c₁a₁+…+ckak=0,(c₁,…,ck)≠(0,…,0)
となるc₁,…,ck∈ℝが少なくとも一組存在するとき、a₁,…,akは(ℝ上)線型従属または一次従属であると言う。
「演習詳解 線型代数」有馬哲・浅枝陽共著より
つまり、B-AとC-Aが線型従属という事は、
c₁(B-A)+c₂(C-A)=0(c₁,c₂∈ℝ)とすると、少なくとも1組の実数c₁,c₂が存在するという事である。
∴B-A=(-c₂/c₁)(C-A)
ここで、-c₂/c₁=m∈ℝと置くと、
B-A=m(C-A)
∴F(B-A)=F(m(C-A))=mF(C-A)(Fは線型写像だから)
よって、F(B-A)=mF(C-A)
これにm=-c₂/c₁を代入すると、
F(B-A)=(-c₂/c₁)F(C-A)
∴c₁F(B-A)=(-c₂)F(C-A)
∴c₁F(B-A)+c₂F(C-A)=0
よって、この式が成り立つ実数c₁,c₂が存在するので、F(B-A)とF(C-A)は線型従属である。
よって、B-AとC-Aとが線型従属
⇒F(B-A)とF(C-A)とが線型従属
が成り立つ。
>F(B)-F(A)とF(C)-F(A)とが線型従属
⇒F(B)-F(A)=s₁D,F(C)-F(A)=s₂DとなるD∈E³とs₁,s₂∈ℝとがある
線型従属とは、上のF(B-A)=mF(C-A)式から分かるように、(ベクトルが)2つの場合は、一直線か平行という事である。よって、同じD(ベクトルで考えると良い)で表わせるという事。念のため、長さ(ノルム)はそれぞれなのでs₁とs₂とする。
>F(B)-F(A)=s₁D,F(C)-F(A)=s₂DとなるD∈E³とs₁,s₂∈ℝとがある
⇒三点F(A),F(B),F(C)が直線{F(A)+sD|-∞<s<∞}上にある。
これは移項して考えれば分かるだろう。念のため、F(A)がこの直線状にある場合はs=0という事。
>したがって、三点F(A),F(B),F(C)が同一直線上になければ、三点A,B,Cも同一直線上にない。
結局、
三点A,B,Cが直線l={P+tQ|-∞<t<∞}上にある
⇒三点F(A),F(B),F(C)が直線{F(A)+sD|-∞<s<∞}上にある。
となり、この対偶を取ると、
三点F(A),F(B),F(C)が直線{F(A)+sD|-∞<s<∞}上にない
⇒三点A,B,Cが直線l={P+tQ|-∞<t<∞}上にない
となり、「三点F(A),F(B),F(C)が同一直線上になければ、三点A,B,Cも同一直線上にない」事が示された。
>(なお上の証明は、F(A)=F(B)=F(C)のときも、s₁=s₂=0,Dを任意の点とすることにより成り立つ。)
「⇒F(B)-F(A)=s₁D,F(C)-F(A)=s₂DとなるD∈E³とs₁,s₂∈ℝとがある」
ここから左辺がOでs₁=0とすればDを任意に取っても成り立つ事が分かるだろう。
>問題5を使えばもっと簡単。
問題5
F:(E³,O)→(E³,O)を実線型写像とする。
(ⅰ)直線l⊂E³のFによる像F(l)は点か直線であることを示せ。
(ⅱ)平面π⊂E³のFによる像F(π)は点か直線か平面であることを示せ。
問題5(ⅰ)より、
3点A,B,Cが直線l上にある⇒3点F(A),F(B),F(C)は1点かある直線上にある
(1点である事は直線上の任意の点が点になるから3点とも1点になるという事。これは問題5(ⅰ)の証明を見ればより明らかである。)
この対偶を取ると、
3点F(A),F(B),F(C)は1点でない かつ 任意の直線上にない⇒3点A,B,Cが直線l上にない
ところで、問題の条件は「三点F(A),F(B),F(C)∈E³が同一直線上にないとする」だったので、1点ではないし、任意の直線上にもないので、3点A,B,Cが直線l上にない。
つまり、「三点A,B,Cが同一直線上にない」事が示された。
続きは次回。
おまけ:
https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12878718800.html