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壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/28 13:41 (No.1312558)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題 10-15c
定理10.4は、1のべき根が定数とは限らない場合でも成り立つことを示せ。

解答
(1)⇒(2):f(x)の根をべき根で表すのに必要な1のべき根を、はじめに構成し、定数を増やす。
問題9-8の解答の参考より、1のべき根の計算においても、定数のp乗根(pは素数)を求める際に、1のp乗根がすでに定数に含まれていると仮定してよい。よって定理10.4の(1)⇒(2)の議論がこの構成に適用でき、Gは可解であることがわかる。
(2)⇒(1):仮定よりGの部分群の列G=G₀⊃G₁⊃…⊃Gs={e}であって、Gi+1はGiの正規部分群で(Gi:Gi+1)=pi(素数)をみたすものがある。
1のp₀…ps-1乗根を増やして定数とする。この定数を係数とみたf(x)の群をH(⊂G)とし、Hi=Gi∩Hとおく。
このとき「Hi+1がHiの正規部分群であり、Hi/Hi+1はpi個または1個の元からなる(i=1,…,s)」ことを示せばよい。実際、これがわかればHは可解であり、定理10.4の(2)⇒(1)の議論が適用できる。
 σ∈Hiに対しHi∩σGi+1=σHi+1である。実際、σを左から掛けて得られる写像は全単射なのでHi∩Gi+1=Hi+1とσHi=Hiより等式が従う。同様にHi∩(Gi+1σ)=Hi+1σも成り立つ。σGi+1=Gi+1σなのでσHi+1=Hi+1σであり、Hi+1はHiの正規部分群である。
Hi≠Hi+1のとき、Hi+1に入らないHiの元σをとる。このときσ^kHi+1(=H∩σ^kGi+1)(k=0,…,pi-1)はHiの右Hi+1傍系全体である(∵σ^kGi+1がGiの右Gi+1傍系全体だから)。
σ^piHi+1=Hi+1より、Hi/Hi+1におけるσHi+1の位数は素数piの約数である。よってその位数はpiに等しく、Hi/Hi+1はpi個の元からなる。Hi=Hi+1のときHi/Hi+1は1個の元からなる。(参考:解答中の「…」の証明より、「可解群の部分群は可解群である」ことがわかる。)
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

定理10.4(べき根で表される根を持つ多項式の特徴づけ)
重根を持たない多項式f(x)に対して、次は同値である。
(1)f(x)の根がすべてべき根の式で表される。
(2)多項式f(x)の群は可解である。

問題9-8の解答の参考
(参考:(2)より「1のn乗根は(いくつかの)べき乗根の式で表される」・・・(*)n
ことがわかる。これをnに関する帰納法で示す。n=1,2は自明である。n(≧3)より小さいmに対して、1のm乗根は(*)mをみたすとする。nが素数でなければnを割り切る素数pについて(*)pが成り立つ。また1のp^2乗根は、1のp乗根ζを用いて、p√ζζ^j(注:ζのp乗根×ζ^jという事)(j=0,1,・・・,p-1)と表される(よってべき根の式で表される)。したがってnが素数でないときは(*)nが成り立つ。nが素数pのとき、本問の(2)と帰納法の仮定より(ηもべき根の式で表される)、1の原始p乗根もべき根の式で表される。ゆえに帰納法より(*)nがすべてのnについて成り立つ。)

適当に分かり易く解説して下さい。毎回、毎回、非常に苦しいのですが、何故か何とかなっています。(謎です。)

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/28 16:30削除
解説
>問題9-8の解答の参考より、1のべき根の計算においても、定数のp乗根(pは素数)を求める際に、1のp乗根がすでに定数に含まれていると仮定してよい。

問題9-8の解答の参考
(参考:(2)より「1のn乗根は(いくつかの)べき乗根の式で表される」・・・(*)n
ことがわかる。これをnに関する帰納法で示す。n=1,2は自明である。n(≧3)より小さいmに対して、1のm乗根は(*)mをみたすとする。nが素数でなければnを割り切る素数pについて(*)pが成り立つ。また1のp^2乗根は、1のp乗根ζを用いて、p√ζζ^j(注:ζのp乗根×ζ^jという事)(j=0,1,・・・,p-1)と表される(よってべき根の式で表される)。したがってnが素数でないときは(*)nが成り立つ。nが素数pのとき、本問の(2)と帰納法の仮定より(ηもべき根の式で表される)、1の原始p乗根もべき根の式で表される。ゆえに帰納法より(*)nがすべてのnについて成り立つ。)

「1のp^2乗根は、1のp乗根ζを用いて、p√ζζ^j(注:ζのp乗根×ζ^jという事)(j=0,1,・・・,p-1)と表される(よってべき根の式で表される)。」
この部分の事である。例えば、ω=(-1+√3)/2として、x³=ωでx(ωの3乗根)を求めるのに、
x=³√ω・ωと求めるが、ω=(-1+√3)/2を定数として扱っているという事である。
念のため、x³=ωがx=³√ω・ωで求められる理由は、
x³-ω=0とすると、x³-(³√ω)³=0
∴(x-³√ω)(x²+³√ωx+³√ω²)=0
∴x²+³√ωx+³√ω²=0
∴x={-³√ω±√(³√ω²-4³√ω²)}/2
={-³√ω±√(-3³√ω²)}/2
=(-³√ω±√3i・³√ω)/2
=³√ω(-1±√3i)/2
=³√ω{(-1+√3i)/2}(プラスの方だけ選ぶ)
=³√ω・ω
よって、x=³√ω・ωで求められるという訳。

>1のp₀…ps-1乗根を増やして定数とする。この定数を係数とみたf(x)の群をH(⊂G)とし、Hi=Gi∩Hとおく。

ガロワ対応で根の体と方程式の群が対応していて、体の方が増えて拡大すると群の方は縮小するので、HはGの部分群になる。(H(⊂G))
また、Hi=Gi∩Hと置くと、相似形のような部分群の列を作れるからである。

定義 10.3(可解群)
有限群Gは、次の性質をみたす部分群の列
G=G₀⊃G₁⊃G₂⊃…⊃Gs={e}
を持つとき、可解である、または可解群であるという。
「i=0,1,…,s-1に対して、Gi+1はGiの正規部分群で、その商群Gi/Gi+1は1つの元で生成され、素数個の元からなる。」
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

これがHiでも作れればガロワ対応で拡大した体の係数の方程式でも(定理10.4の(2)⇒(1)が)成り立つという事だから。

>このとき「Hi+1がHiの正規部分群であり、Hi/Hi+1はpi個または1個の元からなる(i=1,…,s)」ことを示せばよい。実際、これがわかればHは可解であり、定理10.4の(2)⇒(1)の議論が適用できる。

上で先に言ってしまいましたね。

>σ∈Hiに対しHi∩σGi+1=σHi+1である。実際、σを左から掛けて得られる写像は全単射なのでHi∩Gi+1=Hi+1とσHi=Hiより等式が従う。

まず、Hi∩Gi+1=Hi+1が問題である。上でHi=Gi∩Hと置いたので、ベン図で集合Giと集合Hを2つの円が一部で交わるように描き、その交わり部分をHiとする。ところで、定義10.3よりGi⊃Gi+1なので、Giの内部に円Gi+1を描き先の円Hとの交わり部分をHi+1(Hi+1=Gi+1∩Hだから)とすると、
ベン図より、Hi∩Gi+1=Hi+1となる事が分かる。
次に、この両辺にσを左からかけると、
σ(Hi∩Gi+1)=σHi+1
∴σHi∩σGi+1=σHi+1
(この理由は全単射らしいが、私は「群・環・体 入門」の問4.2の(6)を使ってみたい。)

問4.2
群Gの部分集合X,Y,Zと元a,b∈Gについて、
(6)a(X∩Y)=aX∩aY
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

また、σHi=Hiは、σ∈Hiだから。(「群・環・体 入門」の定理4.1の系より)

定理4.1の系
Gを群,HをGの部分群とする。このとき、Gの任意の元aについて次の(1),(2),(3)は同値である。
(1)a∈H(2)aH=H(3)Ha=H
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

よって、σHi∩σGi+1=σHi+1にσHi=Hiを代入すると、Hi∩σGi+1=σHi+1になるという事。

>同様にHi∩(Gi+1σ)=Hi+1σも成り立つ。σGi+1=Gi+1σなのでσHi+1=Hi+1σであり、Hi+1はHiの正規部分群である。

「σGi+1=Gi+1σ」は、定義 10.3からGi+1は(Giの)正規部分群だから。
Hi∩σGi+1=σHi+1,Hi∩(Gi+1σ)=Hi+1σ
とσGi+1=Gi+1σから、σHi+1=Hi+1σという事。

>Hi≠Hi+1のとき、Hi+1に入らないHiの元σをとる。このときσ^kHi+1(=H∩σ^kGi+1)(k=0,…,pi-1)はHiの右Hi+1傍系全体である(∵σ^kGi+1がGiの右Gi+1傍系全体だから)。

「Hi+1に入らないHiの元σをとる」は剰余類とか類別を考える時は大事である。入っていると定理4.1の系によって特別なものになってしまうからである。

定義 10.3(可解群)
有限群Gは、次の性質をみたす部分群の列
G=G₀⊃G₁⊃G₂⊃…⊃Gs={e}
を持つとき、可解である、または可解群であるという。
「i=0,1,…,s-1に対して、Gi+1はGiの正規部分群で、その商群Gi/Gi+1は1つの元で生成され、素数個の元からなる。」

また、Hi=Gi∩Hと置いてありGiでは「商群Gi/Gi+1は1つの元で生成され、素数個の元からなる」ので対応するHiも同じ素数個でσ^kHi+1(k=0,…,pi-1)がHiの右傍系全体になる。(σが1つの元で生成される群(巡回群)。)

>σ^piHi+1=Hi+1より、Hi/Hi+1におけるσHi+1の位数は素数piの約数である。よってその位数はpiに等しく、Hi/Hi+1はpi個の元からなる。Hi=Hi+1のときHi/Hi+1は1個の元からなる。

σの位数はpiでσ^pi=eより、σ^piHi+1=Hi+1
また、「Hi+1はHiの正規部分群である」ので、剰余群の法則が使え、(σHi+1)^pi=σ^piHi+1
よって、(σHi+1)^pi=σ^piHi+1=Hi+1
よって、σHi+1の位数はpiである。
よって、Hi/Hi+1はpi個の元からなる。

因みに、「Hi/Hi+1におけるσHi+1の位数は素数piの約数である」はちょっとよく分からない。

以前にも、

>よってdはpの約数である。pは素数なのでd=pである。

S={x₁,hx₁,…,h^(d-1)x₁}∪{x₂,hx₂,…,h^(d-1)x₂}∪…∪{xp,hxp,…,h^(d-1)xp}
より、Sはp個の集合に分割されるので、
|S|/|X|=p ∴|X|=|S|/p
よって、それぞれの集合の元の個数はpの倍数である。よって、dはpの倍数。
ところが、dはhの位数でhはN={x₁,…,xp}の元より、d≦pである。∴d=p
よって、Gには位数pの元が存在する。

最後の所はよく分からないので適当です。自己責任でお願いします。
2024/10/7 16:50の投稿より

私は約数ではなく倍数になってしまったが、今回も言いたい事は分かる。
「Hi/Hi+1におけるσHi+1の位数は素数piの約数であ」り、piは素数よりpiか1でpiであると言いたいのである。しかし、Hiの位数はpiではないですよね。(Hi/Hi+1の位数は|Hi|/|Hi+1|。)
今回も自己責任でお願いします。

おまけ:
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/25 21:03 (No.1310500)削除
問題
図のように、円に内接する四角形ABCDがあるとき、AB×CD+BC×AD=AC×BC・・・(a)が成立する。この式を次の順序で証明しなさい。
(1)BD上に∠BAE=∠CADとなるような点をとるとき、
(ⅰ)AB:BE=AC:CDを示せ。
(ⅱ)AD:DE=AC:CBを示せ。
(2)(1)で証明したことがらを用いて、式(a)が成立することを証明しなさい。

余裕がある人は何でもありでも式(a)を導いて下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/26 08:05削除
問題
図のように、円に内接する四角形ABCDがあるとき、AB×CD+BC×AD=AC×BD・・・(a)が成立する。この式を次の順序で証明しなさい。
(1)BD上に∠BAE=∠CADとなるような点をとるとき、
(ⅰ)AB:BE=AC:CDを示せ。
(ⅱ)AD:DE=AC:CBを示せ。
(2)(1)で証明したことがらを用いて、式(a)が成立することを証明しなさい。

模範解答
(1)(ⅰ)仮定より、∠BAE=∠CAD・・・①
円周角の定理より、∠ABE=∠ACD・・・②
①,②より、△ABE∽△ACD(二角相等)
対応する辺の比をとって、
AB:BE=AC:CD・・・③
(ⅱ)①の両辺から共通部分∠CAEをひくと、
∠BAC=∠EAD・・・④
また、円周角の定理より、
∠BCA=∠EDA・・・⑤
④,⑤より、△DAE∽△CAB
対応する辺の比をとって、
AD:DE=AC:CB・・・⑥
(2)③より、AB×CD=BE×AC・・・⑦
⑥より、BC×AD=DE×AC・・・⑧
⑦と⑧を辺々たして、
AB×CD+BC×AD=(BE+DE)×AC
=AC×BD
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

すみません。誤植がありました。
AB×CD+BC×AD=AC×BC・・・(a)
AB×CD+BC×AD=AC×BD・・・(a)
BCじゃなくてBDですね。

何でもありの解法
AB=a,BC=b,CD=c,DA=d,
AC=x,BD=y,∠A=θ,∠B=φと置くと、四角形ABCDは円に内接する四角形より、
∠C=180°-θ,∠D=180°-φ
ここで、△ABDと△CBDで余弦定理を使うと、
cosθ=(y²-a²-d²)/2ad———①
cos(180°-θ)=(y²-b²-c²)/2bc
∴-cosθ=(y²-b²-c²)/2bc
∴cosθ=-(y²-b²-c²)/2bc———②
①,②より、
(y²-a²-d²)/2ad=-(y²-b²-c²)/2bc
∴bc(y²-a²-d²)=-ad(y²-b²-c²)
∴bcy²-bc(a²+d²)=-ady²+ad(b²+c²)
∴(ad+bc)y²=ad(b²+c²)+bc(a²+d²)
∴y²={ad(b²+c²)+bc(a²+d²)}/(ad+bc)———③
ad(b²+c²)+bc(a²+d²)
=bc(a²+d²)+ad(b²+c²)
=bca²+d(b²+c²)a+bcd²
=(ba+cd)(ca+bd)
=(ab+cd)(ac+bd)
これを③に代入すると、
y²=(ab+cd)(ac+bd)/(ad+bc)———☆
また、△BACと△DACで余弦定理を使うと、
cosφ=(x²-a²-b²)/2ab———④
cos(180°-φ)=(x²-c²-d²)/2cd
∴-cosφ=(x²-c²-d²)/2cd
∴cosφ=-(x²-c²-d²)/2cd———⑤
④,⑤より、
(x²-a²-b²)/2ab=-(x²-c²-d²)/2cd
∴cd(x²-a²-b²)=-ab(x²-c²-d²)
∴cdx²-cd(a²+b²)=-abx²+ab(c²+d²)
∴(ab+cd)x²=ab(c²+d²)+cd(a²+b²)
∴x²={ab(c²+d²)+cd(a²+b²)}/(ab+cd)———⑥
同様にab(c²+d²)+cd(a²+b²)を因数分解すると、
=(ac+bd)(ad+bc)
これを⑥に代入すると、
x²=(ac+bd)(ad+bc)/(ab+cd)———★
☆と★の辺々を掛け合わせると、
x²y²=(ac+bd)²
∴xy=ac+bd
∴AC・BD=AB・CD+BC・DA
∴AB×CD+BC×AD=AC×BD
よって、(a)が導かれた。
アイデア引用元:https://manabitimes.jp/math/581

中学数学の別解(私のオリジナル)は次回。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/27 07:55削除
問題
図のように、円に内接する四角形ABCDがあるとき、AB×CD+BC×AD=AC×BD・・・(a)が成立する。この式を次の順序で証明しなさい。
(1)BD上に∠BAE=∠CADとなるような点をとるとき、
(ⅰ)AB:BE=AC:CDを示せ。
(ⅱ)AD:DE=AC:CBを示せ。
(2)(1)で証明したことがらを用いて、式(a)が成立することを証明しなさい。

中学数学の別証
AB=a,BC=b,CD=c,DA=d,
AC=x,BD=yと置いて、BCの延長上に∠EDC=∠BDAとなる点Eを取ると、四角形ABCDは円に内接する四角形より2角が等しくなるので、△DAB∽△DCEとなる。
∴d:a=c:CE ∴CE=ac/d
∴BE=b+ac/d=(bd+ac)/d
∴BE=(ac+bd)/d———☆
また、∠EDC=∠BDAの両辺に∠BDCを加えると、∠BDE=∠ADC
また、円周角より、∠DBC=∠DAC
よって、2角が等しいので、△DBE∽△DAC
∴DA:AC=DB:BE
∴d:x=y:(ac+bd)/d
∴xy=ac+bd
∴AC・BD=AB・CD+BC・DA
∴AB×CD+BC×AD=AC×BD
よって、(a)が導かれた。

次回はこちらhttps://manabitimes.jp/math/581の正弦定理による証明をやりますね。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/28 07:57削除
問題
図のように、円に内接する四角形ABCDがあるとき、AB×CD+BC×AD=AC×BC・・・(a)が成立する。この式を次の順序で証明しなさい。
(1)BD上に∠BAE=∠CADとなるような点をとるとき、
(ⅰ)AB:BE=AC:CDを示せ。
(ⅱ)AD:DE=AC:CBを示せ。
(2)(1)で証明したことがらを用いて、式(a)が成立することを証明しなさい。

何でもありの解法2
AB=a,BC=b,CD=c,DA=d,
AC=x,BD=yと置いて、
弧ABに対する円周角をθ₁,
弧BCに対する円周角をθ₂,
弧CDに対する円周角をθ₃,
弧DAに対する円周角をθ₄
円の半径をRと置くと、
△DAB(または△CAB)での正弦定理より、
a/sinθ₁=2R ∴a=2Rsinθ₁———①
△ABCでの正弦定理より、
b/sinθ₂=2R ∴b=2Rsinθ₂———②
△ACDでの正弦定理より、
c/sinθ₃=2R ∴c=2Rsinθ₃———③
△CDAでの正弦定理より、
d/sinθ₄=2R ∴d=2Rsinθ₄———④
①,②,③,④より、
ac+bd
=(2Rsinθ₁)(2Rsinθ₃)+(2Rsinθ₂)(2Rsinθ₄)
=4R²sinθ₁sinθ₃+4R²sinθ₂sinθ₄
=4R²(sinθ₁sinθ₃+sinθ₂sinθ₄)———ア
また、△DACで正弦定理を使うと、
x/sin(θ₁+θ₂)=2R
∴x=2Rsin(θ₁+θ₂)———⑤
△ABDで正弦定理を使うと、
y/sin(θ₂+θ₃)=2R
∴y=2Rsin(θ₂+θ₃)———⑥
⑤,⑥より、
xy=4R²sin(θ₁+θ₂)sin(θ₂+θ₃)———イ
ア,イより、式(a)(xy=ac+bd)を示すには、
sinθ₁sinθ₃+sinθ₂sinθ₄=sin(θ₁+θ₂)sin(θ₂+θ₃)———☆
を示せば良い。
ここで、△ABDの内角の和より、
θ₄=180°-(θ₁+θ₂+θ₃)
これを☆の左辺に代入すると、
左辺=sinθ₁sinθ₃+sinθ₂sin{π-(θ₁+θ₂+θ₃)}
=sinθ₁sinθ₃+sinθ₂sin(θ₁+θ₂+θ₃)———★

sin(θ₁+θ₂+θ₃)=sin(θ₁+(θ₂+θ₃)
=sinθ₁cos(θ₂+θ₃)+cosθ₁sin(θ₂+θ₃)
=sinθ₁(cosθ₂cosθ₃-sinθ₂sinθ₃)
+cosθ₁(sinθ₂cosθ₃+cosθ₂sinθ₃)
=sinθ₁cosθ₂cosθ₃-sinθ₁sinθ₂sinθ₃
+cosθ₁sinθ₂cosθ₃+cosθ₁cosθ₂sinθ₃

∴左辺=sinθ₁sinθ₃+sinθ₁sinθ₂cosθ₂cosθ₃
-sinθ₁sin²θ₂sinθ₃+cosθ₁sin²θ₂cosθ₃
+cosθ₁cosθ₂sinθ₂sinθ₃
=sinθ₁sinθ₃(1-sin²θ₂)
+sinθ₁sinθ₂cosθ₂cosθ₃+cosθ₁sin²θ₂cosθ₃
+cosθ₁cosθ₂sinθ₂sinθ₃
=sinθ₁cos²θ₂sinθ₃+sinθ₁sinθ₂cosθ₂cosθ₃
+cosθ₁sin²θ₂cosθ₃+cosθ₁cosθ₂sinθ₂sinθ₃

右辺=sin(θ₁+θ₂)sin(θ₂+θ₃)
=(sinθ₁cosθ₂+cosθ₁sinθ₂)(sinθ₂cosθ₃+cosθ₂sinθ₃)
=sinθ₁sinθ₂cosθ₂cosθ₃+sinθ₁cos²θ₂sinθ₃
+cosθ₁sin²θ₂cosθ₃+cosθ₁sinθ₂cosθ₂sinθ₃
=sinθ₁cos²θ₂sinθ₃+sinθ₁sinθ₂cosθ₂cosθ₃
+cosθ₁sin²θ₂cosθ₃+cosθ₁cosθ₂sinθ₂sinθ₃

よって、左辺=右辺。
よって、☆が示された。
よって、式(a)が示された。

おまけ:
https://www.twellv.co.jp/program/drama/tantei-monogatari/archive-tantei-monogatari/tantei-monogatari-001/
返信
返信3
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/25 12:00 (No.1310144)削除
次の文章を完全解説して下さい。

定理5.7
一意分解整域Rの商体をKとする。F(X)∈R[X]を原始多項式とし
F(X)=f₁(X)…fr(X),fi(X)∈K[X],1≤degfi(X)
とする。このとき、ある原始多項式Fi(X)があって
F(X)=F₁(X)…Fr(X)
と表される。

証明
各fi(X)に対して、補題よりある原始多項式Fi(X)があって
fi(X)=uiFi(X)(ui∈K)と表される。
u=u₁…urとおけば、
F(X)=uF₁(X)…Fr(X)
ガウスの補題(定理5.5)より、右辺のF₁(X)…Fr(X)は原始多項式である。また、補題よりuは可逆元となる。
ゆえに、uF₁(X)をあらためてF₁(X)とおけばよい。(注:証明終了)

 体K上の多項式環K[X]においては既約多項式と既約元は同義であり、定理4.9より既約多項式は素元である。また素元であれば既約元であるから(定理5.3)、体K上の多項式環K[X]においては、既約多項式、既約元、素元はすべて同義である。したがって定理4.10によって、K[X]は一意分解整域である。

 一意分解整域Rの商体をKとする。F(X)がR[X]の素元とすると、定理5.3よりR[X]で既約である。さらに、F(X)がR[X]で既約であれば、定理5.6よりK[X]で既約、すなわち素元である。ゆえに、F(X)∈R[X]はR[X]で素元であれば、K[X]でも素元である。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

定理5.5(ガウスの補題)
f(X),g(X)∈R[X]とする。f(X)とg(X)が共に原始多項式ならば、f(X)・g(x)も原始多項式である。

補題
一意分解整域Rの商体をKとする。このとき次が成り立つ。
(1)K[X]の多項式f(X)はKの元uとR[X]の原始多項式F(X)によって
f(X)=u・F(X)
と表される。
(2)(1)の表現において、原始多項式F(X)(∈R[X])はRの可逆元の因子を除いて一意的に定まる。特に、f(X)∈R[X]であればu∈Rである。

定理4.9
体K上の多項式環をK[X]とし、多項式f(X),g(X),h(X)∈K[X]について(f(X),g(X))=1と仮定する。このとき、次が成り立つ。
f(X)|g(X)h(X)⇒f(X)|h(X)

定理5.3
Rを整域とし、pをRの元とする。pが素元であれば、pは既約元である。

定理4.10
体K上の多項式は既約多項式の積として、因子の順序とKの元の積を除いて一意的に分解される。

定理5.6
一意分解整域Rの商体をKとし、f(X)∈R[X]とする。
f(X)がK[X]において多項式の積に分解すれば、R[X]においても同じ次数の多項式に分解する。すなわち、f(X)はK[X]で可約であれば、R[X]においても可約である。
また、この逆も成り立つ。

適当に分かり易く解説して下さい。ただし、初学者にも納得出来るように厳密に解説して下さい。
(全てが厳密で誤植がなければ解読は簡単である。行間を読むのが大変な上にたまにおかしな事になっているからね。行間というより相手の思考(嗜好)かな。)

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/25 13:57削除
解説
>定理5.7
一意分解整域Rの商体をKとする。F(X)∈R[X]を原始多項式とし
F(X)=f₁(X)…fr(X),fi(X)∈K[X],1≤degfi(X)
とする。このとき、ある原始多項式Fi(X)があって
F(X)=F₁(X)…Fr(X)
と表される。

定理のアバウトな意味
各項の係数が互いに素な整数係数の多項式が有理数係数のいくつかの式に因数分解出来るならば、その整数係数の多項式は整数係数の式でも同じ個数に因数分解出来ますよという定理。

>各fi(X)に対して、補題よりある原始多項式Fi(X)があって
fi(X)=uiFi(X)(ui∈K)と表される。

補題
一意分解整域Rの商体をKとする。このとき次が成り立つ。
(1)K[X]の多項式f(X)はKの元uとR[X]の原始多項式F(X)によって
f(X)=u・F(X)
と表される。
(2)(1)の表現において、原始多項式F(X)(∈R[X])はRの可逆元の因子を除いて一意的に定まる。特に、f(X)∈R[X]であればu∈Rである。

補題を読めば自明である。その際、Kを有理数,Rを整数で読むと理解し易い。

>F(X)=uF₁(X)…Fr(X)
ガウスの補題(定理5.5)より、右辺のF₁(X)…Fr(X)は原始多項式である。

定理5.5(ガウスの補題)
f(X),g(X)∈R[X]とする。f(X)とg(X)が共に原始多項式ならば、f(X)・g(x)も原始多項式である。

原始多項式どうしの積はいくつかけても原始多項式になるからである。

>F(X)=uF₁(X)…Fr(X)
ガウスの補題(定理5.5)より、右辺のF₁(X)…Fr(X)は原始多項式である。また、補題よりuは可逆元となる。

よって、F₁(X)…Fr(X)を1つの原始多項式Fs(X)と置くと、F(X)=uFs(X)
しかし、ここで補題からuは可逆元と言えるのだろうか。

補題
一意分解整域Rの商体をKとする。このとき次が成り立つ。
(1)K[X]の多項式f(X)はKの元uとR[X]の原始多項式F(X)によって
f(X)=u・F(X)
と表される。
(2)(1)の表現において、原始多項式F(X)(∈R[X])はRの可逆元の因子を除いて一意的に定まる。特に、f(X)∈R[X]であればu∈Rである。

それより、F(X)=uFs(X)の両辺とも原始多項式でそれぞれの各項の係数の最大公約数が1だからu=±1
よって、uはRの可逆元ぐらいではないだろうか。

定義5.7(注:原始多項式の定義)
Rを一意分解整域とする。R係数の多項式
f(X)=a₀+a₁X+…+anX(ai∈R)
に対して、a₀,a₁,…,anの最大公約元が1であるとき、f(X)を原始多項式という。

可逆元の定義
環Rの元aに対し、Rのある元bが存在して
a・b=b・a=1
となるとき、aをRの可逆元,または単元といい、bをaの逆元という。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

>体K上の多項式環K[X]においては既約多項式と既約元は同義

これを厳密に言うと逆に分かり難くなってしまうので、後回し。(気が向いたらやる程度。)

>定理4.9より既約多項式は素元である。

定理4.9
体K上の多項式環をK[X]とし、多項式f(X),g(X),h(X)∈K[X]について(f(X),g(X))=1と仮定する。このとき、次が成り立つ。
f(X)|g(X)h(X)⇒f(X)|h(X)

これだけ見て「既約多項式は素元」と看破出来る人は天才だろう。いや、恐らくいない。
参考書ではこの定理の下に証明があり、話題が変わって定義4.6がある。

定義4.6
f(X)を次数がn(>0)の体K上の多項式とする。f(X)が次数が共に1以上の二つの多項式の積に分解されるとき、f(X)は可約であるといい、そうでないとき既約であるという。既約な多項式を既約多項式という。
 特に、1次の多項式はすべて既約である。

 体K上の3つの多項式f(X),g(X),h(X)について、f(X)が既約多項式であれば、定理4.9によって
f(X)|g(X)h(X)⇒f(X)|g(X)またはf(X)|h(X)
が成り立つ。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

この最後の定理4.9によって成り立つ事実が大事である。つまり、「定理4.9より既約多項式は素元である」ではなく「定理4.9から導かれる事実により、既約多項式は素元である」が正しい表現である。
定理4.9のf(X)の条件は既約多項式ではなく「f(X)とg(X)が互いに素」である。そして、その条件で、
f(X)|g(X)h(X)⇒f(X)|h(X)
なのだから、f(X)が既約多項式という条件ならば誰とでも互いに素なのだからg(X)だけでなくh(X)とも互いに素だから、
f(X)|g(X)h(X)⇒f(X)|g(X)またはf(X)|h(X)
となる訳である。
そして、これは素元の定義、

定義5.4
Rを整域とする。Rの可逆元でも0でもない元をaとする。a=bc(b,c∈R)ならば、bまたはcがRの可逆元でなければならないとき、aをRの既約元という。また、Rの元b,cに対して、a|bcであるとき、a|bかまたはa|cの少なくとも一方が成り立つ、という条件を満足しているときaをRの素元という。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

「a|bcであるとき、a|bかまたはa|cの少なくとも一方が成り立つ」
と同一だからである。

>体K上の多項式環K[X]においては、既約多項式、既約元、素元はすべて同義である。したがって定理4.10によって、K[X]は一意分解整域である。

定理4.10
体K上の多項式は既約多項式の積として、因子の順序とKの元の積を除いて一意的に分解される。

これも定義5.5を挟んだ方が厳密だろう。

定義5.5(注:一意分解整域の定義)
整域Rにおいて素元分解の一意性が成立するとは、Rの可逆元でも0でもない元は有限個の素元の積として分解でき、2つの素元分解は因子の順序と可逆元の積を除いて一意的定まることをいう。素元分解の一意性が成立する環を一意分解整域または簡単にUFDという。

定理4.10よりK[X]は既約多項式の積として一意的だが、既約多項式と素元が同義である事が示されたので、定義5.5によって正式に一意分解整域と認められる訳である。

続きは次回。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/25 15:50削除
解説の続き

定理5.7
一意分解整域Rの商体をKとする。F(X)∈R[X]を原始多項式とし
F(X)=f₁(X)…fr(X),fi(X)∈K[X],1≤degfi(X)
とする。このとき、ある原始多項式Fi(X)があって
F(X)=F₁(X)…Fr(X)
と表される。

証明
各fi(X)に対して、補題よりある原始多項式Fi(X)があって
fi(X)=uiFi(X)(ui∈K)と表される。
u=u₁…urとおけば、
F(X)=uF₁(X)…Fr(X)
ガウスの補題(定理5.5)より、右辺のF₁(X)…Fr(X)は原始多項式である。また、補題よりuは可逆元となる。
ゆえに、uF₁(X)をあらためてF₁(X)とおけばよい。(注:証明終了)

 体K上の多項式環K[X]においては既約多項式と既約元は同義であり、定理4.9より既約多項式は素元である。また素元であれば既約元であるから(定理5.3)、体K上の多項式環K[X]においては、既約多項式、既約元、素元はすべて同義である。したがって定理4.10によって、K[X]は一意分解整域である。

 一意分解整域Rの商体をKとする。F(X)がR[X]の素元とすると、定理5.3よりR[X]で既約である。さらに、F(X)がR[X]で既約であれば、定理5.6よりK[X]で既約、すなわち素元である。ゆえに、F(X)∈R[X]はR[X]で素元であれば、K[X]でも素元である。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

>一意分解整域Rの商体をKとする。F(X)がR[X]の素元とすると、定理5.3よりR[X]で既約である。

定理5.3
Rを整域とし、pをRの元とする。pが素元であれば、pは既約元である。

素元ならば既約元であるが、逆が成り立つのは一意分解整域での話である。

「Rを一意分解整域とし、pをRの元とする。このとき、pが既約元であればpは素元であることが容易に確かめられる。すなわち、一意分解整域においては既約元と素元は同値な概念である。」
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著p.224より

>さらに、F(X)がR[X]で既約であれば、定理5.6よりK[X]で既約、すなわち素元である。

定理5.6
一意分解整域Rの商体をKとし、f(X)∈R[X]とする。
f(X)がK[X]において多項式の積に分解すれば、R[X]においても同じ次数の多項式に分解する。すなわち、f(X)はK[X]で可約であれば、R[X]においても可約である。
また、この逆も成り立つ。

定理5.6で「F(X)がR[X]で既約であれば、定理5.6よりK[X]で既約」までは言えるが、素元である事は「体K上の多項式環K[X]においては、既約多項式、既約元、素元はすべて同義である」からである。

>体K上の多項式環K[X]においては既約多項式と既約元は同義
>これを厳密に言うと逆に分かり難くなってしまうので、後回し。(気が向いたらやる程度。)

定義4.6(注:既約多項式の定義)
f(X)を次数がn(>0)の体K上の多項式とする。f(X)が次数が共に1以上の二つの多項式に分解されるとき、f(X)は可約であるといい、そうでないとき既約であるという。既約な多項式を既約多項式という。

定義5.4(注:既約元の定義)
Rを整域とする。Rの可逆元でも0でもない元をaとする。a=bc(b,c∈R)ならば、bまたはcがRの可逆元でなければならないとき、aをRの既約元という。

可逆元の定義
環Rの元aに対し、Rのある元bが存在して
a・b=b・a=1
となるとき、aをRの可逆元,または単元といい、bをaの逆元という。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

既約多項式ならば可約でないので2つの積で表せば相手は±1である。それは単元でありつまり可逆元である。よって、定義5.4より既約元となる。
よって、既約多項式と既約元は同義である。

おまけ:
返信
返信2
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/22 16:46 (No.1308124)削除
問題
図のように∠XOY=60°となる2辺OX,OYに接する半径4の円Aがある。円Aに外接し、OX,OYに接する円をB,2円A,Bに外接し、OXに接する円をCとする。
(1)円Bの半径を求めよ。
(2)円Cの半径を求めよ。
(92 ラ・サール)

図の解説:右上から左下方向に∠YOXがあり、円Aが大きく内接していて円Aと∠Oの隙間に円Bが内接している。また、円Aと円BとOXの隙間に円Cが内接している図。

(1)は2通り作ってみました。因みに、模範解答は(1)も(2)もマニアックな定石を使っています。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/23 07:56削除
問題
図のように∠XOY=60°となる2辺OX,OYに接する半径4の円Aがある。円Aに外接し、OX,OYに接する円をB,2円A,Bに外接し、OXに接する円をCとする。
(1)円Bの半径を求めよ。
(2)円Cの半径を求めよ。
(92 ラ・サール)

模範解答
(1)円Bの半径:円Aの半径=1:3(基本図47)
(注:基本図47とは、この問題と同じ構図(∠XOY=60°で2円が接している)の時の2円の半径の比は1:3になるというもの)
だから、円Bの半径=(1/3)×円Aの半径=4/3
(2)2円が外接する場合、その共通外接線の長さは、2円の半径をr₁,r₂とすると、2√(r₁r₂)であるから(基本図74)、
(注:基本図74とは、2円の共通外接線の長さは2つの円の半径の積の平方根の2倍(2つの円の半径の相乗平均の2倍)で求められるというもの)
円A,B,Cの半径を、順にa,b,cとするとき、
図のB'C'=2√(bc),C'A'=2√(ca),A'B'=2√(ab)
(注:OXと円A,B,Cとの接点をそれぞれA',B',C'とした図。)
である。
A'B'=B'C'+C'A'にこれらの式を代入して、
2√(ab)=2√(bc)+2√(ca)
両辺を2√(abc)でわって、
1/√c=1/√a+1/√b・・・①
a=4,b=4/3を代入して、
1/√c=1/√4+√(3/4)=(√3+1)/2
ゆえに、√c=2/(√3+1)=√3-1
この両辺を2乗して、c=4-2√3
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

基本図47
図で、△OBHは30°定規だから、OB=2b
△OAIも30°定規だから、OA=2a
よって、2a=a+b+2bより、a=3b

解説
∠XOY=60°に円A(大)と円B(小)が内接していて、OYとの接点とそれぞれI,Hとし、円Aの半径をa,円Bの半径をbとすると、△OAIも△OBIも1:2:√3の直角三角形になり、OA=AB+OBで2a=(a+b)+2bと方程式を作ったもの。
∴a=3b ∴a:b=3:1

基本図74
円O(半径r₁)と円O'(半径r₂)が外接するとき、共通外接線の長さは2√(r₁r₂)
<略証>
共通内接線をひき、交点を図のように定めると、△ORT∽△RO'Tより、
RT=√(r₁r₂)
これとRT=RP=RQより、
PQ=2RT=2√(r₁r₂)

解説
2円O,O'が互いに外接していて共通外接線と円Oとの接点をP,円O'との接点をQ,また、円どうしの接点をTとする。
ここで、共通内接線を引き共通外接線との交点をRとすると、円と接線の関係より、RP=RT,RQ=RT よって、RT=RP=RQ
また、RT⊥OO',△PRO≡△TRO,△QRO'≡△TRO'より∠ORO'は∠PRQの半分で90°(行間は自分で読んで下さい)。
よって、△ROO'は直角三角形で直角から斜辺に垂線RTが下りている形なので、アーキタスの定理を使うと、RT²=OT・O'T ∴RT²=r₁r
∴PQ=2RT=√(r₁r₂)

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/25 08:04削除
問題
図のように∠XOY=60°となる2辺OX,OYに接する半径4の円Aがある。円Aに外接し、OX,OYに接する円をB,2円A,Bに外接し、OXに接する円をCとする。
(1)円Bの半径を求めよ。
(2)円Cの半径を求めよ。
(92 ラ・サール)

図の解説:右上から左下方向に∠YOXがあり、円Aが大きく内接していて円Aと∠Oの隙間に円Bが内接している。また、円Aと円BとOXの隙間に円Cが内接している図。

私の解答
(1)解法1
円B,円AとOXとの接点をそれぞれS,Tとすると、BS⊥OX,AT⊥OX
ここで、BからATに垂線を下ろしその足をHとすると、四角形BSTHは長方形になるので、円Bの半径をrと置くと、HT=BS=r ∴AH=4-r
また、円Aと円Bの接点をUとすると、3点A,U,Bは一直線上にあり、AB=4+r
ところで、3点O,B,Aも一直線上にありOAは∠XOYを2等分しているので、∠AOT=30°で△ABH∽△AOT よって、△ABHも1:2:√3の直角三角形である。
∴AB=2AH ∴4+r=2(4-r)
∴r+4=8-2r ∴3r=4
∴r=4/3 よって、答えは、4/3

解法2
2点の共通内接線を引き、OY,OXとの交点をそれぞれD,Eとすると、対称性から△ODEは二等辺三角形で∠DOE=60°より正三角形である。
また、2円の接点をUとすると、UはDEの中点で点Bは正三角形ODEの内心より重心と一致しているので、r=BU=(1/3)OU———①
また、3点O,U,Aは一直線上にありOAは∠XOYを二等分しているので、△AOTは1:2:√3の直角三角形である。∴OA=2AT=2・4=8
また、AU=4より、OU=8-4=4———②
②を①に代入すると、r=4/3
よって、答えは、4/3

(2)円Cの半径をr'と置くと、BC=4/3+r'
また、CからBSに垂線を下ろし素の足をIとすると、BI=4/3-r' また、AC=4+r'
さらに、CからATに垂線を下ろし素の足をJとすると、AJ=4-r'
ここで、△CBIと△CAJで三平方の定理を使うと、
ST=√{(4/3+r')²-(4/3-r')²}
+√{(4+r')²-(4-r')²}———①
また、△ABHは1:2:√3の直角三角形でAH=4-4/3=8/3より、BH=8√3/3
また、四角形BSTHは長方形より、
ST=BH=8√3/3———②
①,②より、
√{(4/3+r')²-(4/3-r')²}
+√{(4+r')²-(4-r')²}=8√3/3
が成り立つ。
∴√(16r'/3)+√(16r')=8/√3
∴16r'/3+16r'+2√(256r'²/3)
=64/3
∴64r'/3+2・16√(r'²/3)=64/3
∴64r'/3+32r/√3=64/3
∴{(32√3+64)/3}r'=64/3
∴r'=2/(√3+2)=2(2-√3)
よって、答えは、2(2-√3)

おまけ:
https://x.com/satndRvjMpc4tl7/status/1848531691905892724
返信
返信2
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/24 11:30 (No.1309401)削除
次の文章を完全解説して下さい。

定義
数体K上の二つの線型空間U,Vの間に双射↔があり
x₁↔y₁,x₂↔y₂ならばx₁+x₂↔y₁+y₂(x₁,x₂∈U,y₁,y₂∈V)
x↔y,a∈Kならばax↔ay(x∈U,y∈V)
が成り立つとき、UとVはK上の線型空間として同型であると言い、U≅Vで表す。同型を与える双射F:U→Vを同型写像と言う。このとき、その逆写像F^-1もまた同型写像である。(定義終)
(注:本当はx,yは太字。また、「双射」は全単射の事。)

例(1.2.5)
複素数体ℂは実数体ℝ上の線型空間と見ることもできる。このとき、列ベクトル空間ℝ²からℂへの写像
ℝ²→ℂ,(a b)→a+bi(注:行ベクトルにした。)
は、ℝ上の線型空間としての同型写像である。
「線型代数入門」有馬哲著より

例(1.2.5)を定義に従って証明してみて下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/24 13:43削除
例(1.2.5)
複素数体ℂは実数体ℝ上の線型空間と見ることもできる。このとき、列ベクトル空間ℝ²からℂへの写像
ℝ²→ℂ,(a b)→a+bi(注:行ベクトルにした。)
は、ℝ上の線型空間としての同型写像である。

証明
F:ℝ²→ℂ(F((a b))=a+bi)と置き、
x₁=(a₁ b₁),x₂=(a₂ b₂),
F(x₁)=a₁+b₁i=y₁,F(x₂)=a₂+b₂i=y₂と置くと、ℂの任意の元yに対してa,bが定まり、そのa,bに対応するx∈ℝ²が必ず存在するのでFは全射である。
また、y₁,y₂∈ℂに対して、y₁=y₂とすると、a₁+b₁i=a₂+b₂i ∴a₁-a₂+(b₁-b₂)i=0
∴a₁-a₂=0かつb₁-b₂=0 
∴a₁=a₂,b₁=b₂ ∴(a₁ b₁)=(a₂ b₂)
∴x₁=x₂
よって、y₁=y₂ならばx₁=x₂が成り立つので、Fは単射である。
よって、Fは全単射であるので双射である。
∴x₁↔y₁,x₂↔y₂
また、F(x₁+x₂)=F((a₁ b₁)+(a₂ b₂))
=F((a₁+a₂ b₁+b₂))=a₁+a₂+(b₁+b₂)i
=a₁+b₁i+a₂+b₂i=F(x₁)+F(x₂)
=y₁+y₂ ∴F(x₁+x₂)=y₁+y₂
そして、Fは双射より、x₁+x₂↔y₁+y₂
よって、x₁↔y₁,x₂↔y₂ならばx₁+x₂↔y₁+y₂———①
また、上より、x↔yである。
c∈ℝに対して、F(cx)=F(c(a b))=F((ca cb))=ca+(cb)i=c(a+bi)=cF(x)=cy
∴F(cx)=cy
そして、Fは双射より、cx↔cy
よって、x↔y,c∈ℝならばcx↔cy———②
①,②より、同型の定義により、Fは同型写像である。よって、示された。

定義
数体K上の二つの線型空間U,Vの間に双射↔があり
x₁↔y₁,x₂↔y₂ならばx₁+x₂↔y₁+y₂(x₁,x₂∈U,y₁,y₂∈V)
x↔y,a∈Kならばax↔ay(x∈U,y∈V)
が成り立つとき、UとVはK上の線型空間として同型であると言い、U≅Vで表す。同型を与える双射F:U→Vを同型写像と言う。このとき、その逆写像F^-1もまた同型写像である。(定義終)

おまけ:
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%A6%E3%83%80%E3%83%A4%E3%81%AE%E6%95%91%E4%B8%96%E4%B8%BB%E3%81%8C%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E7%8F%BE%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%82%8B%E2%80%95%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%A4%A7%E7%A0%B4%E5%B1%80%E3%81%8C%E6%8B%9B%E3%81%8F%E4%BA%BA%E9%A1%9E%E5%86%8D%E7%B7%A8%E3%81%AE%E7%A5%9E%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E-%E3%83%88%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E4%B8%AD%E7%9F%A2-%E4%BC%B8%E4%B8%80/dp/4195049687
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/23 11:24 (No.1308650)削除
次の文章を解説して下さい。

問題 10-14c
S5を0,1,2,3,4の入れ換えのなす群とみる。次をみたすS5の部分群GはσAGL(1,5)σ^-1(σ∈S5)に含まれなければ、A5あるいはS5であることを示せ:「各iに対して0をiに写す入れ換えがある」

解答
Gに位数5の元τがある(問題10-7(1)の解答参照)。もし位数5の元が生成するGの部分群がτの生成する部分群Hしかないならば、HはGの正規部分群である。このとき問題10-4よりGは、番号を読み替えたAGL(1,5)(つまりσAGL(1,5)σ^-1の形の群)に含まれる。
もしHに含まれない位数5の元μがあれば、τ^iμτ^-i(i=0,…,4)は(位数5の元であり)相異なる部分群Hiをそれぞれ生成する(もし一致するものがあると、Hi=Hi+k=Hi+2k=…(0<k<5)となり、結局H₀=…=H₄となる。
とくにτH₀τ^-1=H₀である。ところが問題10-2,10-3よりH=H₀となり矛盾する)。
Hiはμ∉HよりHとも異なる。よってτが生成する部分群も合わせて、位数5の元が生成する部分群が6個得られる。これらは、位数5の元が生成するS5の部分群のすべてである。(
(0 1 a b c)
(1 a b c 0)(注:2段で1つの元)の形の元(全部で6個)をそれぞれ1個ずつ含むから。)
よって、このような部分群で生成されるGの部分群G'はS5の正規部分群になる(σG'σ^-1も同じく、このような部分群で生成されるからG'に等しい)。ゆえに問題5-12よりG'はA5あるいはS5である。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

問題10-7(1)の解答
問題10-10(3)よりGに位数pの元が存在する。

問題 10-10b
pを素数とし、1,2,…,pの入れ換えのなす群Gが次の性質をみたすとする:「どの2つの数に対しても一方を他方に写す入れ換えが存在する。」次の問いに答えよ。
(1)Gに指数pの部分群Hが存在することを示せ。
(2)(1)のHに対して右H傍系σ₁H=H,σ₂H,…,σpHの元x₁,…,xpを1つずつとる。
(ⅰ)Gの各元gに対して、gx₁,…,gxpは各右H傍系に1つずつ含まれることを示せ。
(ⅱ){gx₁,…,gxp}(gはGの元)の形の集合は、(G:N)個あることを示せ。ここでNは{gx₁,…,gxp}={x₁,…,xp}をみたすgからなる部分群とする。
(3)Gに位数pの元が存在することを示せ。

問題 5-12c
5次対称群S5の正規部分群はS5,A5,{e}しかないことを示せ。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

難解さは今回が過去最高かもしれません。適当に分かり易く解説して下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/23 14:02削除
解説
>Gに位数5の元τがある(問題10-7(1)の解答参照)。

問題10-7(1)の解答
問題10-10(3)よりGに位数pの元が存在する。

問題 10-10b
pを素数とし、1,2,…,pの入れ換えのなす群Gが次の性質をみたすとする:「どの2つの数に対しても一方を他方に写す入れ換えが存在する。」次の問いに答えよ。
(1)Gに指数pの部分群Hが存在することを示せ。
(2)(1)のHに対して右H傍系σ₁H=H,σ₂H,…,σpHの元x₁,…,xpを1つずつとる。
(ⅰ)Gの各元gに対して、gx₁,…,gxpは各右H傍系に1つずつ含まれることを示せ。
(ⅱ){gx₁,…,gxp}(gはGの元)の形の集合は、(G:N)個あることを示せ。ここでNは{gx₁,…,gxp}={x₁,…,xp}をみたすgからなる部分群とする。
(3)Gに位数pの元が存在することを示せ。

今回の問題の条件は、S5の部分群で「各iに対して0をiに写す入れ換えがある」ものなので、一方を0にすれば問題10-10の(3)より、位数5の元が存在するという事。

>もし位数5の元が生成するGの部分群がτの生成する部分群Hしかないならば、HはGの正規部分群である。

問題10-2の題意より、5次対称群S5の位数5の元が生成する部分群のうち少なくとも1つは正規部分群(問題10-3が補填する)だから、(位数5の元が生成する)部分群が1つしかなければそれは正規部分群になるという事。

問題 10-2b
pを素数とする。p次対称群の位数pの元σの生成する部分群H={e,σ,…,σ^(p-1)}を正規部分群に持つSpの部分群Nを調べる。本文のようにp次対称群の置換をp個の元0,1,…,p-1(Fpの元)の置換とみなし、σをσ(x)=x+1(x=0,1,…,p-1)とする。このときNは
AGL(1,p)={τ∈Sp;τ(x)=ax+b,ここでa≠0かつb=0,1,…,p-1}
に含まれることを示せ。この群を1次元アフィン一般線形群という。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

問題 10-3b
AGL(1,p)における位数pの元はσ^j(j=1,2,…,p-1)に限ることを示せ。ここでσはσ(x)=x+1(x=0,1,…,p-1)をみたす元とする。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

>このとき問題10-4よりGは、番号を読み替えたAGL(1,5)(つまりσAGL(1,5)σ^-1の形の群)に含まれる。

問題 10-4b
問題10-2のとおり、Nを、H⊂N⊂AGL(1,p)をみたす群とする。Spの部分群N'を正規部分群として含むならば、AGL(1,p)に含まれることを示せ。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

AGL(1,5)に含まれる事は問題10-4から自明とする。また、「つまりσAGL(1,5)σ^-1の形の群」は、問題10-13の(2)の解答から「i,jを交換する互換τは、1,2をi,jに読み替えるとτ=μσμ^-1の形に表される」とあるので、AGL(1,5)の番号を読み替えたものはσAGL(1,5)σ^-1という形で表されるという事。

補足
>またi,jを交換する互換τは、1,2をi,jに読み替えるとτ=μσμ^-1の形に表される。

μ=( 1 2 3 4 5)
  ( a b c d e)
(注:本当は2段で1つの元。)
と置くと、
μ^-1=( a b c d e)
     ( 1 2 3 4 5)
また、σ=( 1 2 3 4 5)
     ( 2 1 3 4 5)
(「1,2だけを交換する入れ換えσ」だから。)
とすると、
μσμ^-1
=(1 2 3 4 5)(1 2 3 4 5)(a b c d e)
 (a b c d e)(2 1 3 4 5)(1 2 3 4 5)
=(a b c d e)
 (b a c d e)
(一番右の括弧のaから、a→1→2→1→b,
b→2→1→a,c→3→3→c,
d→4→4→d,e→5→5→eと求める。)
よって、aとbだけ入れ換わった変換でa~eは1~5のどれかなので、どれか2つが入れ換わるのでOK。

>もしHに含まれない位数5の元μがあれば、τ^iμτ^-i(i=0,…,4)は(位数5の元であり)相異なる部分群Hiをそれぞれ生成する。

(τ^iμτ^-i)⁵=(τ^iμτ^-i)(τ^iμτ^-i)(τ^iμτ^-i)(τ^iμτ^-i)(τ^iμτ^-i)
=τ^iμ(τ^-iτ^i)μ(τ^-iτ^i)μ(τ^-iτ^i)μ(τ^-iτ^i)μτ^-i
=τ^iμ⁵τ^-i=τ^ieτ^-i(μは位数5だから)
=τ^iτ^-i=e
よって、(τ^iμτ^-i)⁵=eより、τ^iμτ^-iは位数5の元である。
また、i=0,1,2,3,4を代入すると、
H₀={e,μ,μ²,μ³,μ⁴}
H₁={e,τμτ^-1,τμ²τ^-1,τμ³τ^-1,τμ⁴τ^-1}
H₂={e,τ²μτ^-2,τ²μ²τ^-2,τ²μ³τ^-2,τ²μ⁴τ^-2}
H₃={e,τ³μτ^-3,τ³μ²τ^-3,τ³μ³τ^-3,τ³μ⁴τ^-3}
H₄={e,τ⁴μτ^-4,τ⁴μ²τ^-4,τ⁴μ³τ^-4,τ⁴μ⁴τ^-4}
で、τの位数が5なのでτのべき乗は全て異なり、H₀~H₄は全て相異なる。

>結局H₀=…=H₄となる。
とくにτH₀τ^-1=H₀である。

H₀={e,μ,μ²,μ³,μ⁴}より、
τH₀τ^-1=τ{e,μ,μ²,μ³,μ⁴}τ^-1
={e,τμτ^-1,τμ²τ^-1,τμ³τ^-1,τμ⁴τ^-1}
=H₁
∴τH₀τ^-1=H₁ 
また、「結局H₀=…=H₄」より、H₁=H₀
これを代入すると、τH₀τ^-1=H₀

>ところが問題10-2,10-3よりH=H₀となり矛盾する。

τH₀τ^-1=H₀より、τH₀=H₀τ
よって、H₀はGの正規部分群である。
よって、問題10-2からGはAGL(1,5)に含まれ、問題10-3よりAGL(1,5)における位数5の元はσ^jの形に限るので唯一つで、別々の位数5の元(τとμ)が生成するHとH₀が一致する事になるので矛盾するという事。

続きは次回。

>よって、このような部分群で生成されるGの部分群G'はS5の正規部分群になる。

ここが最難関だと思います。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/23 16:13削除
解説の続き

問題 10-14c
S5を0,1,2,3,4の入れ換えのなす群とみる。次をみたすS5の部分群GはσAGL(1,5)σ^-1(σ∈S5)に含まれなければ、A5あるいはS5であることを示せ:「各iに対して0をiに写す入れ換えがある」

解答
Gに位数5の元τがある(問題10-7(1)の解答参照)。もし位数5の元が生成するGの部分群がτの生成する部分群Hしかないならば、HはGの正規部分群である。このとき問題10-4よりGは、番号を読み替えたAGL(1,5)(つまりσAGL(1,5)σ^-1の形の群)に含まれる。
もしHに含まれない位数5の元μがあれば、τ^iμτ^-i(i=0,…,4)は(位数5の元であり)相異なる部分群Hiをそれぞれ生成する(もし一致するものがあると、Hi=Hi+k=Hi+2k=…(0<k<5)となり、結局H₀=…=H₄となる。
とくにτH₀τ^-1=H₀である。ところが問題10-2,10-3よりH=H₀となり矛盾する)。
Hiはμ∉HよりHとも異なる。よってτが生成する部分群も合わせて、位数5の元が生成する部分群が6個得られる。これらは、位数5の元が生成するS5の部分群のすべてである。(
(0 1 a b c)
(1 a b c 0)(注:2段で1つの元)の形の元(全部で6個)をそれぞれ1個ずつ含むから。)
よって、このような部分群で生成されるGの部分群G'はS5の正規部分群になる(σG'σ^-1も同じく、このような部分群で生成されるからG'に等しい)。ゆえに問題5-12よりG'はA5あるいはS5である。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

>よってτが生成する部分群も合わせて、位数5の元が生成する部分群が6個得られる。

H={e,τ,τ²,τ³,τ⁴}
H₀={e,μ,μ²,μ³,μ⁴}
H₁={e,τμτ^-1,τμ²τ^-1,τμ³τ^-1,τμ⁴τ^-1}
H₂={e,τ²μτ^-2,τ²μ²τ^-2,τ²μ³τ^-2,τ²μ⁴τ^-2}
H₃={e,τ³μτ^-3,τ³μ²τ^-3,τ³μ³τ^-3,τ³μ⁴τ^-3}
H₄={e,τ⁴μτ^-4,τ⁴μ²τ^-4,τ⁴μ³τ^-4,τ⁴μ⁴τ^-4}
の6個という事。


(0 1 a b c)
(1 a b c 0)(注:2段で1つの元)の形の元(全部で6個)をそれぞれ1個ずつ含むから。

(0 1 a b c)
(1 a b c 0)

(0 1 a b c)
(a b c 0 1)

(0 1 a b c)
(b c 0 1 a)

(0 1 a b c)
(c 0 1 a b)

(0 1 a b c)
(0 1 a b c)

で位数5で、abcの入れ換えで3!=6個。

>よって、このような部分群で生成されるGの部分群G'はS5の正規部分群になる(σG'σ^-1も同じく、このような部分群で生成されるからG'に等しい)。

前回の「番号を読み替えたAGL(1,5)(つまりσAGL(1,5)σ^-1の形の群)」と同様に、σG'σ^-1はG'の番号を読み替えたものなので、位数5の元が生成する部分群が6個で生成する群をG'とすると、σG'σ^-1もこれらで生成されるという事。
∴σG'σ^-1=G' ∴σG'=G'σ
よって、G'はS5の正規部分群である。(σ∈S5だからGではなくS5の正規部分群。)

ここで、実験をしてみる。3次対称群S3は、
ρ₀=(1 2 3)(本当は2段だが1段で表す。)
ρ₁=(2 3 1)
ρ₂=(3 1 2)
μ₁=(1 3 2)
μ₂=(3 2 1)
μ₃=(2 1 3)
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より
位数2の元はμ₁,μ₂,μ₃である。(μ₁だったら2と3の入れ換えなので2回やったら元に戻るから。)
よって、位数2の部分群は、
H₁={ρ₀,μ₁}
H₂={ρ₀,μ₂}
H₃={ρ₀,μ₃}
の3個である。これらの部分群で生成されるS3の部分群を作ってみる。因みに、「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著p92~93に生成系について載っているが複数の集合で生成する例は載っていないので、自己流でやってみた。
<H₁,H₂>={ρ₀,μ₁,μ₂,μ₁μ₂,μ₂μ₁}(各元の位数が2だからこれだけ。)
={ρ₀,μ₁,μ₂,ρ₁,ρ₂}(p.68のS3の群表より)
=H₄と置くと、
<H₁,H₂,H₃>=<H₄,H₃>
={ρ₀,μ₁,μ₂,ρ₁,ρ₂,μ₃,μ₃μ₁,μ₃μ₂,μ₃ρ₁,μ₃ρ₂,μ₁μ₃,μ₂μ₃,ρ₁μ₃,ρ₂μ₃}
={ρ₀,μ₁,μ₂,ρ₁,ρ₂,μ₃,ρ₁,ρ₂,μ₁,μ₂,ρ₂,ρ₁,μ₂,μ₁}
={ρ₀,ρ₁,ρ₂,μ₁,μ₂,μ₃}=S3
ところで、S3は自明な正規部分群である。
よって、「位数5の元が生成する部分群が6個得られる。(中略)このような部分群で生成されるGの部分群G'はS5の正規部分群になる」をS3の位数2の元が生成する部分群3個で実験したら確かに正規部分群になった。ただし、S3の部分群のA3={ρ₀,ρ₁,ρ₂}も正規部分群なので、自己流の生成も怪しいものである。笑
また、
(0 1 a b c)
(1 a b c 0)
から考えると、問題5-9から、A5は自明のような気がするが。

問題 5-9b
Anは
( a b c d e …(あとは変えない))
( b c a d e …(あとは変えない))
(注:本当は2段で1つの元。)
(この形の入れ換えを(abc)と略記する)の形で入れ換えで生成されることを示せ。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

因みに、A5に確定できないのは、この入れ換えは6通り中3通りだけだからである。(順繰りと3通りという事。)

おまけ:
https://www.instagram.com/ugakimisato.mg/p/DBbBtPYykag/?img_index=2
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/24 07:54削除
補足解説
>よって、このような部分群で生成されるGの部分群G'はS5の正規部分群になる(σG'σ^-1も同じく、このような部分群で生成されるからG'に等しい)。

前回の「番号を読み替えたAGL(1,5)(つまりσAGL(1,5)σ^-1の形の群)」と同様に、σG'σ^-1はG'の番号を読み替えたものなので、位数5の元が生成する部分群が6個で生成する群をG'とすると、σG'σ^-1もこれらで生成されるという事。
∴σG'σ^-1=G' ∴σG'=G'σ
よって、G'はS5の正規部分群である。(σ∈S5だからGではなくS5の正規部分群。)

これに対する補足。以前は、2つの入れ換えに対して証明したが、一応3つの入れ換え(1,2,3の順繰りという変換)に対して成り立つ事も証明した。

μ=( 1 2 3 4 5)
  ( a b c d e)
(注:本当は2段で1つの元。)
と置くと、
μ^-1=( a b c d e)
     ( 1 2 3 4 5)
また、σ=( 1 2 3 4 5)
     ( 2 3 1 4 5)
((1 2 3)という変換。)
とすると、
μσμ^-1
=(1 2 3 4 5)(1 2 3 4 5)(a b c d e)
 (a b c d e)(2 3 1 4 5)(1 2 3 4 5)
=(a b c d e)
 (b c a d e)
(一番右の括弧のaから、a→1→2→b,
b→2→3→c,c→3→1→a,
d→4→4→d,e→5→5→eと求める。)
よって、a,b,cが順繰りと入れ換わった変換でa~eは1~5のどれかなので、どれか3つが順繰りと入れ換わるのでOK。

そして、このσは1種類で全ての元の位数は同じになるので、「位数5の元が生成するS5の部分群のすべてである。(中略)このような部分群で生成されるGの部分群G'はS5の正規部分群になる」という事。
念のため、メインは、
「位数5の元が生成する部分群が6個で生成する群をG'とすると、σG'σ^-1もこれらで生成されるという事。
∴σG'σ^-1=G' ∴σG'=G'σ
よって、G'はS5の正規部分群である。」
の方である。

>また、
(0 1 a b c)
(1 a b c 0)
から考えると、問題5-9から、A5は自明のような気がするが。

問題 5-9b
Anは
( a b c d e …(あとは変えない))
( b c a d e …(あとは変えない))
(注:本当は2段で1つの元。)
(この形の入れ換えを(abc)と略記する)の形で入れ換えで生成されることを示せ。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

因みに、A5に確定できないのは、この入れ換えは6通り中3通りだけだからである。(順繰りと3通りという事。)

うっかりしました。この先生の意図は問題5-9を使えば、
(0 1 a b c)
(1 a b c 0)
が分かるという事ですね。(一言、問題5-9と入れてくれれば分かり易いのに。)
そして、abcの入れ換えで6通りあるので、A5に確定できずS5も入るという事。A5の元の数がS5のちょうど半分である事はA5が偶置換だから。
つまり、|A5|=|S|/2=5!/2=60
念のため、上の元が位数5でabcの入れ換えで6通りから5×6=30 また、0と1の入れ換えで30×2=60などではない。上のS3も時のように、
(0 1 a b c)
(1 a b c 0)
のabcを234の入れ換え6通りで6個の群(位数5の元が生成する部分群)で生成すると、ダブり分が消えてA5かS5になって、元の個数が60か120になるという事。

おまけ:
「幼少時代は運動神経が鈍く、友達からは「ドン寛(鈍感)」「運痴の寛ちゃん」などと呼ばれていたが、ブラジル移住後は陸上競技選手として1958年、1959年の全伯(全ブラジル)陸上競技選手権少年の部に出場、砲丸(投げ)、円盤(投げ)の二種目に優勝するなど、身体能力を発揮して活躍した。その際、ブラジル遠征中の力道山の目に留まる。」
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%8B%E3%82%AA%E7%8C%AA%E6%9C%A8#%E7%94%9F%E3%81%84%E7%AB%8B%E3%81%A1

「また田中自身も、大蔵大臣就任時の挨拶に見られるように「高小卒業」を一つのアピールにしていたことがある。」
「なお、田中は最終学歴について「中央工学校」卒(1936年卒)と公称することが多かった。」
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E4%B8%AD%E8%A7%92%E6%A0%84#%E7%94%9F%E8%AA%95
返信
返信3
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/21 21:40 (No.1307579)削除
問題
図のような四角形ABCDにおいて、点Dを通って辺CBに平行な直線が対角線CAの延長と交わる点をE,また点Cを通って辺DAに平行な直線が対角線DBの延長と交わる点をFとし、対角線の交点をOとするとき、OA:OC=1:4,OB:OD=3:2となった。
(1)OE:OCの比を求めよ。
(2)OA:OEの比を求めよ。
(3)AB:EFの比を求めよ。
(83 東大寺学園)

図の解説:それらしい比の図を描くのは難しいかもしれませんが、問題の指示通りに書けば図は描けるので微調整してみて下さい。

問題自体は難しくありません。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/22 07:59削除
問題
図のような四角形ABCDにおいて、点Dを通って辺CBに平行な直線が対角線CAの延長と交わる点をE,また点Cを通って辺DAに平行な直線が対角線DBの延長と交わる点をFとし、対角線の交点をOとするとき、OA:OC=1:4,OB:OD=3:2となった。
(1)OE:OCの比を求めよ。
(2)OA:OEの比を求めよ。
(3)AB:EFの比を求めよ。
(83 東大寺学園)

模範解答
(1)DE∥CBより、△DOE∽△BOCだから、
OE:OC=OD:OB=2:3
(2)(1)より、OE=(2/3)OC
よって、OA:OE=(1/4)OC:(2/3)OC
=3:8
(3)(1)と同様に、DA∥CFより、△DOA∽△FOCだから、OD:OF=OA:OC=1:4
よって、OF=4OD 
ゆえに、OB:OF=(3/2)OD:4OD=3:8
以上より、OA:OE=OB:OF=3:8となるので、AB∥EFだから、△OAB∽△OEF
AB:EF=OA:OE=3:8
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

今回は読めば分かるので、解説はなし。因みに、ちょっと前にやった問題、

問題
2つの直線上に、それぞれ3点A~C,D~Fがこの順に並び、AE∥BF,BD∥CEのとき、AD∥CFが成り立つ事を証明せよ。
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

解答
(ⅰ)2直線が平行でない場合
CAの延長とFDの延長が交わるとし、その交点をOとすると、AE∥BFより△OAE∽△OBF
∴OA:OB=OE:OF=a:b———①
また、BD∥CEより、△ODB∽△OEC
∴OD:OE=OB:OC=c:d———②
と置ける。
ここで、OC=x,OF=yと置くと、①より、
OE:OF=a:b ∴OE:y=a:b
∴OE=(a/b)y———③
また、②より、OD:OE=c:d
これに③を代入すると、
OD:(a/b)y=c:d
∴OD=(ac/bd)y———④
また、②より、OB:OC=c:d
∴OB:x=c:d ∴OB=(c/d)x———⑤
また、①より、OA:OB=a:b
これに⑤を代入すると、OA:(c/d)x=a:b
∴OA=(ac/bd)x———⑥
④,⑥より、
OA:OD=(ac/bd)x:(ac/bd)y=x:y
また、OC:OF=x:yより、
OA:OD=OC:OF
また、∠Oは共通より二辺比と挟角が等しいので、
△OAD∽△OCF ∴AD∥CF

(ⅱ)2直線が平行の場合
AE∥BFより、同位角と錯角で、∠BFD=∠AED=∠EAC ∴∠BFD=∠EAC———①
また、BD∥CEより、同位角と錯角で、
∠BDF=∠CEF=∠ECA
∴∠BDF=∠ECA———②
①,②より、2角が等しいので、△BDF∽△ECA
ここで、BからDFに垂線を下ろしその足をH,EからCAに垂線を下ろしその足をIとすると、AC∥DFより、BH=EI(厳密には長方形を言えば良い。)
よって、相似な2つの三角形の高さが等しいので合同である。(厳密には、2つの直角三角形に分けてそれぞれが合同である事を言えば全体も合同である事が言える。)
∴DF=CA———③ また、条件より2直線が平行より、DF∥CA———④
③,④より、四角形ADFCは平行四辺形である。
∴AD∥CF
2024/10/18 07:55の投稿より引用

の(ⅰ)の2直線が交差する場合を考えて、今回の問題の2直線をCEとDFに取ると、CE上の点AとDF上の点DでAD,CE上の点CとDF上の点FでCFが、AD∥CF
また、CE上の点CとDF上の点BでCB,CE上の点EとDF上の点DでDEが、CB∥DEなので、
AB∥EFが成り立つ。
(CE上の点AとDF上の点BでAB,CE上の点EとDF上の点FでEFで、AB∥EFという事。)

念のため、これは参考書に載っている事です。(証明もなく解説もアバウトですが。)

おまけ:
https://obachantoarts.hatenablog.jp/entry/2019/03/28/130232
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/21 11:46 (No.1307197)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題
次の(1),(2)を示せ。
(1)n次行列Aとn項列ベクトルx,yに対し、
<Ax|y>=<x|t^Ay>
(2)n次の対称行列Aとn項列ベクトルxに対し、
A^kx=0(k≧2)⇒Ax=0
(注:x,y,0は本当は太字。)


(1)内積の定義より
<Ax|y>=t^(Ax)y=t^xt^Ay=t^x(t^Ay)
=<x|t^Ay>
(2)kの帰納法をつかう。
k=2の場合、A²x=0とする。Aが対称行列なので、t^A=Aより
0=<0|x>=<A²x|x>=<A(Ax)|x>
=<Ax|t^Ax>=<Ax|Ax>
(注:一番左の0だけ太字ではない。)
内積の公理より、Ax=0
k=mのとき成立したとする。そこでk=m+1のとき成り立つことを示す。
A^(m+1)x=0と仮定すれば、0=A²(A^(m-1)x)
A^(m-1)xはn項列ベクトルなので、k=2の場合より、
A(A^(m-1)x)=0でなければならない。
したがって、A^mx=0となり、仮定から、Ax=0となる。
「よくわかる線型代数」有馬哲・石村貞夫著より

適当に分かり易く解説して下さい。意外と手間取るかもしれません。まぁ、他人の書いた文章とはそういうものですよね。(頭がいいとか悪いとかそういう問題でもない。)

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/21 14:11削除
解説
0=<0|x>=<A²x|x>=<A(Ax)|x>
=<Ax|t^Ax>=<Ax|Ax>

<A(Ax)|x>=<Ax|t^Ax>は、
t^{A(Ax)}x={t^(Ax)t^A}x
=t^(Ax)(t^Ax)=<Ax|t^Ax>
という事。
また、<Ax|t^Ax>=<Ax|Ax>は、
t^A=Aを代入しただけ。
しかし、よく考えたら、もっと簡単に出来た。
つまり、<A(Ax)|x>にt^A=Aを代入すると、
=<t^A(Ax)|x>
=t^{t^A(Ax)}x=t^(Ax)Ax=<Ax|Ax>

>内積の公理より、Ax=0

内積の公理の(4)
「<a|a>≧0であって、<a|a>=0⇔a=0」
より、<Ax|Ax>=0からAx=0

>k=mのとき成立したとする。そこでk=m+1のとき成り立つことを示す。

数学的帰納法の基本ですね。

>A^(m+1)x=0と仮定すれば、0=A²(A^(m-1)x)
A^(m-1)xはn項列ベクトルなので、k=2の場合より、
A(A^(m-1)x)=0でなければならない。
したがって、A^mx=0となり、仮定から、Ax=0となる。

何故、k=mの時ではなくk=m+1の時に仮定するかと言うと、別に成り立つと仮定した訳ではないからである。(成り立つと仮定するとAx=0)

>A^(m-1)xはn項列ベクトル

Aがn行n列の行列でxがn項列ベクトル(n行1列の行列)なので、積もn項列ベクトルになるからである。(m行n列の行列とn行l列の行列の積は成り立ち、m行l列の行列になる。)

>A^(m+1)x=0と仮定すれば、0=A²(A^(m-1)x)
A^(m-1)xはn項列ベクトルなので、k=2の場合より、
A(A^(m-1)x)=0でなければならない。

0=A²(A^(m-1)x)のA^(m-1)xがn項列ベクトルなので、A^(m-1)x=x'と置くと、
A²x'=0でk=2の場合という事である。
ところで、k=2の場合、Ax=0だったので、
Ax'=0という事でA(A^(m-1)x)=0という事である。

>したがって、A^mx=0となり、仮定から、Ax=0となる。

A(A^(m-1)x)=0を展開すると、A^mx=0
ここで、数学的帰納法の仮定により、k=mの時成り立つと仮定すると、Ax=0となる。
よって、初めに仮定したk=m+1の時も成り立つという事になり、また、n=2の時も成り立っているので、数学的帰納法により示されたという事である。

おまけ:
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/18 12:01 (No.1304753)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題
uが複素数,|u|=1,u≠-1ならば、ある実数hがあって
u=(1+hi)(1-hi)となることを示せ。


h=i(1-u)/(1+u)とおけ。
「線型代数入門」有馬哲著より

解答は略解というよりヒントですね。解答を完成させて下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/18 13:07削除
問題
uが複素数,|u|=1,u≠-1ならば、ある実数hがあって
u=(1+hi)/(1-hi)となることを示せ。

写し間違えていました。


h=i(1-u)/(1+u)とおけ。
「線型代数入門」有馬哲著より

解答を完成させて下さい。

問題2
次の方程式を解け。
(ⅰ)x²=-i (ⅱ)x⁴=72(√3i-1)


(ⅰ)略。 
(ⅱ)x⁴=144(cos(2π/3)+isin(2π/3)),x=±(3+√3i),±(√3-3i)

(ⅰ)は一応2通り作って下さい。(ⅱ)は途中の解説を入れて下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/18 15:55削除
問題
uが複素数,|u|=1,u≠-1ならば、ある実数hがあって
u=(1+hi)/(1-hi)となることを示せ。

解答
u=(1+hi)/(1-hi)より、
u(1-hi)=1+hi ∴u-uhi=1+hi
∴h(1+u)i=u-1
∴h=(u-1)/(1+u)i
∴h=i(1-u)/(1+u)
ここで、uが複素数,|u|=1より、
u=cosθ+isinθと置くと、
1-u=1-(cosθ+isinθ)
=1-cosθ-isinθ
1+u=1+(cosθ+isinθ)
=1+cosθ+isinθ
∴(1-u)/(1+u)
=(1-cosθ-isinθ)/(1+cosθ+isinθ)
=(1-cosθ-isinθ)(1+cosθ-isinθ)
/{(1+cosθ)²+sin²θ}
={(1-cosθ)(1+cosθ)-sinθ(1-cosθ)i-sinθ(1+cosθ)i-sin²θ}
/(1+2cosθ+cos²θ+sin²θ)
=(1-cos²θ-sinθi+sinθcosθi-sinθi-sinθcosθi-sin²θ)
/(2+2cosθ)
=-2sinθi/(2+2cosθ)
=-sinθi/(1+cosθ)
∴(1-u)/(1+u)=-sinθi/(1+cosθ)
∴h=i{(1-u)/(1+u)}
=sinθ/(1+cosθ)
よって、hは実数である。
よって、ある実数hがあって
u=(1+hi)/(1-hi)となることが示された。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/19 08:00削除
問題2
次の方程式を解け。
(ⅰ)x²=-i (ⅱ)x⁴=72(√3i-1)

解答
(ⅰ)解法1 
与式の両辺を2乗すると、x⁴=-1 ∴x⁴+1=0
∴(x²+1)²-2x²=0 
∴(x²+1+√2x)(x²+1-√2x)=0
∴x²+√2x+1=0,x²-√2x+1=0
x=(-√2±√2i)/2,(√2±√2i)/2
ここで、x=(-√2±√2i)/2の両辺を2乗すると、
x²=(-√2±√2i)²/4=(2-2∓4i)/4
=∓i
よって、下の方は不適より、x=(-√2-√2i)/2は不適で、x=(-√2+√2i)/2のみ適正。
また、x=(√2±√2i)/2の両辺を2乗すると、
x²=(√2±√2i)²/4=(2-2±4i)/4=±i
よって、上の方は不適より、x=(√2+√2i)/2は不適で、x=(√2-√2i)/2のみ適正。
よって、答えは、
x=(-√2+√2i)/2,(√2-√2i)/2

解法2
x²=-i=cos(3π/2)+isin(3π/2)
ここで、x=cosθ+isinθと置くと、
x²=(cosθ+isinθ)²=cos2θ+isin2θ
よって、2θ=3π/2+2nπ(nは非負整数とする)と置ける。
∴θ=3π/4+nπ
ここで、n=0,1とすると、
θ=3π/4,7π/4
(1)θ=3π/4の場合
x=cos(3π/4)+isin(3π/4)
=-1/√2+(1/√2)i
=(-1+i)/√2
=(-√2+√2i)/2
(2)θ=3π/4の場合
x=cos(7π/4)+isin(7π/4)
=1/√2+(-1/√2)i
=(1-i)/√2
=(√2-√2i)/2
(1),(2)より、
x=(-√2+√2i)/2,(√2-√2i)/2

解法2の系
x=cosθ+isinθと置く(r=1と出来る理由は、x²=-i=cos(3π/2)+isin(3π/2)から)と、
x²=(cosθ+isinθ)²=cos2θ+isin2θ=-i
∴cos2θ=0,sin2θ=-1
ここで、2倍角の公式を使うと、
2cos²θ-1=0 ∴cos²θ=1/2
∴cosθ=±1/√2
また、2sinθcosθ=-1 ∴sinθcosθ=-1/2
cosθ=1/√2の場合、
sinθ=(-1/2)(1/cosθ)=-√2/2=-1/√2
x=cosθ+isinθ
=1/√2+(-1/√2)i
=(1-i)/√2
=(√2-√2i)/2
cosθ=-1/√2の場合、
sinθ=(-1/2)(1/cosθ)=√2/2=1/√2
x=cosθ+isinθ
=-1/√2+(1/√2)i
=(-1+i)/√2
=(-√2+√2i)/2
よって、答えは、
x=(-√2+√2i)/2,(√2-√2i)/2

(2)は次回。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/20 07:33削除
問題2
次の方程式を解け。
(ⅰ)x²=-i (ⅱ)x⁴=72(√3i-1)

解答
(ⅱ)解法1
x⁴=72(√3i-1)より、
x⁴=144(-1/2+√3i/2)
=144(cos(2π/3)+isin(2π/3)
=(2√3)⁴{(cos(2π/3)+isin(2π/3)}
よって、x=r(cosθ+isinθ)(r>0)と置くと、
x⁴=r⁴(cosθ+isinθ)⁴=r⁴(cos4θ+isin4θ)
∴r⁴(cos4θ+isin4θ)
=(2√3)⁴{(cos(2π/3)+isin(2π/3)}
∴r=2√3,4θ=2π/3+2nπ
∴θ=π/6+nπ/2
ここで、n=0,1,2,3,4とすると、
θ=π/6,2π/3,7π/6,5π/3

(1)θ=π/6の場合
x=r(cosθ+isinθ)=2√3(cosθ+isinθ)
=2√3{cos(π/6)+isin(π/6)}
=2√3(√3/2+(1/2)i)
=3+√3i
(2)θ=2π/3の場合
x=r(cosθ+isinθ)=2√3(cosθ+isinθ)
=2√3{cos(2π/3)+isin(2π/3)}
=2√3(-1/2+(√3/2)i)
=-√3+3i
(3)θ=7π/6の場合
x=r(cosθ+isinθ)=2√3(cosθ+isinθ)
=2√3{cos(7π/6)+isin(7π/6)}
=2√3(-√3/2-(1/2)i)
=-3-√3i
(4)θ=5π/3の場合
x=r(cosθ+isinθ)=2√3(cosθ+isinθ)
=2√3{cos(5π/3)+isin(5π/3)}
=2√3(1/2-(√3/2)i)
=√3-3i
(1)~(4)より、
x=3+√3i,-√3+3i,-3-√3i,
√3-3i
∴x=±(3+√3i),±(√3-3i)

略解の、
(ⅱ)x⁴=144(cos(2π/3)+isin(2π/3)),x=±(3+√3i),±(√3-3i)
と合うのでOK。

別解は次回。二日酔いでとてもそれどころではありません。笑 
因みに、まだ未完成なのでどこかに落とし穴がある可能性は0ではありません。(私以外で出来たら大したものです。笑)

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/21 07:57削除
問題2
次の方程式を解け。
(ⅰ)x²=-i (ⅱ)x⁴=72(√3i-1)

(ⅱ)の解法2
(ⅰ)の解法2の系と同様の方法を取るので、まず補題として4倍角の公式を作る。

2倍角の公式
sin2θ=2sinθcosθ
cos2θ=2cos²θ-1=1-2sin²θ

sin4θ=2sin2θcos2θ
=2・2sinθcosθ(2cos²θ-1)
=sinθ(8cos³-4cosθ)
または、
sin4θ=2sin2θcos2θ
=2・2sinθcosθ(1-2sin²θ)
=cosθ(4sinθ-8sin³θ)
∴sin4θ=sinθ(8cos³θ-4cosθ)
=cosθ(4sinθ-8sin³θ)———☆
cos4θ=2cos²2θ-1=2(2cos²θ-1)²-1
=2(4cos⁴θ-4cos²θ+1)-1
=8cos⁴θ-8cos²θ+1
∴cos4θ=8cos⁴θ-8cos²θ+1———☆☆

(ⅱ)x⁴=72(√3i-1)
ところで、|√3i-1|=(√3)²+(-1)²=4
∴|x⁴|=72・4=144
∴|x|=√12=2√3
よって、x=2√3(cosθ+isinθ)と置くと、
x⁴=144(cosθ+isinθ)⁴
=144(cos4θ+isin4θ)
=72(√3i-1)(条件より)
=144{-1/2+(√3/2)i}
∴cos4θ=-1/2———①
sin4θ=√3/2———②
ここで、☆☆より、
cos4θ=8cos⁴θ-8cos²θ+1=-1/2
∴8cos⁴θ-8cos²θ+3/2=0
∴16cos⁴θ-16cos²θ+3=0
∴(4cos²θ-1)(4cos²-3)=0
∴cos²θ=1/4,3/4
cosθ=±1/2,±√3/2
(1)cosθ=1/2の場合、☆と②より、
sin4θ=sinθ(8cos³θ-4cosθ)=√3/2
これにcosθ=1/2を代入すると、
sinθ(1-2)=√3/2 ∴sinθ=-√3/2
∴x=2√3(cosθ+isinθ)
=2√3{1/2-(√3/2)i}
=√3-3i
∴x=√3-3i
(2)cosθ=-1/2の場合、☆と②より、
sin4θ=sinθ(8cos³θ-4cosθ)=√3/2
これにcosθ=-1/2を代入すると、
sinθ(-1+2)=√3/2 ∴sinθ=√3/2
∴x=2√3(cosθ+isinθ)
=2√3{-1/2+(√3/2)i}
=-√3+3i
∴x=-√3+3i
(3)cosθ=√3/2の場合、☆と②より、
sin4θ=sinθ(8cos³θ-4cosθ)=√3/2
これにcosθ=√3/2を代入すると、
sinθ(3√3-2√3)=√3/2 ∴sinθ=1/2
∴x=2√3(cosθ+isinθ)
=2√3{√3/2+(1/2)i}
=3+√3i
∴x=3+√3i
(4)cosθ=-√3/2の場合、☆と②より、
sin4θ=sinθ(8cos³θ-4cosθ)=√3/2
これにcosθ=-√3/2を代入すると、
sinθ(-3√3+2√3)=√3/2 ∴sinθ=-1/2
∴x=2√3(cosθ+isinθ)
=2√3{√3/2-(1/2)i}
=3-√3i
∴x=3-√3i
(1)~(4)より、
x=√3-3i,-√3+3i,3+√3i,
3-√3i
∴x=±(√3-3i),±(3+√3i)

因みに、うっかり、☆のsin4θ=cosθ(4sinθ-8sin³θ)の方を使うと計算が大変です。

例えば、(3)cosθ=√3/2の場合、
sin4θ=cosθ(4sinθ-8sin³θ)=√3/2に代入すると、4sinθ-8sin³θ=1
∴8sin³θ-4sinθ+1=0
因数定理でsinθ=1/2を代入すると、1-2+1=0で成り立つ。よって、2sinθ-1で割ると、計算省略で、
(2sinθ-1)(4sin²θ+2sinθ-1)=0
4sin²θ+2sinθ-1=0を解の公式で解くと、
sinθ=(-1±√5)/4
これは-1以上1以下なので適正。
そこで、sin²θ+cos²θ=1にcosθ=√3/2を代入すると、sinθ=±1/2
よって、sinθ=(-1±√5)/4は不適で、
sinθ=1/2のみ。
∴x=2√3(cosθ+isinθ)
=2√3{√3/2+(1/2)i}
=3+√3i

因みに、(1)と(2)も因数定理で解けるが、
(1)は8sin³θ-4sinθ+√3=0なので、諦めてしまうかもしれない。
そこで、(私以外で出来たら大したものです。笑)と書いたのですが、簡単でしたね。

おまけ:
返信
返信5
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/17 19:50 (No.1304310)削除
問題
2つの直線上に、それぞれ3点A~C,D~Fがこの順に並び、AE∥BF,BD∥CEのとき、AD∥CFが成り立つ事を証明せよ。
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

図の解説:平行ではない2直線l,m上にそれぞれ3点A,B,CとD,E,Fが同じ向きに置かれている。
AE∥BF,BD∥CEのとき、AD∥CFが成り立つ事を証明せよという問題。(l,mの交点はCAとFDの延長上とする。)
因みに、l∥mの時も成り立つ。一応、この場合も証明して下さい。

おまけ:
https://news.yahoo.co.jp/articles/2143b6dc278fd760baf5c4454be4cab89e5aaef2
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/18 07:55削除
問題
2つの直線上に、それぞれ3点A~C,D~Fがこの順に並び、AE∥BF,BD∥CEのとき、AD∥CFが成り立つ事を証明せよ。
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

解答
(ⅰ)2直線が平行でない場合
CAの延長とFDの延長が交わるとし、その交点をOとすると、AE∥BFより△OAE∽△OBF
∴OA:OB=OE:OF=a:b———①
また、BD∥CEより、△ODB∽△OEC
∴OD:OE=OB:OC=c:d———②
と置ける。
ここで、OC=x,OF=yと置くと、①より、
OE:OF=a:b ∴OE:y=a:b
∴OE=(a/b)y———③
また、②より、OD:OE=c:d
これに③を代入すると、
OD:(a/b)y=c:d
∴OD=(ac/bd)y———④
また、②より、OB:OC=c:d
∴OB:x=c:d ∴OB=(c/d)x———⑤
また、①より、OA:OB=a:b
これに⑤を代入すると、OA:(c/d)x=a:b
∴OA=(ac/bd)x———⑥
④,⑥より、
OA:OD=(ac/bd)x:(ac/bd)y=x:y
また、OC:OF=x:yより、
OA:OD=OC:OF
また、∠Oは共通より二辺比と挟角が等しいので、
△OAD∽△OCF ∴AD∥CF

(ⅱ)2直線が平行の場合
AE∥BFより、同位角と錯角で、∠BFD=∠AED=∠EAC ∴∠BFD=∠EAC———①
また、BD∥CEより、同位角と錯角で、
∠BDF=∠CEF=∠ECA
∴∠BDF=∠ECA———②
①,②より、2角が等しいので、△BDF∽△ECA
ここで、BからDFに垂線を下ろしその足をH,EからCAに垂線を下ろしその足をIとすると、AC∥DFより、BH=EI(厳密には長方形を言えば良い。)
よって、相似な2つの三角形の高さが等しいので合同である。(厳密には、2つの直角三角形に分けてそれぞれが合同である事を言えば全体も合同である事が言える。)
∴DF=CA———③ また、条件より2直線が平行より、DF∥CA———④
③,④より、四角形ADFCは平行四辺形である。
∴AD∥CF

因みに、この問題は「高校への数学 日日のハイレベル演習」臨時増刊2003-5の12・17の「■研究」で解答(証明)は載っていません。

おまけ:
https://news.yahoo.co.jp/articles/9e1d77ec96c010b2a57412f19d67c65a936e432c/comments
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/17 12:01 (No.1303971)削除
次の文章を完全解説して下さい。

補題
一意分解整域Rの商体をKとする。このとき次が成り立つ。
(1)K[X]の多項式f(X)はKの元uとR[X]の原始多項式F(X)によって
f(X)=u・F(X)
と表される。
(2)(1)の表現において、原始多項式F(X)(∈R[X])はRの可逆元の因子を除いて一意的に定まる。特に、f(X)∈R[X]であればu∈Rである。

証明
(1)K[X]の任意の多項式f(X)は係数を通分して
f(X)=(1/b)・f₁(X)(b∈R,f₁(X)∈R[X])
の形に表すことができる。また、f₁(X)∈R[X]はf₁(X)の係数の最大公約元a(∈R)と原始多項式F(X)(∈R[X])のよって
f₁(X)=a・F(X)
という形に表される。
したがって、K[X]の任意の多項式f(X)はRの元a,bと原始多項式F(X)(∈R[X])によって
f(X)=(a/b)・F(X)
という形に表される。
(2)f(X)=(a/b)F(X)=(c/d)F₁(X)(a,b,c,d∈R,F(X),F₁(X):原始多項式)
と仮定すると、adF(X)=bcF₁(X)であるが、左辺の係数の最大公約元はadで、右辺のそれはbcであるから
∃u∈U(R),ad=ubc
となる(問5.16参照)。ゆえに、F₁(X)=uF(X)となる。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

問5.16
a₁,…,an∈Rの最大公約元をd∈Rとする。このとき、次のことを示せ。
(1)dに同伴な元d'はまたa₁,…,anの最大公約元である。
(2)a₁,…,anの最大公約元をd'とすると、d'とdは同伴である。

いつもはこれぐらいで適当に解説して下さいとしているが、今回は普通の中学生にも分かるような解説にするために言葉の補足もする。

定義5.5(注:一意分解整域の定義)
整域Rにおいて素元分解の一意性が成立するとは、Rの可逆元でも0でもない元は有限個の素元の積として分解でき、2つの素元分解は因子の順序と可逆元の積を除いて一意的定まることをいう。素元分解の一意性が成立する環を一意分解整域または簡単にUFDという。

整域や環の定義は省略。

定義(注:商体の定義)
環Rを可換体Kの部分環とする。Kのすべての元がRの元a,bによってab^-1と表せるとき、KはRの商体という。

定義5.7(注:原始多項式の定義)
Rを一意分解整域とする。R係数の多項式
f(X)=a₀+a₁X+…+anX(ai∈R)
に対して、a₀,a₁,…,anの最大公約元が1であるとき、f(X)を原始多項式という。

U(R)の意味
環Rの可逆元の全体をU(R)で表す。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著p.152より

問題の意味から中学生にも分かるように解説して下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/17 13:52削除
解説
>補題
一意分解整域Rの商体をKとする。このとき次が成り立つ。
(1)K[X]の多項式f(X)はKの元uとR[X]の原始多項式F(X)によって
f(X)=u・F(X)
と表される。
(2)(1)の表現において、原始多項式F(X)(∈R[X])はRの可逆元の因子を除いて一意的に定まる。特に、f(X)∈R[X]であればu∈Rである。

問題のアバウトな意味
(1)係数が有理数の多項式f(X)は有理数uと整数係数の多項式F(X)で、f(X)=u・F(X)と表される。
という当たり前の話を一般化に拡張した上で証明せよという問題。(有理数体と整数環の場合というのは特殊化した場合という事。)

(2)の前に可逆元の定義
環Rの元aに対し、Rのある元bが存在して
a・b=b・a=1
となるとき、aをRの可逆元,または単元といい、bをaの逆元という。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

環Rを整数全体の集合(整数環)と考えて、例えば、a=3とすると、これを満たすbは整数環には存在しない事が分かるだろう(有理数体だったら3と1/3で存在するが)。
つまり、整数環ではa=1,b=1またはa=-1,b=-1の場合しか成り立たない。
よって、環Rの可逆元は±1である。(だから、別名を単体という。)

(2)(1)の表現f(X)=u・F(X)において、つまり、有理数係数の多項式は整数係数の多項式にある有理数uをかけて表せるという表現は、±1の積を除いて(考えなければ)一意的にuは定まるという当たり前の話を証明せよという問題。
「特に」以降は当たり前過ぎて解説省略。と思ったが、f(X)が整数係数だったらuも整数であるという事の一般化した上での話。

>定義5.5(注:一意分解整域の定義)
整域Rにおいて素元分解の一意性が成立するとは、Rの可逆元でも0でもない元は有限個の素元の積として分解でき、2つの素元分解は因子の順序と可逆元の積を除いて一意的定まることをいう。素元分解の一意性が成立する環を一意分解整域または簡単にUFDという。

整数の世界では、素因数分解は一意的である事は中学生でも知っている事だろう。念のため、一意的とは1通りに定まる事である。
つまり、一意分解整域は、ここでは整数全体の集合のような集合だと考えておけば良い。

>定義(注:商体の定義)
環Rを可換体Kの部分環とする。Kのすべての元がRの元a,bによってab^-1と表せるとき、KはRの商体という。

環Rを整数環ℤと考えて、任意の元a,b∈ℤでab^-1、つまり、a/b(b≠0)を作れば、Kは有理数全体の集合だと分かるだろう。
ここでは、イメージとしてそういうものだと考えておけば良い。念のため、a,bが整数でなければ商体は有理数体ではなくなるという事。

問題の意味がアバウトに分かった所で、続きは次回。

今はインターネットがあるから大学の数学科に入る前に情報が得られるからいいが、親とか教師が数学に詳しい人だったらまるでスタート地点が違う事が分かるだろう。頭がいいとか悪いとかそういうレベル(次元)ではない。(生まれ付き、フォーマットされている人もいるらしい。笑)

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/17 16:11削除
解説の続き
補題
一意分解整域Rの商体をKとする。このとき次が成り立つ。
(1)K[X]の多項式f(X)はKの元uとR[X]の原始多項式F(X)によって
f(X)=u・F(X)
と表される。
(2)(1)の表現において、原始多項式F(X)(∈R[X])はRの可逆元の因子を除いて一意的に定まる。特に、f(X)∈R[X]であればu∈Rである。

証明
(1)K[X]の任意の多項式f(X)は係数を通分して
f(X)=(1/b)・f₁(X)(b∈R,f₁(X)∈R[X])
の形に表すことができる。また、f₁(X)∈R[X]はf₁(X)の係数の最大公約元a(∈R)と原始多項式F(X)(∈R[X])によって
f₁(X)=a・F(X)
という形に表される。
したがって、K[X]の任意の多項式f(X)はRの元a,bと原始多項式F(X)(∈R[X])によって
f(X)=(a/b)・F(X)
という形に表される。
(2)f(X)=(a/b)F(X)=(c/d)F₁(X)(a,b,c,d∈R,F(X),F₁(X):原始多項式)
と仮定すると、adF(X)=bcF₁(X)であるが、左辺の係数の最大公約元はadで、右辺のそれはbcであるから
∃u∈U(R),ad=ubc
となる(問5.16参照)。ゆえに、F₁(X)=uF(X)となる。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

問5.16
a₁,…,an∈Rの最大公約元をd∈Rとする。このとき、次のことを示せ。
(1)dに同伴な元d'はまたa₁,…,anの最大公約元である。
(2)a₁,…,anの最大公約元をd'とすると、d'とdは同伴である。

>(1)K[X]の任意の多項式f(X)は係数を通分して
f(X)=(1/b)・f₁(X)(b∈R,f₁(X)∈R[X])
の形に表すことができる。

Kは商体なので、有理数体をイメージしてf(X)の係数にいくつかあり、それらの分母を通分したらbになったとすると、f(X)=(1/b)・f₁(X)と出来る事は自明だろう。(念のため、f₁(X)の係数は整数をイメージする。)

>また、f₁(X)∈R[X]はf₁(X)の係数の最大公約元a(∈R)と原始多項式F(X)(∈R[X])によって
f₁(X)=a・F(X)
という形に表される。

有理数係数の分母を通分して外に出したら、残ったf₁(X)は整数係数で当然互いに素とは限らないので、その係数の最大公約数を求めたらaになったという話。(念のため、互いに素の場合はa=1という事。)
そして、さらに最大公約数でくくったら(外に出したら)残されたF(X)は原始多項式になるという当たり前の話。
補足:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13141381543

定義5.7(注:原始多項式の定義)
Rを一意分解整域とする。R係数の多項式
f(X)=a₀+a₁X+…+anX(ai∈R)
に対して、a₀,a₁,…,anの最大公約元が1であるとき、f(X)を原始多項式という。

>したがって、K[X]の任意の多項式f(X)はRの元a,bと原始多項式F(X)(∈R[X])によって
f(X)=(a/b)・F(X)
という形に表される。

ところで、a,b∈Rよりa/b∈K(商体の定義より)

定義(注:商体の定義)
環Rを可換体Kの部分環とする。Kのすべての元がRの元a,bによってab^-1と表せるとき、KはRの商体という。

よって、a/b=uと置くと、
「Kの元uとR[X]の原始多項式F(X)によって
f(X)=u・F(X)
と表される。」
という事。

>(2)f(X)=(a/b)F(X)=(c/d)F₁(X)(a,b,c,d∈R,F(X),F₁(X):原始多項式)
と仮定する

何故こんな事をするのかというと、問題が、

(2)(1)の表現において、原始多項式F(X)(∈R[X])はRの可逆元の因子を除いて一意的に定まる。

唯一つしかない事を証明するためにあえて2つある(2通りで表現出来る)と仮定する訳である。(そして、矛盾が生じるか2つが一致する事を示せば良いという事。念のため、矛盾が生じた場合は背理法で証明終了。)

>f(X)=(a/b)F(X)=(c/d)F₁(X)(a,b,c,d∈R,F(X),F₁(X):原始多項式)
と仮定すると、adF(X)=bcF₁(X)であるが、左辺の係数の最大公約元はadで、右辺のそれはbcである

(a/b)F(X)=(c/d)F₁(X)の分母を払うと、
adF(X)=bcF₁(X)となり、F(X)もF₁(X)も原始多項式だったので、それぞれの係数の最大公約元は1なので、ad,bcをかけたら、それぞれの最大公約元もad,bcになる事は自明。

>adF(X)=bcF₁(X)であるが、左辺の係数の最大公約元はadで、右辺のそれはbcであるから
∃u∈U(R),ad=ubc
となる(問5.16参照)。

問5.16
a₁,…,an∈Rの最大公約元をd∈Rとする。このとき、次のことを示せ。
(1)dに同伴な元d'はまたa₁,…,anの最大公約元である。
(2)a₁,…,anの最大公約元をd'とすると、d'とdは同伴である。

等号でつながれた等式の左辺の最大公約元がadで右辺のや最大公約元がbcであるので、ad=bcと考えてしまうかもしれないが、問5.16の(2)より、adとbcは同伴である。

定義5.3(注:同伴の定義)
Rを整域とする。b|aかつa|bのとき、ある可逆元u∈Rが存在して、
a=u・b
となっている。このとき、aとbは同伴であるといい、a~bで表す。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より

つまり、ある可逆元uが存在して、
ad=u・bc
となるという事である。

U(R)の意味
環Rの可逆元の全体をU(R)で表す。
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著p.152より

因みに、参考書では具体的には教えてくれないが、
u=±1である。(ただし、整数の1という意味ではない。そういう集合(環)Rの1_Rという元である。)
本当は、環と整域の違いとか色々解説したいが、逆に分かり難くなってしまうのでしない。

>ゆえに、F₁(X)=uF(X)となる。

adF(X)=bcF₁(X)にad=u・bcを代入して約分すると、F₁(X)=uF(X)
よって、F₁(X)=±F(X)より、「f(X)=(a/b)F(X)=(c/d)F₁(X)(a,b,c,d∈R,F(X),F₁(X):原始多項式)と仮定すると」、±1の積の違いで一致する。
よって、「(1)の表現において、原始多項式F(X)(∈R[X])はRの可逆元の因子を除いて一意的に定まる」という事。
念のため、(1)の表現とは、f(X)=u・F(X)

おまけ:
返信
返信2
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/15 16:06 (No.1302278)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題 10-13b
次の問いに答えよ。
(1)1,2,3,4,5の入れ換え
( i j k m n)
( j k i m n)
(注:本当は2段で1つの元。)
を(ijk)と表す。次の等式を示せ:
(123)=(125)(134)(152)(143)
(2)本問と(3)では、1のべき根はすべて定数であるとする。既約5次多項式f(x)の群GfがS5であるとする(ここでf(x)の根α₁,…,α₅の入れ換えを1,…,5の入れ換えとみなす)。既約多項式x^p-a(pは素数,aは定数)の根αがf(x)の根の式で表されるならば、p=2であり、αを変えない入れ換えはA5に入ることを示せ。
(3)既約5次多項式f(x)の群GfがA5であるとする((2)と同様に根の入れ換えを1,…,5の入れ換えとみなす)。多項式x^p-a(pは素数,aは定数)の根αがf(x)の根の式で表されるならば、αは定数であることを示せ。

解答
(1)略。(1,2,3,4,5をi,k,j,m,nと読み替えれば、任意の(ijk)に対して
(ijk)=(ijn)(ikm)(inj)(imk)が成り立つ。)
(2)x^p-aの根はαζ(ζ^p=1をみたす)の形である。そこでGfの元σに対してσ(α)=ζσ・α(注:ζσのσは添字)((ζσ)^p=1)とおく。
このときGfの元σ,τに対して、ζστ=ζσζτが成り立つ。
実際、στ(α)=σ(ζτ・α)=ζτ・σ(α)=ζτ・ζσ・αだからである(2番目の等号は1のべき根が定数であることより従う)。
とくにζσ・ζσ-1=ζe=1(eは恒等入れ換え)である。
 いま1,2だけを交換する入れ換えσ(互換)はσ²=eをみたすので、(ζσ)²=1である。よってζσ=±1である。またi,jを交換する互換τは、1,2をi,jに読み替えるとτ=μσμ^-1の形に表される。
よってζτ=ζμζσζμ^-1=ζσ(ζμζμ^-1)=ζσである。したがってどの互換τに対してもζτはすべて等しく、1か-1である。
 任意の入れ換えμをs個の互換の積で表せば(問題5-8参照)、ζμ=(ζσ)^sがわかる。x^p-aは既約なので、αは定数でなくζσ=-1であり、よってp=2である。またαを変えないμはsが偶数のときだから、μはA5に入る。
(3)(1)の解答で述べたとおり、σ=(ijk),τ=(ijn),μ=(ikm)とおくと、
σ=τμτ²μ²=τμτ^-1μ^-1が成り立つ(τ³=μ³=eよりτ²=τ^-1,μ²=μ^-1である)。
したがってζσを(2)の解答のように定めれば、ζσ=ζτζμζτ^-1ζμ^-1=(ζτζτ^-1)(ζμζμ^-1)=1である。
A5の任意の入れ換えσは(ijk)の形の入れ換えの合成で表されるので(問題5-9)、ζσはつねに1であり、αを変えない。ガロワ対応よりαは定数である。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

問題 5-8b
1,…,nの任意の入れ換えは、ちょうど2個だけ交換する入れ換えの積で表されることを示せ。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

問題 5-9b
Anは
( a b c d e …(あとは変えない))
( b c a d e …(あとは変えない))
(注:本当は2段で1つの元。)
(この形の入れ換えを(abc)と略記する)の形で入れ換えで生成されることを示せ。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

適当に分かり易く解説して下さい。相変わらず、分かる人には分かるんでしょうけど苦労しました。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/16 13:39削除
解説
>任意の(ijk)に対して
(ijk)=(ijn)(ikm)(inj)(imk)が成り立つ。)

( i j k m n)
( j k i m n)
(注:本当は2段で1つの元。)
を(ijk)と表す。

ここで、(i j)(j k)を調べてみる。
( i j k m n)
( i j k m n)
(注:本当は2段で1つの元。)
これを(i j)(j k)で入れ換えると、1回目は(j k)で入れ換えて、
( i j k m n)
( i k j m n)
2回目は(i j)で入れ換えて、
( i j k m n)
( j k i m n)
よって、上の(ijk)と一致するので、
(i j)(j k)=(ijk)である。
よって、(ijn)(ikm)(inj)(imk)
=(ij)(jn)(ik)(km)(in)(nj)(im)(mk)
この右辺で
( i j k m n)
( j k i m n)
を入れ換えると、
( i j k m n)
( i j m k n) (mk)で入れ換えた

( i j k m n)
( m j i k n) (im)で入れ換えた

( i j k m n)
( m n i k j) (nj)で入れ換えた

( i j k m n)
( m i n k j) (in)で入れ換えた

( i j k m n)
( k i n m j) (km)で入れ換えた

( i j k m n)
( i k n m j) (ik)で入れ換えた

( i j k m n)
( i k j m n) (jn)で入れ換えた

( i j k m n)
( i k j m n) (ij)で入れ換えた

( i j k m n)
( j k i m n) ———①

一方、(ijk)=
( i j k m n)
( j k i m n) ———②
①,②より、
(ijk)=(ij)(jn)(ik)(km)(in)(nj)(im)(mk)
∴(ijk)=(ijn)(ikm)(inj)(imk)

>x^p-aの根はαζ(ζ^p=1をみたす)の形である。

これはx^p-aが既約多項式だから。

命題10.1(多項式x^p-aの群)
pを素数とし、1の原始p乗根ζは定数であるとする。x^p-aが既約であるとき(つまりどの根も定数でないとき)、この多項式の群は、x^p-aの根αに対して
σi(α)=αζ^i,i=0,1,…,p-1
をみたすp個の入れ換えσ₀,…,σp-1からなる。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

因みに、(3)のx^p-a(pは素数,aは定数)は既約多項式とは書かれていない。

>(2)本問と(3)では、1のべき根はすべて定数であるとする。

f(x)の係数を1のべき根まで許しているという事。

>既約5次多項式f(x)の群GfがS5であるとする(ここでf(x)の根α₁,…,α₅の入れ換えを1,…,5の入れ換えとみなす)。

念のため、S5は5次対称群で5個の入れ換えの群の事。
( i j k m n)
( j k i m n)
(注:本当は2段で1つの元。)
の入れ換え5!個の元がある。

>そこでGfの元σに対してσ(α)=ζσ・α(注:ζσのσは添字)((ζσ)^p=1)とおく。

「既約多項式x^p-a(pは素数,aは定数)の根αがf(x)の根の式で表されるならば」という条件があるからこういうものを定義する。(σはf(x)の根の入れ換えだから。)
ただし、なぜ「σ(α)=ζσ・α(注:ζσのσは添字)((ζσ)^p=1)」と定義するのかよく分からない。σによってαが必ずx^p-aの他の根になる理由なんてあるの?
こんなのを定義すれば必ずp=2になるような気がするけど。(せいぜいp=2ぐらいしか成り立たないだろうという話。p=1は素数ではない。)

続きは次回。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/16 17:03削除
訂正
>x^p-aの根はαζ(ζ^p=1をみたす)の形である。

これはx^p-aが既約多項式だから。

命題10.1(多項式x^p-aの群)
pを素数とし、1の原始p乗根ζは定数であるとする。x^p-aが既約であるとき(つまりどの根も定数でないとき)、この多項式の群は、x^p-aの根αに対して
σi(α)=αζ^i,i=0,1,…,p-1
をみたすp個の入れ換えσ₀,…,σp-1からなる。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

因みに、(3)のx^p-a(pは素数,aは定数)は既約多項式とは書かれていない。

これは別に既約多項式とかは関係ないですね。
例えば、x⁴-4=0の解は(x²-2)(x²+2)=0
∴x=±√2,±√2i
∴x=√2,√2i,√2i²,√2i³
複素平面の単位円上のx^n-1の根(p.118)を考えれば当然ですね。ただし、「x^p-aの根はαζ」の意味が「αζ^i,i=0,1,…,p-1」と同じかどうかはよく分からない。

解説の続き
問題 10-13b
次の問いに答えよ。
(1)1,2,3,4,5の入れ換え
( i j k m n)
( j k i m n)
(注:本当は2段で1つの元。)
を(ijk)と表す。次の等式を示せ:
(123)=(125)(134)(152)(143)
(2)本問と(3)では、1のべき根はすべて定数であるとする。既約5次多項式f(x)の群GfがS5であるとする(ここでf(x)の根α₁,…,α₅の入れ換えを1,…,5の入れ換えとみなす)。既約多項式x^p-a(pは素数,aは定数)の根αがf(x)の根の式で表されるならば、p=2であり、αを変えない入れ換えはA5に入ることを示せ。
(3)既約5次多項式f(x)の群GfがA5であるとする((2)と同様に根の入れ換えを1,…,5の入れ換えとみなす)。多項式x^p-a(pは素数,aは定数)の根αがf(x)の根の式で表されるならば、αは定数であることを示せ。

解答
(1)略。(1,2,3,4,5をi,k,j,m,nと読み替えれば、任意の(ijk)に対して
(ijk)=(ijn)(ikm)(inj)(imk)が成り立つ。)
(2)x^p-aの根はαζ(ζ^p=1をみたす)の形である。そこでGfの元σに対してσ(α)=ζσ・α(注:ζσのσは添字)((ζσ)^p=1)とおく。
このときGfの元σ,τに対して、ζστ=ζσζτが成り立つ。
実際、στ(α)=σ(ζτ・α)=ζτ・σ(α)=ζτ・ζσ・αだからである(2番目の等号は1のべき根が定数であることより従う)。
とくにζσ・ζσ-1=ζe=1(eは恒等入れ換え)である。
 いま1,2だけを交換する入れ換えσ(互換)はσ²=eをみたすので、(ζσ)²=1である。よってζσ=±1である。またi,jを交換する互換τは、1,2をi,jに読み替えるとτ=μσμ^-1の形に表される。
よってζτ=ζμζσζμ^-1=ζσ(ζμζμ^-1)=ζσである。したがってどの互換τに対してもζτはすべて等しく、1か-1である。
 任意の入れ換えμをs個の互換の積で表せば(問題5-8参照)、ζμ=(ζσ)^sがわかる。x^p-aは既約なので、αは定数でなくζσ=-1であり、よってp=2である。またαを変えないμはsが偶数のときだから、μはA5に入る。
(3)(1)の解答で述べたとおり、σ=(ijk),τ=(ijn),μ=(ikm)とおくと、
σ=τμτ²μ²=τμτ^-1μ^-1が成り立つ(τ³=μ³=eよりτ²=τ^-1,μ²=μ^-1である)。
したがってζσを(2)の解答のように定めれば、ζσ=ζτζμζτ^-1ζμ^-1=(ζτζτ^-1)(ζμζμ^-1)=1である。
A5の任意の入れ換えσは(ijk)の形の入れ換えの合成で表されるので(問題5-9)、ζσはつねに1であり、αを変えない。ガロワ対応よりαは定数である。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

>実際、στ(α)=σ(ζτ・α)=ζτ・σ(α)=ζτ・ζσ・αだからである(2番目の等号は1のべき根が定数であることより従う)。

σ(ζτ・α)=ζτ・σ(α)は、定数だから外に出せるという事。

>またi,jを交換する互換τは、1,2をi,jに読み替えるとτ=μσμ^-1の形に表される。

μ=( 1 2 3 4 5)
  ( a b c d e)
(注:本当は2段で1つの元。)
と置くと、
μ^-1=( a b c d e)
     ( 1 2 3 4 5)
また、σ=( 1 2 3 4 5)
     ( 2 1 3 4 5)
(「1,2だけを交換する入れ換えσ」だから。)
とすると、
μσμ^-1
=(1 2 3 4 5)(1 2 3 4 5)(a b c d e)
 (a b c d e)(2 1 3 4 5)(1 2 3 4 5)
=(a b c d e)
 (b a c d e)
(一番右の括弧のaから、a→1→2→1→b,
b→2→1→a,c→3→3→c,
d→4→4→d,e→5→5→eと求める。)
よって、aとbだけ入れ換わった変換でa~eは1~5のどれかなので、どれか2つが入れ換わるのでOK。

>よってζτ=ζμζσζμ^-1=ζσ(ζμζμ^-1)=ζσである。したがってどの互換τに対してもζτはすべて等しく、1か-1である。

「Gfの元σに対してσ(α)=ζσ・α(注:ζσのσは添字)((ζσ)^p=1)とおく」でτ=μσμ^-1を変換しただけ。そして、ζμζσζμ^-1=ζσ(ζμζμ^-1)は定数だから順序を変えただけ。
また、ζσ=±1だったので、ζτ=ζσにより、
「ζτはすべて等しく、1か-1である」という事。

>任意の入れ換えμをs個の互換の積で表せば(問題5-8参照)、ζμ=(ζσ)^sがわかる。

問題 5-8b
1,…,nの任意の入れ換えは、ちょうど2個だけ交換する入れ換えの積で表されることを示せ。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

自明とする。

>x^p-aは既約なので、αは定数でなくζσ=-1であり、よってp=2である。

x^p-aが既約でないとするとαは定数の可能性があり、定数とするとσは恒等入れ換えになりζσ=1(σ=e)なので、既約ならばαは定数の可能性はなくζσ=-1である。一応、補足で命題10.1の括弧の中、

命題10.1(多項式x^p-aの群)
pを素数とし、1の原始p乗根ζは定数であるとする。x^p-aが既約であるとき(つまりどの根も定数でないとき)、この多項式の群は、x^p-aの根αに対して
σi(α)=αζ^i,i=0,1,…,p-1
をみたすp個の入れ換えσ₀,…,σp-1からなる。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

また、ζσ=±1で2つだけなので、p=2である。

>またαを変えないμはsが偶数のときだから、μはA5に入る。

ζμ=(ζσ)^sにζσ=-1を代入して1になるのはsが偶数の時だけだから。
また、「σ(α)=ζσ・α(注:ζσのσは添字)((ζσ)^p=1)とおく」のζσ=1の時だけ「αを変えない」という事。

定義(対称群,交代群)
1,…,nの入れ換えのなす群をn次対称群といい、Snと表す。ちょうど2個だけ交換する入れ換えを偶数個合成した入れ換えのなす集合は、Snの部分群である。この部分群をn次交代群といい、Anと表す。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

よって、A5に入るという訳である。(偶置換という事。)

>(1)の解答で述べたとおり、σ=(ijk),τ=(ijn),μ=(ikm)とおくと、
σ=τμτ²μ²=τμτ^-1μ^-1が成り立つ(τ³=μ³=eよりτ²=τ^-1,μ²=μ^-1である)。

(1)の解答より、
(ijk)=(ijn)(ikm)(inj)(imk)
よって、σ=τμ○○である。
そこで、
τ=(ijn)=(i j k m n)
       (j n k m i)
(注:i,j,nの位置だけ、
( i j k m n)
( j k i m n)
(注:本当は2段で1つの元。)
を(ijk)と表す。(上より引用)
を使った。(2番目3番目を1番目2番目,1番目を3番目に順繰りと移動させる。)
τ²=(ijn)²
=(i j k m n)
 (n i k m j)
(再び、i,n,jの位置だけ同じように順繰りと移動させた。)
また、(inj)=(in)(nj)で、
( i j k m n)
( i j k m n)
を変換すると、
( i j k m n)
( i n k m j) (nj)で入れ換えた

( i j k m n)
( n i k m j) (in)で入れ換えた

よって、τ²=(inj)である。
μ²=(im k)も同様に示せる。
よって、(ijk)=(ijn)(ikm)(inj)(imk)
から、σ=τμτ²μ²である。
また、「τ³=μ³=e」は順繰りを3回やると元に戻る事から分かる。

>A5の任意の入れ換えσは(ijk)の形の入れ換えの合成で表されるので(問題5-9)、ζσはつねに1であり、αを変えない。ガロワ対応よりαは定数である。

問題 5-9b
Anは
( a b c d e …(あとは変えない))
( b c a d e …(あとは変えない))
(注:本当は2段で1つの元。)
(この形の入れ換えを(abc)と略記する)の形で入れ換えで生成されることを示せ。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

「ζσを(2)の解答のように定めれば、ζσ=ζτζμζτ^-1ζμ^-1=(ζτζτ^-1)(ζμζμ^-1)=1である」となり、「σ(α)=ζσ・α(注:ζσのσは添字)((ζσ)^p=1)とおく」にζσ=1を代入すると、σ(α)=α
よって、恒等入れ換えに対応するのは根の式全体のような気がするが、全ての変換(Gf)で変わらないのは定数のみという意味なのだろう。

念のため、あくまでも参考程度です。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/10/17 07:48削除
補足解説(改訂版という意味)
>ただし、「x^p-aの根はαζ」の意味が「αζ^i,i=0,1,…,p-1」と同じかどうかはよく分からない。

同じである。

>(2)x^p-aの根はαζ(ζ^p=1をみたす)の形である。そこでGfの元σに対してσ(α)=ζσ・α(注:ζσのσは添字)((ζσ)^p=1)とおく。

問題
(2)本問と(3)では、1のべき根はすべて定数であるとする。既約5次多項式f(x)の群GfがS5であるとする(ここでf(x)の根α₁,…,α₅の入れ換えを1,…,5の入れ換えとみなす)。既約多項式x^p-a(pは素数,aは定数)の根αがf(x)の根の式で表されるならば、p=2であり、αを変えない入れ換えはA5に入ることを示せ。

「既約多項式x^p-a(pは素数,aは定数)の根αがf(x)の根の式で表されるならば」
この条件が暗黙の了解で2個以上ならばS5(Gf)の全ての入れ換えでσ(α)=ζσ・αを定義する意味がよく分かる。

>よって、恒等入れ換えに対応するのは根の式全体のような気がするが、全ての変換(Gf)で変わらないのは定数のみという意味なのだろう。

うっかりしていました。「A5の任意の入れ換えσは」とあるので、当然後者ですね。(問題文よりGfがA5)

全く関係ありませんが、(2)の意味、

(2)本問と(3)では、1のべき根はすべて定数であるとする。既約5次多項式f(x)の群GfがS5であるとする(ここでf(x)の根α₁,…,α₅の入れ換えを1,…,5の入れ換えとみなす)。既約多項式x^p-a(pは素数,aは定数)の根αがf(x)の根の式で表されるならば、p=2であり、αを変えない入れ換えはA5に入ることを示せ。

例えば、条件付き5次方程式の解の公式を作った事があるのですが、

x⁵+mx³+(m²/5)x+n=0(m,nは実数)の解の公式は、
x=⁵√[{-n+√(n²+4m⁵/3125)}/2]
 +⁵√[{-n-√(n²+4m⁵/3125)}/2]
である。

証明
⁵√[{-n+√(n²+4m⁵/3125)}/2]=a,
⁵√[{-n-√(n²+4m⁵/3125)}/2]=b
と置くと、
a⁵={-n+√(n²+4m⁵/3125)}/2
b⁵={-n-√(n²+4m⁵/3125)}/2
∴a⁵+b⁵=-n———➀
a⁵b⁵={n²-(n²+4l⁵/3125)}/4=-l⁵/3125
=(-l/5)⁵ ∴ab=-m/5 ———②
また、条件より、x=a+b———③
ここで、➀より、
a⁵+b⁵=(a+b)(a⁴-a³b+a²b²-ab³+b⁴)
=-n
∴(a+b){(a²+b²)²-a²b²-ab(a²+b²)}=-n
∴(a+b)[{(a+b)²-2ab}²-a²b²
-ab{(a+b)²-2ab}]=-n———☆
☆に②,③を代入すると、
x{(x²+2m/5)²-l²/25+(m/5)(x²+2m/5)}=-n
∴x{x⁴+(4m/5)x²+4m²/25-m²/25+(m/5)x²
+2m²/25}=-n
∴x{x⁴+mx²+m²/5}=-n
∴x⁵+mx³+(m²/5)x+n=0
よって、x⁵+mx³+(m²/5)x+n=0でOK。よって、示された。

導き方は省略。(2024/8/30 15:47の投稿より引用)

5乗根の中は√なので、添加するものはx²-aに限るという事なのでしょうか。因みに、3次方程式の解の公式の3乗根の中も√で4次方程式もそうだったような記憶があります(もっとも4次方程式の解の公式は3次方程式の解の公式を利用するから全体的には3乗根も入ります)。まぁ、今回は5次多項式に限った話ですが。
全く的外れだったら笑って下さい。笑

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