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壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/11 15:53 (No.1265256)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題
m行n列の行列A,Bに対し、
rank(A+B)≦rankA+rankB
が成り立つことを示せ。


A=[a₁ a₂ … an],B=[b₁ b₂ … bn]とする。このとき不等式
dimℝ(a+b)≦dim(ℝa+ℝb),
dim(ℝa+ℝb)≦dimℝa+dimℝb
に注目すれば、
rank(A+B)=dim(ℝ(a₁+b₁)+ℝ(a₂+b₂)+…+ℝ(an+bn))
≦dim(ℝa₁+ℝb₁+ℝa₂+ℝb₂+…+ℝan+ℝbn)
=dim(ℝa₁+ℝa₂+…+ℝan+ℝb₁+ℝb₂+…+ℝbn)
≦dim(ℝa₁+ℝa₂+…+ℝan)+dim(ℝb₁+ℝb₂+…+ℝbn)
=rankA+rankB
「よくわかる線型代数」有馬哲・石村貞夫著より

注:本当はa,bは太字。

適当に分かり易く解説して下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/12 11:33削除
解説
>dimℝ(a+b)≦dim(ℝa+ℝb)

a,bは列ベクトルよりa+b=cとすると、左辺はℝcで一次独立。基底の個数で考えると1次元。
また、右辺はℝa+ℝbの2つのℝのそれぞれの定数が異なれば1次独立で基底の個数で考えると2次元。よって、dimℝ(a+b)<dim(ℝa+ℝb)だが、右辺の2つのそれぞれの定数が等しい場合は左辺と同じになるので等号も入る。
∴dimℝ(a+b)≦dim(ℝa+ℝb)

>dim(ℝa+ℝb)≦dimℝa+dimℝb

「よくわかる線型代数」有馬哲・石村貞夫著p.147に、

「一般に、Vを線型空間,W₁とW₂をVの有限次元部分空間とすれば、
dim(W₁+W₂)+dim(W₁∩W₂)=dimW₁+dimW₂
が成立する。」

とあるので、
dim(W₁+W₂)≦dimW₁+dimW₂である。
よって、dim(ℝa+ℝb)≦dimℝa+dimℝbという事。

>rank(A+B)=dim(ℝ(a₁+b₁)+ℝ(a₂+b₂)+…+ℝ(an+bn))

「よくわかる線型代数」有馬哲・石村貞夫著p.159に、

命題
線型写像F:ℝ^n→ℝ^mにより定まるm行n列の行列をAとすれば、F(ℝ^n)の次元は、
dimF(ℝ^n)=rankA

命題
m行n列の行列Aの列ベクトルをa₁,a₂,…,anとする。列a₁,a₂,…,anの一次独立な最長部分列をai₁,…,airとすれば、
(1)列ai₁,…,airは、F_A(ℝ^n)の基底であって、
F_A(ℝ^n)=ℝai₁+…+ℝair
(2)rankA=r

とあり、下の命題の(1)より、
ℝ(a₁+b₁)+ℝ(a₂+b₂)+…+ℝ(an+bn)
=F_A+B(ℝ^m)
また、上の命題より、
dimF_A+B(ℝ^m)=rank(A+B)
∴dim(ℝ(a₁+b₁)+ℝ(a₂+b₂)+…+ℝ(an+bn))
=rank(A+B)

>dim(ℝa₁+ℝa₂+…+ℝan)+dim(ℝb₁+ℝb₂+…+ℝbn)
=rankA+rankB

ここも上と同じ事。

おまけ:
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/10 20:16 (No.1264540)削除
問題
右図のように1辺の長さが6cm,∠ABC=60°のひし形ABCDを底面とし、側面が長方形である四角柱ABCD-EFGHがある。この四角柱の辺AE上に点Pをとったところ、∠BPD=∠DPG=∠GPB=90°となった。このとき、次の□にあてはまる数を求めなさい。
(1)線分APの長さは□cmである。
(2)この四角柱の高さは□cmである。
(3)点Pから平面BDGに垂線をひいたとき、この垂線の長さは□cmである。
(92 筑波大付)

図の解説:底面が1辺6cmで1つの∠Bが60°のひし形の四角柱ABCD-EFGHがあり(高さは6cmではない)、辺AE(高さの辺)上に点Pがあり∠BPD=∠DPG=∠GPB=90°という図。

(3)は一応、2通りで解いて下さい。因みに、この1つ前の「92 筑波大付駒場」の問題は難しくて良い問題ですが、図が書けないと出せない問題なので、残念です。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/11 07:54削除
問題
右図のように1辺の長さが6cm,∠ABC=60°のひし形ABCDを底面とし、側面が長方形である四角柱ABCD-EFGHがある。この四角柱の辺AE上に点Pをとったところ、∠BPD=∠DPG=∠GPB=90°となった。このとき、次の□にあてはまる数を求めなさい。
(1)線分APの長さは□cmである。
(2)この四角柱の高さは□cmである。
(3)点Pから平面BDGに垂線をひいたとき、この垂線の長さは□cmである。
(92 筑波大付)

模範解答
(1)PD⊥PB,PD=PBより、△PBDは直角二等辺三角形。
ここで、PD=(1/√2)BD=3√6
(注:△ABDはひし形の半分で頂角が120°の二等辺三角形だから二辺の比が1:√3よりBD=6√3だから、PD=6√3/√2=3√6という事。)
よって、AP=√(PD²-AD²)=3√2(cm)
(注:△PADで三平方の定理を使うと、AP=√(PD²-AD²)=√{(3√6)²-6²}=√18=3√2)
(2)高さAE=xとおく。
△GHD,△GPDは共に直角三角形だから、
GH²+HD²=GD²=GP²+PD²
=GE²+EP²+PD²
(注:初めは△GHDでの三平方の定理で次に△GPDでの三平方の定理で最後に最後に△GEPでの三平方の定理を使う。)
よって、6²+x²=6²+(x-3√2)²+(3√6)²
これを解いて、x=6√2(cm)
(注:GH²+HD²=GE²+EP²+PD²に代入している訳だが、一応、GE=6は△GEF(△GEH)が正三角形だから。)
(3)PG=√(PE²+EG²)=3√6
(注:PE=EA-AP=6√2-3√2=3√2,EG=6より、PG=√(18+36)=√54=3√6だから)となるので、PB=PD=PGとなり、△BDGは一辺がBD=6√3の正三角形となる。
(注:条件の∠BPD=∠DPG=∠GPBと合わせて二辺挟角で△BPD≡△DPG≡△GPBより、BD=DG=GBだから。)
よって、△BDG=(√3/4)×(一辺)²=27√3(=Sとする)
(注:正三角形の面積の公式)
一方、三角すいP-BDGの体積は、
V=(1/6)×PB×PD×PG=27√6
Pから平面BDGに下した垂線の長さは、P-BDGで底面を△BDGと見たときの高さと等しいから、この高さをyとおいて、
V=(1/3)×S×y これを解いて、
y=3V/S=(3×27√6)/27√3
=3√2(cm)
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

(3)の別解は次回。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/11 13:29削除
問題
右図のように1辺の長さが6cm,∠ABC=60°のひし形ABCDを底面とし、側面が長方形である四角柱ABCD-EFGHがある。この四角柱の辺AE上に点Pをとったところ、∠BPD=∠DPG=∠GPB=90°となった。このとき、次の□にあてはまる数を求めなさい。
(1)線分APの長さは□cmである。
(2)この四角柱の高さは□cmである。
(3)点Pから平面BDGに垂線をひいたとき、この垂線の長さは□cmである。
(92 筑波大付)

(3)の別解
断面図GCAEを描くと、長方形でCAの中点をMとすると、GMが平面BGDに当たる。
よって、PからMに垂線を下ろしその足をIとしPIを求めれば良い。
ところで、点Pは(1)と(2)の結果より、EAの中点である。
長方形の縦の長さは(2)より6√2cmで、横の長さは6cm。よって、CM=3cm
ここで、GMの延長とEAの延長との交点をJとすると、△GCM≡△JAM ∴JA=GC=6√2cm また、AP=3√2cmより、JP=6√2+3√2=9√2cm
また、△GCMで三平方の定理を使うと、
GM=√{(6√2)²+3²}=√81=9cm
ところで、錯角と直角の2角が等しいので、△GCM∽△JIP ∴GM:CM=JP:PI
∴9:3=9√2:PI
∴3PI=9√2 ∴PI=3√2cm
よって、答えは、3√2cm

因みに、長方形GCAEと点Mと点Pが決まった時点で、座標を使えば工夫なしで一発である。
点Cをxy座標の原点に置き、CAをx軸,GCをy軸に取ると、直線GMの方程式は、
y=-2√2x+6√2
点Pの座標は、P(6,3√2)より、点と直線の距離の公式を使えば一発だが、(普通の)中学生なので、点Pを通りGMと直交する直線PIの方程式を求めると、
y-3√2=(1/2√2)(x-6)
∴y=(√2/4)x+3√2-3√2/2
∴y=(√2/4)x+3√2/2
よって、点Iの座標は、直線GMと連立させて、
-2√2x+6√2=(√2/4)x+3√2/2を解くと、(9√2/4)x=9√2/2
∴x=2 ∴y=2√2 ∴I(2,2√2)
よって、P(6,3√2)と2点間の距離の公式を使うと、
PI=√{(2-6)²+(2√2-3√2)²}
=√(16+2)=√18=3√2
よって、答えは、3√2cm

考え方は一発でも計算はとても面倒臭いですね。まぁ、最低でも確実に出来ると分かっている事は試験では大事な事だと思います。

おまけ:
https://www.vivi.tv/post61628/
返信
返信2
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/8 07:56 (No.1261927)削除
問題
図の正四角すいO-ABCDは、すべての辺が12cmで、4点E,F,G,Hは、それぞれOA,OB,OC,ODを1:2に内分する。
平面ABGHと、平面CDEFとの交わりをPQとするとき、次の各問いに答えなさい。
(1)線分PQの長さを求めよ。
(2)点Pから底面ABCDへ下した垂線の長さを求めよ。
(3)立体PQ-ABCDの体積を求めよ。
(90 ラ・サール)

図の解説:要は、底面が1辺12cmの正方形で側面が全部1辺が12cmの正三角形の正四角錐の底面以外の4辺を上から1:2の内分した点をE,F,G,Hとし、2平面ABGHと平面CDEFとの交線をPQとした図。

昨日はうっかり忘れてしまいましたが、(1)も(2)も(3)も模範解答通りですぐと解けました。
うっかり忘れたので、今朝は一応(3)は別解を2通り作ってみました。もっとも、1つは参考書の欄外にもその方法が一般的だと書いてある解答ですが。

おまけ:
https://www.instagram.com/reel/CkVOvN_g_Lf/
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/9 07:56削除
問題
図の正四角すいO-ABCDは、すべての辺が12cmで、4点E,F,G,Hは、それぞれOA,OB,OC,ODを1:2に内分する。
平面ABGHと、平面CDEFとの交わりをPQとするとき、次の各問いに答えなさい。
(1)線分PQの長さを求めよ。
(2)点Pから底面ABCDへ下した垂線の長さを求めよ。
(3)立体PQ-ABCDの体積を求めよ。
(90 ラ・サール)

模範解答
(1)OPの延長と辺BCの交点をP',OQの延長と辺ADの交点をQ'とする。
メネラウスの定理(基本図19)より、図1(注:△OBCのBCの中点がP'となった図)で、
(FO/BF)×(PP'/OP)×(CB/P'C)=1
これより、OP:PP'=1:1
次に、図2(注:断面図△OQ'P')のように平面OPQで立体を切断した切り口で考えると、中点連結定理より、PQ=P'Q'÷2=6(cm)
(2)対称性より、ACの中点とP'Q'の中点は一致し、これをHとおく。
AC=√2AB=√2OA=√2OCより、△OACは直角二等辺三角形だから、
OH=AH=AC÷2=6√2(cm)
PからABCDに下した垂線の長さは、その半分で、3√2(cm)
(3)立体PQ-ABCDは三角柱を切断した形だから、AB(∥PQ∥CD)に垂直にこの立体を切ったときの切り口の面積(図の網目部分(注:立体PQ-ABCDを底面に垂直に切断した断面の二等辺三角形))をSとして、体積は、
S×(1/3)(AB+DC+PQ)
と表される。(研究)
よって、PQ-ABCD={(1/2)×12×3√2}×(1/3)(12+12+6)
=180√2(cm²)
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

基本図19 メネラウスの定理
△ABCの辺AB上にP,AC上にRがあり、PRの延長とBCの延長の交点が定まりQとする時、
(PA/BP)×(RC/AR)×(QB/CQ)=1

■研究 三角柱を三角柱を切断した形
右の図(注:直三角柱を適当に斜めに切った残りの三角柱の縦の3本の辺の長さがa,b,cの図)のように、底面積がSである三角柱を切断した立体の体積を考えてみましょう。(中略)
(1/3)(a+b+c)S
となって、底面積がS,高さがa,b,cの平均である三角柱の体積に等しくなります。
注:’研究’では、三角柱を1つの平面で切る場合を考えましたが、三角柱を両側から2つの平面で切った、10・28の(3)のような立体(注:上の問題の立体PQ-ABCDの事)についても、同様に考えられます。
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

前回、「(1)も(2)も(3)も模範解答通りですぐと解けました」と書きましたが、(2)は別解でした。また、(1)は地道な解法もやりますね。(3)は前回も書きましたが、別解を2通りやります。

おまけ:
https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-11434487475.html
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/10 07:56削除
問題
図の正四角すいO-ABCDは、すべての辺が12cmで、4点E,F,G,Hは、それぞれOA,OB,OC,ODを1:2に内分する。
平面ABGHと、平面CDEFとの交わりをPQとするとき、次の各問いに答えなさい。
(1)線分PQの長さを求めよ。
(2)点Pから底面ABCDへ下した垂線の長さを求めよ。
(3)立体PQ-ABCDの体積を求めよ。
(90 ラ・サール)

(1)の別解
OPの延長とBCとの交点をMとし、OPとFGの交点をIとすると、△OFG∽△OBCで相似比は1:3 よって、FG:BC=1:3より、△PGF∽△PBCの相似比も1:3
ここで、OI=aと置くと、IM=2a
PI=(1/4)IM=a/2
∴OP=OI+PI=a+a/2=3a/2
また、PM=IM-PI=2a-a/2=3a/2
∴OP=PM
よって、点PはOMの中点。また、OQの延長とADとの交点をNとすると、同様に点QはONの中点。
よって、△OMNで中点連結定理を使うと、
PQ=(1/2)MN=(1/2)×12=6cm
(2)の別解
Pから底面ABCDに下した垂線の足をJとすると、線分MN上に下り、△OMNは二等辺三角形で点P,Qは辺OM,ONの中点でPQ=6cmより、
MJ=(12-6)÷2=3cm
また、△OBCは1辺が12cmの正三角形より、
OM=6√3cm ∴PM=3√3cm
よって、△PJMで三平方の定理を使うと、
PJ=√{(3√3)²-3²}=√(27-9)=√18
=3√2cm
よって、答えは、3√2cm
(3)の別解1
P,Qから底面と垂直な平面で立体PQ-ABCDを1つの三角柱(中央)と2つの四角錐(両端)に分けると、断面の三角形の面積は(2)の結果を利用して、12×3√2×(1/2)=18√2cm²
よって、三角柱の体積=18√2×(12-3×2)=108√2cm³
また、両端の四角錐を1つにすると、底面積は12×(3+3)=72cm²
高さは、(2)の結果より3√2cm
よって、体積=72×3√2×(1/3)=72√2cm³
よって、答えは、108√2+72√2=180√2cm³
(3)の別解
立体PQ-ABCDをまず、四角錐P-ABCD+D-APQに分ける。
次に、P-ABCDを三角錐P-ABCとP-ADCに分けると、三角錐P-ABCとP-ADCの体積は等しい。また、三角錐P-ABCの見方を変えてC-PABと見ると、△PABの面積は△APQの面積の2倍(PQ=6cm,AB=12cmで高さが等しいから)なので、三角錐D-APQの体積は三角錐C-PABの1/2である。
つまり、三角錐D-APQの体積は三角錐P-ABCの1/2。
よって、三角錐D-APQの体積は四角錐P-ABCDの1/4。
よって、立体PQ-ABCDの体積は、四角錐P-ABCDの5/4倍。
よって、V=12×12×3√2×(1/3)×(5/4)=144√2×(5/4)=36√2×5=180√2cm³
よって、答えは、180√2cm³

おまけ:
返信
返信2
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/9 13:32 (No.1263078)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題 10-2b
pを素数とする。p次対称群の位数pの元σの生成する部分群H={e,σ,…,σ^(p-1)}を正規部分群に持つSpの部分群Nを調べる。本文のようにp次対称群の置換をp個の元0,1,…,p-1(Fpの元)の置換とみなし、σをσ(x)=x+1(x=0,1,…,p-1)とする。このときNは
AGL(1,p)={τ∈Sp;τ(x)=ax+b,ここでa≠0かつb=0,1,…,p-1}
に含まれることを示せ。この群を1次元アフィン一般線形群という。

解答
まずσは定義よりσ^j(x)=σ^(j-1)(x)+1=…=x+jをみたす。HはNの正規部分群なので、Nの各元τに対して、τστ^-1=σ^jが成り立つ。したがってτσ=σ^jτ(j≠0)だから、k=0,1,2,…,p-1に対して、
τ(k+1)=τ(σ(k))=σ^j(τ(k))=τ(k)+j
=τ(k-1)+j+j=…=τ(0)+(k+1)j
が成り立つ。よってτはAGL(1,p)に入る(a=j,b=τ(0))
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

補足「本文のように」
「表記を簡単にするためと、意味をとらえやすくするために、σ^i(α)を単にiと表し、根の入れ換えを0,1,…,p-1の入れ換えとみなします。さらに0,…,p-1はpで割った余りとみなします。例えば、上のσはσ(x)=x+1(1次式で表される入れ換え)とみなします。」
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

適当に分かり易く解説して下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/9 15:55削除
解説
>問題 10-2b
pを素数とする。p次対称群の位数pの元σの生成する部分群H={e,σ,…,σ^(p-1)}を正規部分群に持つSpの部分群Nを調べる。本文のようにp次対称群の置換をp個の元0,1,…,p-1(Fpの元)の置換とみなし、σをσ(x)=x+1(x=0,1,…,p-1)とする。このときNは
AGL(1,p)={τ∈Sp;τ(x)=ax+b,ここでa≠0かつb=0,1,…,p-1}
に含まれることを示せ。この群を1次元アフィン一般線形群という。

問題の意味は、例えばp=5とすると、5次対称群とは5個の要素を入れ換える入れ換えを1つの元とした群の事である。
例えば、σ:(ab c d e)→(a c d e b)というような変換が1つの元である。
これを何回も繰り返すと1つの群になるp個の部分群を考える。H={e,σ,…,σ⁴}(全体のS₅の元の個数は5!=120個である。)
このσ²などを2で表す訳である。(Fpの元はℤpの元と考えて良い。)念のため、p回やると元に戻るからpで割った余りで考えられるという事。
このHを正規部分群に持つSpの部分群は、皆、AGL(1,p)の形をしている事を証明せよという問題。

>まずσは定義よりσ^j(x)=σ^(j-1)(x)+1=…=x+jをみたす。

定義は「σをσ(x)=x+1(x=0,1,…,p-1)とする」で、「このσ²などを2で表す訳である」より、
σ^j(x)=σ^(j-1)(x)+1は分かるだろう。これを繰り返すと、σ^j(x)=x+jとなる事も自明。

>HはNの正規部分群なので、Nの各元τに対して、τστ^-1=σ^jが成り立つ。

HはNの正規部分群なので、Nの任意の元τとσに対して、あるσ^jが存在してτστ^-1=σ^jが成り立つという事。

>したがってτσ=σ^jτ(j≠0)だから、k=0,1,2,…,p-1に対して、
τ(k+1)=τ(σ(k))=σ^j(τ(k))=τ(k)+j
=τ(k-1)+j+j=…=τ(0)+(k+1)j
が成り立つ。

「τ(k+1)=τ(σ(k))」は、「σ(x)=x+1」から。
「τ(σ(k))=σ^j(τ(k))」は「τσ=σ^jτ」から。一応、τ(σ(k))=τσ(k)=σ^jτ(k)=σ^j(τ(k))という事。
「σ^j(τ(k))=τ(k)+j」は、「σ^j(x)=x+j」から。
よって、τ(k+1)=τ(k)+j つまり、括弧の中が1減るとjが加わる。これを繰り返すと、
τ(k+1)=τ(k)+j=τ(k-1)+j+j=…=τ(0)+(k+1)j

>よってτはAGL(1,p)に入る(a=j,b=τ(0))

「AGL(1,p)={τ∈Sp;τ(x)=ax+b,ここでa≠0かつb=0,1,…,p-1}」

上より、τ(k+1)=τ(0)+(k+1)j
∴τ(k+1)=j(k+1)+τ(0)
ここで、k+1=x,j=a,τ(0)=bとすれば、τ(x)=ax+b

おまけ:
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/6 16:47 (No.1260367)削除
問題
図のように、円O,O'は点Aで接していて、半径はそれぞれ10cm,5cmである。点Pは円Oの周上を点Aから反時計まわりに一定の速さで動き、30秒で1周する。点Qは円O'の周上を点Aから時計まわりに一定の速さで動き、60秒で1周する。点P,Qが同時に点Aを出発したとき、次の各問いに答えなさい。
(1)点Pが円Oの周上を1周する間に、3点A,P,Qが同一直線上にならぶのは、点Aを出発してから何秒後か。
(2)点Pが円Oの周上を1周する間に、∠APQが90°となるのは、点Aを出発してから何秒後か。
(91 東京学芸大付)

図の解説:円Oの内部に1点Aを共有した相似比1/2の円O'がある図。

久しぶりに間違えました。(2)には注意して下さい。まぁ、足りなかっただけですが。因みに、(1)は2通りで解きました。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/7 07:55削除
問題
図のように、円O,O'は点Aで接していて、半径はそれぞれ10cm,5cmである。点Pは円Oの周上を点Aから反時計まわりに一定の速さで動き、30秒で1周する。点Qは円O'の周上を点Aから時計まわりに一定の速さで動き、60秒で1周する。点P,Qが同時に点Aを出発したとき、次の各問いに答えなさい。
(1)点Pが円Oの周上を1周する間に、3点A,P,Qが同一直線上にならぶのは、点Aを出発してから何秒後か。
(2)点Pが円Oの周上を1周する間に、∠APQが90°となるのは、点Aを出発してから何秒後か。
(91 東京学芸大付)

模範解答
1秒後に、Pは大円の360°÷60=6°の中心角にあたるおうぎ形の弧上を動く。
(1)x秒後にA,P,Qが一直線上に並ぶのは、右図のような位置関係(注:欄外に「2つの円は点Aを相似の中心(拡大の中心)として相似なので、O'Q∥OP」とある)のときで、
6x°+12x°=360°より、x=20(秒後)
(注:優角∠AOP=12x°,劣角∠AO'Q=6x°)
(2)∠AQPが90°となるのは、図1,図2のような場合(注:図1は点Pが半円の上部で点Qが半円の下部にありPOQが一直線の場合。図2は点P,Q共に半円の下部にありPQOが一直線の場合)で、いずれの場合も、∠QOO'=3x°だから、
図1のとき、12x°+3x°=180°より、
x=12(秒後)
図2のとき、12x°+3x°=360°より、
x=24(秒後)
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

解説
>「2つの円は点Aを相似の中心(拡大の中心)として相似なので、O'Q∥OP」

相似の中心とは、普通は大小の2つの相似な三角形が同じ向きに存在していて、その対応する2つの頂点を延長すると3直線は1点で交わり、その点が相似の中心。(拡大の中心である事も分かるだろう。)
今回は2つの相似な△AO'Qと△AOPが重なっていてさらに相似の中心が点Aという図。
よって、O'Q∥OPという事が分かるだろう。

>いずれの場合も、∠QOO'=3x°

いずれの場合も中心角と円周角の関係より、
6x°÷2=3x°という事。(図を描いて下さい。)

因みに、私は図2の方にうっかり(全く)気付かず失敗しました。
念のため、なぜ3点P,O,Qが一直線上にある場合かというと、∠AQO=90°だから点PはQO上になければならないからである。ここで、もう1点も3点P,Q,Qが一直線上にある場合と気付けば良かったのですが。残念。(後者は、∠AQO=90°より∠AQP=180°-90°=90°だから。)

因みに、(1)は初めは3点APQが一直線のなる場合を想定して、劣弧AQと劣弧APが相似形になると考えて、優弧AP+劣弧AQ=中心角360°(1周)と考えて、6°x+12°x=360°で解きました。
次に、地味に中点連結定理みたいな図をちまちま描いてそれぞれの中心角の和で同じ式で求めました。(念のため、その間に模範解答は見ていません。)

おまけ:
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返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/6 11:56 (No.1260129)削除
次の文章を完全解説して下さい。

演習問題11
Rを整域とする。R*で定義された負でない整数の値をとる関数φで、次の条件を満足するものが存在するとき、Rをユークリッド環という。
(ⅰ)b∈R*,a∈Rならば、Rの元q,rが存在して
a=bq+r,r=0またはφ(r)<φ(b)
(ⅱ)a,b∈R,a≠0,b≠0⇒φ(a)≤φ(ab)
このとき、次を示せ。
(1)有理整数環ℤと体K上の多項式環K[X]はユークリッド環である。
(2)ユークリッド環は単項イデアル整域である。

(証明)
(1)(a)有理整数環ℤがユークリッド環であることを示す。整数aに対してその絶対値を対応させる写像φ(a)=|a|を考える。
φ:ℤ→{0}∪ℕ(a→|a|)
(ⅰ)a∈ℤ,b∈ℤ*に対して、第1章除法の定理1.5(これはb<0のときにも成り立つことが確かめられる)によってa=qb+r(∃q,r∈ℤ,0≤|r|<|b|)が成り立つ。
(ⅱ)a,b∈ℤ*に対して、|b|≥1であるから|ab|-|a|=|a|(|b|-1)≥0 ゆえに、|a|≤|ab|よりφ(a)≤φ(ab)を得る。
(b)体K上の多項式環K[X]がユークリッド環であることを示す。多項式f(X)∈K[X]に対してその次数を対応させる写像φ(f(X))=degf(X)を考える。
φ:K[X]→{0}∪ℕ(f(X)→degf(X))
(ⅰ)f(X)∈K[X],g(X)∈K[X]*とする。除法の定理4.5によって、ある多項式q(X),r(X)∈K[X]が存在して、次が成り立つ。
f(X)=q(X)g(X)+r(X),r(X)=0またはdegr(X)<degg(X)
(ⅱ)f(X),g(X)∈K[X]*に対して、定理4.1より
degf(X)≤degf(X)+degg(X)=degg(X)f(X)
ゆえに、φ(f(X))≤φ(f(X)g(X))が成り立つ。
(2)ユークリッド環Rは単項イデアル環であることを示す。証明は定理4.7と同様である。
IをRのイデアルとする。n=min{φ(a)|a∈I,a≠0}とおく。このとき、ある0でないIの元bがあって、φ(b)=nを満たす。このとき、イデアルIはbによって生成されることを示す。
はじめに、b∈Iであるから(b)⊂Iである。Rはユークリッド環であるから、Iの任意の元aに対して、
∃q,r∈R,a=bq+r,r=0またはφ(r)<φ(b)
ここで、Iはイデアルで、a,b∈Iであるから、r∈Iである。r≠0のときは、bの決め方よりφ(b)≤φ(r)となる。これは矛盾である。したがって、r=0でなければならない。ゆえに、a=bq∈(b)=bR すなわち、I⊂bRであるからI=bRを得る。
「演習 群・環・体 入門」新妻弘著より

定理1.5(除法の定理)
a,bを整数で、b>0とすると、
a=qb+r,0≤r<b
を満足する整数q,rが存在する。しかも、q,rはa,bにより一意的に定まる。

定理4.5(除法の定理)
Kを体とする。2つの多項式f(X),g(X)∈K[X]について、g(X)≠0とすると、f(X)=q(X)g(X)+r(X)を満足する多項式q(X),r(X)∈K[X]が存在する。ただしr(X)は0であるか、または次数がg(X)の次数より小さい多項式とする。しかも、このようなq(X)とr(X)はf(X)とg(X)によって一意的に定まる。

定理4.1
Rを整域とする。多項式環R[X]の元f(X),g(X)について、積f(X)g(X)の次数はf(X)の次数とg(X)の次数の和である。すなわち、
degf(X)g(X)=degf(X)+degg(X)

定理4.7
体K上の1変数の多項式環K[X]のイデアルはすべて単項イデアルである。すなわち、K[X]は単項イデアル整域(PID)である。

適当に分かり易く解説して下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/6 14:05削除
解説
>演習問題11
Rを整域とする。R*で定義された負でない整数の値をとる関数φで、次の条件を満足するものが存在するとき、Rをユークリッド環という。
(ⅰ)b∈R*,a∈Rならば、Rの元q,rが存在して
a=bq+r,r=0またはφ(r)<φ(b)
(ⅱ)a,b∈R,a≠0,b≠0⇒φ(a)≤φ(ab)

要は、環の中でも上の2つの条件をさらに満たすものをユークリッド環という事。因みに、整数環ℤはさらにこの2つの条件を満たし、ユークリッド環である。(続きにその証明が載っている。)

>(a)有理整数環ℤがユークリッド環であることを示す。整数aに対してその絶対値を対応させる写像φ(a)=|a|を考える。
φ:ℤ→{0}∪ℕ(a→|a|)

つまり、「負でない整数の値をとる関数φ」は1つあれば良い。そこで、φ(a)=|a|が選ばれた訳である。(像が全て0以上になる関数なら何でも良いという事。)

>(ⅰ)a∈ℤ,b∈ℤ*に対して、第1章除法の定理1.5(これはb<0のときにも成り立つことが確かめられる)によってa=qb+r(∃q,r∈ℤ,0≤|r|<|b|)が成り立つ。

定理1.5(除法の定理)
a,bを整数で、b>0とすると、
a=qb+r,0≤r<b
を満足する整数q,rが存在する。しかも、q,rはa,bにより一意的に定まる。

例えば、-17=6・(-3)+1とすると、q=6,b=-3でrは0≤r<|b|と出来る。つまり、b<0の時も成り立つ。(勝手にbに絶対値を付けたが、こういう事だろう。)
17=(-5)(-3)+2とすると、q=-5,b=-3でrは0≤r<|b|と出来る。つまり、b<0の時も成り立つ。
もっとも、a=qb+r(∃q,r∈ℤ,0≤|r|<|b|)だったら、
-17=5・(-3)-2としてもq=5,b=-3でrは0≤|r|<|b|を満たす。

>(b)体K上の多項式環K[X]がユークリッド環であることを示す。多項式f(X)∈K[X]に対してその次数を対応させる写像φ(f(X))=degf(X)を考える。
φ:K[X]→{0}∪ℕ(f(X)→degf(X))

多項式環の場合は、「負でない整数の値をとる関数φ」にdeg(次数)が選ばれた訳である。

>ユークリッド環Rは単項イデアル環であることを示す。

まず、単項イデアルとは、(a₁)=a₁Rという形のイデアルである。単項イデアルじゃない場合は、例えば、(a₁,a₂)=a₁R+a₂Rというような形。ただし、こういうイデアルでもうまく変形させてa₃Rというような形に出来れば単項イデアルという事。(整数環ℤは単項イデアル環なので必ずこう出来、倍数のような概念。)

>IをRのイデアルとする。n=min{φ(a)|a∈I,a≠0}とおく。このとき、ある0でないIの元bがあって、φ(b)=nを満たす。このとき、イデアルIはbによって生成されることを示す。

要は、I=bRの形に出来る事を示す訳である。(単項イデアル環である事を示すため。)
因みに、「ある0でないIの元bがあって、φ(b)=nを満たす」は当たり前の事である。

>はじめに、b∈Iであるから(b)⊂Iである。

(b)=bRでbはイデアルの元なので、bR⊂I
∴(b)⊂I

定義2.1
環Rの空でない部分集合Iについて、次の3つの条件を考える。
(1)a,b∈I⇒a-b∈I
(2)r∈R,a∈I⇒r・a∈I
(3)r∈R,a∈I⇒a・r∈I
(1)と(2)を満足しているとき、Iを環Rの左イデアルといい、(1)と(3)を満足しているとき、Iを環Rの右イデアルという。左イデアルでかつ右イデアルであるものを両側イデアル、あるいは単にイデアルという。

(2)を見れば分かるだろう。

>Rはユークリッド環であるから、Iの任意の元aに対して、
∃q,r∈R,a=bq+r,r=0またはφ(r)<φ(b)

ただのユークリッド環の定義(ⅰ)である。

>ここで、Iはイデアルで、a,b∈Iであるから、r∈Iである。

a=bq+rよりr=a-bqで、a,bq∈Iだからr∈Iという事。

>bの決め方よりφ(b)≤φ(r)となる。

上より「φ(b)=n」でnの定義よりnはφ(a)の中で最小だから。

>ゆえに、a=bq∈(b)=bR すなわち、I⊂bRであるからI=bRを得る。

上より「Iの任意の元aに対して」より、∀a∈I
また、a=bq∈(b)=bRより、a∈bR
よって、∀a∈Iならばa∈bRより、I⊂bR
また、上(>はじめに、b∈Iであるから(b)⊂Iである)より、bR⊂I
よって、I⊂bRかつbR⊂Iより、I=bR

おまけ:
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返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/5 20:24 (No.1259491)削除
問題
1辺の長さがacmの正方形ABCDがある。辺BC上に点Eをとり、さらにCE=CFとなるように点Fを辺CD上にとる。いま点EからAFに垂直な直線を引き、AFとの交点をHとする。
(1)∠EHCの大きさを求めよ。
(2)点Eが点Bから点Cまで動くとき、点Hの動いてできる図形の長さを求めよ。
(3)点Eが点Bから点Cまで動くとき、△HACの面積が最大になるときの、CFの長さを求めよ。
(85 東京学芸大付)

図の解説は読めば分かるので省略。(2)は別解でした。一応、参考書の欄外にありましたが、こっちの方がはるかに簡単です。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/6 07:42削除
問題
1辺の長さがacmの正方形ABCDがある。辺BC上に点Eをとり、さらにCE=CFとなるように点Fを辺CD上にとる。いま点EからAFに垂直な直線を引き、AFとの交点をHとする。
(1)∠EHCの大きさを求めよ。
(2)点Eが点Bから点Cまで動くとき、点Hの動いてできる図形の長さを求めよ。
(3)点Eが点Bから点Cまで動くとき、△HACの面積が最大になるときの、CFの長さを求めよ。
(85 東京学芸大付)

模範解答
(1)∠EHF=∠ECF=90°より、4点H,E,C,Fは同一円周上にある。
△CEFは直角二等辺三角形だから、∠EFC=45°よって、∠EHC=∠EFC=45°
(2)∠AHE=∠ABE=90°より、4点A,B,E,Hは同一円周上にある。
∠BAH=∠DFA(錯角)・・・①
∠DFA=∠BEA(△ADF≡△ABE)・・・②
∠BEA=∠BHA(円周角の定理)・・・③
①,②,③より、∠BAH=∠BHA
よって、BH=BA=a
そこで、HはBからの距離が一定値acmの円周上を動く。EがBのとき、HはAに、EがCのとき、HはCに重なるから、Hは、Bを中心として半径acmの円のうち、弧AC上を動き、その長さは、
2aπ×(90°/360°)=aπ/2(cm)
(3)HからACに下した垂線の長さが最大となるとき、△HACも最大で、それはHが弧ACの中点のとき。このとき、△HBA∽△HDFだから、
DF=DH=BD-BH=(√2-1)a
よって、CF=CD-DF
=a-(√2-1)a=(2-√2)a(cm)
「高校への数学 日日のハイレベル演習」より

読めば分かるので、解説は省略。欄外に、

「∠AHC=135°,よって、ACを見込む角が135°(一定)となる点の軌跡として考えることもできる」

とあり、(2)の私の解法と同じなので、これをやる。

別解
(2)(1)より、∠EHC=45°また、条件より、∠AHE=90°∴∠AHC=90°+45°=135°
つまり、点EがBC上のどこにあっても∠AHCは一定で135°という事である。
そこで、この角を円周角とする円の中心を考えると、OA=OH=OCで円周角と中心角より優角∠AOC=135°×2=270°
よって、劣角∠AOC=360°-270°=90°
つまり、OA=OCで∠AOC=90°となる点がOであり、点Bと一致する事が分かる。
よって、点Hの軌跡は点Bを中心とした半径acmの四分円である。
よって、2aπ×(1/4)=aπ/2cm

因みに、(3)も多少別解である。模範解答は(2)の二等辺三角形である事を利用しているが、それは使わなくても出来る。

(3)「HからACに下した垂線の長さが最大となるとき、△HACも最大で、それはHが弧ACの中点のとき。このとき、△HBA∽△HDF」までは同じ。
∴BH:DH=AB:FD
また、BD=√2a,BH=aより、
DH=√2a-a=(√2-1)a
これらを代入すると、
a:(√2-1)a=a:FD
∴1:(√2-1)=a:FD
∴FD=(√2-1)a
∴CF=a-(√2-1)a=(2-√2)acm

おまけ:
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/5 15:15 (No.1259218)削除
次の文章を完全解説して下さい。

問題 10-1a
1の原始8乗根ζ₈,および1の原始9乗根を、平方根と立方根を用いて表せ。

解答
ζ₈はΦ₈(x)=Φ₂(x⁴)=x⁴+1の根である(問題7-6)。
e^(2n+1)πi=-1(nは整数)より
x=e^{(2n+1)πi/4}=e^(πi/4),e^(3πi/4),
e^(5πi/4),e^(7πi/4)
である。
すなわちx=±(1+i)/√2,±(-1+i)/√2
ζ₉はΦ₉(x)=Φ₃(x³)=x⁶+x³+1の根である。
したがってx=ω^j∛ω,ω^j∛ω²(j=0,1,2)
である。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

問題 7-6b
Φp^n(x)=Φp(x^p^(n-1))=Φp^(n-1)(x^p)を示せ。

また、Φ₂(x)=x+1,Φ₃(x)=x²+x+1

今回は簡単ですね。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/5 16:30削除
解説
>ζ₈はΦ₈(x)=Φ₂(x⁴)=x⁴+1の根である(問題7-6)。
e^(2n+1)πi=-1(nは整数)より
x=e^{(2n+1)πi/4}=e^(πi/4),e^(3πi/4),
e^(5πi/4),e^(7πi/4)
である。
すなわちx=±(1+i)/√2,±(-1+i)/√2

x⁴+1=0とすると、x⁴=-1=e^(2n+1)πi
∵e^(2n+1)πi=cos(2n+1)π+isin(2n+1)π
=(cos2nπ+isin2nπ)(cosπ+isinπ)
(ド・モワブルの公式より)
=(1+0)(-1+0)=-1だから。
∴x=e^{(2n+1)πi/4}
(複素平面で考えるという事。)
これにn=0,1,2,3を代入すると、
x=e^{(2n+1)πi/4}=e^(πi/4),e^(3πi/4),
e^(5πi/4),e^(7πi/4)
e^(πi/4)=cos(π/4)+isin(π/4)
=1/√2+(1/√2)i=(1+i)/√2
他も同様で省略。
別解
x⁴+1=0とすると、(x²+1)²-2x²=0
∴(x²+√2x+1)(x²-√2x+1)=0
∴x=(-√2±√2i)/2,(√2±√2i)/2
∴x=(-1±i)/√2,(1±i)/√2
念のため、上のx=±(1+i)/√2,
±(-1+i)/√2と異なるのは組み合わせが違うだけである。

>ζ₉はΦ₉(x)=Φ₃(x³)=x⁶+x³+1の根である。
したがってx=ω^j∛ω,ω^j∛ω²(j=0,1,2)
である。

x⁶+x³+1=0とすると、X²+X+1=0のX=x³を代入した形である。よって、まずX²+X+1=0を解くと、
X=ω,ω²である。これらをX=x³に代入すると、
x³=ω,x³=ω²
∴x=∛ω,∛ωω,∛ωω²,
∛ω²,∛ω²ω,∛ω²ω²
よって、x=ω^j∛ω,ω^j∛ω²(j=0,1,2)と表現出来る。

おまけ:
https://www.google.com/search?q=%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9+%E6%AD%8C%E8%A9%9E&sca_esv=ddd3517e30c59c67&sca_upv=1&hl=ja&ei=e1zZZq_AAvCM2roP86KR2QU&oq=%E3%80%80+%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9&gs_lp=Egxnd3Mtd2l6LXNlcnAiHOOAgCDmmYLplpPjga7lm73jga7jgqLjg6rjgrkqAggBMgUQABiABDIKEAAYgAQYQxiKBTIFEAAYgAQyBRAAGIAEMgUQABiABDIFEAAYgAQyBRAAGIAEMgUQABiABDIFEAAYgAQyBhAAGAcYHkiOMlDoFVj5GXABeACQAQCYAXmgAb0EqgEDMy4zuAEByAEA-AEBmAIDoALPAcICCxAAGLADGKIEGIkFwgILEAAYgAQYsAMYogTCAggQABiABBiiBJgDAIgGAZAGApIHAzIuMaAHwA8&sclient=gws-wiz-serp
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返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/5 12:08 (No.1259083)削除
次の文章を完全解説して下さい。

演習問題10
ℤ[Ⅹ]のイデアル(2,X)は単項イデアルではないことを証明せよ。

(証明)
(2,X)がある多項式f(X)∈ℤ[X]によって生成されている。すなわち、
(2,X)=(f(X)),f(X)∈ℤ[X]
と仮定する。2∈(2,X)=(f(X))であるから、
2=f(X)・g(X)(∃g(X)∈ℤ[X])
ここで、ℤは整域であるから、定理4.1より
degf+degg=deg2=0
ここで、f(X)≠0,g(X)≠0であるから0≤degf(X),0≤degg(X)である。
したがって、degf(X)=degg(X)=0でなければならない。すなわち、f(X)とg(X)は定数である。そこで、
f(X)=a∈ℤ*,g(X)=b*
とおく。一方、
X∈(2,X)=(f(X))=(a)=aℤ[X]
であるから、X=a・h(X),h(X)∈ℤ[X]・・・①
と表される。両辺の次数を比較するとdegh(X)=1である。したがって、
h(X)=bX+c,b,c∈ℤ
と表される。ゆえに、これを①式に代入すると
X=a(bX+c)=abX+ac
これより、ab=1,ac=0を得る。a≠0であるからc=0 また、a,bは整数でab=1より、a=b=1かまたはa=b=-1である。したがって、a=±1 このとき、
(2,X)=(f(X))=(a)=(1)=ℤ[X]
ゆえに、2・ξ(X)+X・η(X)=1,ξ(X),η(X)∈ℤ[X]
なる関係がある。ここで、X=0とすると、2・ξ(0)=1 これは、ξ(0)∈ℤであるから矛盾である。したがって、(2,X)は単項イデアルではない。
「演習 群・環・体 入門」新妻弘著より

定理4.1
Rを整域とする。多項式環R[X]の元f(Ⅹ),g(X)について、積f(X)g(X)の次数はf(X)の次数とg(X)の次数の和である。すなわち、
degf(X)g(X)=degf(X)+degg(X)

適当に分かり易く解説して下さい。個人的にはショートカット出来そうな気がするので、検討してみて下さい。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/5 13:35削除
解説
>ここで、f(X)≠0,g(X)≠0である

(f(X))は零イデアルではないから。

>X∈(2,X)=(f(X))=(a)=aℤ[X]

まず、X∈(2,X)の厳密な解説。(2,X)はℤ[X]のイデアルだから、2ℤ[X]+Xℤ[X]という形をしていて、0,1∈ℤ[X]を選べば、
X=2・0+X・1∈2ℤ[X]+Xℤ[X]=(2,X) よって、X∈(2,X)
次に、(a)=aℤ[X]の解説。a∈ℤ*だから(a)=aℤ*と考えてしまいそうだが、(a)=(2,X)がℤ[X]のイデアルだから、(a)=aℤ[X]である。

>a=b=1かまたはa=b=-1である。

この時点で、「2=f(X)・g(X)」と「f(X)=a∈ℤ*,g(X)=b∈ℤ*」と「ab=1」より、
2=1で矛盾。
このショートカットはどうでしょう。
と思ったが、bが2種類ある事に気が付いた。つまり、g(X)=bとh(X)=bX+c,b,c∈ℤ
何故、cX+dとしなかったのだろう。ショートカットは失敗です。

>したがって、a=±1 このとき、
(2,X)=(f(X))=(a)=(1)=ℤ[X]
ゆえに、2・ξ(X)+X・η(X)=1,ξ(X),η(X)∈ℤ[X]
なる関係がある。ここで、X=0とすると、2・ξ(0)=1 これは、ξ(0)∈ℤであるから矛盾である。したがって、(2,X)は単項イデアルではない。

2・ξ(X)+X・η(X)=1,∃ξ(X),η(X)∈ℤ[X]として「∃」記号を付けた方が良いと思います。

おまけ:
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/3 22:22 (No.1257802)削除
問題1
△ABCの内心をIとし、IからAIに対して垂線を立て辺AB,ACとの交点をそれぞれE,Fとすると、BE=2,CF=1となった。この時、EFの長さを求めよ。

問題2
https://www.msn.com/ja-jp/lifestyle/other/%E5%9B%B3%E5%BD%A2%E5%95%8F%E9%A1%8C-%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%81%AE%E9%83%A8%E5%88%86%E3%81%AE%E9%9D%A2%E7%A9%8D%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%82%88-vol-793/ar-AA1pPRgo?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=b72e1ec74d5640d99cc99d8359e00ad9&ei=14

何でもありで解いて下さい。

おまけ:
「10 彼らは皆あなたに告げて言う、『あなたもまたわれわれのように弱くなった、あなたもわれわれと同じようになった』。
11 あなたの栄華とあなたの琴の音は/陰府に落ちてしまった。うじはあなたの下に敷かれ、みみずはあなたをおおっている。
12 橋明の子、明けの明星よ、あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、あなたは切られて地に倒れてしまった。
13 あなたはさきに心のうちに言った、『わたしは天にのぼり、わたしの王座を高く神の星の上におき、北の果なる集会の山に座し、
14 雲のいただきにのぼり、いと高き者のようになろう』。
15 しかしあなたは陰府に落され、穴の奥底に入れられる。」
「イザヤ書」第14章10節~15節(口語訳)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC#%E5%8E%9F%E7%BE%A9
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/4 07:53削除
問題1
△ABCの内心をIとし、IからAIに対して垂線を立て辺AB,ACとの交点をそれぞれE,Fとすると、BE=2,CF=1となった。この時、EFの長さを求めよ。

解答
Iは内心よりAI,BI,CIを結ぶと、それぞれは∠A,∠B,∠Cの二等分線。
よって、∠IAB=∠IAC=a,∠IBA=∠IBC=b,∠IBC=∠ICA=cと置くと、
2a+2b+2c=180°より、
a+b+c=90°———①
また、四辺形BAICでブーメランの定理を使うと、
2b+a+c=∠AIC=90°+∠FIC
∴a+b+c+b=90°+∠FIC———②
①を②に代入して相殺すると、∠FIC=b
また、四辺形CAIBでブーメランの定理を使うと、
2c+a+b=∠AIB=90°+∠EIB
∴a+b+c+c=90°+∠EIB———③
①を③に代入して相殺すると、∠EIB=c
∴∠EBI=∠FIC=b
∠EIC=∠FCI=cより、2角が等しいので、
△BEI∽△IFC ∴BE:EI=IF:FC———☆
ところで、AI⊥EFでAIは∠Aの二等分線より、点IはEFの中点。∴EI=IF
これとBE=2,FC=1を☆に代入すると、
2:EI=EI:1 ∴EI²=2
EI>0より、EI=√2 ∴EF=2√2

念のため、ブーメランの定理など使わなくても出来るが、適当。
問題2は時間が経つと消えてしまうので、模範解答も残しておく。

問題2
∠Cが直角の直角二等辺三角形ABCの辺AC上に、AB:EB=5:4となる点Eがある。また、BEの延長上にDC=ACとなる点Dを取る。
この時、△ABEの面積が80cm²になったという。△ABDの面積を求めて下さい。

解法1
△ABCは直角二等辺三角形より、CB=CA
また、条件より、CA=CD
よって、点Cを中心に半径CBの円を描くと、3点B,A,Dは同一円周上にある。
よって、円周角と中心角の関係より、
∠ADB=(1/2)∠ACB=(1/2)×90°=45°
また、∠EAB=∠CAB=45°
∴∠ADB=∠EAB また、∠ABEは共通より2角が等しいので、△ABE∽△BDA
BE:BA=4:5より、面積比は16:25
∴△BDA=(25/16)×80=125cm²
よって、△ABDの面積は125cm²

解法2は次回。

おまけ:
「ところで、『彼以外にはだれも知らない』彼の名とは、いったい何であろう?私はそれが「マイトレーヤ」であるという気がしてならない。そして、それは決してあり得ないことではないのではないか、と思われるのである。
 マイトレーヤは、未来に現われ衆生を救うといわれている仏陀である。日本では弥勒菩薩という名で知られている。このマイトレーヤのルーツをたどっていくと、なんとこれもゾロアスター教へと帰り着くのだ。
 ゾロアスター教には、ミスラという神が存在する。ゾロアスター教以前でも、古代ペルシャにおいてこの神の存在が認められるものであるが、古代ペルシャでもゾロアスター教でも、アフラの世界に属する神であるとしている。この神の性質は、司法神(善業・悪業の監視者、死後の審判の判官)・牧畜の神・戦神であるという。アフラに属するので、善神・光の神でもあるということになる。
 このミスラ神が、インドで光、盟約、正義神ミトラとなり、“友”を表わす同じ言葉ミトラ(Mitra)の派生語であるマイトレーヤ(Maitreya)へと変化していったらしい。
 この神の持つ、善業・悪業の監視者としての性格、戦神であるという性格を見てみると、これから悪業を清算させるために出陣しようとしている、転輪聖王のそれとそっくりではないか。ゆえに、私には転輪聖王がマイトレーヤなのではないかと思われるのである。」
「滅亡から虚空へ」麻原彰晃著より
https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12863252473.html
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/5 07:47削除
問題2
∠Cが直角の直角二等辺三角形ABCの辺AC上に、AB:EB=5:4となる点Eがある。また、BEの延長上にDC=ACとなる点Dを取る。
この時、△ABEの面積が80cm²になったという。△ABDの面積を求めて下さい。

解法1の系 
直角二等辺三角形より、CB=CA———①
また、条件より,CA=CD———②
①,②より、CB=CD
よって、△CBDは二等辺三角形より、
∠CBD=∠CDB=aと置く。
また、△CADも二等辺三角形より、
∠CAD=∠CDA=bと置くと、
∠ACD=180°-2b
∴∠BCD=90°+(180°-2b)
=270°-2b
よって、△CBDの内角の和より、
270°-2b+2a=180°
∴2b-2a=90°∴b-a=45°
∴∠ADB=b-a=45°
また、∠EAB=∠CAB=45°より、
∠ADB=∠EAB
また、∠ABEは共通より2角が等しいので、
△ABD∽△EBAで相似比は5:4
よって、面積比は5²:4²=25:16
∴△ABD=(25/16)×80=125cm²

解法3
AB=5,BE=4と置くと、△ABCは直角二等辺三角形より、BC=5/√2
また、条件より、DC=AC=BC=5/√2
ここで、DからACに垂線を下ろしその足をHとすると、△EDH∽△EBC 
また、DH=x,HC=yと置くと、
4:5/√2=ED:xが成り立つ。
∴(5/√2)ED=4x ∴ED=4√2x/5
∴BD=4+4√2x/5
今、DからBCの延長上に垂線を下ろしその足をIとすると、IC=DH=x,DI=HC=y
よって、△DCIと△DBIでそれぞれ三平方の定理を使うと、
x²+y²=(5/√2)²———①
(x+5/√2)²+y²=(4+4√2x/5)²
∴x²+5√2x+25/2+y²=16+32x²/25+32√2x/5
∴7x²/25-y²+7√2x/5=-7/2———②
①+②より、
32x²/25+7√2x/5=25/2-7/2=9
∴32x²+35√2x-225=0
これを解の公式でとくと、
x={-35√2±√(2450+28800)}/64
=(-35√2±125√2)/64
=90√2/64,-160√2/64
x>0より、x=45√2/32=45/16√2
∴BC:DH=5/√2:45/16√2
=16:9
∴△ABE:△ADE=16:9
∴△ABD=(25/16)△ABE
=(25/16)×80=125cm²

おまけ:
返信
返信2
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/4 13:47 (No.1258269)削除
次の文章を解説して下さい。

■ガロワの定理の証明(スケッチ)
ガロワは、p次既約多項式f(x)の群Gfが可解であるとき、Gfに含まれる根の入れ換えを決定しました。これが定理の核心部です。この群に含まれる入れ換えは次の形で表されます:根をα₀,…,αp-1とし、a=1,2,…,p-1とb=0,1,…,p-1に対して、
(α₀ α₁  …  αk  …    αp-1)
(αb αa+b … αak+b … αa(p-1)+b) (*)
注:これは2つの括弧ではなく1つの括弧で2段の1つの元を表す。
ここでαの添字はpで割った余りとします。添字の変化に着目すると、この入れ換えは1次式ax+bで定義されます。またa,bの取り方から、入れ換えは全部でp(p-1)個あります。
定理の証明を次の順に説明します:
f(x)の群Gfは可解である
⇒(①)Gfに含まれる入れ換えは(*)の形である
⇒(②)f(x)の根はすべて、そのうち2つの根の式で表される
⇒(③)f(x)の群は可解である

①について
べき根の式を定数に付け加えてf(x)が既約でなくなる場合、f(x)は等しい次数の既約多項式の積に分解します(問題9-9)。よってf(x)は、定数が増えて可約になったとき、1次式の積に分解します(∵pは素数だから)。可約になる直前のf(x)の群Hfは1元生成で素数個の元からなるので、ちょうどp個の元からなります(問題9-5参照)。Hfを生成する入れ換えをσとすると、f(x)の根はα,σ(α),…,σ^(p-1)(α)となります。」
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より

定理 10.5(素数次可解既約多項式の特徴付け(ガロワ))
素数次既約多項式f(x)に対して、次は同値である。
(1)f(x)の根はべき根の式で表される。
(2)f(x)の(任意の)2つの根に対して、f(x)のほかの根がすべて、この2つの根の式で表される。

問題 9-9b
多項式f(x)のすべての根の式を利用して、(定数係数)既約多項式g(x)がg₁(x)…gs(x)と分解するとき(ただしgi(x)はf(x)の根の式を係数とする既約単多項式)、g₁(x),…gs(x)の次数はすべて等しいことを示せ。

問題 9-5b
多項式f(x)の群をGfとする。f(x)の根の式βが、Gfの根の入れ換え(すべて)により、異なる数β₁=β,…,βsになったとする。このときg(x)=(x-β₁)(x-β₂)…(x-βs)はβiの最小多項式であることを示せ。よってβiの最小多項式は重根を持たない。またs=degg(x)は、βを不変にする入れ換え全体のなすGfの部分群Hの指数(G:H)に等しいことを示せ。

適当に分かり易く解説して下さい。ただし、私の解釈であっているかどうかは分かりません。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/4 16:27削除
解説
>ガロワは、p次既約多項式f(x)の群Gfが可解であるとき、Gfに含まれる根の入れ換えを決定しました。
根をα₀,…,αp-1とし、a=1,2,…,p-1とb=0,1,…,p-1に対して、
(α₀ α₁  …  αk  …    αp-1)
(αb αa+b … αak+b … αa(p-1)+b) (*)

p=3の場合で、実際に確認してみる。
a=1,2,b=0,1,2
(*)は2段だが1段で表す事にする。
(α₀ α₁ α₂)→(αb αa+b α2a+b)
(ⅰ)a=1,b=0の場合、
(α₀ α₁ α₂)→(α₀ α₁ α₂)
(ⅱ)a=1,b=1の場合、
(α₀ α₁ α₂)→(α₁ α₂ α₃)=(α₁ α₂ α₀)
(ⅲ)a=1,b=2の場合、
(α₀ α₁ α₂)→(α₂ α₃ α₄)=(α₂ α₀ α₁)
(ⅳ)a=2,b=0の場合、
(α₀ α₁ α₂)→(α₀ α₂ α₄)=(α₀ α₂ α₁)
(ⅴ)a=2,b=1の場合、
(α₀ α₁ α₂)→(α₁ α₃ α₅)=(α₁ α₀ α₂)
(ⅵ)a=2,b=2の場合、
(α₀ α₁ α₂)→(α₂ α₄ α₆)=(α₂ α₁ α₀)
全てダブらず欠ける事なく、S₃であるのでOK。

>ここでαの添字はpで割った余りとします。添字の変化に着目すると、この入れ換えは1次式ax+bで定義されます。またa,bの取り方から、入れ換えは全部でp(p-1)個あります。

(αb αa+b … αak+b … αa(p-1)+b) (*)
を見れば、ax+bである事は一目瞭然。
また、「a=1,2,…,p-1とb=0,1,…,p-1」より、(p-1)×p=p(p-1)個ある事も簡単。

>定理の証明を次の順に説明します:
f(x)の群Gfは可解である
⇒(①)Gfに含まれる入れ換えは(*)の形である
⇒(②)f(x)の根はすべて、そのうち2つの根の式で表される
⇒(③)f(x)の群は可解である

定理 10.5(素数次可解既約多項式の特徴付け(ガロワ))
素数次既約多項式f(x)に対して、次は同値である。
(1)f(x)の根はべき根の式で表される。
(2)f(x)の(任意の)2つの根に対して、f(x)のほかの根がすべて、この2つの根の式で表される。

この同値関係を証明する訳だが、
(1)は「f(x)の群Gfは可解である」
(2)は「f(x)の根はすべて、そのうち2つの根の式で表される」
が対応し、「Gfに含まれる入れ換えは(*)の形である」を入れる事によって、(1)と(2)の同値関係を証明する訳である。
つまり、(1)⇒(2)は、①と②
(2)⇒(1)は、③
で証明するという事。

>べき根の式を定数に付け加えてf(x)が既約でなくなる場合、f(x)は等しい次数の既約多項式の積に分解します(問題9-9)。

問題 9-9b
多項式f(x)のすべての根の式を利用して、(定数係数)既約多項式g(x)がg₁(x)…gs(x)と分解するとき(ただしgi(x)はf(x)の根の式を係数とする既約単多項式)、g₁(x),…gs(x)の次数はすべて等しいことを示せ。

つまり、既約多項式f(x)の係数にべき根の式を付け加えて既約でなくなったとする。その時は定理9-9bによりf(x)は全て等しい次数の積に分解されるという事。

>よってf(x)は、定数が増えて可約になったとき、1次式の積に分解します(∵pは素数だから)。

因数分解されたxの次数が全て等しくて、全体がp次方程式(素数次)なのだから、xの次数は全て1である。(2とかだったら2の倍数(合成数)になってしまうから。)

>可約になる直前のf(x)の群Hfは1元生成で素数個の元からなるので、ちょうどp個の元からなります(問題9-5参照)。

定義 10.3(可解群)
有限群Gは、次の性質をみたす部分群の列
G=G₀⊃G₁⊃G₂⊃…⊃Gs={e}
を持つとき、可解である、または可解群であるという。
「i=0,1,…,s-1に対して、Gi+1はGiの正規部分群で、その商群Gi/Gi+1は1つの元で生成され、素数個の元からなる。」

「可約になる直前のf(x)の群Hf」は、
Gs-1/Gs=Gs-1/{e}=Gs-1の事で、商群Gs-1/Gsは1つの元で生成された素数個の元からなるので、
まず、Hfは素数個の元からなる。次に、

問題 9-5b
多項式f(x)の群をGfとする。f(x)の根の式βが、Gfの根の入れ換え(すべて)により、異なる数β₁=β,…,βsになったとする。このときg(x)=(x-β₁)(x-β₂)…(x-βs)はβiの最小多項式であることを示せ。よってβiの最小多項式は重根を持たない。またs=degg(x)は、βを不変にする入れ換え全体のなすGfの部分群Hの指数(G:H)に等しいことを示せ。

「よってf(x)は、定数が増えて可約になったとき、1次式の積に分解します」より、f(x)にべき根の式を付け加えたf(x)はこのg(x)に当たり、上よりp次である。そして、「degg(x)は、βを不変にする入れ換え全体のなすGfの部分群Hの指数(G:H)に等しい」ので、Hf=Gs-1/Gs(例えである)よりHfの元はp個であるいう事。

>Hfを生成する入れ換えをσとすると、f(x)の根はα,σ(α),…,σ^(p-1)(α)となります。

このf(x)は問題9-5bのg(x)に当たり、g(x)=(x-β₁)(x-β₂)…(x-βs)のβ₁~βsは「Gfの根のすべての入れ換え」によるβの変化である。
また、定義10.3より「Hf=Gs-1/Gs(例えである)」は1つの元で生成されている。
よって、α,σ(α),…,σ^(p-1)(α)となるという事。

全く的外れとは思いませんが、的がずれていたりしたらごめんなさい。(飽くまで参考程度。)

おまけ:
返信
返信1
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/2 13:58 (No.1256532)削除
次の文章を完全解説して下さい。

演習問題9
体K上の2変数の多項式環K[X,Y]において、(X)と(Y)は素イデアルであり、(X,Y)は極大イデアルであることを示せ。

(証明)
(1)(X),(Y)は素イデアルであることを示す。
(Y)が素イデアルであることを示せば、(X)が素イデアルであることも同様である。
多項式環K[X,Y]の任意の多項式をf(X,Y)とすると、
f(X,Y)=f₁(X)+Yf₂(X,Y),f₁(X)∈K[X],f₂(X,Y)∈K[X,Y]
と一意的に表される。イデアル(Y)を用いて合同式で表現すると
f(X,Y)≡f₁(X)(mod (Y))
である。そこで、f(X,Y)に対してf₁(X)を対応させる写像をΦとする。
Φ:K[X,Y]→K[X](f(X,Y)→Φ(f(X,Y)=f₁(X))
もう1つの多項式をg(X,Y)として、同様に表現する。
g(X,Y)=g₁(X)+Yg₂(X,Y),g₁(Ⅹ)∈K[X],g₂(X,Y)∈K[X,Y]
すなわち、g(X,Y)≡g₁(X)(mod (Y))であるとする。このとき、(Y)はイデアルであるから、定理2.1より
f(X,Y)+g(X,Y)≡f₁(X)+f₂(X)(mod (Y))
f(X,Y)・g(X,Y)≡f₁(X)・f₂(X)(mod (Y))
このことより、
Φ(f(X,Y)+g(X,Y))=f₁(X)+f₂(X)
=Φ(f(X,Y))+Φ(g(X,Y))
Φ(f(X,Y)・g(X,Y))=f₁(X)・f₂(X)
=Φ(f(X,Y))・Φ(g(X,Y))
Φ(1)=1
したがって、ΦはK[X,Y]からK[X]への準同型写像である。また、K[X]の任意の元f(X)はK[X,Y]の元と考えられ、Φ(f(X))=f(X)であるので、Φは全射である。次に、Φの核を調べる。
f(X,Y)∈kerΦ⇔Φ(f(X,Y))=0⇔f₁(X)=0
⇔f(X,Y)≡0(mod (Y))⇔f(X,Y)∈(Y)
ゆえに、kerΦ=(Y)=YK[X,Y]であるから、準同型定理3.5によって
K[X,Y]/YK[X,Y]=K[X,Y]/kerΦ≃K[X]
Kは体であるから、K[X]は整域(定理4.2)である。したがって、定理2.6によって(Y)は素イデアルである。
(2)(Ⅹ,Y)がK[X,Y]の極大イデアルであることを示す。
多項式環K[X,Y]の任意の多項式をf(X,Y)とすると、
f(X,Y)=f(0,0)+f₃(X,Y),f(0,0)∈K,f₃(X,Y)∈(X,Y)
と一意的に表される。イデアル(X,Y)を用いて合同式で表現すると
f(X,Y)≡f(0,0)(mod (X,Y))
である。そこで、f(X,Y)に対してf(0,0)を対応させる写像をΦとする。
Φ:K[X,Y]→K(f(Ⅹ,Y)→Φ(f(X,Y))=f(0,0))
もう1つの多項式をg(X,Y)として
g(X,Y)=g(0,0)+g₃(X,Y),g(0,0)∈K,g₃(X,Y)∈(X,Y)
と表す。すなわち、g(X,Y)≡g(0,0)(mod (X,Y))であるとする。簡単のためf(0,0)=a∈K,g(0,0)=b∈Kとおく。このとき、(X,Y)はイデアルであるから
f(X,Y)+g(X,Y)≡a+b(mod (X,Y))
f(X,Y)・g(X,Y)≡a・b(mod (X,Y))
このことより、
Φ(f(X,Y)+g(X,Y))=a+b
=Φ(f(X,Y))+Φ(g(X,Y))
Φ(f(X,Y)・g(X,Y))=a・b
=Φ(f(X,Y))・Φ(g(X,Y))
Φ(1)=1
したがって、ΦはK[X,Y]からKへの準同型写像である。また、Kの任意の元aはK[X,Y]の元と考えられ、Φ(a)=aであるので、Φは全射である。
次に、Φの核を調べる。
f(X,Y)∈kerΦ⇔Φ(f(X,Y))=0⇔f(0,0)=0
⇔f(X,Y)≡0(mod (X,Y))⇔f(X,Y)∈(X,Y)
∴kerΦ=(X,Y)=XK[X,Y]+YK[X,Y]
よって、準同型定理3.5によって
K[X,Y]/(X,Y)=K[X,Y]/kerΦ≃K
Kは体であるから、定理2.6によって(X,Y)はK[X,Y]の極大イデアルである。
「演習 群・環・体 入門」新妻弘著より

定理3.5(準同型定理)
R,R'を環,f:R→R'をRからR'への準同型写像であるとする。写像
|f:R/kerf→R'
    |a→f(a)
は剰余環R/kerfから環R'への単準同型写像である。すなわち、
R/kerf≃f(R)
また、|fはf=|f◦πを満たす。

定理2.1
環Rの部分集合Iが加法に関して部分群であるとする。このとき、上で定義した同値関係について、次の条件(5)と(6)は同値である。
(5)a≡b(modI),c≡d(modI)⇒a・c≡b・d(modI)
(6)(ⅰ)r∈R,a∈I⇒r・a∈I
   (ⅱ)r∈R,a∈I⇒a・r∈I

定理4.2
Rが整域であればR[X]も整域である。

定理2.6
Pを可換環Rのイデアルとするとき、次が成り立つ。
(1)Pは素イデアルである。⇔R/Pは整域。
(2)Pは極大イデアルである。⇔R/Pは体。
(3)Pが極大イデアルならば、Pは素イデアルである。

具体的には、

>多項式環K[X,Y]の任意の多項式をf(X,Y)とすると、
f(X,Y)=f₁(X)+Yf₂(X,Y),f₁(X)∈K[X],f₂(X,Y)∈K[X,Y]
と一意的に表される。

>イデアル(Y)を用いて合同式で表現すると
f(X,Y)≡f₁(X)(mod (Y))
である。

>このとき、(Y)はイデアルであるから、定理2.1より
f(X,Y)+g(X,Y)≡f₁(X)+f₂(X)(mod (Y))
f(X,Y)・g(X,Y)≡f₁(X)・f₂(X)(mod (Y))

>このことより、
Φ(f(X,Y)+g(X,Y))=f₁(X)+f₂(X)
=Φ(f(X,Y))+Φ(g(X,Y))
Φ(f(X,Y)・g(X,Y))=f₁(X)・f₂(X)
=Φ(f(X,Y))・Φ(g(X,Y))
Φ(1)=1

>また、K[X]の任意の元f(X)はK[X,Y]の元と考えられ、Φ(f(X))=f(X)であるので、Φは全射である。

>次に、Φの核を調べる。
f(X,Y)∈kerΦ⇔Φ(f(X,Y))=0⇔f₁(X)=0
⇔f(X,Y)≡0(mod (Y))⇔f(X,Y)∈(Y)
ゆえに、kerΦ=(Y)=YK[X,Y]

>準同型定理3.5によって
K[X,Y]/YK[X,Y]=K[X,Y]/kerΦ≃K[X]
Kは体であるから、K[X]は整域(定理4.2)である。

>したがって、定理2.6によって(Y)は素イデアルである。

>多項式環K[X,Y]の任意の多項式をf(X,Y)とすると、
f(X,Y)=f(0,0)+f₃(X,Y),f(0,0)∈K,f₃(X,Y)∈(X,Y)
と一意的に表される。

>また、Kの任意の元aはK[X,Y]の元と考えられ、Φ(a)=aであるので、Φは全射である。

>次に、Φの核を調べる。
f(X,Y)∈kerΦ⇔Φ(f(X,Y))=0⇔f(0,0)=0
⇔f(X,Y)≡0(mod (X,Y))⇔f(X,Y)∈(X,Y)
∴kerΦ=(X,Y)=XK[X,Y]+YK[X,Y]
よって、準同型定理3.5によって
K[X,Y]/(X,Y)=K[X,Y]/kerΦ≃K
Kは体であるから、定理2.6によって(X,Y)はK[X,Y]の極大イデアルである。

適当に初学者にも分かるように解説して下さい。ただし、厳密さも忘れないで。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/2 16:34削除
解説
>多項式環K[X,Y]の任意の多項式をf(X,Y)とすると、
f(X,Y)=f₁(X)+Yf₂(X,Y),f₁(X)∈K[X],f₂(X,Y)∈K[X,Y]
と一意的に表される。

f(X,Y)はⅩとYの多項式で、これをXだけの多項式とⅩだけの項がないXとYの多項式の和として見るという事である。
例えば、f(X,Y)=X³Y²+X²Y+Xだったらf₁(X)=X,f₂(X,Y)=X³Y+X²

>イデアル(Y)を用いて合同式で表現すると
f(X,Y)≡f₁(X)(mod (Y))
である。

初学者のために誤解を恐れずに言うと、イデアルとは倍数のような概念である。つまり、イデアル(Y)はYの倍数の集合という意味。だから、
f(X,Y)=f₁(X)+Yf₂(X,Y)をmod (Y)の合同式で表すと、Yf₂(X,Y)≡0になるので、
f(X,Y)≡f₁(X)(mod (Y))という事である。
念のため、Yf₂(X,Y)≡0(mod (Y))は整数の合同式とは違いYf₂(X,Y)∈(Y)だからである。

>このとき、(Y)はイデアルであるから、定理2.1より
f(X,Y)+g(X,Y)≡f₁(X)+f₂(X)(mod (Y))
f(X,Y)・g(X,Y)≡f₁(X)・f₂(X)(mod (Y))

定理2.1
環Rの部分集合Iが加法に関して部分群であるとする。このとき、上で定義した同値関係について、次の条件(5)と(6)は同値である。
(5)a≡b(modI),c≡d(modI)⇒a・c≡b・d(modI)
(6)(ⅰ)r∈R,a∈I⇒r・a∈I
   (ⅱ)r∈R,a∈I⇒a・r∈I

下の式は、定理2.1の(5)からである。上の式はもっと基本的に成り立つ事実である。つまり、Iがイデアルじゃなくても成り立つ。

第2章定理5.1
Hを群Gの部分群とするとき、次の命題は同値である。注:(1)(2)(4)(5)は省略。
(3)∀a,b,c,d∈Gに対して次が成り立つ。
a≡b(mod H),c≡d(mod H)
⇒ac≡bd(mod H)

これは群での話なので演算を何にしても良い。よって、加法にすると、
a≡b(mod H),c≡d(mod H)
⇒a+c≡b+d(mod H)

これを多項式環に当てはめただけである。

>このことより、
Φ(f(X,Y)+g(X,Y))=f₁(X)+f₂(X)
=Φ(f(X,Y))+Φ(g(X,Y))
Φ(f(X,Y)・g(X,Y))=f₁(X)・f₂(X)
=Φ(f(X,Y))・Φ(g(X,Y))
Φ(1)=1

Φ:K[X,Y]→K[X](f(X,Y)→Φ(f(X,Y))=f₁(X))
で、Φ(1)の時、X=Y=0かつ定数項1
この時、Φ(f(0,0))=f₁(0)でf₁(0)の定数項1より、Φ(1)=1
(写像元と写像先の定数項が必ず等しい理由は簡単なので自分で考えて下さい。)

>また、K[X]の任意の元f(X)はK[X,Y]の元と考えられ、Φ(f(X))=f(X)であるので、Φは全射である。

K[X,Y]のYを0とすれば良いだけだから。そして、写像先の任意のf(X)に対して写像元のK[X,Y]にはf(X)が必ず存在するから、Φ(f(X))=f(X)
よって、全射であるという事。

>次に、Φの核を調べる。
f(X,Y)∈kerΦ⇔Φ(f(X,Y))=0⇔f₁(X)=0
⇔f(X,Y)≡0(mod (Y))⇔f(X,Y)∈(Y)
ゆえに、kerΦ=(Y)=YK[X,Y]

f(X,Y)≡0(mod (Y))⇔f(X,Y)∈(Y)は、上でも簡単に述べたが、今回は厳密に示す。
f(X,Y)≡0(mod (Y))
⇔f(X,Y)+(Y)=0+(Y)
⇔f(X,Y)+(Y)=(Y)
ここで、定理4.1の系を使うと、

定理4.1の系
Gを群,HをGの部分群とする。このとき、Gの任意の元aについて次の(1),(2),(3)は同値である。
(1)a∈H(2)aH=H(3)Ha=H

これは群での話なので、演算を好きに変えて良い。よって、加法にすると、
a+H=H⇔a∈H

よって、上の式も
f(X,Y)+(Y)⇔f(X,Y)∈(Y)
となる。
よって、f(X,Y)∈kerΦ⇔f(X,Y)∈(Y)
となり、kerΦ=(Y)

>準同型定理3.5によって
K[X,Y]/YK[X,Y]=K[X,Y]/kerΦ≃K[X]
Kは体であるから、K[X]は整域(定理4.2)である。

定理3.5(準同型定理)
R,R'を環,f:R→R'をRからR'への準同型写像であるとする。写像
|f:R/kerf→R'
    |a→f(a)
は剰余環R/kerfから環R'への単準同型写像である。すなわち、
R/kerf≃f(R)

この定理は、f:R→R'があってkerfが分かっていれば、R/kerf≃f(R)が成り立つという定理である。
よって、Φ:K[X,Y]→K[X]に適用すると、
K[X,Y]/kerΦ≃K[X]
また、すぐ上でkerΦ=(Y)=YK[X,Y]だったので、kerΦ=YK[X,Y]を代入すると、
K[X,Y]/YK[X,Y]≃K[X]という事。
また、Kは体で、定理1.4より体は整域なので、

定理1.4
体は0と異なる零因子をもたない。すなわち、体は整域である。

定理4.2よりK[X]も整域であるという事。

定理4.2
Rが整域であればR[X]も整域である。

>したがって、定理2.6によって(Y)は素イデアルである。

定理2.6
Pを可換環Rのイデアルとするとき、次が成り立つ。
(1)Pは素イデアルである。⇔R/Pは整域。
(2)Pは極大イデアルである。⇔R/Pは体。
(3)Pが極大イデアルならば、Pは素イデアルである。

すぐ上より、K[X]が整域で、また、
K[X,Y]/YK[X,Y]≃K[X]
より、それと同型なK[X,Y]/YK[X,Y]も整域である。よって、定理2.6の(1)より、
YK[X,Y]は素イデアルであるという事。
よって、(Y)は素イデアルである。

続きは次回。

おまけ:
壊れた扉さん (994klpn6)2024/9/3 13:55削除
解説の続き

演習問題9
体K上の2変数の多項式環K[X,Y]において、(X)と(Y)は素イデアルであり、(X,Y)は極大イデアルであることを示せ。

(証明)
(1)(X),(Y)は素イデアルであることを示す。
(Y)が素イデアルであることを示せば、(X)が素イデアルであることも同様である。
多項式環K[X,Y]の任意の多項式をf(X,Y)とすると、
f(X,Y)=f₁(X)+Yf₂(X,Y),f₁(X)∈K[X],f₂(X,Y)∈K[X,Y]
と一意的に表される。イデアル(Y)を用いて合同式で表現すると
f(X,Y)≡f₁(X)(mod (Y))
である。そこで、f(X,Y)に対してf₁(X)を対応させる写像をΦとする。
Φ:K[X,Y]→K[X](f(X,Y)→Φ(f(X,Y)=f₁(X))
もう1つの多項式をg(X,Y)として、同様に表現する。
g(X,Y)=g₁(X)+Yg₂(X,Y),g₁(Ⅹ)∈K[X],g₂(X,Y)∈K[X,Y]
すなわち、g(X,Y)≡g₁(X)(mod (Y))であるとする。このとき、(Y)はイデアルであるから、定理2.1より
f(X,Y)+g(X,Y)≡f₁(X)+f₂(X)(mod (Y))
f(X,Y)・g(X,Y)≡f₁(X)・f₂(X)(mod (Y))
このことより、
Φ(f(X,Y)+g(X,Y))=f₁(X)+f₂(X)
=Φ(f(X,Y))+Φ(g(X,Y))
Φ(f(X,Y)・g(X,Y))=f₁(X)・f₂(X)
=Φ(f(X,Y))・Φ(g(X,Y))
Φ(1)=1
したがって、ΦはK[X,Y]からK[X]への準同型写像である。また、K[X]の任意の元f(X)はK[X,Y]の元と考えられ、Φ(f(X))=f(X)であるので、Φは全射である。次に、Φの核を調べる。
f(X,Y)∈kerΦ⇔Φ(f(X,Y))=0⇔f₁(X)=0
⇔f(X,Y)≡0(mod (Y))⇔f(X,Y)∈(Y)
ゆえに、kerΦ=(Y)=YK[X,Y]であるから、準同型定理3.5によって
K[X,Y]/YK[X,Y]=K[X,Y]/kerΦ≃K[X]
Kは体であるから、K[X]は整域(定理4.2)である。したがって、定理2.6によって(Y)は素イデアルである。
(2)(Ⅹ,Y)がK[X,Y]の極大イデアルであることを示す。
多項式環K[X,Y]の任意の多項式をf(X,Y)とすると、
f(X,Y)=f(0,0)+f₃(X,Y),f(0,0)∈K,f₃(X,Y)∈(X,Y)
と一意的に表される。イデアル(X,Y)を用いて合同式で表現すると
f(X,Y)≡f(0,0)(mod (X,Y))
である。そこで、f(X,Y)に対してf(0,0)を対応させる写像をΦとする。
Φ:K[X,Y]→K(f(Ⅹ,Y)→Φ(f(X,Y))=f(0,0))
もう1つの多項式をg(X,Y)として
g(X,Y)=g(0,0)+g₃(X,Y),g(0,0)∈K,g₃(X,Y)∈(X,Y)
と表す。すなわち、g(X,Y)≡g(0,0)(mod (X,Y))であるとする。簡単のためf(0,0)=a∈K,g(0,0)=b∈Kとおく。このとき、(X,Y)はイデアルであるから
f(X,Y)+g(X,Y)≡a+b(mod (X,Y))
f(X,Y)・g(X,Y)≡a・b(mod (X,Y))
このことより、
Φ(f(X,Y)+g(X,Y))=a+b
=Φ(f(X,Y))+Φ(g(X,Y))
Φ(f(X,Y)・g(X,Y))=a・b
=Φ(f(X,Y))・Φ(g(X,Y))
Φ(1)=1
したがって、ΦはK[X,Y]からKへの準同型写像である。また、Kの任意の元aはK[X,Y]の元と考えられ、Φ(a)=aであるので、Φは全射である。
次に、Φの核を調べる。
f(X,Y)∈kerΦ⇔Φ(f(X,Y))=0⇔f(0,0)=0
⇔f(X,Y)≡0(mod (X,Y))⇔f(X,Y)∈(X,Y)
∴kerΦ=(X,Y)=XK[X,Y]+YK[X,Y]
よって、準同型定理3.5によって
K[X,Y]/(X,Y)=K[X,Y]/kerΦ≃K
Kは体であるから、定理2.6によって(X,Y)はK[X,Y]の極大イデアルである。
「演習 群・環・体 入門」新妻弘著より

定理3.5(準同型定理)
R,R'を環,f:R→R'をRからR'への準同型写像であるとする。写像
|f:R/kerf→R'
    |a→f(a)
は剰余環R/kerfから環R'への単準同型写像である。すなわち、
R/kerf≃f(R)
また、|fはf=|f◦πを満たす。

定理2.1
環Rの部分集合Iが加法に関して部分群であるとする。このとき、上で定義した同値関係について、次の条件(5)と(6)は同値である。
(5)a≡b(modI),c≡d(modI)⇒a・c≡b・d(modI)
(6)(ⅰ)r∈R,a∈I⇒r・a∈I
   (ⅱ)r∈R,a∈I⇒a・r∈I

定理4.2
Rが整域であればR[X]も整域である。

定理2.6
Pを可換環Rのイデアルとするとき、次が成り立つ。
(1)Pは素イデアルである。⇔R/Pは整域。
(2)Pは極大イデアルである。⇔R/Pは体。
(3)Pが極大イデアルならば、Pは素イデアルである。

>多項式環K[X,Y]の任意の多項式をf(X,Y)とすると、
f(X,Y)=f(0,0)+f₃(X,Y),f(0,0)∈K,f₃(X,Y)∈(X,Y)
と一意的に表される。

f(0,0)は定数でf₃(X,Y)はXとYの多項式。この2つの和に分けて考えるという事である。

>また、Kの任意の元aはK[X,Y]の元と考えられ、Φ(a)=aであるので、Φは全射である。

Kの任意の元aは、
「f(X,Y)に対してf(0,0)を対応させる写像をΦとする。
Φ:K[X,Y]→K(f(Ⅹ,Y)→Φ(f(X,Y))=f(0,0))」
写像先の任意の元なので、f(0,0)=aである。よって、写像元もX=Y=0とすると、f(X,Y)=aとなり、Φ(f(X,Y))=f(0,0)は、Φ(a)=aとなる。よって、Φは全射であるという事。

>次に、Φの核を調べる。
f(X,Y)∈kerΦ⇔Φ(f(X,Y))=0⇔f(0,0)=0
⇔f(X,Y)≡0(mod (X,Y))⇔f(X,Y)∈(X,Y)
∴kerΦ=(X,Y)=XK[X,Y]+YK[X,Y]
よって、準同型定理3.5によって
K[X,Y]/(X,Y)=K[X,Y]/kerΦ≃K
Kは体であるから、定理2.6によって(X,Y)はK[X,Y]の極大イデアルである。

「f(0,0)=0⇔f(X,Y)≡0(mod (X,Y))」は、上より、
「f(X,Y)≡f(0,0)(mod (X,Y))」だから。
「f(X,Y)≡0(mod (X,Y))⇔f(X,Y)∈(X,Y)」は、前回もやったが、
f(X,Y)≡0(mod (X,Y))
⇔f(X,Y)+ (X,Y)=0+ (X,Y)
⇔f(X,Y)+ (X,Y)=(X,Y)
ここで、定理4.1の系を使うと、
⇔f(X,Y)∈(X,Y)

定理4.1の系
Gを群,HをGの部分群とする。このとき、Gの任意の元aについて次の(1),(2),(3)は同値である。
(1)a∈H(2)aH=H(3)Ha=H

これは群での話なので、演算を好きに変えて良い。よって、加法にすると、
a+H=H⇔a∈H

よって、上の式も
f(X,Y)+(X,Y)=(X,Y)
⇔f(X,Y)∈(X,Y)
という事。
∴f(X,Y)≡0(mod (X,Y))
⇔f(X,Y)∈(X,Y)

結局、f(X,Y)∈kerΦ⇔f(X,Y)∈(X,Y)となり、
kerΦ=(X,Y)
よって、Φ:K[X,Y]→Kに対して、準同型定理3.5を使うと、

定理3.5(準同型定理)
R,R'を環,f:R→R'をRからR'への準同型写像であるとする。写像
|f:R/kerf→R'
    |a→f(a)
は剰余環R/kerfから環R'への単準同型写像である。すなわち、
R/kerf≃f(R)

K[X,Y]/kerΦ≃K これにkerΦ=(X,Y)を代入すると、K[X,Y]/(X,Y)≃K
ところで、条件よりKは体なので、
それと同型なK[X,Y]/(X,Y)も体である。
また、定理2.6(2)より、

定理2.6
Pを可換環Rのイデアルとするとき、次が成り立つ。
(1)Pは素イデアルである。⇔R/Pは整域。
(2)Pは極大イデアルである。⇔R/Pは体。
(3)Pが極大イデアルならば、Pは素イデアルである。

(X,Y)はK[X,Y]の極大イデアルである。

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