解説の続き
次の文章を完全解説して下さい。
問題 5-4b
問題 5-3の二面体群D4について次の問いに答えよ。
(1)位数2,4の元を挙げよ。
(2)D4の部分群を求めよ。
(3)D4の正規部分群を求めよ。
解答
(1)各元の位数を計算する。位数2の元(5個)・・・σ^2,τ,στ,σ^2τ,σ^3τ,
位数4の元(2個)・・・σ,σ^3
(2)ラグランジュの定理より、含まれる元の個数が1,2,4,8個の部分群を考える。そのうち、1個,8個の元を含むものは自明な部分群{id},D4である。
2個の元を含む部分群は、(1)より5個ある:{id,σ^2},{id,τ},{id,στ},{id,σ^2τ},{id,σ^3τ}
4個の元を含む部分群は、位数4の元を含むものは(1)より{id,σ,σ^2,σ^3}(1個)である。そのほかは、位数2の元からなるので、組合せを調べて{id,σ^2,τ,σ^2τ},{id,σ^2,στ,σ^3τ}の2個である。以上より4個の元を含む部分群は3個である。
(3)自明な群{id},D4は正規部分群である。問題 5-2より、4個の元を含む3つの部分群はすべて正規部分群である。
位数2の元については(注)、σ(σ^iτ)σ^-1=σ^(i+2)τとなるので(τσ^-1=στに注意)、σ^iτを含むものは正規部分群ではない。{id,σ^2}は正規部分群{id,σ,σ^2,σ^3}の部分群でちょうど2個の元を含む唯一の部分群なのでD4の正規部分群になる(あるいはτσ^2τ=σ^2からもわかる)。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より
>位数2の元については(注)、σ(σ^iτ)σ^-1=σ^(i+2)τとなるので(τσ^-1=στに注意)、σ^iτを含むものは正規部分群ではない。
注:一般に群Gの部分群HがGの正規部分群かどうかはgHg^-1=H(gはGの任意の元)を確かめればわかります。もちろんそれ以外の方法もあります。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より
まず、「τσ^-1=στに注意」を考えると、
問題 5-3
座標平面の4点(±1,0),(0,±1)を頂点とする正方形Pを考える。原点を中心とする90度回転をσ,x軸に関する対称移動(折り返し)をτと表す。σやτ(σ^2,στなど)で得られるPの変換をすべて求めよ。これらの変換のなす群を4次二面体群といい、D4と表す。
より、例えば、座標(-1,0)を1,(0,-1)を2,(1,0)を3,(0,1)を4と振ると、
4
1 3 ———①
2
という感じだが、これをτσ^-1で変換させてみると、まず、σ^-1で-90°回転より、
1
2 4
3
となり、次にτよりx軸に関して対称移動させると、
3
2 4 ———②
1
つまり、①をτσ^-1で変換させると②になる訳である。
次に、①をστで変換させてみると、まずτよりx軸に関して対称移動させると、
2
1 3
4
次に、σより90°回転より、
3
2 4 ———③
1
②=③より、2つの変換は等しい。
よって、τσ^-1=στという事である。
よって、σ(σ^iτ)σ^-1に代入する訳だが、その前にこれを考える理由は、位数2の元が(1)より、「位数2の元(5個)・・・σ^2,τ,στ,σ^2τ,σ^3τ」で、σ^2以外はσ^iτ(0≦ⅰ≦3) という形をしているからである。(σ^2は次の段階で考える。)
そこで、σ(σ^iτ)σ^-1=σσ^i(τσ^-1)
これに先のτσ^-1=στを代入すると、
=σ^(i+1)・στ=σ^(i+2)τ
∴σ(σ^iτ)σ^-1=σ^(i+2)τ
ところで、「注」より、
正規部分群だったらgHg^-1=Hという形をしているので、これは正規部分群ではない。
つまり、σ(σ^iτ)σ^-1=σ^iτとなっていたら正規部分群だったという事である。
>{id,σ^2}は正規部分群{id,σ,σ^2,σ^3}の部分群でちょうど2個の元を含む唯一の部分群なのでD4の正規部分群になる(あるいはτσ^2τ=σ^2からもわかる)。
{id,σ,σ^2,σ^3}を部分群{id,σ^2}で類別すると、H={id,σ^2}と置くと、
{id,σ,σ^2,σ^3}=H∪σH
より、指数が2なので、問題 5-2より、Hは正規部分群である。
問題 5-2
群Gの部分群Hの指数が2に等しいとき、HはGの正規部分群であることを示せ。
と思ったが、Hは{id,σ,σ^2,σ^3}の正規部分群で{id,σ,σ^2,σ^3}はD4の正規部分群だが、正規部分群の正規部分群は正規部分群とは限らないらしいので、こういう解釈ではないらしい。
http://yeaf.web.fc2.com/NormalSubgroupOfNormalSubgroup.pdf
もう一度よく考えると、「{id,σ^2}は正規部分群{id,σ,σ^2,σ^3}の部分群でちょうど2個の元を含む唯一の部分群」だと、{id,σ,σ^2,σ^3,τ,στ,σ^2τ,σ^3τ}の正規部分群になる理由とは?
ちょうど2個の元を含むD4の部分群は、
{id,σ^2},{id,τ},{id,στ},{id,σ^2τ},{id,σ^3τ}だが。
よく分からないので、保留。
>(あるいはτσ^2τ=σ^2からもわかる)。
こっちを考えよう。ところで、τはx軸に関する対称移動なので2回やると元に戻る。
∴τ^2=id(恒等変換)
この両辺にτ^-1をかけると、
τ=τ^-1
ところで、上の実験のように調べれば、τσ^2τ=σ^2が分かる。これにτ=τ^-1を代入すると、
τσ^2τ^-1=σ^2
よって、「注」より、σ^2は正規部分群である。
注:一般に群Gの部分群HがGの正規部分群かどうかはgHg^-1=H(gはGの任意の元)を確かめればわかります。もちろんそれ以外の方法もあります。
「本質を学ぶ ガロワ理論 最短コース」梶原健著より
まだまだ、経験値が足りないので、全然ダメですね。因みに、努力すれば誰でも分かるようなレベルにしたいのですが。(普通の受験参考書みたいに。)
おまけ: