解説
>例5.4
ℝを実数全体の加法群とし、2πℤを2πの整数倍の全体のつくる部分群とすると、剰余群ℝ/2πℤは単位円上の点と1対1対応している。
剰余群ℝ/2πℤのイメージを言葉で説明しても良いが、こちらの例2の図が良いだろう。
https://mathlandscape.com/quotient-set/
ただし、これでは「剰余群ℝ/2πℤは単位円上の点と1対1対応している」事がさっぱり分からない。そこで、剰余群ℝ/2πℤと単位円上の点に全単射が成り立つ証明を挙げてみよう。
(解答)
対応 ℝ/2πℤ→S¹, [t]→(cos(t),sin(t)) を f とする. 最初に f が写像となること, すなわち
[s]=[t] ⇒ f([s])=f([t])
が成り立つことを示す. [s]=[t] のとき s-t∈2πℤ であるから, ある n∈ℤ が存在して s-t=2πn となる. よって
f([s])=(cos(s),sin(s))
=(cos(t+2nπ),sin(t+2nπ))
=(cos(t),sin(t))
=f([t]).
次に f が単射であることを示す. f([t])=f([s]) であるとする. このとき
cos(t)=cos(s),
sin(t)=sin(s)
が成り立つ. この 2 つの等式と三角関数の和積変換公式より
sin((t+s)/2))sin((t-s)/2)=0 (1),
cos((t+s)/2)sin((t-s)/2)=0 (2)
が得られる.
cos²((t+s)/2)+sin²((t+s)/2))=1
より cos((t+s)/2), sin((t+s)/2)) は同時に 0 とはならない. 従って (1), (2) より
sin((t-s)/2)=0
であり, (t-s)/2 はある n∈ℤ を用いて
(t-s)/2=nπ
と書ける. ゆえに t-s=2nπ であり, [s]=[t] が成り立つ.
最後に f の全射であることを証明する. (x,y) を S¹ を任意の元とすると, ある t∈ℝ が存在して (x,y)=(cos(t),sin(t)) と書ける. このとき f([t])=(x,y) である. ◽︎
引用元:
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11221933566
この証明は私レベルでも読める。しかし、教科書的には混乱するので入れないで貰いたい例である。いや、(関係ないので)証明はここでは省略するとか補足解説を付けて欲しいものである。自分の理解不足で納得出来ないのかどうか分からないから。
因みに、剰余群ℝ/2mπℤ(mは整数)は単位円上の点と1対1対応するんですよね。(半径の長さとは関係ないという事。)
証明からそう判断しましたが、よく考えたらℤの中からmを出せば当然ですか。
おまけ: