素朴な疑問
演習問題6
G=H×Kならば、D(G)=D(H)×D(K)であることを示せ。ただし、D(G)は群Gの交換子を表すものとする(§5演習問題9参照)。
解答
G=H×Kの定義より
① G=HK,② hk=kh(h∈H,k∈K),③ ①の表現は一意的となっている。そこで、
(1)D(G)=D(H)D(K),(2)yz=zy(y∈D(H),z∈D(K)),(3)(1)の表現は一意的
を示せば、定義7.2によってD(G)=D(H)×D(K)を得る。
(2)について:Hの元とKの元は可換であるから、D(H)の元とD(K)の元も可換である。
(3)について:(1)の表現D(G)=D(H)D(K)はG=HKの表現の一意性より出る。
(1)D(G)=D(H)D(K)を示す。
はじめに、D(G)⊃D(H),D(G)⊃D(K)であるから、交換子群の定義によってD(G)⊃D(H)D(K)となっている。
次に、逆の包含関係D(G)⊂D(H)D(K)を示す。はじめに、[a,b]=[b,a]^-1(a,b∈G)が成り立つことに注意しよう。
∵[a,b]^-1=(aba^-1b^-1)^-1=bab^-1a^-1=[b,a]
このとき、問3.9によって、交換子の有限個の積がD(H)D(K)に属することを示せばよい。さらに、D(H)とD(K)の元が交換可能であるから、1つの交換子がD(H)D(K)に属することを示せば十分である。
D(G)の1つの交換子を[a,b](a,b∈G)とする。aとbはa=h1k1,b=h2k2(hi∈H,ki∈K)と表せる。Hの元とKの元が可換であることに注意すれば、
[a,b]=aba^-1b^-1
=(h1k1)(h2k2)(h1k1)^-1(h2k2)^-1
=(h1k1)(h2k2)(h1^-1k1^-1)(h2^-1k2^-1)
=(h1h2h1^-1h2^-1)(k1k2k1^-1k2^-1)
=[h1,h2][k1,k2]∈D(H)D(K)
以上によって、D(G)はD(H)とD(K)の直積である。
§5演習問題9
a,bを群Gの2元とするとき、aba^-1b^-1をa,bの交換子という。Gのすべての交換子によって生成される部分群をGの交換子群といい、D(G)で表すことにする。Hを群Gの部分群とするとき、次のことを示せ。
HがGの正規部分群でかつG/Hが可換群であるための必要十分条件は、HがD(G)を含むことである。
したがって、特にD(G)は正規部分群であり、剰余群G/D(G)は可換群である。
問3.9
群Gの部分集合をSとするとき次を示せ。
<S>={ai1^±1・ai2^±1…ain^±1|ai1,…,ain∈S,n∈ℕ}
「演習 群・環・体 入門」新妻弘著
感想
>はじめに、[a,b]=[b,a]^-1(a,b∈G)が成り立つことに注意しよう。
∵[a,b]^-1=(aba^-1b^-1)^-1=bab^-1a^-1=[b,a]
このとき、問3.9によって、交換子の有限個の積がD(H)D(K)に属することを示せばよい。さらに、D(H)とD(K)の元が交換可能であるから、1つの交換子がD(H)D(K)に属することを示せば十分である。
この部分は必要ないのではないでしょうか。ただし、次の「D(G)の1つの交換子」は「D(G)の任意の交換子」に変えますが。
一応、抜いて書きますね。
問題
G=H×Kならば、D(G)=D(H)×D(K)であることを示せ。ただし、D(G)は群Gの交換子を表すものとする。
解答
G=H×Kの定義より
① G=HK,② hk=kh(h∈H,k∈K),③ ①の表現は一意的となっている。そこで、
(1)D(G)=D(H)D(K),(2)yz=zy(y∈D(H),z∈D(K)),(3)(1)の表現は一意的
を示せば、定義7.2によってD(G)=D(H)×D(K)を得る。
(2)について:Hの元とKの元は可換であるから、D(H)の元とD(K)の元も可換である。
(3)について:(1)の表現D(G)=D(H)D(K)はG=HKの表現の一意性より出る。
(1)D(G)=D(H)D(K)を示す。
はじめに、D(G)⊃D(H),D(G)⊃D(K)であるから、交換子群の定義によってD(G)⊃D(H)D(K)となっている。
次に、逆の包含関係D(G)⊂D(H)D(K)を示す。
D(G)の任意の交換子を[a,b](a,b∈G)とする。aとbはa=h1k1,b=h2k2(hi∈H,ki∈K)と表せる。Hの元とKの元が可換であることに注意すれば、
[a,b]=aba^-1b^-1
=(h1k1)(h2k2)(h1k1)^-1(h2k2)^-1
=(h1k1)(h2k2)(h1^-1k1^-1)(h2^-1k2^-1)
=(h1h2h1^-1h2^-1)(k1k2k1^-1k2^-1)
=[h1,h2][k1,k2]∈D(H)D(K)
∴D(G)⊂D(H)D(K)
∴D(G)=D(H)D(K)
以上によって、D(G)はD(H)とD(K)の直積である。
これではダメなのでしょうか。そもそも問3.9も怪しいと思っていますが。
問3.9
群Gの部分集合をSとするとき、次を示せ。
<S>={ai1^±1ai2^±1…ain^±1|ai1,…,ain∈S,n∈ℕ}
解答
右辺の集合をH={ai1^±1ai2^±1…ain^±1|ai1,…,ain∈S,n∈ℕ}とおき、<S>=Hを示す。定理3.5より、
<S>={ai1^e1ai2^e2…ain^en|ai1,…,ain∈S,ei∈ℤ,n∈ℕ}
であるから、<S>⊃Hである。
逆に、<S>の任意の元をai1^e1ai2^e2…ain^en(ai1,…,ain∈S)とする。各air^erは
e1>0のとき、ai1^e1=ai1^1ai1^1…ai1^1(e1個)
e1<0のとき、ai1^e1=(ai1^-1)^|e1|=ai1^-1ai1^-1…ai1^-1(|e1|個)
と表されるので、ai1^e1ai2^e2…ain^en∈Hと考えられる。したがって、<S>⊂Hである。
「演習 群・環・体 入門」新妻弘著より
解説
>逆に、<S>の任意の元をai1^e1ai2^e2…ain^en(ai1,…,ain∈S)とする。各air^erは
e1>0のとき、ai1^e1=ai1^1ai1^1…ai1^1(e1個)
e1<0のとき、ai1^e1=(ai1^-1)^|e1|=ai1^-1ai1^-1…ai1^-1(|e1|個)
と表されるので、ai1^e1ai2^e2…ain^en∈Hと考えられる。
結局、
<S>={ai1^±1ai2^±1…ain^±1|ai1,…,ain∈S,n∈ℕ}(=H)
のai1などは同じものが沢山あるという理解で良いのでしょうか。
そうじゃないと、ai1^e1ai2^e2…ain^en∈Hとはなりませんよね。
しかし、この表示に何の意味があるのでしょうか。巡回群の時にはこんな表示しませんでしたが。因みに、こちらのサイト
https://mathlandscape.com/group-generate/ではこんな表示していませんが。
ただし、こちら
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%A4%E3%81%AE%E7%94%9F%E6%88%90%E7%B3%BBではそうしていますが。
よく分かりません。
「2023/11/8 15:11の投稿」より引用。
おまけ: