解説
定理3.5
Gを群として、Sをその空でない部分集合とする。このとき、
<S>={ai1^e1ai2^e2…ain^en|ai1,…,ain∈S,ei∈ℤ,n∈ℕ}
より、<r1,r3>は、r1^n・r3^m(m,nは整数)を考えれば良い。そこで、まずはr1の累乗を書き出すと、
r1^1=r1,r1^2=r2,r1^3=r1r2=r3,r1^4=r1r3=r0
つまり、r1は位数4の元で<r1>={r0,r1,r2,r3}(巡回群)である。
次に、r3の累乗を書き出すと、
r3^1=r3,r3^2=r2,r3^3=r3r2=r1,r3^4=r3r1=r0
よって、r3も位数4の元で<r3>={r0,r1,r2,r3}=<r1>である。
ここで、r1^n・r3^mを考えると、4×4=16種類を考えれば良いが、実際は、r1r2=r3,r2r1=r3,r1r3=r0,r3r1=r0,r2r3=r1,r3r2=r1など、と単位元との積を考えれば、
<r1,r3>={r0,r1,r2,r3}=<r1>=<r3>である。
次に、<r2,s1>は、r2^m・s1^nを考えれば良いので、まずはr2の累乗を書き出す。
r2^1=r2,r2^2=r0,r2^3=r2,r2^4=r0,…より、r2は位数2の元で、<r2>={r0,r2}の巡回群である。
次に、s1の累乗を書き出すと、
s1^1=s1,s1^2=r0,s1^3=s1,s1^4=r0,…より、s1も位数2の元で、<s1>={r0,s1}の巡回群である。
ここで、r2^m・s1^nを考えると、2×2=4種類を考えれば良い。
r0r0=r0,r0s1=s1,r2r0=r2,r2s1=s2
よって、<r2,s1>={r0,r2,s1,s2}
最後に、<s1,t1>=D4を調べるためにt1の累乗を書き出すと、
t1^1=t1,t1^2=r0,t1^3=t1,t1^4=r0,…より、t1も位数2の元で、<t1>={r0,t1}の巡回群である。
よって、s1^m・t1^nを考えると、
r0r0=r0,r0t1=t1,s1r0=s1,s1t1=r1より、
<s1,t1>={r0,r1,s1,t1}≠D4である。ただし、これは、<s1,t1>の部分の誤植だろう。
というのは、<r1,t1>,<r3,t1>,<r1,t2>,<r3,t2>,<r1,s1>,<r1,s2>などでD4となるからである。(自分で確かめてみて下さい。)
因みに、
問3.9
群Gの部分集合をSとするとき、次を示せ。
<S>={ai1^±1ai2^±1…ain^±1|ai1,…,ain∈S,n∈ℕ}
を確認してみると、
<r1,r3>はr1^±1・r3^±1を調べれば良い。
r1^-1=1/r1=e/r1=r1^4/r1=r1^3
=r3 ∴r1^-1=r3
r3^-1=1/r3=e/r3=r3^4/r3=r3^3
=r1 ∴r3^-1=r1
これらは<r1>,<r3>が位数4の巡回群である事から書き出しても確認出来る。
ここで、r1^±1・r3^±1を考えると、2×2=4種類である。
r1r3=r0,r1r3^-1=r1r1=r2,r1^-1r3=r3r3=r2,r^-1r3^-1=r3r1=r0
よって、<r1,r3>={r0,r2}=<r2>
ところで、<r1,r3>=<r1>=<r3>だったので、問3.9は間違っている。
ついでに、<r1,t1>でもやってみる。因みに、これは定理3.5でやるとD4={r0,r1,r2,r3,s1,s2,t1,t2}になる。
しかし、t1^-1=1/t1=e/t1=t1^2/t1=t1 ∴t1^-1=t1
また、上より、r1^-1=r3
よって、r1^±1・t1^±1を考えると、2×2=4種類である。
r1t1=s1,r1t^-1=r1t1=s1,r1^-1t1=r3t1=s2,r1^-1t1^-1=r3t1=s2
∴<r1,t1>={s1,s2}
こちらは単位元がないので群にもならない。
おまけ: