次の文章を完全解説して下さい。
演習問題11
次の中国式剰余の定理(定理2.7)を帰納法を使わないで証明せよ。
n1,…,nsを1より大きい整数とし、(ni,nj)=1(i≠j)とする。このとき任意の整数の組a1,・・・,asに対して連立合同式
x≡a1 (modn1),・・・,x≡as (modns)———①
は、n=n1…nsを法として唯1つの解を持つ。
証明
存在:各i(1≦i≦s)について
n'i=n/ni=n1…ni-1ni+1…ns
とおく。仮定より(ni,n'i)=1であるから(問1.23),βini+αin'i=1(∃αi,βi∈ℤ)なる関係がある。ゆえに、
αin'i≡1 (modni)———②
そこで a=a1n'1α1+・・・+asn'sαs
とおくと、a-a1n'1α1=a2n'2α2+・・・+asn'sαs
ここで、n1|n'2,・・・,n1|n'sであるから、a≡a1n'1α1 (modn1) ゆえに、②よりa≡a1 (modn1) 同様にすればi=1,・・・,sについてa≡ai (modni)が成り立つ。よって、aは連立方程式①の解の1つである。
唯1つであること:連立方程式①の解をx=a,x=bとする。すなわち
a≡ai (modni)(i=1,・・・,s),b≡ai (modni)(i=1,・・・,s)
とするとa≡b (modni)(i=1,・・・,s)となっている。a-bはn1,・・・,nsの公倍数であるから、その最小公倍数[n1,・・・,ns]=n1…ns=nで割り切れる(問1.8)。
ゆえに、a≡b(modn)
問1.23
n,a,bを整数とするとき、次を示せ。
(n,a)=1,(n,b)=1⇒(n,ab)=1
問1.8
整数a1,a2,・・・,anの最小公倍数をlとする。このとき、a1,a2,・・・,anの任意の公倍数mは最小公倍数lの倍数であることを示せ。
「演習 群・環・体 入門」新妻弘著より
具体的には、
>仮定より(ni,n'i)=1であるから(問1.23),βini+αin'i=1(∃αi,βi∈ℤ)なる関係がある。
>a-a1n'1α1=a2n'2α2+・・・+asn'sαs
ここで、n1|n'2,・・・,n1|n'sであるから、a≡a1n'1α1 (modn1) ゆえに、②よりa≡a1 (modn1)
>a≡b (modni)(i=1,・・・,s)となっている。a-bはn1,・・・,nsの公倍数であるから、その最小公倍数[n1,・・・,ns]=n1…ns=nで割り切れる(問1.8)。
ゆえに、a≡b(modn)
この3ヶ所ぐらいですね。
おまけ: