次の文章を完全解説して下さい。
定理1.12(素因数分解の一意性)
1と異なる自然数は有限個の素数の積に分解される。また、その結果は因数の順序を除いて唯一通りである。
証明
正の整数について考えれば十分であるから、自然数n>1についての帰納法で示す。
n=2のとき、2は素数であるから、有限個の素数の積と考えられる。また、2=2という表現は唯1通りである。
n>2とするとき、nより小さい自然数について定理1.12が成り立つことを仮定して、nについても成り立つことを示す。
(1)有限個の素数の積に表されることを示す。
nが素数でなければn=n1n2(1<n1,n2<n)となっている。n1,n2は帰納法の仮定で、それぞれ有限個の素数の積として表されるので、nも有限個の素数の積として表される。
(2)一意性を示す。nが2通りに
n=p1p2…pr
=q1q2…qs(pi,qiは素数)
と表されたとする。
はじめに、p1はq1,…,qsのどれかに等しいことを示す。
もし、p1≠q1とすれば、p1とq1は素数であるから(p1,q1)=1 従って定理1.10より
p1|n ⇔ p1|(q1…qs) ⇒ p1|(q2…qs)
同様にして、p1≠q2のとき、p1|(q3…qs)が得られる。このようにしてp1≠q1,p1≠q2,…,p1≠qs-1とするとp1|qsとなる。ゆえにp1=qsでなければならない。したがって、q1からqsのなかにどれか必ずp1と等しいものがある。
そこで、p1=q1としてよい。すると、n>n'=p2…pr=q2…qsとなるが、帰納法の仮定によってr=sでp2,…,prは並べかえればq2,…,qrとなっている。以上によってr=sであり、p1,…,prは並べかえればq1,…,qrとなることが証明された。
定理1.10
a,b,cを整数とする。aとbが互いに素で、積bcがaで割り切れるならばcはaで割り切れる。すなわち、
a|bc,(a,b)=1⇒a|c
「群・環・体 入門」新妻弘・木村哲三著より
具体的には、
>このようにしてp1≠q1,p1≠q2,…,p1≠qs-1とするとp1|qsとなる。ゆえにp1=qsでなければならない。したがって、q1からqsのなかにどれか必ずp1と等しいものがある。
>そこで、p1=q1としてよい。すると、n>n'=p2…pr=q2…qsとなるが、帰納法の仮定によってr=sでp2,…,prは並べかえればq2,…,qrとなっている。以上によってr=sであり、p1,…,prは並べかえればq1,…,qrとなることが証明された。
普通の人にも分かるように解説して下さい。念のため、普通の人とは独学で勉強してみようと思うような人の中の普通レベルという事である。
おまけ: