解説
>しかし、2=-1であることに注意すれば、可逆元を除いて3個で、これらはすべて既約である。
F3=ℤ3の世界では2=-1であるので、
{X,X+1,X+2,2X,2X+1,2X+2}
={X,X+1,X+2,-X,-X-2,-X-1}
={±X,±(X+1),±(X+2)}
よって、「1次のモニックな既約多項式は{X,X+1,X+2}である」という事である。
そして、「可逆元を除いて3個」とは「可逆元の積を除いて3個」という事で「±1」の積を除いてという事だろう。
因みに、整数環ℤで可逆元といえば+1と-1である。(可逆元の別名は単元というが、ここから来ているのかなと考えている。)
ただし、素朴な疑問もある。ℤ3^*では可逆元は全ての元で{1,2}で{1,-1}だから±1であるが、ℤ5^*の世界だったそうはいかない。{1,2,3,4}={1,2,-2,-1}で±2である。F3=ℤ3だから使ったのだろうか。
参考
定義5.6
a1,…,anを整域Rの元とする。a1,…,anをすべて割り切るRの元dはa1,…,anの公約元と呼ばれる。Rの元dがa1,…,anの公約元でかつa1,…,anの任意の元d'に対してd'|dが成り立つとき、dをa1,…,anの最大公約元という。
R∋a1,…,amとすると、a1,…,amの最大公約元は存在するとは限らないが、存在すれば可逆元の積を除いて一意的に定まることがわかる。
最後の所の「可逆元の積を除いて一意的に定まる」から±1の積という意味は明らかだろう。つまり、ℤ3だろうと関係なく、そういう意味で使っていると思われる。
まさか、「F3[X]における可能の逆元を除くと」という意味じゃないよね。
因みに、体じゃない環ならば可逆元は+1と-1だけ、とは限らない。
問題
ℤ[i]={a+bi|a,b∈ℤ}は整域であり、ℚ[i]={a+bi|a,b∈ℚ}は体であることを示せ。また、整域ℤ[i]の可逆元をすべて求めよ。環ℤ[i]をガウスの整数環という。
解答
ℤ[i]の可逆元は{1,-1,i,-i}である。
問題
pを素数とするとき、ℤ(p)={m/n|m,n∈ℤ,(n,p)=1}はℚの部分環であることを示せ。また、ℤ(p)の可逆元は何か。
解答
U(ℤ(p))={a/b|a,b∈ℤ,(a,p)=1,(b,p)=1}
因みに、環Rの可逆元全体の集合をU(R)で表す。また、nを法とする既約剰余類全体の集合もU(ℤn)で表す。
今、気が付いたが、U(ℤn)は乗法について群をなす(定理2.10)ので全ての元が可逆元だから同じ記号なのか。
相変わらず、解説を付けてくれないが、独学出来れば非常に為になる参考書だと思う。(大学生向け。)
>● X=2のとき:X^2+2X+1=2^2+2・2+1=9=0であるから、X^2+2X+1はX-2=X+1で割り切れる。このとき、X^2+2X+1=(X+1)^2
なぜこんなに面倒臭い事をわざわざしているのか理由を述べて下さい。
X^2, X^2+X, X^2+2X,
X^2+1,X^2+X+1,X^2+2X+1,
X^2+2,X^2+X+2,X^2+2X+2
上の式の中から容易に因数分解できる可約な多項式を除くと、次のようになる。
X^2+1,X^2+X+1,X^2+2X+1,X^2+X+2,X^2+2X+2
X^2+2X+1を除いてX^2+2入れた方が良いと思うが、「X=1,2を代入して0になれば、その多項式は可約である」のX=2の例のために入れられたのかもしれない。
因みに、(3)でも選び方がちょっと変である。誤植も2ヶ所あるし。まぁ、試練がある方が実力付くというものである。(独学の大学生仲間向け。)
おまけ: