解説
>F2[X]に属する4次の多項式は一般に
aX^4+bX^3+cX^2+dX^1+c(a,b,c,d∈F2={0,1})
と表されるので、全部で1・2^4=16通りある。
これはX^4+aX^3+bX^2+cX^1+dの誤植ですね。
因みに、最高次の係数が1の多項式をモニックな多項式という。
>これらの中から容易に因数分解できる可約な多項式を除くと、表6.1のようになる。
一応、X^4+X^3+X+1とX^4+1も解説して下さい。
X^4+X^3+X+1=X^3(X+1)+X+1=(X+1)(X^3+1)=(X+1)^2(X^2-X+1)
X^4+1=X^4+2X^2+1(F2[X]の式だから)
=(X^2+1)^2
よって、これら2つは可約である。上の方は(X+1)(X^3+1)を見抜くのは簡単なので問題ないが、X^4+1の方はF2の性質を使っているので容易に因数分解できると言って良いのだろうか。因みに、X^4+1=(X^2+1)^2-2x^2と変形すると、(X^2+√2X+1)(X^2-√2X+1)と因数分解される。(どうでも良い話。)
>はじめに、X=1を代入したとき、その値が0になるものは、次の2つで、
X^4+X^3+X^2+1=X^3(X+1)+(X+1)^2=(X+1)(X^3+X+1)
X^4+X^2+X+1=X^2(X^2+1)+(X+1)^2=(X+1)(X^3+X^2+1)
X=1を代入する意味と変形の解説をして下さい。
F2の世界では-1=1なので、X=-1はX=1と同値でX=1をX^4+X^3+X^2+1に代入すると、1+1+1+1=4≡0(F2の法則より)
よって、X=-1を代入しても0になる。よって、因数定理よりX^4+X^3+X^2+1はX+1を因数に持つ。
念のため、X=-1を代入しても1-1+1+1=2≡0(F2の法則より)と出来る。
X^4+X^3+X^2+1=X^3(X+1)+(X+1)^2(F2の法則より)=(X+1)(X^3+X+1)
X^4+X^2+X+1=X^2(X^2+1)+(X+1)^2(この2乗は誤植である)=(X+1)(X^3+X^2+1)
X^4+X^2+X+1=X^2(X^2+1)+(X+1)=X^2(X+1)^2+(X+1)=(X+1)(X^3+X^2+1)
>表6.1の残りの多項式はX,X+1では割り切れない。ゆえに、3次式でも割り切れない。
表6.1
X^4+X^3+X^2+X+1,X^4+X^3+X^2+1,X^4+X^3+1,X^4+X^2+X+1,X^4+X^2+1,X^4+X+1
表6.1の残りの多項式とは、X^4+X^3+X^2+X+1,X^4+X^3+1,X^4+X^2+1,X^4+X+1で、XでくくれないのでXでは割り切れず、項数が5,3,3で全て奇数個なのでX=1を代入してもF2の法則で0にはならない。よって、X+1でも割り切れない。
ところで、4次式なので全ての1次式で割り切れなければ3次式でも割り切れないのは、逆から考えれば自明な事。
>実際に割り算を実行するとX^4+X^2+1はX^2+X+1で割り切れることがわかる。すなわち、標数が2だから補題4よりX^4+X^2+1=(X^2+X+1)^2
補題4
Kを標数pの体で、α,βをKの元、q=p^r(r≧1)とすると次の式が成り立つ。
(α+β)^q=α^q+β^q
(α-β)^q=α^q-β^q
補題4は2項なので適用出来ない。念のため、証明も二項定理を使っている。ここは、展開公式の(a+b+c)^2=a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2caを考えれば自明だろう。つまり、F2の法則で2ab=2bc=2ca=0なので、(a+b+c)^2=a^2+b^2+c^2である。
よって、X^4+X^2+1=(X^2+X+1)^2
ただし、多項定理より、補題4は多項の場合も成り立つだろう。
https://manabitimes.jp/math/1281(証明は補題4の場合と同様に数学的帰納法で証明出来る。)一応、裏を取って下さい。
>実際に割り算を実行するとX^4+X^2+1はX^2+X+1で割り切れることがわかる。
実際に割り算すると、X^4+X^2+1=(X^2+X+1)^2ではなく、X^4+X^2+1=(X^2+X+1)(X^2-X+1)となる。念のため、F2の法則を使わないから違いが出る。
X^4+X^2+1=(X^2+1)^2-X^2=(X^2+1+X)(X^2+1-X)=(X^2+X+1)(X^2-X+1)
おまけ: