次の文章を完全解説して下さい。
問題
m,nを互いに素な自然数とする。剰余環ℤm,ℤnの元をそれぞれ|a,~aで表し、写像
f:ℤ→ℤm×ℤn(f(a)=(|a,~a))
を考える。このとき、次を示せ。
(1)fは準同型写像である (2)ℤmn≃ℤm×ℤn
証明
(1)f(1)=(|1,~1)はℤm×ℤnの単位元である。次に、加法と乗法についてそれぞれ確かめる。
f(a+b)=(|(a+b),~(a+b))=(|a+|b,~a+~b)=(|a,~a)+(|b,~b)=f(a)+f(b)
f(a・b)=(|(a・b),~(a・b))=(|a・|b,~a・~b)=(|a,~a)・(|b,~b)=f(a)・f(b)
(2)(ⅰ)fが全射であることを示す。ℤm×ℤnの任意の元は、ℤの元a,bによって(|a,~b)と表される。中国式剰余の定理(第1章定理2.7)より
x≡a(modm),x≡b(modn)
なる連立合同式の解はmnを法として唯1つ存在する。この解の1つをc∈ℤとすると、f(c)=(|c,~c)=(|a,~b)
(ⅱ)次に、準同型写像fの核を求めよう。(m,n)=1に注意すると、
x∈kerf⇔f(x)=(|0,~0)⇔(|x,~x)=(|0,~0)⇔|x=|0,~x=~0⇔x≡0(modm),x≡0(modn)⇔x≡0(mod mn)⇔x∈mnℤ
したがって、kerf=mnℤ
(ⅲ)以上より、fに対して準同型定理3.5を適用すればよい。
ℤmn=ℤ/mnℤ=ℤ/kerf≃ℤm×ℤn
第1章定理2.7(中国式剰余の定理)
n1,…,nsを1より大きい整数とし、(ni,nj)=1(i≠j)とする。このとき、任意の整数の組a1,…,asに対して連立合同式
x≡a1(modn1),…,x≡as(modns)
は、n=n1・・・nsを法として唯1つの解をもつ。
定理3.5(準同型定理)
R,R'を環,f:R→R'をRからR'への準同型写像であるとする。写像
|f:R/kerf→R'
|a→f(a)
は剰余環R/kerfから環R'への単準同型写像である。すなわち、
R/kerf≃f(R)
また、|fはf=|f◦πを満たす。
具体的には、
>定理(第1章定理2.7)より
x≡a(modm),x≡b(modn)
なる連立合同式の解はmnを法として唯1つ存在する。この解の1つをc∈ℤとすると、f(c)=(|c,~c)=(|a,~b)
「唯1つ」と言っているのに「この解の1つ」とはどういう事?(簡単ですが。)
>(ⅱ)次に、準同型写像fの核を求めよう。(m,n)=1に注意すると、
x∈kerf⇔f(x)=(|0,~0)⇔(|x,~x)=(|0,~0)⇔|x=|0,~x=~0⇔x≡0(modm),x≡0(modn)⇔x≡0(mod mn)⇔x∈mnℤ
「(m,n)=1に注意する」理由ですね。
>(ⅲ)以上より、fに対して準同型定理3.5を適用すればよい。
ℤmn=ℤ/mnℤ=ℤ/kerf≃ℤm×ℤn
これは準同型定理3.5でR/kerf≃f(R)を利用したものですが、つまり、ℤ/kerf≃f(ℤ)=ℤm×ℤnより、f(ℤ)を利用しているのでfが全射だろうがそうでないだろうが定理3.5を適用できるので、「(2)(ⅰ)fが全射であることを示す。」は丸々不要ではないのか。不要でない理由を述べて下さい。
おまけ: